2020年01月19日
逆パワハラ対策 孫子の『兵法書』から考える (運送業労務管理)
まずは廟算(びょうさん=情勢判断) 逆パワハラとは何かを知りる
まずは『逆パワハラ』とは何かを正確に知り、部下の行いがそれにあたるのかを判断します。
『逆パワハラ』とは、それについてのはっきりした規定はなく、パワハラの規定を別視点で解釈したものです。
パワハラとは、同じ職場で働く人に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。(厚生労働省より抜粋)
この文言の中の優位性がポイントになります。
例えば@IT知識やその他あらゆる技術のスキルや、A人間関係において部下が上司より優位になるケースは多々あります。
部下の立場の人が優位的立場から上司に対し「この会社を訴えるぞ」などの脅迫や、誹謗中傷などを行う名誉基礎や、精神的苦痛を与える無視を行った場合に逆パワハラと認定され損害賠償のケースに発展します。
この優位性については近年若い人のデジタルスキルの向上により@のケースが増えてきているそうです。
またAの職場での人間関係については、管理職の人は公平性を保たなければならない為事務的対応も余儀ないため、現場の従業員同士のような深入りした人間関係を築きづらいのが現状です。
どこの職場でも、ある事柄を社員さん皆は知っていて上司だけが知らないことは多々あると思います。
また部下の人達同士で村社会的コミュニティ−(最近ではSNSを使って)を形成していることがあり(そこで会社に対する不平不満が共通認識となりますが)そこに上司の人が介入することはなかなか出来ません。
まとめて言えば
部下の立場の人は多人数で上司の介入できない様々なコミュニティ−を形成しており、上司の知りえない様々な情報を得ることが出来る優位性を持ち、上司はそこで行われる誹謗中傷や名誉棄損に対し反論する機会が与えられていない不利な立場にある。
また役職者としての責任を負い言動にもより多くの制限がある立場にあり、常に自由意志での言動が抑制されていることからその立場が優位にあるとは完全には言い難い
また役職者としての責任を負い言動にもより多くの制限がある立場にあり、常に自由意志での言動が抑制されていることからその立場が優位にあるとは完全には言い難い
と逆パワハラと説明することが出来ます。
またよくある「労働基準監督署に訴えるぞ」の発言も、上司が精神的苦痛や恐怖を感じたり現在の職場の地位に影響を与える可能性がある場合は、生命・身体・財産を脅かす行為となり「逆パワハラ」となります。
部下の人達は、ちょっとした上司の言動が「パワハラ」として訴えることができるという権利意識や知識をもっており、対して上司はそのことに脅かされるという優位不利の逆転現象が生じています。
「労基に訴えるぞ」発言は、発言者優位の上司が反論できない不利な状況下で行われることが多いので「逆パワハラ」にもちこむことが可能です。(弊社社労士より)
余談ですが弊社の場合仮にそう言われたら「どうぞ」という対応をする取決めです。
戦わないことが最上の策
特にトラック業界には他業種に比べて労働基準法に詳しい運転手さんが多いです。
周知の事ですが長時間労働が多いこの業界は経営者を訴えやすく、残業代未払い請求がしやすいからです。
自分の訴訟を有利にするためにわざと上司に挑発的な態度を取ってくるケースもあります。
ここで『孫子の兵法』です。
話し合いにより、理解しあうのが最善の策です。
これで、お互いに損失はありません。
しかし、実際はそう上手くいかないことの方が多いと思います。
対立が悪化し抜き差しならない状況になってしまった場合
ここでまた『孫子の兵法』です。
争いは避けるべきですが、そうなることが止むを得ない場合、いたずらに消耗を避けるためいかに損害を最小限にとどめるかを考えます。
一番はいたずらに余計なことを言わないようにすることです。
NGワードは場合によっては精神的被害を被ったとされ賠償問題に発展します
◆横暴ととらわれかねない
「死ぬ気でやれ」
「全力でやれ」
◆責任転嫁ととらわれかねない
「それじゃあ、そういうことでいいんだね」
「(ところで)……さんはどう言ってるの?」
「最終的にはあなたが責任とることだけどね」
◆無理なプレッシャーととらわれかねない
「当然、やってるとは思うけど」
「絶対にミスはするなよ」
◆脅迫ととらわれなねない
「責任をとれよ」
「他の人なら怒っていると思うけど」
「後でどうなるか分かってるよね」
◆無理な仕事の強制ととらわれかねない
強要罪の可能性)
「自分で考えろ」
「報連相しろ」
◆人格や能力の否定ととらわれかねない(名誉棄損の可能性)
「そんなこともわからないの?」
「だから言ったじゃないか」
「何もわかっていないな」
「何度も言ったよね」
「君やる気あるの」
「君にはこの仕事向いてないよ」
「お前のせいで雰囲気が悪くなる」
「言っても変わらないね」
「そんなはずないだろ」
◆その他名誉棄損で犯罪になること
事実かどうか関係なく人の悪口など不利益になることを言いふらす。
まずは己を知ること
以上の言葉もどの人が言ったかによっても受け取り方が大分かわります。
自分は大丈夫と思っている方もいらっしゃると思いますが、決して
ここでも『孫子の兵法』です
歴史上の敗者の3つ共通点は、相手のことをしらない「情報不足」と、相手を甘くみる「油断」と、自分は大丈夫だと思う「怠慢」だとされています。
油断はせず念のため最悪のことを想定しておくのがベストです。
彼(相手)をよく知ること
兵法書の有名な文言で「勝敗は戦う前に既に決している」とあります。
いかに相手の状況をよく知るかの情報収集に一番力を入れることを説いています。
古代中国の国家間の争いではいざ知らず、労使間の場合なら相手をよく理解することによって争いを避けることができるかもしれません。
法律のプロ 社労士さんや弁護士に頼るのが手
『兵法書』を著したのは孫武といわれていますが、孫武は軍師のような立場にいました。
こうした労使間の問題解決において知恵を出してくれるのが弁護士さんや社労士さんに当たると思います。
わたしも何度も社労士さんに相談をし、その都度アドバイスを頂いています。
法テラス(無料)HPです。
https://cj-miratomo.jp/4580/
争いになった場合に絶対にやっておくこと
よくICレコーダーで録音しておくことを勧められますが、会議室等でお話しする際には有効ですが。普段の日常会話を録音するのは困難です。
その際は「いつ・どこで・何を話した」のメモ書きでも有効になります。その場にいる第三者の方に証人になってもらえれば尚よいです。(なかなかお願い出来ないと思いますが)
誰にでもわかるように書いています。知識の幅を広げるために読んでいます。
私はコンビニで購入しました。ビジネス書ではないですが、捉え方によっては応用が利くようたとえ話を使って説明しています。
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