2015年01月02日
立ち続けて足が、腰が痛い!鍼灸師に聞く。足痛、腰痛のセルフケアツボ
長時間の通勤電車、立ち仕事、行列に並んでいる、またジョギングやウォーキング中など、立ちっぱなしの状態で「足や腰が痛くてつらい」という経験はありませんか。それらの痛みを改善する、立ちながら実践できるツボ押し法を、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)院長に伺いました。
■姿勢を変え、ツボを刺激して血流を促す
立ち続けたときに体に起こる状態について、丸尾さんはこう話します。
「ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、足や腰に滞りやすい血液をポンプのように心臓へ送り返す働きがあります。
同じ姿勢を続けると、血流が悪化して足腰に疲労が蓄積し、筋肉痛やこり、むくみなどの症状が現れます。
また、立っているときは、頭、胴、腕の重みを背骨で支えているので、腰への負担は大きくなります。
特に、体をまっすぐに支えるための筋肉がついていない場合は、猫背、後ろに反る、左右のどちらかに傾くような姿勢になりがちです。これもまた、足腰の筋肉に負担をかける大きな原因となります」
では、足や腰の痛みを和らげるツボを具体的に教えていただきましょう。
1.殷門(いんもん)
「殷(いん)」には真ん中や大きい、「門」には出入り口の意味があります。つまり、足の大きい部分の中央部に位置しているという意味です。坐骨神経痛の特効ツボで、慢性的な腰の痛みや足のだるさ、こむらがえりの痛みを和らげるツボです。
<ツボの位置と指圧法>
おしりの下からひざの中央のラインの真ん中あたり、違和感がある箇所を探します。立ったままの場合は、中指で刺激します。お辞儀するように上半身を前に傾けると、指圧しやすくなります。押しやすい指で、ひと押し5〜20秒の指圧を繰り返します。
2.承筋(しょうきん)、承山(しょうざん)
ふくらはぎの痛み、足のむくみ、こむらがえりの予防に対応。どちらも足の老廃物が蓄積するのを防ぎます。「承」は受ける、「山」は盛り上がったところ、「承筋」は筋肉を受けるところという意味です。
<ツボの位置と指圧法>
「承筋」は、ふくらはぎの最も盛り上がっているところの中央。「承山」は、承筋より下がり、ふくらはぎの下端の中央。立ち姿勢では、右のひざ頭で左の「承筋」、「承山」の順にぐりぐりと刺激します。もう一方も同様に。
3.委中(いちゅう)
「腰背の病には委中」と言われます。ひざや腰のだるさ、背中やおしり、肩のこりの改善が期待できます。「委」は曲がるところ、「中」は真ん中の意味で、ひざを曲げたときの真ん中に位置するツボです。
<ツボの位置と指圧法>
ひざの裏側の真ん中。立ち姿勢では、右のひざ頭で左のひざの裏をゆるく押します。もう一方も同様に。委中は神経が集まっている場所なので、あまり力を入れないでそっと刺激しましょう。
4.太衝(たいしょう)
「太」は重要、「衝」は大切な地点である要衝(ようしょう)を意味し、重要なツボを表します。足の動脈の分岐点の位置で、足の血流を促す、肝臓の働きを助けるツボです。足の冷えが気になる場合や、二日酔いの改善にも有用です。
<ツボの位置と指圧法>
足の親指と人さし指の骨が交わる手前のくぼみ。立ち姿勢では、右のかかとで左の「太衝」を軽く押さえます。もう一方も同様に。
さらに、丸尾さんはこうアドバイスします。
「トイレ休憩時などの際に、それぞれのツボをひと押し5〜20秒ほど、繰り返し刺激してください。また、できるだけ疲れを感じる前に、腰を回す、足首を回す、足を曲げ伸ばしするなどを試みて、常に血流を促すように意識しましょう」
これらのツボ押しを実践すると、まず、イタタタと痛みが走り、こっていることを実感。指圧を繰り返すうちに、次第にじわじわと痛みが和らぐことも分かります。痛みが強くなる前に、さっとひと押しで予防しましょう。