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2017年08月08日

【大腸CT検査アカデミー】今日のつぶやき − 46 −

おはようございます!
RadFan様が
第11回消化管先進画像診断研究会のお知らせ
をしてくれました!
http://www.e-radfan.com/event/60091/
ありがとうございます。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。






PubMedから、今日のつぶやき − 46 −


Pickhardt PJ, et al. Volumetric analysis of colonic distention according to patient position at CT colonography: diagnostic value of the right lateral decubitus series. AJR Am J Roentgenol 2014; 203: W623-8.



読影トレーニングをされているF先生から嬉しいコメントを頂きました!

「解答と自分のレポートを照らし合わせてみました。
残渣をポリープとミスリーディングしていることが多いのに気が付きました。
解答に間違えやすい残渣を指摘してくれているのでとてもよくわかります。」

お役に立てて嬉しいです。
トレーニングってとても大変だとは思いますが、全例やると必ず相当な力になります。
是非、頑張ってください。


話は変わりますが、・・・

■読影トレーニングに関して重要なお知らせです。■
ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。



さて、昨日の論文の続きです。

リミテーションの宿題のお返事をいただきました。

【T中先生】

「腸管のガス量っていう送気量であって、拡張した腸管の体積をCTで測定したわけではないんですよね?それなら、検査の順番が後ろの方が送気量は多くなると思うのですが。。。
また一度スカウトを見てから拡張が悪い時はガスを追加の有無とか、送気している時の体位とかはどうなのかなと思ってしまいます。
鎮痙剤の使用状況とかはどうなんでしょうか?」

うわっ、鋭い!!
さすがです〜
臨床と研究(エビデンス)で対峙するものでなく、両方をバランスよく発展させていくことが大切だと思うのですが、T中先生はセンスいいですね!
臨床とエビデンスの両者の目をお持ちだと思います。

・腸管のガス量っていう送気量であって、拡張した腸管の体積をCTで測定したわけではないんですよね?
→すみません。これについては私の表現がまずかったです。
お詫びと共に訂正です。
総大腸ガス量は、CTCソフトウェア(V3D Colon、Viatronix)のベータ版で利用可能な自動化ツールを用いて算出しています。
これは割りと単純なソフトで、大腸解析ソフトは自動で大腸(ガス送気された部分)を抽出しますが、それに大腸の造影剤で占められている部分も抽出し、ボリューム計測をするものです。

・検査の順番が後ろの方が送気量は多くなると思うのですが。。。
・一度スカウトを見てから拡張が悪い時はガスを追加の有無しているの?
→鋭い!まさにその通りです。
セレクションバイアスとテンポラルバイアスが今回取り上げた研究の最大のリミテーションです。

・鎮痙剤の使用状況は?
→鎮痙剤はこの研究では一切使用していません。
まあ、ピッカードのウィスコンシン大学でも、自分が留学していたハーバード大学でも、鎮痙剤使用しないいんですよ。
T中先生からいただいたご質問なので、近く取り上げますね〜


次は、別の方から個別のLineに頂いた解答です〜

「リミテーションは
1) 単施設の研究な事
2) 主観的判定をしている読影医の先生が2名な事
3) 対象者の平均BMIが30.9!な事
です!」

こちらも素晴らしい解答ですね!

1) 単施設の研究な事
→以前の宿題の解説を生かしてくれていますね。
ただ、精度検証研究ではないので、今回の件ではそれほどのリミテーションにはなりません。
ですが、もちろん手技など施設間格差もありえますので少しは影響しますよね。
自動送気装置を使用しての研究でもあったので、今回はリミテーションにリストされていないようですね。

2) 主観的判定をしている読影医の先生が2名な事
→もちろん多い方が良いとは思います。
ですが、一人の判定者でなく、複数で判定していればリミテーションとしなくていいでしょう。
ただ、複数の人で判定した場合には、判定者間のばらつきを評価した方が良いとは思います。
いわゆる一致率(κ値)を出すと、その判定自体が適切かも評価できます。
う〜ん、そういえば今回の研究では一致率は算出されてませんね。

3) 対象者の平均BMIが30.9!な事
→今研究内容をそのまま日本の受診者に当てはめようとした場合にはリミテーションにならなくもないですね。
昔、論文を投稿した際に、その研究では対象者の平均BMIが22くらいだったのです。
そしたら、なんとが、査読者から一般的な対象者とは言えない〜、やせすぎなので米国のジャーナルに投稿するにはリミテーションだよね〜って突っ込まれてたことがあります・・苦笑
この時は幸い、そのジャーナルのeditorから、その突っ込みはスルーしていいよ!って助け舟を出してくれましたが。
でもまあ、今回の平均BMIが30.9!な事自体はリミテーションにならないでしょうね。

こちらの解答も素晴らしいと思います。

また、こんな質問も頂きました。

「大腸CTをする前に患者さんのCO2の送気量をだいたいこのくらいかな?と予測するのですか?」
「例えば私は身長154cmです!
大腸の内腔の直径を5cmとすれば2.5×2.5×3.12×154×0.6=1813とか
あくまで例えばですが?
154センチの人は1800ぐらい?とか
ありますか?」

前半の質問は、研究会でも良く出る質問ですね。
単行本「これ1冊でわかる! 大腸CTプロフェッショナル 100のレシピ」
の73ページをご覧くださいね。
詳述しています。
http://www.e-radfan.com/event/47211/

〜ご参考〜
大腸の長さボリュームは非常に個人差があります。
身長だけで単純には算出できないですよ。
ご興味あれば↓の論文もご参考にどうぞ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/55/3/55_435/_article/-char/ja/

それでは、長くなったので今日はこの辺で。
続きます〜



ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。

原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25415727



★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA−03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y

PubMedにも掲載済みですよ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28674967

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。



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プロフィール
大腸の専門家 ナガイチさんの画像
大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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