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2018年02月27日

【ブルーレイ映画ソフトレビュー】アイ、ロボット / I, Robot (動画付)

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DVD時代から高画質、高音質で知名度のあったブルーレイ初期発売の作品です。
初期リリースはDVDのみでした。
20世紀フォックスの最初のブルーレイは、2006年11月ですので、本作はそこから約1年半後にリリースされた作品です。
前年の2007年はまだHD-DVDも発売されていて、ちょうどブルーレイの過渡期になり、2008年2月になってようやくブルーレイに1本化されました。

新しいメディア(今回はブルーレイ)の初期に品位が高かったものでも、次のメディアが出るころには相対的に品位が落ちてしまうことがよくあります。
本作もそういう部類の作品ですが、それでもクオリティは高い部類です。
コンテンツ(話など)が良いかどうかは、視聴する人に寄りますのでここでは取り上げていません。


コピーライトマーク 2004 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.


ブルーレイ評価

映像83_1.jpg音質90.jpg





公式動画


アイ,ロボット - 予告編

(FOX)



ソフト情報



■リリース:
 バージョン:通常版
 発売:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
 時間:115 min
 レーティング:PG-12(日本) / PG-13(米国)
 制作年:2004年
 発売日:2008年5月30日

■映像:
 コーデック: MPEG-4 AVC 23.976Hz
 解像度: 1080p
 アスペクト: 2.35:1(スコープサイズ)

■オーディオ:
 英語:DTS-HD Master Audio 5.1ch 48kHz 24bit(ロスレス)
 日本語:DTS 5.1ch 48kHz 24bit(ロッシー)

■字幕:
 日本語、英語

■ディスク:
 Blu-ray Disc 1枚
 片面2層 (BD-50GB)

■リージョン:
 Region A

■平均ビットレート(おおよそ)
(MPEG-4 H.264上限:54Mbps)
(MPEG-4 MVC上限:66Mbps)
:32Mbps前後

■撮影カメラ:
 アリカム LT, Cooke S4 and Zeiss Ultra Prime Lenses
 アリカム ST, Cooke S4 and Zeiss Ultra Prime Lenses
 アリフレックス 435ES, Cooke S4 and Zeiss Ultra Prime Lenses
 Photo-Sonics 4E, Cooke S4 and Zeiss Ultra Prime Lenses
 ※カメラは35mmフィルムカメラです。
 ※クック社のS4レンズは、焦点距離が複数ラインナップされた単焦点レンズです。

■映像マスタ:
 撮影マスタ・フォーマット:Super 35(フィルム)
 DI(Digital Intermediate):2K
 
■映像マスタリング(DI(Digital Intermediate)、マスタリング):
 DeLuxe(フィルム・プリント)
 20th Century Fox Studios(ポストプロダクション)
 Modern VideoFilm(DI)

■音響:
 DTS、Dolby Digital、SDDS

■音響スタジオ(Sound Mix / Re-recording)(サウンドトラック除く):
 20th Century Fox Studios(ポストプロダクション)

■制作背景
・制作予算:約120億円 /100円換算
・世界興行収入:347億円 /100円換算
・撮影:カナダ、アメリカ(イリノイ、カリフォルニア)

■賞:
アカデミー賞を含む14の賞にノミネート、1つの賞を受賞しています。





キャスト情報



■監督:
アレックス・プロヤス / Alex Proyas External_Link_15px.png


■出演者:
ウィル・スミス / Will Smith  External_Link_15px.png

ブリジット・モイナハン / Bridget Moynahan  External_Link_15px.png

アラン・テュディック / Alan Tudyk




映像クオリティ・レビュー総評



【画質】

2Kマスターの初期ブルーレイとして良好な画質






ブルーレイ映像マスタ



映画マスターは2004年作品ながら2KのDIが制作されており素養は良いです。
ブルーレイマスターはそれがベースとなったHDテープのマスターだと思われます。
日本版のマスターもHDテープで記録されたものと思われます。
テープの悪い要素がいくつかあります。
ハイライトは飛び気味で、色滲みが少しあります。
パナソニックハリウッドラボラトリー(PHL)がブルーレイのフィルタリングやオーサリングをしており、当時としてはかなり高画質だった作品です。
20世紀フォックスのブルーレイの第二期に相当すると思われる作品です。
それはつまり、DVDマスターをアップコンバートしていた第一期から脱して、ようやくアップコンバートなしの純正2Kマスターになった作品と言えそうです。



解像感


一般的な映画用単焦点レンズで撮影された映像は、解像感よりも画面全体の描写力を訴求するタイプです。
極端な言い方をしますと、背景ボケを利用せずに、画面をクッキリ見せるレンズの絞りを絞った撮り方が多いため、人込みに主人公が埋もれているような表現です。
(被写体が近いシーンでは背景ボケはありますが・・・)
これは未来世界の雑然とした世界を表現する手法なのかと思われます。

単焦点レンズでの撮影のため、全編で解像感が強いわけではありませんが、アップでの解像感や描写力は良好です。
当然、単焦点レンズですので、人間の目と同じで被写体に近いほど解像感は上がります。
当時としてはロボットのCGで描かれた質感は精細で優秀でした。
DVDでも優秀でしたが、そこは2Kの解像感のほうが有利です。


ノイズ感


フィルムグレインはある意味普通ですが、悪い表現はしませんし、PHLによるオーサリングで質感を残しつつ画面の歪を排除しています。
この見晴らしの良さが、当時は高画質らしい感じではありました。
なお、フィルムグレインを消そうとフィルターを掛けてしまうケースも多いようですが、単にそうしてしまうとグレイン以外の情報量も減り、画面がひずむそうです。
管理人はあまりそういう歪が気になったことがないため、不明です。
ただ、フィルターを掛けてグレインを消して質感などが悪くなったソフトは結構知っています。
HDテープによる赤かぶり気味の色ノイズや、暗部の汚れた混濁感や色にじみがあります。
デジタルノイズは輪郭補正がちょっと目立ちます。
これはDVDでも同様でした。
一瞬、この輪郭補正を見て、DVDと同じマスターのアップコンバートか?と思ったほどです。


鮮度感


劇画調で鮮度感が高い映像ではありません。
映画的というか油絵の絵画的な表現に近いです。
これは撮影で陰影が強く出る配光をしていることと色が濃厚なためです。
洋服の革の質感などをしっかり描写する克明さがあり、古さは全く感じません。
一方でフィルム映像なので、既視感があるような表現でもないです。


階調性・コントラスト


陰影の強い配光もあり、コントラストはかなり高いです。
暗いシーンや暗部も結構ありますが、しっかりとした表現をします。
また暗部は良く伸びて最暗部の黒は艶もありますので、印象が良いと思います。
階調性は明るい部分から影になるところで色にじみのせいで混濁してちょっと気になります。


カラー


色調はカラーグレーディングによってずいぶん絵画調になっています。
Deluxe社の色らしく全体的には濃厚でずっしりした表現です。
ギラギラ、ピカピカした色調で、モヤがかかったような色はなく、画面のどこもクッキリしています。
ノイズのところで評価していますが、赤へのかぶりや、暗部での色滲みなどがあり、ちょっと気になります。
スキントーンは悪くなく、ちょっと艶々した感じではあります。




音声クオリティ・レビュー総評



【音質】

DVDとは系統が違う高音質音声






ブルーレイ音響マスタ



映画マスターは、当時としては標準的なDTS、Dolby、SDDSでちゃんと作り込んだ音響です。
ブルーレイ音声マスターは、DVDと同じだと思います。
ただし、圧縮方式やエンコードが違っているので、劣るという意味ではありません。

当時としてはロスレスの音声自体がブルーレイの売りで、新たにDTS-HDMAで圧縮されています。
ロスレスらしく、情報量は増え、マスタリングも違うのか、音が整理された感じです。
(悪い意味での整理ではなく・・・、整音されたというべきか、粗さがなくなっている印象)

ちなみに別途レビューしますが、DVDはDTS5.1chでした。
DVDのDTS音声は特徴があり、低音とダイナミックレンジがすごいのです。
台詞にボリュームを合わせていると、音のピークでは大音響になってしまうことがよくありました。
本作のDVDもそうで、台詞に合わせていると、中盤の、博士の屋敷でのロボット襲撃や、高速道路のトンネルでの襲撃などは文字通り地響きを伴います。
あわててボリュームを下げたことをよく覚えています。

本ブルーレイは、そういったDVD-DTSのマスタリングとは違い、ダイナミックレンジは整理されて飛び上がるほどの大音響には鳴りません。
一方で情報量は増え、低域には芯や量感を伴った伸びのある音になっています。
ちょっと低域寄りのバランスで高域は抑えめな印象です。
ダイナミックレンジを整音していますが、コントラストは維持しており、マイルドな音でもありません。


ダイナミックレンジ(音域バランス)


ダイナミックレンジはちょっとピークを抑え気味にしていますが、それでも広いです。
バランスは少し低域寄りです。


瞬発力・量感(キレと強さ)


DVDのキレキレ高域とサブウーファーが飛んでしまうほどの重低音はちょっと整音されてキレイな音になっています。
これはブルーレイのマスター制作時に整音したのだと思います。
一方でDVDとは違い情報量が増えたためか、音に芯があります。
かなり太い芯で、ずっしりとした量感のある芯です。
銃撃音などは瞬発力もあり、量感もしっかりして重低域まであります。
基本的にはDVDのDTSと同じ傾向ではあります。


情報量(台詞、SE音、音楽)


台詞:
乾いた音色で描写力があります。
克明な描写で質感も良好です。

SE音:
未来世界のロボットをメインとした人工音はかなり強調されハリウッドらしい派手な作りです。
各スピーカーから聴こえてくる人工的なSE音が包囲します。
何度か挿入される水の中での回想シーンでは、グルグルに音が包囲し大ボリュームに鳴ります。
また芝居部分では、コーヒーに入れる砂糖をすくう音だったり、人工皮膚を触るようなシーンではここぞとばかりに細かく表現します。
そういう意味でかなり細かく作り込んでいます。

音楽:
サントラは低域をメインに置いた曲調で、サラウンドを含め包囲します。
芝居の邪魔をしませんが、アクションシーンはかなりボリュームが大きく、SE音をマスクしてしまうような作りでもあります。


サウンドデザイン(音像感と音場感含む)


未来世界の音響として人工音を良く作り込んでバランスの良い作りです。
CGが多用されていることもあり、人工的な音響の先駆け的な作りです。
移動音なども要所であります。
環境音(バーでの喧噪音など)や芝居音(衣ずれとか足音とか)はあまりありません。


サラウンド(移動感含む)


音楽がサラウンドで活用されています。
要所でのSE音や効果音などはサラウンドを活用しています。
芝居部分はあまり出番はありませんがほとんど全編アクションシーンで、音楽と共に常に鳴っています。



クオリティ・レビュー詳細



★総合クオリティ     :87点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)


★映像クオリティ     :83点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)



 解像感        :89点
 ノイズ感       :80点
 鮮度感        :82点
 階調性・コントラスト :87点
 カラー        :79点





★音声クオリティ     :90点

(Blu-rayお勧めレベルは85点以上)
(1〜100点)



 ダイナミックレンジ  :92点
 (音域バランス)
 瞬発力・量感     :87点
 (キレと強さ)
 情報量        :93点
 (台詞、SE音、音楽)
 サウンドデザイン   :86点
 (オリジナルとメディア化)
 サラウンド      :93点
 (移動感含む)





レビュー基準についてはこちらInternal_Link_15px.png




商品ソフト紹介


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オーディオとホームシアターが三度の飯より好きなアラフィフ管理人です。どちらかと言えばホームシアターのほうがオーディオより好きです。映画ソフトはかなりたくさん観てきましたので、機器だけではなくソフトのクオリティ・レビューも気ままにしていきたいと考えてます。機材検討やソフト購入検討のお役に立てれば幸いです。
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