2015年06月12日
ロヒンギャ族が、イスラム国に勧誘されている?ロヒンギャ族とは?
イスラム国兵士
自称イスラム国ISISが、迫害を受けてミャンマーを脱出しているイスラム系少数民族であるロヒンギャ族を戦闘員に勧誘し、訓練していることが明らかになり、問題になっています。
ロヒンギャ族とは、もともとバングラデシュに住んでいた人々が、かつてミャンマー西部に存在したアラカン王国に従者や傭兵として雇われたり、商人としてミャンマーの間を頻繁に行き来したため、その後バングラデシュ=ミャンマー国境に定住したムスリム(イスラム教徒)が始まりとされています。
なぜ、ここまで迫害されるようになったかですが、アラカン王国を形成していた人々が代々継承してきた農地が、英領時代に植民地政策によって奪われ、イスラム教徒の労働移民に与えられたことが原因のようです。
この数年でミャンマーを脱出したロヒンギャ族は最大10万人に上り、兵力増強をもくろむISISの格好の標的になっているとの懸念が高まっています。
現在、シリアとイラクでISISメンバーとして戦闘に加わっているインドネシア人は約700人、マレーシア人は約200人いるとされています。
こうした状況について、シンガポールのリー首相は先週、「東南アジアはISISにとって重要な人材勧誘の場になっている。インドネシア人とマレーシア人のISIS戦闘員は多く、彼らだけで一部隊をつくっている」と語りました。
135以上の民族が暮らすミャンマーでは民族同士の軋轢が多く、特にロヒンギャ族はミャンマー西部のラカイン州で仏教徒と長年にわたって衝突を繰り返し、数万人が国外脱出を試みる事態に発展しています。
しかし、多くの国はロヒンギャ族の受け入れに消極的な姿勢を示しています。そのため家族を養うお金もない彼らの間で、ISIS参加が魅力的な選択肢として急速に広まるかもしれない、と専門家は警告しています。
イスラム過激派やISIS支持者がロヒンギャ族に対し、シリアでの戦闘に加わるよう唆すメッセージをインターネットに投稿していたとの指摘もあります。
政治暴力・テロリズム研究国際センター(シンガポール)のグナラトナ所長は、「以前は個人だったが、今は家族でISIS入りする例が増えている」と指摘しています。
この問題が難しいのは、もし、感情的にロヒンギャ族を助けなければと行動すれば、ミャンマー当局の追放を助長させかねないので、冷静な対応が求められるわけですが、一方で、「人間の安全保障」の観点からすれば、英領植民地時代の遺産である民族間の怨讐から生じる差別と迫害は明らかであり、ロヒンギャ族の身柄保護と人道支援が急務であるというジレンマがあります。
人権団体アムネスティ・インターナショナルは、この問題について「まずは、ミャンマー国内におけるロヒンギャ族の人権が確保されるべき」と言っています。
確かに正論で、そこが解決しなくては、問題の根本的な解決はできないでしょうね。
ただ、現実的には、すでに大勢のロヒンギャ族が難民化しているわけですから、イスラム国などに行かないためにも、しっかり保護することと、ミャンマー政府にロヒンギャ族の人権を尊重するよう働きかけていく両方の動きが必要でしょうね。
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