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2018年01月05日

ほろびのゆりかご レビュー感想 ラストシーンで判明する真相は、最早SFファンタジーのスケールを超えた(ネタバレ)

▼物語の結末まで書いてます



二転三転どころか七転はするストーリー展開といい、作中で使われている壮大なトリックといい、完全攻略前に読むと、著しく面白さが落ちてしまいます



なのでこの記事はクリア後に読むことを推奨しますが、間違いなく名作と断言出来る、素晴らしい作品でした。




感動ともまた違う、「何か」









▼ではレビュー感想、プレイ日記





あなたを待ち受けるのは、究極の選択。



【あらすじ】
主人公「ホタロー」は
4人の女の子と白い場所で生活している。
ある日、彼女たちは
地下に食料を取りに行くというが・・・








物語は主人公が何か水の音を聞きながら恐怖するシーンからスタート。



だがそれは怖い夢だった。ママに起こされるところからゲーム操作開始


今回はRPGツクールで作ってるんで、雰囲気が違うね。ジャンルはADVなんだけど






▼ゆりかごという舞台で、男は主人公は1人だけ、あと4人全員美少女(成人女性もいるが)というありがちなハーレム設定。


まあタイトル通り、これ明らかに隔離された空間での話なんだよね。ゆりかごってことは宇宙船か、地下シェルターかしら






▼物語冒頭、いきなり主人公の母親が死んでしまう。それも何者かに殺されるという形で。



衝撃展開でびっくりだ。ママ、メインヒロインだと思ったのに



凄く引き込む冒頭だ





一致団結してるのに、裏切者が残された食料を焼き払ったり、B級映画っぽい。



「クチダケ」もこのパターンだったが、寄せ集めの「クチダケ」と違い、10年連れ添った仲間同士なだけに、悲壮感が凄い(プレイ直後なんで10年といわれても、さほど感情移入はしていないが)






▼旧作キャラと被ってるキャラもいるけど、キャラデザは今回も目を惹くね。


CHARONのゲームは、サムネで少し見ただけでCHARONのゲームだと分かるほどの存在感が、異彩を放ってる。



作画枚数も膨大で、フリー素材ゲームなどとは、まるで違う力の入れよう




特に立ち絵は、ヒロインのバストアップではなく「顔」を中心に描くのも迫力がある





そんなヒロインズは皆可愛いけど、一番好きなのはやっぱエンゼリカだね。


読書家という設定もいい。


特に、笑顔の可愛い女性って現実でもバーチャルでも好きなんですよ





守りたい、この笑顔
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アレッッッ!?!?!?

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ええええ、えっ、エンゼリカー!!


てめえが裏切者だったのかよ!!


ママを殺したのもこいつ。



マジで許せねえ…(ブチギレ)

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まあ最初からこんなですわ口調の関西人みたいなお嬢様、臭いと思ってたわ(熱い掌返し)








▼本性を現したエンゼリカに他のヒロインは脚をギロチンで切断されたり、半殺しにされてしまう。


誰かが犠牲になれば他の人を助けるといったのに、結局皆殺しにされそうになる。





ほんととんでもないドクズだったんだな、これは絶対に許せない。


もうバッドエンド確定の流れだから、次のプレイでの復讐を誓った





だがそんなピンチで助けてくれたのはママ。ロボットだったんだね…

普段おっとりしてて怒る事もないママの、…これは「怒り」か…
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こんな姿になってもわが子を守るとか、実の母じゃなくても、人間じゃなくても母と母の愛は偉大だわ






▼ということで、Bルートになってしまったので、やり直し。




どうやら、エンゼリカの台詞を読み解くに、マッマをエンゼリカと二人にさせてはいけないと解釈した



なので序盤の選択肢で無理矢理にでもマッマから離れない。



展開が変化し…おお、Aルートになってる…



無事バッドエンドルートを抜けたね…


BルートってのはBADの略だったのかしら





▼このシナリオでは選択肢を一つ間違えるとバッドエンド直行なのだが、他のゲームでは正解であろう選択肢を選ぶとバッドになってしまうのがCHARONらしい皮肉さでいいね





ヒロインを見殺しにしないと先に進めないなんて画期的だ






▼Aルートでは打って変わってママではなく、何故かエンゼリカが居なくなってしまう



そんな中で食べた、しょっぱかったカレーの正体がなぜかいなくなったエンゼリカの人肉




しかもAルートでは、ママがエンゼリカを殺しているという事実に驚愕




「ゼノギアス」のソイレントシステムでさえ人肉を缶詰にするだけで料理はしてなかったというのに、仲間を殺して食うって…これはもう「ゼノギアス」を超えてしまったんじゃないか。まさかの人肉料理だなんて





ママが主人公を生かすために、自分の体を食わせるのも恐ろしい。


カニバリズムじゃない、これはもう、愛だよ、愛




ほんと吃驚するネタが多いわ。ギリギリを攻め過ぎ。



CSじゃ出せないだろ







▼ストーリーを進めると、このゆりかごというのが実はシェルターであることが分かる。



地上の世界は既に氷河期のような大寒波が来ており、ヒロインたちのいたホツカイドは滅んでいるという。だが決意を改め地上に出る案を模索する




だが「楽園」を作りたいママは反対。やがて仲間との殺し合いにまで発展




主人公は仲間か母親、どちらを殺すかの決断を迫られる






ここ凄いシーンだね。母か仲間、どちらかを撃ち殺す選択肢って。まあ正直別に殺す必要性はないんだが…




でも、これでもまだ、「究極の選択」ではない。


仲間とはさほど仲が良くなかったので、もっと深い仲なら、その2人を天秤にかけることを、究極の選択と呼べたかもしれない。




母親を撃ち殺すと血を流して死亡する(あれ?ロボットじゃなかったの?)




母親や仲間の犠牲や死を乗り越え、地上に出るも、そこは極寒の世界。あえなく倒れてしまう…





またもバッドエンド。




え?終わり?





もう選択肢もないしEDも埋めた筈なんだが…




ああそうか、クリアパスワードね。


そういえば丁度6文字か。




今作は、ただのオマケではなく、進めるためにパスワードが必須なんで、メモりましょう。ミスして検索で飛んで来た人のために、攻略としてパスワードも記します







▼これまで集めたクリアパスワード、「きぼうのはこ」を入力し、ニューシナリオへ。




そこは「メンヘラフレシア」にもあったCHARONお得意の異空間




なるほど、ゆりかごってのは本当は、これを意味してたのか







▼待っていたのは母そっくりの謎の女性。


このあたりも、「メンヘラフレシア」にそっくりだね。


同じ音楽も使ってるし、同じ作者だから当然だけど、世界観や設定まで似てるってのは珍しい。メタネタも同じ








▼そこで明かされるのは、死んでいった仲間たちの抱えている闇と、まだ赤ん坊だった主人公が、なぜシェルターで生活するようになったかという過去。



メギの正体や、ホタローとメギがいかにして親子になったかという経緯までが回想される。




ホツカイドが滅びる際に、シェルターを仕切っていたのがママの叔父。



一見良識人に見えた叔父は、シェルターで突如豹変。大人たちを皆殺しにした


叔父は性奴隷を欲して、幼い少女だけを残した。


まだ赤ん坊だった主人公は、殺されそうになったところを、幼い少女だったママに救われた。



だから生き残りが少女ばかりだったんだね…。


ただのハーレム設定に見えて、ちゃんとストーリーがある。






ロリコン鬼畜叔父が社会の目を逃れて少女・性奴隷を作った場所。それこそがシェルター、「ほろびのゆりかご」の正体







鬼畜叔父が実の姪をはじめ、性奴隷にするための幼い少女たちを裸にして並べるのは、凄いインパクトだ
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あ、こっちだったわ
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▼エンゼリカの悪魔化も、自殺した双子の妹だったんだね…



思いの外闇が深い連中ばかりで、驚きだ



そして全ての事実を知った主人公は、つよくてニューゲーム的に得た知識と経験で正史を変えようとする。


まあSFファンタジー的なループものやな








▼ここで本当の本章スタート…。


クリアパスワードってのは、あくまで中盤までクリアってことだったのね。「メンヘラフレシア」みたいにこれでもう攻略だと思ってたから、更なる展開に吃驚だ






▼おお、OPカッコいい…!
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これまでのは本当に長い長い前振り、前章だったんだ…








▼本編であるCルートでは3周目の記憶を持った主人公が奮闘し、歴史を改変していく。



Cルート、ホタローのやる気を象徴しているのか、世界観とまるで違うやけに熱いサウンドが面白いな。ちょっと笑っちゃった。






結果誰も死なず、全員が和解。



楽園にあんだけ拘ってたメギすらも、話し合いだけで案外あっさり考えを改めたのは、ちょい拍子抜け。


Aルートではそれで殺し合ってたのにね






▼Cルートは平和的で、本当にいいシーンが多いね…特にエンゼリカの改心シーンが泣けた。


自分が殺したも同然の、双子の妹デモニカの死を乗り越えて、悪魔に魅入られない強さを得たんだね…


Bルートの犯人も実際にはデモニカ。エンゼリカは、魅入られてしまっただけ。つまり彼女もまた、被害者であると言える




本当は心の綺麗な女の子だったんだ…そう妹の心を取り込んでしまうくらいに…




まあ最初から信じてましたよ



1度たりともエンゼリカを疑ったことはないです(熱い掌返し)






▼そして犠牲者を一人も出さず、いよいよほろびのゆりかごを脱出する日、ママに呼び出される。



この世界が、胎児である主人公が、母胎で見ている夢という衝撃の事実を告げられる。





!!!



これには本当に衝撃が走った。母親というテーマは何度も出ているが、母胎という発想はなかった



母胎なんて宇宙に比べたら極小にも拘わらず、途轍もないスケール感だ






そして究極の選択。このまま夢の中の仲間たちと過ごすか、それでもつらい現実に産まれてくるか




主人公は現実を選び、母親の大きな愛に包まれて生まれてくる






そう母の愛に守られていた、お腹の中という「ほろびのゆりかご」から…
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たとえ、逃げられない現実が待っていたとしても…



地球という、「ほろびのゆりかご」へ…

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▼……



はああ…頭真っ白感……





いやあ、この一連のシーン、素晴らしかった。最後の最後で、また壮大…。


途方もない展開の連続だ



「ほろびのゆりかご」とは何か?ってのをどんどん推移させていく展開は実に上手い。




新しい世界が出来るって点は「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を思い出した




元ネタはそのまま「ドグラ・マグラ」作中の「胎児の夢」なんだろうけど(同じ文章も出てくるし)、この世界観からこの着地点に持っていくのはお見事(夢野久作が好きな人には、オチが読めたかもしれないけどね…)




特にタイトル画面が主人公が生まれるシーンになってる演出は、思わず唸り過ぎて、唸り声を上げてしまった
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オギャーーーーーーーーーー!!!!って






▼そして本当に驚愕したのはこの次。


はじめからをリスタートして、冒頭のぴちゃぴちゃした水の音らしきものが(アイキャッチでも同様)、母胎の音の表現である事実に気づいた。


この時の衝撃のでかさといったら、なかった。(あくまで私の解釈だが)




早鐘を打つという言葉の通り、ボーンボーンボーン…という古い時計の音も、心臓の音の再現かもしれない




主人公が外の世界とも取れる現実を怖がってる点といい、実はゲーム冒頭から、もう全ての伏線を張って、答えを提示してたんだね、ぶったまげたよ。







▼ちなみに最後の究極の選択を間違えると、主人公はこれまで何があっても守ってくれた母親からも母の愛が伝わらない子として糾弾され、かなり悲痛な最後を迎える事になる。



しかもタイトル画面から笑顔のメギは消え去り、真っ暗になり(トゥルーエンドを見た後は変わらない模様)、セーブデータまでもがバッドエンドで上書きされてしまい、ロード不可能に(多分後半のデータなら読み込める)。



これは怖い。ショッキングシーンが連発されるゲームだが、ここが一番怖い



このバッドエンドに私は初代プレステの名作「moon」を思い出した。





あれも最後、主人公が現実か、ゲームの世界かの選択を迫られ、現実を選ばなかったら悲惨な結末になった


まるで違うゲームだが、根底にあるメッセージ性は同じだ






▼凄いゲームだった。2018年一発目なんだが、いきなりとんでもないゲームをやってしまった。少なくとも今年はもうこれを超えるゲームは出ないんじゃあ…?



クリアまでせいぜい2,3時間やで?それでこの超密度、マジ信じられんて。

総じてクオリティが高いゲームだ





世界観の練り込みも素晴らしい。「メンヘラフレシア」はクリアしても考察の余地が残ったのですっきりしない点もあったが、本作はほぼすべての解き明かされるので、カタルシスも凄い





練られた世界観、プレイヤーを翻弄するギミック、刺激的な展開…





これぞゲームの本質である。ゲームの真髄である。










▼評価S+
100点




とんでもない傑作でした。CHARONの最高傑作だと思う




なんでも次回作でサークル活動休止らしいが(フリゲ活動休止だった模様?)、大変勿体ない才能







▼そういえば同じく満点をつけた「夏ゆめ彼方」も母親が裏テーマっぽかった。「ほろびのゆりかご」は、メインテーマだけどね。


「ほろびのゆりかご」も、一貫してテーマが母子愛なのがいいですね。大抵、こういう義理の親子モノって、強引にでも恋愛に持っていきがちだし



「マザー」シリーズといい、母親をテーマにしたゲームは名作が多い


「ポポロクロイス物語」も名作だった




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