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2017年08月02日

【大腸CT検査アカデミー】今日のつぶやき − 42 −

9月3日(日)に広島で「第11回消化管先進画像診断研究会 (GAIA) 」
が開催されます。
第5部 パネルディスカッションでは
「大腸CT検査における女性被検者への対応とその工夫」
が議論されますよ!
今の時代に必要ですね!!
是非、お越し下さい。
http://gaia.kenkyuukai.jp/event/event_detail.asp?id=25144





PubMedから、今日のつぶやき − 42 −


Corley DA, et al. Association Between Time to Colonoscopy After a Positive Fecal Test Result and Risk of Colorectal Cancer and Cancer Stage at Diagnosis. JAMA 2017; 317: 1631-1641.


ラインコミュニティで、3名の方からの素晴らしいコメントをいただきました。
ありがとうございます!!
さすが良いところを突かれていますね〜

まずは、T中先生のご質問にお答えします。

「この研究の対象者の便潜血陽性って、初回だったの?」
→このあたりの記載はなかったですね。
先生の症例のように2回目以上であった可能性も否定できません。

「内視鏡歴に差はなかったの?」
→内視鏡経験者は除外されています。
約126万人の対象者のうち、便潜血陽性社が10万6千人超でした。
このうち、過去10年以内に全大腸内視鏡検査あるいは過去5年以内にS状結腸鏡検査を受けたことがある1万873人は対象から除外されています。
つまり、内視鏡経験がない便潜血陽性者が今回の検討対象です。

今回の研究では、便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの平均期間(中央値)は37日です。
(IGQ, 23-62日)
(参考:IQRの最初の値は前から25%の値、次の値は前から75%の値を示します)
30日以内に内視鏡を受けたのは33.3%
2ヶ月以内に内視鏡を受けたのは63.6%
3ヶ月以内に内視鏡を受けたのは74.2%
6ヶ月以内に内視鏡を受けたのは80.6%
12ヶ月以内に内視鏡を受けたのは83.2%
となっています。
なかなか優秀ですね。

ちなみに
アメリカ退役軍人の方たち(手厚い社会保障)の内視鏡を受けるまでの平均期間は103日です。
公的保険の方たち(比較的手薄い社会保障)の内視鏡を受けるまでの平均期間は174日です。

日本で調査したらどんな感じなんでしょう??

で、昨日のもやっとした部分ですが、これはあくまで個人的な推測とお考えください。
エビデンスはありません、これから必要な研究課題だと思います。

「便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まるよ」
→内視鏡受診まで10ヶ月以上になっている時点で、1.個人的課題と2.組織的課題の2点があるのではないでしょうか?

1.個人的課題
コメントいただいた先生方のご意見と私も同じです。
10ヶ月以上放置している時点で健康意識は高いとはいえない可能性が高いですね。
放置していたけれでも、何かのきっかけ(自覚症状など)でようやく動くわけで、
そもそも検診の結果に影響されていなかったのではないかと考えられます。
T中先生の症例のように初回でなかったのかもしれません。

2.組織的課題
内視鏡を受けずに放置されている仕組みに問題がなかったか。
家庭医・主治医からの受診勧奨していたのか、
あるいは一定期間経過しても受診していない場合に受けるように
再度受診勧奨(リコール)がなされていたのかということです。
ある地域、ある病院の管轄で、このあたりのシステムが緩く、精検受診からこぼれる構造があって、
がんが結果的に放置されていた可能性はないのか検証が必要だと思うのです。

日本でも、欧米のように内視鏡を受診まで目標期間を明示すべきだと思います。
エビデンスは薄くとも、欧州のように31日以内と明示されれば、保険会社、自治体、病院(家庭医・主治医)が具体的に動くことができますよね。
だって、目標がないとアクション起こせなくないですか?
日本で精検受診率が低い一つの要因になっているような気が個人的にはします。

今日のつぶやきは、雑感のような感じですが、どうぞご容赦ください〜
それでは、皆様良い週末をお過ごしくださいね。



原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28444278


★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA−03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y

PubMedにも掲載済みですよ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28674967

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がんのリスクが高まる。


<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。



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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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