2018年03月08日
【ブルーレイ映画ソフトレビュー】メッセージ / Arrival (動画付)
記事一覧TOP > 映画ブルーレイリスト > 【ブルーレイ映画ソフトレビュー】メッセージ / Arrival (動画付)
2017年末に出た2018年3月現在、比較的新しいブルーレイ作品です。
4K Ultra HDソフト(ブルーレイ同梱)も同時に発売されています。
基本的に最新作で、4K Ultra HDとブルーレイが同時に発売されている場合、マスターは同じ可能性が高く、画質傾向はほぼ同じと考えてよいと思います。
ブルーレイのダウンコンバートやエンコードがかなり悪いソフトも結構あったりしますが、それは日本側の問題ではなく、大抵は海外から送られてくるメディア用マスターが悪いことが多いと思います。
さて、本作の冒頭10分を観て、ソニー・ピクチャーズの最新ブルーレイにしてはクオリティがおかしいなと感じたので調べてみました。
結果は、制作がマイナーなXenolinguisticsということで、米国販売はパラマウントで、日本の販売はソニー・ピクチャーズとなっていました。
マイナーな制作会社の予算の関係か、ちゃんとしたメディア用マスターを作らなかったようですね。
また日本側のブルーレイは米国パラマウントとは仕様が違っています。
恐らく、画質や音質には関心の少ない制作会社なのだと思われます。
一般的には制作会社のプロデューサーがメディア化の責任者になりますので、本作の場合、14人いるプロデューサーの誰かが原因かと思います。
米国での4K Ultra HDとブルーレイの音声は、ともにDTS-HD Master Audio 7.1ですが、日本では4K Ultra HDのみDTS-HD Master Audio 7.1 です。
そもそも米国でもDolby Atmos制作しなかったこと自体で、一部では話題(悪い意味で)になっているようです。
なにしろ、劇場用マスターが今時Dolby Digitalだけなので・・・。
(もしかすると、参照先が間違えているかもしれませんが。)
2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.
ブルーレイ評価
オフィシャルサイト
■リリース:
バージョン:通常版
発売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
時間:116 min
レーティング:G(日本) / PG-13(米国)
制作年:2016年
発売日:2017年10月18日
■映像:
コーデック: MPEG-4 AVC 23.976Hz
解像度: 1080p
アスペクト: 2.35:1(スコープサイズ)
■オーディオ:
英語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48kHz 24bit(ロスレス)
日本語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48kHz 24bit(ロスレス)
■字幕:
日本語、英語
■ディスク:
Blu-ray Disc 1枚
片面2層 (BD-50GB)
■リージョン:
Region A
■平均ビットレート(おおよそ)
(MPEG-4 H.264上限:54Mbps)
(MPEG-4 MVC上限:66Mbps)
:27Mbps前後
■撮影カメラ:
アレクサ XT M、Camtech Vintage Ultra Prime, Kowa Cine Prominar and Zeiss Super Speed Lenses
アレクサ XT Plus、Camtech Vintage Ultra Prime, Kowa Cine Prominar and Zeiss Super Speed Lenses
※カメラは3.4K(4K)のデジタルカメラです。
※ウルトラプライムのレンズは、絞り開放値T1.9の単焦点レンズです。
この監督の特徴として背景ボケをかなり利用していますので、通常の焦点距離よりかなり短いレンズを使い分けていると思います。
感覚として、人物の顔のアップでは、マクロレンズを使っているような気がします。
■映像マスタ:
撮影マスタ・フォーマット:ARRIRAW (2.8K)
DI(Digital Intermediate):2K
■映像マスタリング(DI(Digital Intermediate)、マスタリング):
Codex(撮影マスタ・レコーディング)
※Codexのマスタ保存はLTOテープです。
DeLuxe(フィルム・プリント)(一部劇場用)
MELS(DI、ポストプロダクション)
Yellow Cab Studios(効果音スタジオ)
■音響:
Dolby Digital
■音響スタジオ(Sound Mix / Re-recording)(サウンドトラック除く):
MELS(サウンドステージ)
■制作背景
・制作予算:約47億円 /100円換算
・世界興行収入:203億円 /100円換算
・撮影:カナダ(ケベック)
■賞:
245の賞にノミネート、アカデミー賞を含む63の賞を受賞しています。
■監督:
ドゥニ・ヴィルヌーヴ / Denis Villeneuve
■出演者:
エイミー・アダムス / Amy Adams
ジェレミー・レナー / Jeremy Renner
フォレスト・ウィテカー / Forest Whitaker
【画質】
映画マスターは2.8Kの撮影マスターから2KのDIが制作されており最新作としては厳しい内容です。
これは制作会社がメジャースタジオではなかったことや予算の関係かと思われます。
4K Ultra HDのマスターは、4Kにアップコンバートされたものですね。
ブルーレイマスターは2KのDIから作られていますが、恐らくHDテープのマスターだと思われます。
このHDテープに記録する際、結構やっつけで作ってしまったのではないでしょうか。
テープの悪い要素がいくつかあります。
ハイライトは詰まり気味で、色滲みや色かぶりが結構あります。
Y/C分離もイマイチに感じる部分が多く、輝度も良くありません。
ハイライトがかなり抑えられています。
元々オリジナルから暗い映像だったのでしょうが、メディアではそれよりも暗くなっていると思います。
暗いだけなら良いのですが、コントラストがかなり浅いので、終始モヤモヤしています。
画質が今一つのソフトでは、予告編のほうがキレイだったりしますが、本作も同じです。
つまり撮影や編集がイマイチだったのではなく、ソフト化までのプロセスでクオリティが落ちたというわけです。
最新作としてはビットレートは結構低く、27Mbps程度です。
絞り開放値T1.9のある意味普通の焦点距離が短いレンズ(民生用で考えるとかなり明るいレンズですが・・・)で撮影された映像は、この監督らしく被写界深度をかなり浅くして撮っています。
3.4Kデジタルカメラを使い、2.8Kで撮影された映像は、最新映画らしく精細で解像感もあります。
絞りはほとんど開放値近くで撮影したと思えるボケ見の強い映像なので、焦点付近の解像感はありますが、それ以外はふわっとした表現になっています。
これはこの監督の好みなので、ソフトの問題ではないと思います。
単焦点レンズでの撮影のため、全編で解像感が強いわけではありませんが、アップでは20mm以下のレンズだと思いますが、解像感や描写力は良好です。
当然、被写体に近いほど解像感は上がります。
ただ、かなり焦点距離の短いレンズを使っていると思いますので、ピントの合っている部分が少なく、独特です。
引きのショットでも50mm以下のレンズではないでしょうか?
管理人はカメラにも凝っているので、ボケ見の強い映像は嫌いではありません。
全編でHDテープが原因と思われるモヤモヤとした空気感というかノイズ感が付きまといます。
また回想シーンのような途中で挿入される映像(実際は未来のイメージ)では光が多いのですが、ハイライトや白が、薄緑にかぶっています。
カラーコレクションで薄緑に色調調整をしたものとは違っています。
なぜなら、他の被写体の色は薄緑ではなく、ほぼ自然の色だからです。
もしかすると、薄緑にカラーコレクションをしていたとしたら、品位が落ちて薄緑が濁っていると言えます。
それから、前線基地のようなテント内の通路は、白熱灯のような明かりがちょっとあるだけの暗い通路なのですが、被写体の輪郭や周囲が、緑と赤茶でにじんでいます。
ちなみにWOWOWの放送もエアチェックしていますが、ここがさらにひどく、輪郭はかなり太いタッチで緑色になっていて、暗部の黒になるはずの部分は濃い赤茶です。
ブルーレイはそこまでひどくはなく、軽く偽色が出ているレベルですが、それでも最新作とは思えない悪いDVDタッチの表現です。
全体的にテープ風の暗部の汚れた混濁感や色にじみがあります。
全編で暗く、鮮度感を感じるような映像ではありません。
判りやすいのは、冒頭の大学の教室です。
生徒がいるのに、ここまで暗い教室はちょっと考えられないですね。
元々暗い映像に仕上げているにしても、コントラストがないため、ただ薄暗い映像です。
ただ、精細感のある映像なので、現代的な鮮度感は感じられます。
元々この監督は自然光を使って、強い配光をしないので、暗めの映像ではありますが、暗すぎです。
例えると、夜中に目を覚まして、暗闇に目が慣れてきた時の様子に近い暗さです。
ここまで暗い映像は意図されたものとは思えません。
コントラストがあれば、意図された暗さかもしれませんが。
ただ薄暗いので、階調性を感じるようなシーンがそもそも少ないです。
夜中の電気を付けていない部屋で、階調性を探すようなものです。
昼間の屋外のシーンでも同様に暗いので、厳しいです。
そういえば、暗い映像を作る監督として、ピーター・ハイアムズがいますが、その作品に似ていますね。
レリックとかエンド・オブ・デイズなどわざと暗い映像にしているのですが、ソフトの出来も良くないことが多く、さらに暗くなり、何をやっているのかわからないくらいの作品も多いです。
そんなことを思い出しながら観ていました。
ちなみにテント内で白熱灯のある場所では、輪郭に偽色が付くので、暗部階調がなくても輪郭はわかるという訳の分からない状態です。
それ以外では、色の違いで輪郭が判る程度で階調というレベルでは難しいですね。
一番階調が判るのは、明るい回想シーンと宇宙船内部ですね。
雲の階調性はよく表現されているので、単に階調がないわけではないです。
そういう意味では明るいシーンの階調は良く出ていると言えますが・・・。
基本的にはコントラストはかなり低く、黒浮きしています。
この監督は基本的に色調をカラーグレーディングによって変えています。
本作もそうで、若干色温度が高めの薄青色に薄いグレーをかぶせ、脱色している感じに仕上げています。
どの作品も脱色調にするのはこの監督の特徴ですね。
ただ、メディアのクオリティが低いとそれが裏目に出て、単に色が良くない映像になってしまいます。
微妙な脱色が単に色が薄いものになってしまっている感じです。
ただ、明るい回想シーンと宇宙船内部でのスキントーンは悪くなく、繊細な表現です。
そこ以外は暗くて色もグレーになってしまっているか、偽色やかぶりやにじみが全開です。
【音質】
映画マスターは、Dolby Digitalだけです。
ただし、最近高音質と思える映画の音響を担当しているMELS社の音質はそもそも優秀だったと思われます。
本ブルーレイは、米国ではDTS-HD Master Audio 7.1chでしたが、DTS-HD Master Audio 5.1chです。
米国より劣るのはいつも困ります。
日本のソニー・ピクチャーズエンタテインメントがわざわざブルーレイだけ5.1chにダウンコンバートする理由がありませんので、日本に届いたマスターがそうだったのだと思います。
ただ、映像と違い、音声はなかなか良く、ダイナミックレンジは広めでコントラストもあります。
ダイナミックレンジはそこそこ広めです。
バランスは少し低域寄りです。
芝居部分のボリュームは抑えめです。
または音楽と宇宙人の音のボリュームが大きいのかもしれません。
ミックスの話ですね。
キレが目立つ音ではありません。
どちらかと言えば量感で迫る圧迫感のある音です。
台詞:
同録風ですが、しっかり明瞭でバランスの良い声です。
克明な描写で質感も良好です。
SE音:
音数は多くはありません。
これは予算の関係かと思います。
宇宙人の人工的なSE音が圧迫感満点で包囲します。
要所での音に集中した作りで、戦闘機やヘリなどの音や移動感はいきなり超現代的な音です。
芝居部分の音はほぼありません。
聴きどころは、スピーカー分離をうまくつかった絵本をめくる音です。
音楽:
サントラはこの監督とのタッグで定番のヨハン・ヨハンソン。
2018年2月に48歳で亡くなったようです。
低域をメインに置いた曲なのか効果音なのかわからないような独特のサントラは本作も健在です。
芝居の邪魔をしませんが、いつも通りボリュームが大きく、宇宙人のSE音をマスクしてしまうような作りでもあります。
これもいつも通りですが、映画の中ではサントラのボリュームが一番大きいです。
予算が低かったせいか、音数は少なく、要所に絞り込んでいます。
ストーリーの関係上、ほとんどが人工音にならざるをえませんが、芝居部分の音はほとんどありません。
要所になると、サラウンドを活用したヘリなどの移動音などがかなり高音質で登場します。
環境音(基地での喧噪音など)や芝居音(衣ずれとか足音とか)はあまりありません。
予算の関係なのか、監督の趣向なのかは不明です。
音楽がサラウンドで迫ります。
要所でのSE音や効果音などはサラウンドを活用しています。
芝居部分はあまり出番はありませんが鳴るシーンでは解像感豊かに、きちんとなります。
ほとんど鳴っていなかったり、猛烈に鳴ったりしますので、評価が難しいです。
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
レビュー基準についてはこちら
【ブルーレイ】
【4K Ultra HD】
【DVD】
【オンライン】
2017 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2015 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
1998 Buena Vista Home Entertainment,Inc. All Rights Reserved.
2005 by Paramount Pictures. and DW Sudios L.L.C, All Rights Reserved.
2014 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
2011 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
2014 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
2016 Sony Corporation, Sony Marketing Inc. All rights reserved.
2015 Sony Corporation, Sony Marketing Inc. All rights reserved.
OPPO Digital Japan株式会社 All Rights Reserved.
2018 Panasonic UK & Ireland
【JBL公式通販サイト】
【サウンドバー】
【USB-DAC】
【アクティブ・スピーカー】
2017年末に出た2018年3月現在、比較的新しいブルーレイ作品です。
4K Ultra HDソフト(ブルーレイ同梱)も同時に発売されています。
基本的に最新作で、4K Ultra HDとブルーレイが同時に発売されている場合、マスターは同じ可能性が高く、画質傾向はほぼ同じと考えてよいと思います。
ブルーレイのダウンコンバートやエンコードがかなり悪いソフトも結構あったりしますが、それは日本側の問題ではなく、大抵は海外から送られてくるメディア用マスターが悪いことが多いと思います。
さて、本作の冒頭10分を観て、ソニー・ピクチャーズの最新ブルーレイにしてはクオリティがおかしいなと感じたので調べてみました。
結果は、制作がマイナーなXenolinguisticsということで、米国販売はパラマウントで、日本の販売はソニー・ピクチャーズとなっていました。
マイナーな制作会社の予算の関係か、ちゃんとしたメディア用マスターを作らなかったようですね。
また日本側のブルーレイは米国パラマウントとは仕様が違っています。
恐らく、画質や音質には関心の少ない制作会社なのだと思われます。
一般的には制作会社のプロデューサーがメディア化の責任者になりますので、本作の場合、14人いるプロデューサーの誰かが原因かと思います。
米国での4K Ultra HDとブルーレイの音声は、ともにDTS-HD Master Audio 7.1ですが、日本では4K Ultra HDのみDTS-HD Master Audio 7.1 です。
そもそも米国でもDolby Atmos制作しなかったこと自体で、一部では話題(悪い意味で)になっているようです。
なにしろ、劇場用マスターが今時Dolby Digitalだけなので・・・。
(もしかすると、参照先が間違えているかもしれませんが。)
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ブルーレイ評価
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント公式サイト
オフィシャルサイト
公式動画
映画『メッセージ』本予告編
(SonyPicturesJapan)
(SonyPicturesJapan)
ソフト情報
■リリース:
バージョン:通常版
発売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
時間:116 min
レーティング:G(日本) / PG-13(米国)
制作年:2016年
発売日:2017年10月18日
■映像:
コーデック: MPEG-4 AVC 23.976Hz
解像度: 1080p
アスペクト: 2.35:1(スコープサイズ)
■オーディオ:
英語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48kHz 24bit(ロスレス)
日本語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48kHz 24bit(ロスレス)
■字幕:
日本語、英語
■ディスク:
Blu-ray Disc 1枚
片面2層 (BD-50GB)
■リージョン:
Region A
■平均ビットレート(おおよそ)
(MPEG-4 H.264上限:54Mbps)
(MPEG-4 MVC上限:66Mbps)
:27Mbps前後
■撮影カメラ:
アレクサ XT M、Camtech Vintage Ultra Prime, Kowa Cine Prominar and Zeiss Super Speed Lenses
アレクサ XT Plus、Camtech Vintage Ultra Prime, Kowa Cine Prominar and Zeiss Super Speed Lenses
※カメラは3.4K(4K)のデジタルカメラです。
※ウルトラプライムのレンズは、絞り開放値T1.9の単焦点レンズです。
この監督の特徴として背景ボケをかなり利用していますので、通常の焦点距離よりかなり短いレンズを使い分けていると思います。
感覚として、人物の顔のアップでは、マクロレンズを使っているような気がします。
■映像マスタ:
撮影マスタ・フォーマット:ARRIRAW (2.8K)
DI(Digital Intermediate):2K
■映像マスタリング(DI(Digital Intermediate)、マスタリング):
Codex(撮影マスタ・レコーディング)
※Codexのマスタ保存はLTOテープです。
DeLuxe(フィルム・プリント)(一部劇場用)
MELS(DI、ポストプロダクション)
Yellow Cab Studios(効果音スタジオ)
■音響:
Dolby Digital
■音響スタジオ(Sound Mix / Re-recording)(サウンドトラック除く):
MELS(サウンドステージ)
■制作背景
・制作予算:約47億円 /100円換算
・世界興行収入:203億円 /100円換算
・撮影:カナダ(ケベック)
■賞:
245の賞にノミネート、アカデミー賞を含む63の賞を受賞しています。
キャスト情報
■監督:
ドゥニ・ヴィルヌーヴ / Denis Villeneuve
■出演者:
エイミー・アダムス / Amy Adams
ジェレミー・レナー / Jeremy Renner
フォレスト・ウィテカー / Forest Whitaker
公式動画
映画 『メッセージ』 予告編
(SonyPicturesJapan)
(SonyPicturesJapan)
映像クオリティ・レビュー総評
【画質】
日本に届いたマスターの出来が悪かったと思われる暗い映像
ブルーレイ映像マスタ
映画マスターは2.8Kの撮影マスターから2KのDIが制作されており最新作としては厳しい内容です。
これは制作会社がメジャースタジオではなかったことや予算の関係かと思われます。
4K Ultra HDのマスターは、4Kにアップコンバートされたものですね。
ブルーレイマスターは2KのDIから作られていますが、恐らくHDテープのマスターだと思われます。
このHDテープに記録する際、結構やっつけで作ってしまったのではないでしょうか。
テープの悪い要素がいくつかあります。
ハイライトは詰まり気味で、色滲みや色かぶりが結構あります。
Y/C分離もイマイチに感じる部分が多く、輝度も良くありません。
ハイライトがかなり抑えられています。
元々オリジナルから暗い映像だったのでしょうが、メディアではそれよりも暗くなっていると思います。
暗いだけなら良いのですが、コントラストがかなり浅いので、終始モヤモヤしています。
画質が今一つのソフトでは、予告編のほうがキレイだったりしますが、本作も同じです。
つまり撮影や編集がイマイチだったのではなく、ソフト化までのプロセスでクオリティが落ちたというわけです。
最新作としてはビットレートは結構低く、27Mbps程度です。
解像感
絞り開放値T1.9のある意味普通の焦点距離が短いレンズ(民生用で考えるとかなり明るいレンズですが・・・)で撮影された映像は、この監督らしく被写界深度をかなり浅くして撮っています。
3.4Kデジタルカメラを使い、2.8Kで撮影された映像は、最新映画らしく精細で解像感もあります。
絞りはほとんど開放値近くで撮影したと思えるボケ見の強い映像なので、焦点付近の解像感はありますが、それ以外はふわっとした表現になっています。
これはこの監督の好みなので、ソフトの問題ではないと思います。
単焦点レンズでの撮影のため、全編で解像感が強いわけではありませんが、アップでは20mm以下のレンズだと思いますが、解像感や描写力は良好です。
当然、被写体に近いほど解像感は上がります。
ただ、かなり焦点距離の短いレンズを使っていると思いますので、ピントの合っている部分が少なく、独特です。
引きのショットでも50mm以下のレンズではないでしょうか?
管理人はカメラにも凝っているので、ボケ見の強い映像は嫌いではありません。
ノイズ感
全編でHDテープが原因と思われるモヤモヤとした空気感というかノイズ感が付きまといます。
また回想シーンのような途中で挿入される映像(実際は未来のイメージ)では光が多いのですが、ハイライトや白が、薄緑にかぶっています。
カラーコレクションで薄緑に色調調整をしたものとは違っています。
なぜなら、他の被写体の色は薄緑ではなく、ほぼ自然の色だからです。
もしかすると、薄緑にカラーコレクションをしていたとしたら、品位が落ちて薄緑が濁っていると言えます。
それから、前線基地のようなテント内の通路は、白熱灯のような明かりがちょっとあるだけの暗い通路なのですが、被写体の輪郭や周囲が、緑と赤茶でにじんでいます。
ちなみにWOWOWの放送もエアチェックしていますが、ここがさらにひどく、輪郭はかなり太いタッチで緑色になっていて、暗部の黒になるはずの部分は濃い赤茶です。
ブルーレイはそこまでひどくはなく、軽く偽色が出ているレベルですが、それでも最新作とは思えない悪いDVDタッチの表現です。
全体的にテープ風の暗部の汚れた混濁感や色にじみがあります。
鮮度感
全編で暗く、鮮度感を感じるような映像ではありません。
判りやすいのは、冒頭の大学の教室です。
生徒がいるのに、ここまで暗い教室はちょっと考えられないですね。
元々暗い映像に仕上げているにしても、コントラストがないため、ただ薄暗い映像です。
ただ、精細感のある映像なので、現代的な鮮度感は感じられます。
元々この監督は自然光を使って、強い配光をしないので、暗めの映像ではありますが、暗すぎです。
例えると、夜中に目を覚まして、暗闇に目が慣れてきた時の様子に近い暗さです。
ここまで暗い映像は意図されたものとは思えません。
コントラストがあれば、意図された暗さかもしれませんが。
階調性・コントラスト
ただ薄暗いので、階調性を感じるようなシーンがそもそも少ないです。
夜中の電気を付けていない部屋で、階調性を探すようなものです。
昼間の屋外のシーンでも同様に暗いので、厳しいです。
そういえば、暗い映像を作る監督として、ピーター・ハイアムズがいますが、その作品に似ていますね。
レリックとかエンド・オブ・デイズなどわざと暗い映像にしているのですが、ソフトの出来も良くないことが多く、さらに暗くなり、何をやっているのかわからないくらいの作品も多いです。
そんなことを思い出しながら観ていました。
ちなみにテント内で白熱灯のある場所では、輪郭に偽色が付くので、暗部階調がなくても輪郭はわかるという訳の分からない状態です。
それ以外では、色の違いで輪郭が判る程度で階調というレベルでは難しいですね。
一番階調が判るのは、明るい回想シーンと宇宙船内部ですね。
雲の階調性はよく表現されているので、単に階調がないわけではないです。
そういう意味では明るいシーンの階調は良く出ていると言えますが・・・。
基本的にはコントラストはかなり低く、黒浮きしています。
カラー
この監督は基本的に色調をカラーグレーディングによって変えています。
本作もそうで、若干色温度が高めの薄青色に薄いグレーをかぶせ、脱色している感じに仕上げています。
どの作品も脱色調にするのはこの監督の特徴ですね。
ただ、メディアのクオリティが低いとそれが裏目に出て、単に色が良くない映像になってしまいます。
微妙な脱色が単に色が薄いものになってしまっている感じです。
ただ、明るい回想シーンと宇宙船内部でのスキントーンは悪くなく、繊細な表現です。
そこ以外は暗くて色もグレーになってしまっているか、偽色やかぶりやにじみが全開です。
公式動画
映画『メッセージ』特別映像 謎の飛行体
(SonyPicturesJapan)
(SonyPicturesJapan)
音声クオリティ・レビュー総評
【音質】
音楽と宇宙人の音が主役の高音質音声
ブルーレイ音響マスタ
映画マスターは、Dolby Digitalだけです。
ただし、最近高音質と思える映画の音響を担当しているMELS社の音質はそもそも優秀だったと思われます。
本ブルーレイは、米国ではDTS-HD Master Audio 7.1chでしたが、DTS-HD Master Audio 5.1chです。
米国より劣るのはいつも困ります。
日本のソニー・ピクチャーズエンタテインメントがわざわざブルーレイだけ5.1chにダウンコンバートする理由がありませんので、日本に届いたマスターがそうだったのだと思います。
ただ、映像と違い、音声はなかなか良く、ダイナミックレンジは広めでコントラストもあります。
ダイナミックレンジ(音域バランス)
ダイナミックレンジはそこそこ広めです。
バランスは少し低域寄りです。
芝居部分のボリュームは抑えめです。
または音楽と宇宙人の音のボリュームが大きいのかもしれません。
ミックスの話ですね。
瞬発力・量感(キレと強さ)
キレが目立つ音ではありません。
どちらかと言えば量感で迫る圧迫感のある音です。
情報量(台詞、SE音、音楽)
台詞:
同録風ですが、しっかり明瞭でバランスの良い声です。
克明な描写で質感も良好です。
SE音:
音数は多くはありません。
これは予算の関係かと思います。
宇宙人の人工的なSE音が圧迫感満点で包囲します。
要所での音に集中した作りで、戦闘機やヘリなどの音や移動感はいきなり超現代的な音です。
芝居部分の音はほぼありません。
聴きどころは、スピーカー分離をうまくつかった絵本をめくる音です。
音楽:
サントラはこの監督とのタッグで定番のヨハン・ヨハンソン。
2018年2月に48歳で亡くなったようです。
低域をメインに置いた曲なのか効果音なのかわからないような独特のサントラは本作も健在です。
芝居の邪魔をしませんが、いつも通りボリュームが大きく、宇宙人のSE音をマスクしてしまうような作りでもあります。
これもいつも通りですが、映画の中ではサントラのボリュームが一番大きいです。
サウンドデザイン(音像感と音場感含む)
予算が低かったせいか、音数は少なく、要所に絞り込んでいます。
ストーリーの関係上、ほとんどが人工音にならざるをえませんが、芝居部分の音はほとんどありません。
要所になると、サラウンドを活用したヘリなどの移動音などがかなり高音質で登場します。
環境音(基地での喧噪音など)や芝居音(衣ずれとか足音とか)はあまりありません。
予算の関係なのか、監督の趣向なのかは不明です。
サラウンド(移動感含む)
音楽がサラウンドで迫ります。
要所でのSE音や効果音などはサラウンドを活用しています。
芝居部分はあまり出番はありませんが鳴るシーンでは解像感豊かに、きちんとなります。
ほとんど鳴っていなかったり、猛烈に鳴ったりしますので、評価が難しいです。
クオリティ・レビュー詳細
★総合クオリティ :85点
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
★映像クオリティ :77点
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
解像感 :88点
ノイズ感 :70点
鮮度感 :88点
階調性・コントラスト :65点
カラー :75点
★音声クオリティ :92点
(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)
ダイナミックレンジ :94点
(音域バランス)
瞬発力・量感 :88点
(キレと強さ)
情報量 :93点
(台詞、SE音、音楽)
サウンドデザイン :90点
(オリジナルとメディア化)
サラウンド :94点
(移動感含む)
レビュー基準についてはこちら
商品ソフト紹介
【ブルーレイ】
メッセージ [Blu-ray] | ||||
|
【4K Ultra HD】
メッセージ 4K ULTRA HD ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray] | ||||
|
【DVD】
メッセージ [DVD] | ||||
|
【オンライン】
メッセージ (字幕版) | ||||
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【JBL公式通販サイト】
【サウンドバー】
【USB-DAC】
【アクティブ・スピーカー】
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