【ブルーレイ映画ソフトレビュー】ブレードランナー 2049 / Blade Runner 2049 (動画付): オーディオとシアターが好き

2018年04月03日

【ブルーレイ映画ソフトレビュー】ブレードランナー 2049 / Blade Runner 2049 (動画付)

記事一覧TOP > 映画ブルーレイリスト > 【ブルーレイ映画ソフトレビュー】ブレードランナー 2049 / Blade Runner 2049 (動画付)

2018年3月に出た新しい4K Ultra HD＋ブルーレイ作品です。
本レビューは、同梱ブルーレイになります。
なぜブルーレイかと言いますと、管理人が4K Ultra HDのプレーヤーを所有していないためです。
レビューは、ネイティブ4Kのプロジェクターで120インチスクリーンにて視聴したものになります。
4Kにアップコンバートして視聴しています。

基本的に最新作で、4K Ultra HDとブルーレイが同時に発売されている場合、マスターは同じ可能性が高く、画質傾向はほぼ同じと考えてよいと思います。
一方、本作の4Kソフトは、米国ではワーナーから発売されており、日本ではソニー・ピクチャーズです。
このような場合、大抵は元のマスターが違っていて、日本に届くマスターが良くないケースが多いです。
本作もそういう部類です。
4Kのほうは仕様は同じですが、ブルーレイは違っています。
米国版は、Dolby Atmos、Dolby TrueHD 7.1ですが、日本版は、DTS-HD Master Audio 5.1です。
こういうのは本当に困ります。

【ブルーレイ映画ソフトレビュー】

ブレードランナー 2049
Blade Runner 2049

posted with カエレバ

ブルーレイ評価

公式サイト

「ブレードランナー2049」公式サイト　

公式動画

映画『ブレードランナー2049』日本版予告編

（SonyPicturesJapan）

ソフト情報

■リリース：
　バージョン：4K ULTRA HD & ブルーレイセット(初回生産限定)版
　発売：ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
　※米国ではワーナー
　時間：163 min
　レーティング：PG12（日本） / PG-12（米国）
　※日本で珍しくレーティングが付くような内容です。
　　ご注意下さい。
　制作年：2017年
　発売日：2018年3月2日

■映像：※ブルーレイ
　コーデック: MPEG-4 AVC 23.976Hz
　解像度: 1080p
　アスペクト: 2.40:1（スコープサイズ）

■オーディオ：※ブルーレイ
　英語：DTS-HD Master Audio 5.1 48kHz 24bit（ロスレス）
　日本語:DTS-HD Master Audio 5.1 48kHz 24bit（ロスレス）

■字幕：※ブルーレイ＋4K共通
　日本語、英語、日本語字幕（聴覚障碍者用字幕）

■ディスク：
　Blu-ray Disc　1枚
　片面2層 (BD-50GB)
　4K Ultra HD Disk 1枚

■リージョン：
　Region A（ブルーレイ）

■平均ビットレート（おおよそ）
（MPEG-4 H.264上限：54Mbps）
（MPEG-4 MVC上限：66Mbps）
：22Mbps前後

■撮影カメラ：
　アレクサプラス、マスタープライムレンズ
　アレクサ Mini、マスタープライムレンズ
　アレクサ XTスタジオ、マスタープライムレンズ

　※マスタープライムレンズは現在最高峰の絞り開放値T1.3の明るい単焦点レンズです。

■映像マスタ：
　撮影マスタ・フォーマット：ARRIRAW (3.4K) (2.8K)
　DI（Digital Intermediate）：4K
　Dolby Vision
　
■映像マスタリング（DI（Digital Intermediate）、マスタリング）：
　Codex（撮影マスタ・レコーディング）
　※Codexのマスタ保存はLTOテープです。
　DeLuxe（フィルム）※フィルム上映用
　EFILM Digital Laboratories（DI）

■音響：
　Dolby Atmos、Auro 11.1、DTS (DTS: X) 、IMAX 6-Track、12-Track Digital Sound (IMAX 12 track)、Dolby Surround 7.1、Sonics-DDP

■音響スタジオ（Sound Mix / Re-recording）（サウンドトラック除く）：
　Codex（デジタル・レコーディング）
　Origo Film Group （サウンド・ステージ）
　Undertone Music（ADR（アフレコ）レコーディング）

■制作背景
・制作予算：約150億円　/100円換算
・世界興行収入：259億円　/100円換算
・撮影：ハンガリー、スペイン、アイスランド、メキシコ、アメリカ

■賞：
120の賞にノミネート、77の賞を受賞しています。
うち、アカデミー賞の撮影賞と視覚効果賞を受賞しています。

キャスト情報

■監督：
ドゥニ・ヴィルヌーヴ / Denis Villeneuve

■出演者：

ハリソン・フォード / Harrison Ford
ライアン・ゴズリング / Ryan Gosling
アナ・デ・アルマス / Ana de Armas

公式動画

映画『ブレードランナー 2049』来日イベントハイライト映像

（SonyPicturesJapan）

映像クオリティ・レビュー総評

【画質】

精細なタッチで描く高画質な世界観

ブルーレイ映像マスタ

映画マスターは3.4Kと2.8Kのデジタル撮影です。
DIは4Kです。
ブルーレイマスターは4KのDIから2Kにダウンコンバートして作られていますが、HDテープの悪い点が見当たらないのでメモリ記録だと思われます。
最新作としてはビットレートは結構低く、22Mbps程度です。
これは恐らく、特典映像が60分近くあるため、容量を取られたことが原因かと思います。
販売戦略上、特典ディスクを付けない販売形態を考えたためかと思いますが、特典のためにクオリティが下がる仕様は困りますね。
ものすごく期待して視聴しましたが、クオリティはあと一歩足りない印象です。

解像感

この監督特有の好みだと思われますが、絞り開放値T1.3のある最高峰単焦点レンズを使い、焦点距離が短いレンズで撮影された映像です。
そのため焦点はある1点だけにフォーカスしがちです。
本作は、かなりその焦点距離が短いレンズを多用しているため、冒頭の目のアップでは、閉じたまぶたの左右のまつ毛にだけピントがあっています。
まぶたの中心はアウトフォーカスです。
まぶたを上げると、ひとみにフォーカスせず、そのまま、左右のまつ毛にだけフォーカスします。
このような撮影が多用されているため、フォーカス部分は精細で解像感も良い映像ですが、画面のほとんどがアウトフォーカスであるため、目が疲れます。
バストショットでも2人の人物が並んで映っていると、1人だけ（正確には意図された人物だけ）にフォーカスしているようなショットが多いです。
そのため、もう1人は少しボケて見えます。
これによって、そのシーンの画面全体の印象では解像感を損なうように見えてしまいます。
なお、引きの全身ショットや3人以上の複数の人物が映っているショットや風景ショットでは焦点距離は遠く、被写界深度が深いため全体にフォーカスしています。
ただしそのショットもかなりカメラは遠い位置から撮影しているため、解像度クッキリには見えないと思います。

このようにフォーカスしている部分の精細感と解像感はかなり良いのですが、アウトフォーカスの部分が多いため、ボンヤリした印象のショットに見えるシーンが多いと思います。
引きのショットでも、スモークなどの効果で、いかにも高精細で高解像度という見せ方はしていません。
むしろ、モヤモヤして曇りすぎという印象のほうが強いですが、これは意図されたものだと思いますので、ソフト化の問題とは違うと思います。

ノイズ感

デジタル撮影のため、ほとんどノイズ感はありません。
デジタルノイズはほぼありませんが、色ノイズがちょっと出ます。
後半のオレンジにグレーディングしているシーンで、赤が飽和してハレーション気味に映ります。
※顔に赤色がベッタリ浮き出て乗っているような見え方をします。

鮮度感

グレーディングを多用して色調が場所によって全く違いますが、精細感のある映像で、現代的な鮮度感があります。
解像度は精細感に比べてちょっと甘めですので、少しボンヤリしています。
薄暗いところで、薄目で物を見ているような感じに似ています。

階調性・コントラスト

この監督特有の映像表現は、いつも通りでグレーディングによって脱色調のシーンでは、暗部が浮き気味です。
黒浮きするギリギリで抑えている感じで、霧に包まれているような印象です。
そのためコントラストはあまり高くはありません。
一方、意図されたコントラストだと思いますので、ソフト化の問題だけではないと思います。
暗いシーンが多いのですが、階調性は良いため、見難いということはありません。
不自然なグラデーションはありませんが、モヤのせいで曖昧です。
いつもこの監督の暗部は難しいです。

カラー

シーンによってかなり手を加えています。
トップクラスの手の入れ方だと思います。
基本的に、全編この監督特有の脱色調で、そこは一貫しています。
何度も回想で出てくる孤児院のシーンでは、意図されていますが、ほとんど色がありません。
一方、暗いシーンでも暗部の色乗りは良く、悪い表現はしません。
輪郭や暗部には偽色などが全くなく、滲みもかぶりもありません。
赤の飽和するシーンは、ソフト化の失敗だと思います。

公式動画

映画『ブレードランナー2049』日本版予告編2

（SonyPicturesJapan）

音声クオリティ・レビュー総評

【音質】

音楽が主役の音場デザイン

ブルーレイ音響マスタ

映画マスターは、最新音響はほぼ網羅しています。

音楽が完全に主役で、芝居部分やアクション部分の3倍近くはボリュームがあります。
そのため、芝居部分などのSEはあまりありません。
静かなシーンでは、環境音はほぼありません。
音楽の重低音はかなりあり、センタースピーカーもかなりの低域再生能力を問われると思います。
メディア化にあたりちょっと品質が劣化しているようで、音のコントラストは浅い表現で、情報量も削がれた感じです。

ダイナミックレンジ（音域バランス）

ダイナミックレンジは、ねている感じで圧縮による劣化だと思います。
バランスは低域寄りです。
メディア化のプロセスで、抑えられている印象です。
ビットレートが低い関係だと思います。

瞬発力・量感（キレと強さ）

キレが目立つ音ではありません。
全体的にはマイルドですが現代的な音ではあります。
量感はかなりあって、音場で迫る包囲感のある音です。
音像感よりも音場感が好きな人には高評価のサウンドだと思います。

情報量（台詞、SE音、音楽）

台詞：
台詞は普通です。
台詞が広い空間ではサラウンドします。

SE音：
音数はあまり多くはありません。
期待していた雨の音や、雑踏の音などはかなり小さく、サラウンドにもほとんど音が作られていません。
冒頭の格闘音や車の空中移動音やミサイルでの戦闘音などは結構作り込まれていますが、それ以外は印象に残るような音ではありません。
音楽が主役のため、あまり作り込んでいないのだと思います。
これは、「007　スペクター」と似ています。

音楽：
サントラは、ヨハン・ヨハンソンが途中降板して、ハンス・ジマーとベンジャミン・ウォルフィッシュが参加したものです。
この映画のほぼ全ての音がこのサントラです。
またサラウンドを含め、キレイに包囲する配置をしています。
ヨハン・ヨハンソンらしき重低音の効いた耳を圧迫してくる音作りも垣間見られます。
芝居部分の3倍近くのボリュームで、アクションシーンの2倍は音が大きいです。
サントラのないシーンでは、台詞が少ないことや環境音がほとんどないため、非常に静かです。
このサントラの大音量と、ほぼ無音の静寂のコントラストはすごいのですが、大画面と大音量で試聴しないと眠くなる可能性もあるかもしれません・・・。

サウンドデザイン（音像感と音場感含む）

圧迫してくる音場が全てです。
サントラもアクションSE音も圧迫して包囲します。
移動感は車の飛行音くらいです。
意図されたデザインですが、もう少し芝居音や環境音は欲しい所です。

サラウンド（移動感含む）

4K Ultra HDは、Dolby Atmosでかつ7.1chですが、ブルーレイは5.1chです。
サラウンドスピーカーを使い、音を鳴らし分けるような作りではありません。
ビックリするような音や、移動感はありません。
基本的には、フロント3chで構成されています。
要所では、サラウンドが活躍しますが、低音再生がコントロール出来るサラウンドスピーカーでないとブーミーになってしまう可能性があります。