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2019年08月21日

安倍政権「喧嘩の仕方」間違えた? 日韓関係が泥沼化した内幕





 安倍政権「喧嘩の仕方」間違えた? 日韓関係が泥沼化した内幕



     8-21-1.jpg

           朝日新聞編集委員・牧野愛博氏


         〜〈AERA〉AERA dot. 8/20(火) 8:00配信 〜



 




 韓国向けの輸出規制に伴い、日本と韓国の対立が一段と激化して居る。ここ迄コジレタ原因は「司法の尊重」に拘った文政権側に在るが、安倍政権も喧嘩の仕方を間違えた。

「韓国には日韓請求権協定を初め、国と国との関係の根本に関わる約束を先ずはキチンと守って欲しい」
 
 安倍晋三首相は6日、広島市での記者会見でこう語った。これは4日前、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が発信した対日メッセージへの返答だった。日本企業に賠償を求めた昨年の徴用工訴訟判決に付いて、日本が支払わ無くても好い措置を韓国政府が取ら無い限り、首脳会談には応じ無いと云う意味が込められて居た。

 文氏は2日、安倍政権が輸出手続きを簡略化出来る「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めた事に激しく反発。「加害者の日本が、盗っ人猛々(たけたけだけ)しく、大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視し無い」と非難して居た。文氏が言いたかったのは「徴用工訴訟問題を引き起こした癖に、経済報復に踏み切ったのは怪しからん」と云う事なのだろう。

 日韓関係が出口の無い泥沼に嵌(はま)った構図を考えると、元々の原因は文氏にある。文氏は「司法の尊重」に拘り「判決は1965年の日韓請求権協定を破壊する」として、重ねて協議を求めた日本側の訴えに全く耳を貸さ無かった。日本政府関係者は「司法の尊重と言うなら、正反対の結論を出した日本の最高裁の判断はどう為るのか」と憤る。

 文政権は2017年5月の発足以降、日韓慰安婦合意を破棄し、自衛艦旗(旭日(きょくじつ)旗)掲揚問題や海上自衛隊機へのレーダー照射問題でも、悉く韓国側の主張を通し日本への配慮は無かった。今回、日本世論の大半が、安倍政権の取った措置を支持して居る背景には、溜まりに溜まった文政権への不満がある事は間違い無い。但し、安倍政権は喧嘩の仕方を間違えた。
 政府は7月1日、韓国向けの半導体素材3品目の輸出規制強化措置を発表した。韓国の主力産業に大きな打撃を与える措置だった事から、韓国内で日本製品の不買運動が起きる等日韓関係は一気に緊張した。

 処が、有り得無い事に外務省がこの措置の詳細を知ったのは発表直前だった。同省関係者は「直前迄、3品目が何なのかも知らされて居なかった」と証言する。今回の輸出規制の強化措置は、元々、首相官邸が各省庁に対して韓国を牽制する案を検討する様指示した中で、経済産業省が提出した案だった。
 政府関係者の一人によれば、経産省は韓国の輸出管理体制が不十分だとの考えを持って居た。日本から韓国への輸出品が第三国に流れる事を懸念し、2016年から日韓協議の開催を求めて居た。
 これに対し、韓国は協議に応じ無かった上、日本企業3社が韓国に輸出した物品を巡り、第三国に流れた可能性があるとの疑惑も浮上して居た。経産省はこうした事情を背景に、首相官邸に「コンな措置も可能です」と輸出規制強化措置を提案したと云う。

 別の外務省関係者はこうも語る。「確かに過去、我々の韓国に対する外交は甘かった点がある」日本は過去、韓国との間で漁業交渉や自由貿易協定(FTA)締結交渉等で、韓国側の主張に配慮する事が何度もあった。日韓慰安婦合意も、安倍首相が自らの支持者を説得して迄譲歩した内容だっただけに、首相の中に対韓国外交への不満が渦巻いて居たのかも知れ無い。



 (朝日新聞編集委員・牧野愛博)※AERA 2019年8月26日号より抜粋  以上


 





 【韓国関連報道】


 
 韓国で日本の果物が無断栽培  日韓「農業戦争」が勃発して居た


            〜現代ビジネス 8/20(火) 8:01配信〜


 




 日本のイチゴやブドウ等、果物の種苗の流出防止が喫緊の課題と為って居る。日本の高級果物は海外でも人気が高い為、韓国や中国等に持ち出され、現地で栽培されて東南アジアで販売されるケースが後を絶た無い。


     8-21-2.jpg

   昨年の平昌五輪で、韓国産イチゴを食べながら休憩するカーリング女子日本代表チーム


 日本品種が韓国品種を「食い散らかした」?

 「美味しーい、このイチゴ! 甘―い!」

 2018年に韓国・平昌で開かれた冬季オリンピックで、日本の女子カーリングチームの選手が「韓国産イチゴ」を休憩中に食べ、こう感想を漏らしたのを覚えて居る読者も多いだろう。このイチゴ、ルーツは日本産で、栃木県産の「とちおとめ」等が韓国で交配された品種だったと観られて居る。当時の斎藤健農林水産大臣も「以前に日本から流出した品種を基に韓国で交配されたものが主だ」と発言した。
 この問題を巡って、日本のメディアは挙(こぞ)って「国内品種の海外流出」と国民感情を煽る様な仕方で報じた。

 今年1月にも、韓国在住の日本人ユーチューバーが、日本品種のイチゴを交配して作られた「韓国産の巨大イチゴ」を紹介した処「日本向けにヤッテるならこの動画見て不快な思いする日本人がどれだけ居るか考えて欲しい」「幾ら何でも日韓の情勢に疎すぎる」と批判が殺到、動画が削除される事態に発展して居る。日韓の間で、イチゴがナショナリズムの対立の象徴として機能する流れは今後も続きそうだ。

 ではソモソモ、韓国への「イチゴの流出」は何時頃から始まって居たのか。農水省の資料によると、1990年代から被害に在ったのは、愛媛県産の「レッドパール」静岡県産の「章姫」栃木県産の「とちおとめ」の3品種。日本の個人業者や自治体が、一部の韓国の育成者に「個人栽培」を許可した処、現地で外部に流出し、無断で栽培される様に為った。更には、これ等のイチゴが日本に逆輸入されるケースも目立った。
 こうした経緯は韓国でどう捉えられて居るのだろうか。 同国の大手紙「ハンギョレ新聞」が積極的に取り上げて居るので、該当記事を紹介してみたい。

 2018年12月5日配信の「日本産を追い出した〈韓国産イチゴ〉・・・〈イチゴ韓流〉狙う」では、香港・シンガポール・タイ・マレーシア・ベトナム・インドネシアで韓国産品種のイチゴ輸出が増加して居り、僅か10年で日本品種のシェアをヒックリ返したと報じて居る。
 韓国農村振興庁に依ると、韓国産品種のイチゴ輸出量は、2013年の3116トンから2016年には4125トンに増加。普及率は2005年の9・2%から2009年には56・4%で半分を超えた後、95%程度迄到達して居る。
 この記事では「(韓国)国産品種イチゴの輸出増加は、日本品種が蚕食した国内イチゴ栽培農家に対し国産品種の普及を拡大した効果」だと書かれて居る。「蚕食」と云うのは「食い散らかした」と云う意味だ。


 




「日本に荒らされた市場を奪還」と云う筋書き

 2018年3月28日に別の大手紙「中央日報」から配信された「日本代表も惚れた、大韓民国『イチゴ独立』成功記」に依ると、 韓国産イチゴ品種が全国に普及したのは1994年で、忠清南道論山市(チュンチョンナムド・ノンサンシ)の農業研究機関「忠南農業技術院」の論山イチゴ試験場が重要な役割を果たしたと云う。
 この経緯に付いては、先のハンギョレ新聞が13年12月1日に配信した「イチゴ韓・日戦 章姫(アキヒメ)・レッドパールvs. 梅香・雪香…イチゴ畑10年戦争をご存知ですか」に詳しい。

 記事はキム・テイル試験場長ら研究員に対する取材を元に、日本のカーリング女子代表も食べた品種「雪香(ソルヒャン)」が開発された経緯などを明らかにしている。少々長くなるが引用しよう。

 ワールドカップ4強神話を成し遂げた2002年、国内イチゴ農家栽培面積の90%を占めていた絶対強者は日本導入種だった。 国内育成種はかろうじて1%水準だった。 果物がたくさん実る章姫(アキヒメ)、病気に強くて果肉が丈夫なことが強みだったレッドパール、二つとも1990年代中盤に日本から持ってきた品種だ。(中略)
 2005年韓国サッカーのパク・チソン選手に肩を並べる〈雪香〉品種が雪の花の様に光りながら登場した。 キム試験場長が1995年にイチゴ品種育成に飛び込んで10年後の事だった。
 章姫とレッドパールの交配で生まれた雪香は両方の長所を兼ね備えて、病虫害に強く果汁が多くてスッキリした味わいが天下一品だった。(中略)

 雪香は国内農家に普及した後、毎年日本導入種を10%以上押い出しながら栽培面積が急増した。 開発後3年経った2008年には、単一品種としては日本のレッドパールを抜いてイチゴ栽培面積基準で国内筆頭品種に上がり、今年は何と75.4%の占有率を見せて居る。(中略)
 事情がこう為ると日本での警戒と疑いも強かったと云う。〈韓国にイチゴ品種を作る能力が備わっているか」として(筆者注・韓国の独自開発品種の)梅香品種の研究資料を要求し遺伝子検査まで行った。
 『結局、自分達の品種では無い事が判り、何も言えませんでしたよ』品種研究で助力を得ようと日本に出張に行った時は、栽培温室前で門前払いに遭ったりもした。 韓国の人々が来れば温室を閉じる事に為って居ると云う話まで聞いた。 『私達の様な研究員が行けば日本側は温室の外側だけ見て行けと言われましたよ』
 
 この記事では「韓国のイチゴ市場は日本品種に独占されて居たが、日本から持ち込まれた品種を交配して作った『雪香』が市場を奪い返した」と云うストーリーが堂々と書かれて居る。
 記事は終始ナショナリスティックなトーンが強く、日本側がこの件を快く思って居ない事に付いて、後ろめたさは感じられ無い。ヤヤ乱暴に言えば「元の品種が日本産でも、交配させて『オリジナル品種』を作ってしまえば、文句を言われる筋合いは無い」とも読みとれる内容だ。

 シャインマスカットも流出

 イチゴだけ無く、日本の果物の不正な海外流出は高級ブドウにも及んで居る。問題と為って居るのが、2006年に品種登録された日本産の白ブドウ、シャインマスカットだ。シャインマスカットは、マスカットの香りと高い糖度を持ち、何より皮毎食べられるのが特徴だ。価格も手頃で人気を呼んで居る。
 このシャインマスカットの苗木が流出し、韓国、中国で栽培される様に為った。既に香港、タイの市場では中国産と韓国産が、マレーシア、ベトナムの市場では韓国産が販売されて居るのがそれぞれ確認されて居ると云う。或るJA職員はこう話す。

 「5年程前、中国・貴州に出張に行った時、明らかにシャインマスカットと思われるブドウが畑で成って居ました。その場ではキチンと確認しようが無かったのですが、貴州は中国内でも貧しい地方と言われています。そうした場所でも普通に栽培されて居ると云う事は、他の地域でも遣られていると観て間違い無い、とキモを冷やしたものです。
 農水省は、もし裁判をするなら費用は負担すると言って居ますが、日本の農家の意識が未だそこ迄達して居無いのが実情です」



 




 何故無断栽培を防げ無いのか

 何故日本は、イチゴやブドウの種苗流出を防げずに居るのだろうか? 権利保護が十分で無い和牛等の動物と違って、植物は知的財産保護の為の国際的な制度も確りと存在して居るにも関わらず。動物と違って、植物は親と子供の遺伝子が同じでも繁殖出来、親、子供、孫と繰り返し繁殖させても特徴が変化しない安定性がある。他の品種との区別も明確で、同じ品種であれば果実の甘さや大きさ等の特徴も一定に為る為、品種の特徴を公的機関に「権利」として登録出来ると云う訳だ。

 しかし、今回取り上げたイチゴやブドウのケースでは、日本の農家が海外での権利登録の必要性に気付かず、登録期間を過ぎてしまった為、無断栽培や販売の差し止めが難しく為った。これでは、韓国や中国で無断栽培されても文句は言え無い。
 日本の農業関係者の権利保護意識が低かった事に付いて「とちおとめ」を開発した栃木県選出の自民議員はこう明かす。

 「日本では基本的に、果物の品種開発を行うのは自治体です。今でこそ農産物の海外輸出は課題として認識される様に為りましたが、元々果物は傷み易い上、国内のマーケットでも十分に食べられて居た。国内での競争に汲々とする中で、海外に出て戦おうと云う意識が育つ筈もありません。
 増して、日本の農家は人が好い。それが裏目に出て、イチゴの種も韓国へ渡ってしまったと云う事です。『我が国にも美味しい果物を広めたい』と言われば、本当に善意で挙げてしまう。その結果がこれです。世界の厳しさ、コスッカラサを判って居なかった」


 農水省は16年度に要約、自治体などを対象に、輸出先の国毎に必要な品種登録手続きの国費負担を開始した。今年4月には、海外での無断栽培差し止め請求の費用補助にも乗り出し、少しずつではあるが動き始めている。更に農水省は、種苗法を改正し、持ち出しを実効性のある形で禁じる方向でも検討を進めており、来年の通常国会での成立を目指している。

 日本の農家はお人好し過ぎる

 農水省によると、韓国産イチゴの流出による損失額は、この5年間で220億円に上るという。では、品種改良で先行していた日本が、もし海外でのセールスをより早くかけていれば、この220億円の損失はなかったのだろうか? このことについて、自民党の農相経験者はこう話す。

 「大臣時代に、農水省職員に『イチゴをシンガポールに売り込め』と言ったら、『鮮度が持たない』と言われた。しかし、実際にシンガポールに行ってみると、韓国産のイチゴが置いてある。どういうことかと担当職員に聞いたら、『すぐに腐るのでコスパが悪い』と言う。こんな調子で兎に角消極的だった。
 どうしてそうなるかというと、農水省は自民党の農林族に睨まれ無い様にしながら、国内農家に上手く利権配分する制度を作る事が仕事だから。海外で販路を開拓するなんて眼中に無い。
 JAにしても、最近やっとイトーヨーカドーのOBを販売担当の幹部に引き抜いて、改革を始めた処だ。『モノが好いから売れる』と云う時代はトックに終わって居るのに、それに対応出来て居ない。『韓国にやられた』と憤るのは簡単だが、敗因を確り分析して対応しないと、同じ失敗を繰り返すだけだ」


 実際、新鮮なイチゴの海外でのニーズは高い。例えば、農業ベンチャーの「Oishii Farm(オイシイファーム)」は、アメリカで初めてイチゴの植物工場を作り、気温や湿度、光の量など全てが管理された工場で、毎日数百個のイチゴを収穫している。バイヤーからは、市場価格の2〜3倍を提示されて居るという。
 新鮮で高糖度の日本のイチゴを新鮮な状態で販売する事が出来れば、海外で一気にマーケットシェアを取れる可能性は高い。先の農相経験者はこう話す。

 「日本産の果物の需要は、海外でも間違い無くある。東京五輪で外国の選手にドンドン食べて貰って、現地で食べたいと云うニーズを開拓出来れば、販路は開拓出来るんじゃないか。
 事実、長野五輪の時にはタタミの海外ニーズが高まった。実感に裏付けられた口コミが強いのは、外国でも同じだ。トランプ大統領だって、米国内に植物工場ができて雇用創出される分には歓迎するはず。積極的に働きかけるべきだ」


 日本は「お人好し」を辞めない限り、今後も同様の事態に見舞われるだろう。筆者も以前「WTO判決『必死の韓国』に敗北した、日本の絶望的な外交力」で報じたように、いま韓国は国際社会でのロビー活動を強化しているためだ。前述したハンギョレ新聞の記事で、論山イチゴ試験場長のキム・テイル氏はこう話している。

 「未だ国内外で雪香を凌駕する品種は無いが、時間が過ぎれば幾らでも出て来ます。 そう為れば一発で国内イチゴ市場が崩れかねません。多様な経路で色々な品種を作り、競争力を備え無ければ為りません」

 韓国のこの貪欲さが、WTOでの勝訴にも繋がった事は間違い無い。日本が韓国から逆に「流出させる」べきものがあるとすれば、この強(したた)かさなのだろう。


         松岡 久蔵    以上 


 



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2019年08月20日

日露戦争の勝利 日本と世界をどう変えたか




 日露戦争の勝利 日本と世界をどう変えたか


         〜PHP Online 衆知(歴史街道)8/20(火) 12:12配信〜


 〜令和元年(2019)の今年は、日清戦争の開戦から125年、日露戦争の開戦から115年にあたる。日清・日露戦争に於ける日本の勝利は、世界史の視点から見ると如何(いか)なる意味があったのだろうか。今回は日露開戦からその勝利の意味迄を、人気世界史講師・茂木誠氏が解説する〜


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         茂木誠 駿台予備学校 世界史科講師 PROFILE 

 東京都出身。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で大学入試世界史を担当。iPadを駆使した独自の視覚的授業が好評を得ている。 世界史の受験参考書の他に一般向け著書として、『世界史とつなげて学べ 超日本史』 『経済は世界史から学べ!』『世界史で学べ! 地政学』『日本人が知るべき 東アジアの地政学 』『「戦争と平和」の日本史』等。



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 日本・イギリス・ユダヤ人、絡み合う三者の思惑

 1904年、日本の旅順港攻撃を皮切りに、日露戦争が始まりました。開戦前、日本はロシアに対し、朝鮮を二分しようと云う妥協案を示し戦争回避に努めます。しかしロシアは応じません。何故なら、こんな小さな島国に負ける訳が無い、戦争で全て奪えると確信して居たからです。処が、結果は周知の通り日本が勝利を収めました。この大番狂わせには、様々な要因が重なり合って居ます。

 一つは、ロシア国内で革命が起きて居た事です。ロシアは貧富の差が激しく、その情報を掴んだ日本陸軍は、明石元二郎を派遣して革命派や少数民族を支援して居ます。もう一つは軍事費の調達です。日本は巨額の軍事費を賄う為国債を発行し、それを外国の富裕層に買って貰おうとします。
 処が、時の日銀副総裁・高橋是清がニューヨークとロンドンに行って国債を売ろうとしても、全く相手にされません。日本が負けたら紙クズに為るからです。

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                ジェイコブ・シフ氏

 この日本国債を買って呉れる人が現われました。ジェイコブ・シフと云うユダヤ人で、有名な財閥ロスチャイルド家の代理人です。ロスチャイルド家も又ユダヤ系です。
 ロシアに於けるユダヤ人迫害は凄まじいものでした。ユダヤ人に取ってロシアは敵で、だからユダヤ系財閥が日本をバックアップしたのです。ロスチャイルド財閥は又、イギリス政府のスポンサーでもありました。
 こうして見ると、勝利の背景にある構図が浮かび上がります。独立を守ろうと云う強い意志を持つ日本、アジアでの利権を守ろうとするイギリス、ロシアを憎むユダヤ人・・・この三者の思惑が上手く絡み合う事で、日本はロシアに勝つ事が出来たのです。

 その勝利によってアジア諸国は目覚めた

 日露戦争に勝利した事は、日本の歴史に取って如何なる意味があったのでしょうか。先ず、日本の国際的地位の向上です。日本はロシアに勝つ事で、欧米列強から初めて列強の一つと認められました。その証が、不平等条約・領事裁判権の撤廃です。

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 ヨーロッパでは、文明国同士で無ければ国際法は適用され無いとされました。イギリスは、オスマン帝国やインドに日本は「非文明国」だから国際法は適用し無いとして居ましたが、日露戦争後、日本を「文明国」として認めたのです。要は力の論理なのです。
 日英同盟はその後も続き、第一次世界大戦では、日本はイギリスに協力して海軍を地中海に派遣し、それに依って、終戦後に作られた国際連盟の五大国の一つとも為って居ます。もう一つは、日本の産業革命が本格化した事です。

 満洲の権益を得た日本は、そこで採れる鉄鉱石や石炭を博多へ輸送し、八幡製鉄所を中心とする重工業を更に発展させて行きました。最も、好い面ばかりではありません。日露戦争では、満洲で多くの将兵が亡く為りました。その為「同胞の血に依って購われた地だから」と、満洲の権益を守ろうとした事が、日中戦争・大東亜戦争へと繋がって行きました。
 又、日露戦争に勝利した事から、その時の戦法が陸軍大学校で手本とされ、大東亜戦争の時にも無理な白兵突撃が行なわれる等、多くの犠牲を出す事と為りました。更に言えば、1910年の韓国併合も、今日に影響を及ぼして居ます。
 ロシア革命が起き、ロシアの南下が止まった時点で、朝鮮半島は防波堤である必要が無く為りました。併合する必要が無いのに併合してしまった。半島に莫大な投資をしたにも関わらず、恨みだけが残ってしまう事に為ります。


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 勝てる筈の無い日露戦争で勝利を得た事で、日本は物事を合理的に判断出来無く為ったと言えるかも知れません。

 只、広い視野で見ると、アジア諸国に取っては近代化の目覚めとも為りました。例えば、オスマン帝国は日本よりも先にミドハト憲法を制定した国ですが、皇帝がロシアとの戦争を口実に憲法を停止し専制政治に戻してしまいました。処が、遅れて立憲体制を整えた日本がロシアに勝利した。
 そこで日露戦争終結後、日本をモデルにもう一度憲法をと云う運動(青年トルコ革命)が起こり、ミドハト憲法が復活しました。

 イランでも、憲法制定を求める運動(立憲革命)が起こりますが、これも日露戦争の影響です。その上、日本の歴史をキチンと学ぼうと日本ブームが起こりました。古代イラン王達の事績をまとめた、イラン版古事記とも言える『シャー・ナーメ』になぞらえ、明治天皇を称える『ミカド・ナーメ』と云う作品が出来た程です。
 イギリスの植民地だったインドでは、国民会議派による反英運動が始まります。ベトナムでもフランスの植民地支配に抵抗し、日本に留学生を送り出すドンズー運動も盛んに為りました。

 日露戦争は、プラス面だけで無くマイナス面もあり、全てを是として受け入れる事は難しいでしょう。しかし、近代日本が世界へ進出して行くターニングポイントと為り、アジア諸国の近代化を促した事は間違い無いのです。


 ※本稿は、歴史街道2019年7月号特集『日清・日露戦争 名将の決断』より一部を抜粋・編集したものです。

 茂木誠(駿台予備学校 世界史科講師) 以上



【関連報道】



 第二次世界大戦の始まりと終わり 日本とロシアの意識はこんなにも違う


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        服部 倫卓氏 (はっとり みちたか)し プロフィール

 生誕 1964年9月19日(54歳) 静岡県  出身校 東京外国語大学 青山学院大学大学院 北海道大学大学院 職業 国際研究家・ジャーナリスト  旧ソ連地域研究者・ジャーナリスト 現在、一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所副所長を務める。


            〜GLOBE+ 8/20(火) 12:03配信〜


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 モスクワ・クレムリンの傍らで灯り続ける「永遠の炎」「1941〜1945年に祖国の為に散った者達へ」とある。(撮影:服部倫卓)


 ご都合主義の歴史観

 日本人に取って、終戦記念日が巡って来る毎年この時期は、太平洋戦争の事を改めて考える機会と為って居ます。他方、今年は第二次大戦が勃発してから80年目の節目と云う事で、世界的にもそれを回顧する様々な動きがある様です。 

 それにしても、第二次大戦に付いてのロシアの言い分を聞いていると「何と云うご都合主義的な歴史観か」と呆れてしまいます。彼等に取って、第二次大戦とは、1941年6月22日に始まる独ソ戦にホボ尽きると言って好いと思います。
 彼等が「大祖国戦争」と呼んで居るこの戦争で、ソ連の赤軍がナチス・ドイツを打倒し、世界を魔の手から救った。その物語がホボ全てです。


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 歴史の真実の流れは

 時計の針を巻き戻せば、1939年9月1日にナチス・ドイツがポーランドに侵攻して第二次大戦の火蓋が切って落とされた直後、ソ連も独ソ不可侵条約の秘密議定書に基づきポーランド東部を占領しました。エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国に付いても占領を強行。更に、フィンランドに対しても戦争を仕掛けて居ます。
 この様に、ソ連は最初から第二次大戦に深く関与し、ナチス・ドイツとの合意の下に版図を拡大したのです。にも関わらず、ロシアは今日に至る迄それ等が国際ルールに則った通常の外交・軍事行動であったかの様な立場を執り、飽く迄も1941年6月以降のナチス・ドイツと云う絶対悪との対決にフォーカスしようとします。 (冒頭に写真を掲げた「永遠の炎」も、1941年以降の戦没者に捧げられて居る)

 尚、ポーランドは今年、第二次大戦の開戦から80年を記念する式典を予定して居ますが、その行事にプーチン・ロシア大統領を招か無い事を決めました。メルケル・ドイツ首相は招待されて居るそうなので、侵略の歴史よりも、今日の政治関係を重視した判断でしょう。
 これに付いてロシアの大統領報道官は「大祖国戦争と第二次大戦を記念する式典に、ロシアの参加が無いとしたら、世界のどんな国に於いても、それは不完全なものと為るだろう」とコメントして居ます。

 独ソ戦の事を考えるに着け、筆者の様な皮肉屋の外国人は「イッソの事、ナチス・ドイツと、スターリン体制と云う2つの『悪』が差し違えて、両方共倒れれば好かったのに。その方がソ連・ロシア国民にトッテモ幸福だったのでは?」等と、余計な事を言いたく為ります。
 しかし、過つてのソ連や今のロシアの人達に、その様な発想は微塵もありません。(そもそもスターリンが悪だとは余り考えられて居ない)彼等に取って大祖国戦争とは、文字通り自分達の生存を懸けた戦いだったのです。

 尚、ソ連・ロシアの歴史観のご都合主義に付いて指摘しましたが、我々日本人も、もしかしたら同じ様な偏りを抱えて居るかも知れません。1941年12月8日に開戦した太平洋戦争の経験が重視されるのに比べ、それに先立って1937年から続いて居た日中戦争に付いては充分な問題意識を持って居ない傾向がある様な気がします。

 決定的に異なる日本とロシアの終戦の風景

 日本もロシアも、第二次大戦の帰結がその後の歩みを決定付けたと云う点では同じです。しかし、敗戦国の日本と、戦勝国のソ連・ロシアでは、その方向性が全く異なります。
 日本人の心に刻まれて居る終戦の風景は、8月15日に焼け野原の中で、皆が打ち拉(ひし)がれ乍ら玉音放送を聴くと云うものでしょう。戦後世代も、テレビ等でその風景を繰り返し見る事に依って、それが原点と為って居ます。多くの日本人が、平和の誓いを新たにするイメージでしょう。

 一方、ソ連では、1945年5月9日にナチス・ドイツに対する戦勝が伝えられると、皆が自発的に表に繰り出しお祭り騒ぎと為りました。祝砲が鳴り響く中、人々は誰彼と無く抱き合い、涙を流しては勝利を喜び合ったのです。ヨーロッパ戦線が終結したとは言え、この後対日戦争が続く事に為るのですが、ソ連の人々に取っては、5月9日を以て実質的に第二次大戦が終わったと云う感覚でしょう。

 ソ連の欧州領土の広大な領域は、日本と同じ様に焼け野原に為って居ました。しかし、苦しい戦争を最終的に勝利で終えたソ連の場合には「これからも、より強くあろう」と云う決意に漲(みなぎ)って居ました。と同時に「これだけの甚大な損害を負いながらナチス・ドイツを倒した我が国は、戦後世界に於いて特別の地位を認められるべきだ」と云う特権意識が生じます。
 今日の日露交渉で、先方が何かと「第二次大戦の結果を認めよ」と言って来る背景にも、その意識があります。

 サテ、当時の最高指導者スターリンは、国民が対独戦勝に沸いたこの5月9日を国の祝日に指定しました。1948年から1964年に掛けて、祝日では無い単なる記念日に格下げされて居た時期もありましたが、戦勝20周年を記念して1965年に祝日として復活、今日のロシアでも一年で最も重要な祝日と為って居ます。

 実は、ドイツによる降伏文書の調印には一寸した経緯があり、その受け止め方の違いから、欧米諸国は5月8日を対独戦勝記念日にして居ます。ロシアでも「諸外国と同じ様に、5月8日を戦勝記念日にした方が好いのではないか」と云う議論が時折聞かれます。
 しかし、1945年5月9日に、人々が歓喜の余り表に飛び出して、心から喜びを分かち合った事が、この祝日の原点です。もう何十年もその日付で祝われて来た訳ですし、今更それが変更に為る事は先ず無いでしょう。

 戦争は8月15日で終わった訳では無い

 1945年5月にナチス・ドイツが降伏した事で、ソ連では国民は終戦ムードに浸り、指導部も戦後の秩序へと関心を移しました。しかし、ソ連の戦争は未だ終わった訳では無く、寧ろアジアでは将にこれからでした。ソ連はヤルタ会談での合意に基づき、8月8日に対日宣戦布告し、翌9日にソ連軍は対日攻勢作戦を発動しました。

 既に述べた通り、日本人に取っては、8月15日の玉音放送が、戦争の終わりを告げるものでした。翌16日に大本営は全軍隊に対して戦闘行為を停止する様命令し、これにより太平洋戦争の戦火は基本的には収まりました。第二次大戦が正式に終結するのは、日本が対連合国降伏文書への調印を行った1945年9月2日でしたが、日本は既に白旗を挙げて居たのです。

 しかし、遅れて対日戦に参戦したソ連は、日本のポツダム宣言受諾後も、満州・朝鮮半島北部・南樺太・千島列島への進撃を続け、日本軍も自衛的に応戦せざるを得ませんでした。ソ連軍による作戦は9月2日の降伏文書調印後も続けられ、ソ連軍が一方的な戦闘攻撃を要約停止したのは9月5日の事でした。
 戦後、日本では常にソ連が嫌いな国ナンバーワンでしたが、共産主義イデオロギーに加えて、第二次大戦終結時の火事場泥棒の様な振る舞いが、ソ連への憎悪に繋がって居た事は疑いありません。

 世界的には、降伏文書調印の9月2日が対日戦勝記念日に為って居ます。処が、対独戦勝記念日のケースと同じ様に、ここでもソ連・ロシアは1日ズレて居て、9月3日が対日戦勝記念日として祝われる時代が長く続きました。
 新生ロシアの時代に為っても、当初それは変わりませんでしたが、2010年7月に9月2日を「第二次世界大戦終結の日」とする法案が成立し、それに吸収される形で9月3日の対日戦勝記念日は無く為りました。

 退役軍人やサハリン州住民の間には、9月3日の対日戦勝記念日が無く為ってしまった事に不満な人々も居り、彼等は復活運動を試みています。しかし、プーチン政権は、日本との関係に配慮してか、今の処応じる姿勢は見せて居ません。


          服部倫卓   以上





2019年08月19日

北朝鮮が迎撃出来無いミサイルを発射!?


 


 北朝鮮が迎撃出来無いミサイルを発射!?

 元自衛艦隊司令官アメリカの技術が使われて居ると疑わざるを得無いものも」


          〜AbemaTIMES 8/18(日) 10:04配信〜




 この3週間余りで6回に達して居る北朝鮮による飛翔体・ミサイルの発射。韓国との問題ばかりが報じられて居るが、実は日本の軍事力では迎撃が難しいタイプのミサイルが発射された可能性が浮上して居ると云う。


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               元自衛艦隊司令官 香田洋二氏


 




 日米に新たな脅威、アメリカの技術も?

 16日放送のAbemaTV『AbamaPrime』に出演した、対空ミサイルに詳しい元自衛艦隊司令官の香田洋二氏(元海上自衛隊海将)は、

 「規模を縮小したとは言え、米韓合同軍事演習を止めて居ない事に北朝鮮が不快感を抱いて居る事は事実だ。大物、長槍だけでは無く、大刀、小刀もあるんだぞと云う事を新たに見せたと言えると思う。
 燃料に付いては瀬取り、部品に付いてはヨーロッパの国交の有る国が非合法で、或は太平洋の小さな国を利用して第三国との迂回貿易等で既製品を入手して居るとの見方もある。アメリカに力を見せる為の最低限のものは確保出来て居ると云う事だろう。矢張り国連の制裁が100%効いて居るとは言え無いし、輸出管理も万全では無い」
と話す。

 「先月以降、北朝鮮は異なる3つのタイプを発射して居ると私は見て居て、7月25日と今月6日に撃ったものに付いてはロシアのイスカンデルと云う短距離ミサイルをコピーしたものではないかと言われて居る。射程は比較的長く500kmとされて居て、韓国は690kmと云う数字を公表して居るが、実際には750km位で、日本に届く可能性もある。
 又、今迄の戦術的なミサイルは空気の有る所を舵とジェットエンジンを使って飛んで来るものか、野球で言えばセンターフライの様なイメージで飛んで来る弾道弾だったが、イスカンデルはマウンドの上位で水平飛行に入り、大気圏内を飛びそうだ、と云う処でフェイントを掛けて飛んで来る。詰まり、日米の弾道弾防衛の裏を描いて飛んで来るので、迎撃の命中率は下がって来るだろう。
 北朝鮮はそれを実配備しようとして居る。更にこの技術を弾道弾に応用され、射程が2000km〜3000kmと為れば、更に新たな問題が出て来る」


 「10日に撃たれたものは、ヒョットしたらアメリカの技術が使われて居るのではないかと疑わざるを得ないミサイルで、私も一瞬ギョッとした」と明かす。

 「発射台を含め、アメリカ陸軍のATACMS(エイタクムス)に似て居る。外形が似て居ると云う事は中身も相当似て居る可能性がある。入手経路は分から無いが、アメリカ本土からサイバーで情報を取って来るか、或はスパイで同じものを持って居る韓国等から情報を取った可能性を否定しては為ら無いと思う。
 私は7割方〈ヤッタな〉と思って居る。何れにせよ、アメリカ陸軍が導入したのが1990年代なので、軍事装備としては非常に新しいものに入る。そう云うものを見せる事での情報戦・心理戦を仕掛けて居ると言えると思う」



 




 「安倍総理とトランプ大統領の発言にも問題がある」
 
 一連の発射に付いて、岩屋毅防衛大臣は「アラユル空からの驚異に対応出来る総合ミサイル防衛体制を確りと整えて行きたいと云う風に考えて居る」と述べて居る。新たな脅威に為り兼ね無いイスカンデル型ミサイルへの対抗手段に付いて、香田氏は、

 「弾道弾防衛体制を取って居るのは世界で日米、そしてイスラエルだけで、高い軌道を飛んで来るものに対してはイージス・アショア又はイージス艦で撃ち落とす。そして撃ち漏らしたものをPAC3で撃ち落とすと云う事を日本は考えて居た。
 イージス艦の発射台には90発の弾を詰める事が出来、1割程度が弾道ミサイルで残りの9割は大気圏を飛ぶミサイルを落とす能力を持って居る。又、PAC3は最終段階で迎撃出来るので、行き成り迎撃能力がゼロに為ると云う論議は乱暴だ。仮に北朝鮮が新たな弾道のものを撃って来ると為ると、命中率は相当低く為るとは思うが、現状の体制を取りながら、北朝鮮の将来の技術開発に対抗して行くべきだ」
と説明する。  

 「イスカンデルの様なものが出て来る事は予想されて居たので、アメリカでは開発が終わって配備が始まって居る。日本でも中期防衛力整備計画でSM6と云う新しいミサイルを海上自衛隊の艦艇に配備する予定だ。
 只、日本は計画が5年は変わら無いので、どうフレキシブルに遣って行くかと云う政策的な問題がある。一番高いもので一発あたり数十億するが、東京に飛んで来る核を撃ち漏らす可能性があると云う事を国のリーダーは考える必要があるし、優先順位と時期を決めるのが政治家の責任だ。
 又、配備地の問題が解決されていないイージス・アショアに付いても、予算を削減する為に攻撃に備えた能力を落としてしまった。北朝鮮がソコまで見て居たのかは分から無いが、元々は大気圏内で撃ち落とす能力を持って居たので、これを戻すと云った事も考えるべきだろう」


 その上で安倍総理の 「我が国の安全保障に影響を与える様なものでは無い事は確認されて居る」トランプ大統領の「アレは短距離ミサイルだ。他の国も発射して居るだろう」と云う発言に対しては、次の様に指摘した。

 「安倍総理は、日本には直接飛んで来ないと云う意味で〈直接的な脅威は無い〉と云う言い方をされたのだろうが、時間は動いて居る。北朝鮮が技術を中距離ミサイルに応用する事、韓国が非常に不安定に為ると云う事を踏まえれば、将来の我が国の安全保障に影響する事に為る。
 矢張り国民に対して〈常に枕を高くして寝られる状態では無い〉と云う様な言い方をした方が良かった。トランプ大統領も〈俺とアイツの、ICBMを遣ら無いと云う約束は違えて居ない〉と云う意味で発言したのだろうが、韓国には2万8000人のアメリカ軍、家族を入れれば5万人が居て、一時訪問も含めれば50万人のアメリカ人が居る。北朝鮮が今回撃ったものは全て韓国が第一次目標に為るし、対抗が難しいものが出て来たと云う事に付いては、合衆国の国軍司令官として明確に不安だと言うべきだった」



 




 米韓合同軍事演習とトランプ発言で「発射する口実が出来た」

 日本大学准教授の川口智彦氏は>「北朝鮮の労働新聞が〈新型の戦術誘導兵器システムの信頼性と安全性、実戦能力が疑いの余地無く検証された。今回の実験は大成功したので実戦配備に向けて進めて行く〉と報じて居る。金委員長が立って居るのは移動式の指揮所だと思うが、この中にはノートパソコン・タブレット等が置かれて居る。
 北朝鮮のミサイル技術には民生技術が可なり転用されて高まって居るので作り易く為って居ると思う。韓国の防衛関係の人の話を聞いて居ても、新しいコースで侵入して来るミサイルに付いては対応が非常に難しく〈1発位なら何とか為るが、数発打ち込まれたらお手上げだ〉と云う事だった。まさに中距離ミサイルにこのシステムが導入されれば、日本に取って大きな脅威に為る」
と話す。

 「2018年に入ってから米朝関係、南北関係もあって発射を自粛して居たが、その間も技術開発は続けて居た。誘導技術の部分を相当開発して居て発射し無かった。今回、米韓合同軍事演習が行われ、トランプ大統領が小さいミサイルだから気にしないと言って呉れたお蔭で発射する口実も出来、短期間に出来るだけ多くの数・種類のミサイルを発射して一気に実験してしまおうと云う事だと思う。
 又、12月を過ぎるとトランプ大統領は本格的な大統領選挙に入るので、北朝鮮外交の成果を上げる為には金委員長とも対話をしないといけ無い。全てのミサイルがダメだと言ってしまったら、核、ICBMの除去に至ら無く為るので、政治的に寛容に遣って居るのだと思う。在韓米軍の問題もあるが、先ずはアメリカ本土がターゲットに為ら無い事が大切なので、そこを重視して居ると思う」
と分析した。


                  以上


 



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2019年08月18日

山口組に存在した在日コリアン差別 「殺しの柳川」も怒り




  





 山口組に存在した在日コリアン差別 「殺しの柳川」も怒り


         
           〜NEWS ポストセブン 8/18(日) 16:00配信〜


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       ソウルの国立墓地を訪ねた柳川次郎(出典:日韓親善友愛10年小史)


 「ヤクザもんの社会は差別が無い。終戦直後のアノ時代でも人間同士の付き合いがある。そう云う処があったから飛び込んだ訳ですよ」

 〜これは山口組キッての武闘派・柳川組を率いて、最強の在日ヤクザとして恐れられた柳川次郎(本名ヤン・ウォンソク1991年没)の言葉である。ヤクザには差別が無い・・・本当にそうだったのか。ジャーナリスト竹中明洋氏が綴る〜


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             最強ヤクザ・柳川次郎の立ち姿

 
 戦後ヤクザ史に残る抗争の一つに明友会事件と云うものがある。1960年、未だ神戸を拠点とする一勢力だった山口組が、大阪の新興勢力で在日コリアンを中心とした愚連隊・明友会を殲滅した事件である。切っ掛けはこんな具合である。

 「よう、バタヤンやないか。一曲歌って呉れんかいな!」

 ミナミのクラブ「青い城」で山口組三代目の田岡一雄が歌手の「バタヤン」こと田端義夫等と会食して居た処、同じ店に居た明友会の幹部等が田端に歌う様強要した。それを制止した田岡の側近等と乱闘に発展してしまう。田岡のメンツを潰された山口組は明友会への報復に乗り出した・・・
 この明友会潰しには、山口組傘下の各組が大量に投入されたが、中でも尖兵として最前線で戦う様命じられたのが、傘下に入ったばかりの柳川組だった。共に在日を中心とする明友会と柳川組の戦いは同士討ちと言っても好い。柳川組の攻勢は凄まじく、3週間もし無い内に明友会会長と幹部15人が指を詰めて全面降伏した。


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 大阪府警は、殺人や殺人未遂で山口組側の56人を検挙したが、この内半分近い24人が柳川組の組員だった。この功績に依って若頭・地道の舎弟から田岡の直参に昇格した。「殺しの柳川」の異名は日本中に轟く様に為る。しかし、朝鮮半島をルーツとする同胞同士の争いは、在日社会では極めて評判が悪かった。柳川の側近の一人は、当時の柳川の心境をこう慮る。

 「アノ事件の時は会長も苦しかったと思いますよ。同じ民族同士、ナンで戦わんと為らんのか云う思いと、本家の意向にも逆らえんと云う思い。アノ人は、そう云う心境を余り表に出さん人ですけども、相当に悩んだ筈ですワ」

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                    竹中と山本


 

 この時の後悔は、終生、柳川に纏(まと)わり着いた。それから24年程経て勃発したのが山口組最大の内紛「山一抗争」だ。竹中正久の四代目組長就任に伴い、それに反対する組長代行の山本広等が山口組を脱退して一和会を結成。両派が血で血を洗う抗争を展開した。
 既に柳川組を解散し堅気と為って居た柳川は、柳川組の流れを汲む組を中心にこの抗争に関わら無い様説いて回ったと云う。何故その様な振る舞いをしたのか。元秘書によれば、背景には明友会事件があると云う。

 「明友会云うのは、早い話が大阪の朝鮮人の愚連隊です。ここをどうヤッテ叩くかと云う時に、田岡三代目の姐さんが『朝鮮人同士で闘わせたら好い』言うて柳川組に遣らせたと云う話が柳川さんの元に迄伝わって来とったのです。
 柳川さんは姐さんに対する不満をヨウ言うてました。竹中さんの四代目継承を姐さんが強く推した事が跡目争いの背景に在ったと聞き、柳川さんはこの抗争に我慢為ら無かったのでは無いかと思います」


 柳川は、同胞同士で殺し合いをさせられた事への悔しさを忘れる事が無かった。朝鮮半島をルーツに持つ柳川は、過つてヤクザに為った理由を問われ「ヤクザの世界には差別が無い」と語って居た。だが、その世界にも歴然とした差別が在った事は柳川を知った。そして、自らヤクザだった事への悔悟の念は、時と共に強く為って行った。



  『殺しの柳川』(小学館)を再構成。同書刊行イベント「最強の武闘派ヤクザ・柳川次郎とは何者か」(竹中明洋氏×山根明氏対談)が8月23日にジュンク堂書店大阪本店にて行われます。 (詳細→https://honto.jp/store/news/detail_041000036076.html?shgcd=HB300



 



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完全独立とは 遠い「公共放送」 NHKは既に役割を終えて居る



 
 完全独立とは程遠い「公共放送」 NHKは既に役割を終えて居る



     〜『NEWSポストセブン』渡邉哲也 経済評論家〜







 NHKの籾井勝人会長等執行部が2016年11月8日に行われた経営委員会で、50円程度の値下げを提案したが、これが却下され、提案した籾井会長は経営委員会で信任が得られず会長職を解かれ、経営委員会のメンバーである上田良一氏が新会長に選任された。これはNHK内での政治の結果と言えるものだが、この専任には大きな問題も内在して居る。

 先ず、何故籾井会長が50円の値下げを提案したのか考えてみたい。実は、NHKは現在の受信料でも、年間400億円以上の余剰金が出て居た訳である。これを平成11年から渋谷放送センターの建て替え費用として積み立て余剰金を見え無い形にして居たのであった。
 既にこの積立金は15年度末現在で約1627億円に為って居り、積み立てが終わる来年度以降はこれが余剰金として表面化する事に為って居た訳である。籾井会長はこれを利用者に還元すべきとし、値下げを主張した訳なのだ。

 そして、今回、経営委員会は将来のスーパーハイビジョン投資(4K・8K)等の為に温存すべきとこれを否定した構図に為って居る。この判断は一般的な民間企業であれば決して間違った判断とは言え無いものである。将来の投資計画に合わせ内部留保を行う事はステークホルダーである株主や従業員、取引先に対しても誠実な対応であるといえる。
 しかしNHKの場合、一般的な民間企業と違う訳である。NHKは非営利を前提に放送法により受信料収益を保証された団体であり、民間企業と違い競争に晒されていないのである。又、経営委員は執行部を監視する為の組織であり、監視組織から経営者である会長を選ぶと云うのは明確な利益相反(COI)に該当すると考えられる訳だ。

 又、余剰金に関しても、それが適切な額であるか疑念が生じる部分もある。何故ならば、NHKの職員の平均給与は1150万円程度(2015年)であり、手厚い福利厚生費等を含めると1700万円を大きく超える水準にあるのだ。
 又、番組制作費も民放の2倍程度であり、この部分に膨大な数のNHK職員やOBが関係する関連会社が寄生して居るのである。本来、経営委員は、経営を監視し関係会社との関係を見直しコストをカットし、無駄を省くのが主たる仕事で無くてはいけない訳だが、これが機能して居るとは思え無い状況なのである。

 NHKの予算は国会の承認案件に為っており、予算の適正化を求めるのが国会の役割である訳だが、これも適正に機能して居ない状態にある。何故ならば、政治家はスキャンダルなどメディアを恐れる傾向にあり、メディアに手を付ける事を嫌うのである。
 また、監督官庁である総務省も、直接的な天下りは無いが関連団体等を天下りに利用して居る訳である。だから、監視部分の機能不全が起きて居るのである。

 では、NHKが本当に必要なのか考えてみたい。NHKは国営放送では無く、直接的な国家の支配を受け無い公共放送と云う事に為って居る。何故、公共放送が必要かと言えば、民放の場合、スポンサーや関連企業等の影響を受け易い構造に在り、国家からも企業からも独立した存在を担保する為である。
 又、営利を目的とした民放だけでは、人口が少ない地域で難視聴地域や視聴出来無い地域が生まれる為でもあった。そして、これがNHKの報道以外の娯楽放送が認められて来た要因でもある。

 しかし、現在、これは既に破綻して居り、NHKは歴史的役割を終えて居るとも言える。何故ならば、NHKは紅白歌合戦がその典型であるが大手広告代理店や芸能事務所と密接な関係にあり、完全な独立構造には無い。逆に独立させれば番組を作れ無い構造にあると言えるのだ。
 又、難視聴地域対策と云う側面でも衛星放送とインターネットの普及で不要な存在に為ってしまって居るのである。詰まり、既にNHKは公共放送としての役割を終えて居ると言える訳である。更に、B-CASにより、スカパーの様なペーパービューでの課金が可能であり、受信機を持って居るからと云う理由で課金する今の仕組みは時代遅れである訳だ。見たい人だけがお金を払い見れば好く、それは既に可能なのである。

 公共放送の役割が問題に為って居るのは何も日本だけの話では無い。英国でもBBCの存在が大きな問題に為り存続を巡り政治的案件に為った。英国ではBBCの存続を5年に1度の国民投票で決めるものとし、不要の意見が上回った場合、民営化や解体をするとした訳である。
 又、BBCに対する意見を政府が公募し、政府がそれを公表すると共に意見を反映させるものとした訳である。

 これにより、大規模な賃金カットとリストラが行われ、一部事業のロンドンからの移動も行われた。NHKでも、建前上、全国で「視聴者の皆様と語る会」を開催し、経営委員と視聴者が直接語る機会を設けて居るが、この存在を知る人は僅かであり、それが機能して居る様に思え無いのが実態である。
 だからこそ、今の存在が許されて居ると言えるのだろう。日本でも大規模な改革と国民の声を問う必要があるのでは無いだろうか。


 





 NHK会長続投に有識者らがNO 「一般企業ならとっくにクビ」


         〜『NEWSポストセブン』 2016年11月3日〜



 〜受信料の値下げを匂わせたり、年内一杯で解散するSMAPに紅白出場の熱烈ラブコールを送ったりと、近頃何かと人気取りの政策を口にするNHKの籾井勝人会長(73)。だが、籾井氏が今一番欲しいのは、人気よりも「任期」なのかもしれない〜


 籾井氏と言えば、2014年の会長就任直後から数々の言動が物議を醸して来たのは周知の事実。局内の人事を掌握する目的だったのか、理事全員に日付の無い辞表を書かせて“モミジョンイル”と揶揄されたかと思えば、政府与党ベッタリの偏向報道姿勢を堂々と公言し、多くの批判も買って来た。

 上智大学教授の田島泰彦氏が憤る「NHKは公共放送と言えども、報道機関である以上“不偏不党”を貫き、いかなる政治権力にも縛られずに独自の情報を視聴者に届けるのが基本の『き』です。にも関わらず、籾井氏は自ら〈政府が右と云う事を左とは言え無い〉と公言し、慰安婦問題や原発報道でも政府の方針や発表が出るまではNHKのスタンスは決まら無いとの暴言を繰り返して来ました。公平中立が生命線である報道機関のトップとして全く相応しく無い資質の持ち主なのです」

 10月31日、そんな公共放送らしからぬNHKの体質改善を求めるべく、田島氏を初めとした学識者やジャーナリスト、児童文学作家、噺家等17名が呼び掛け人と為り、籾井体制にNOを突き着ける要望書をNHKの経営委員会に提出した。賛同者は早くも100名を超えて居ると云う。
 何故、この時期に要望書を出したのか。それは籾井氏の1期3年に及ぶ会長任期が来年1月24日に迫り、次期会長選びが本格化して居る為だ。しかし、何と「続投」の可能性も残されて居ると云う。

 「籾井氏は10月の定例会見で続投への意欲を問われ、〈普通の人は『ヤリますか?』と言われたら『ヤル』と言うんじゃないですか?〉と答えて居た。飽く迄も自分の話では無いと断って居たが、満更でも無い様子だった」(全国紙記者)

 前述の要望書の呼び掛け人に名を連ねて居る立教大学名誉教授の服部孝章氏も、こんな見立てをする。
「NHKの会長人事は、政府の息の掛かった有識者で構成する経営委員会のメンバーが選任する事に為って居ますが、その委員長を務めて居るのは3年前に籾井氏を強く推薦した石原進氏(JR九州相談役)です。
 これまで籾井氏が度重なる暴言や失言、最近では私的ゴルフにNHKからハイヤー代が支払われていた問題が発覚したにも関わらず辞任に追い込まれ無かったのは、石原氏を初め経営委員会が独立した最高意思決定機関として機能して居ないことの表れです。普通の会社ならトックにクビに為って居ますよ」


 服部氏はNHK会長の人選や選考方法が極めて不透明で“密室”で行われて居る事も問題視して居り、要望書の中では〈視聴者・市民の意思を広く反映させる様、会長候補の推薦・公募制を採用し、その為の受付窓口を経営委員会内に設置すること〉を求めている。
 前出の田島氏はこんな指摘をする「NHKは視聴者をパートナーだと言っていますし、現にNHKの経営を支えて居るのは受信料を払って居る視聴者です。そんな市民の声や協調関係を無視した経営をこれ以上続ければ、公共放送そのものに対する批判も益々高まって行くでしょう。
 勿論公共放送の役割には大事な点もありますが、それが全てNHKで無ければ果たせ無いのでしょうか。今はNHKだけが“独占企業”に為って視聴者は選び様がありませんが、我々の声が反映され無いなら受信料を拒否する選択肢だって在って好いと思います」

 2015年度決算でNHKは過去最高と為る6625億円の受信料収入を上げた。徴収の義務化やワンセグ受信料の徴収等、今後NHKは更に肥大化して行く可能性もある。為らば、視聴者は猶更声を大にして、NHKの経営体制や番組作りに関与しても好い筈である。


                以上


 



 



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不正統計調査問題の報道でNHKに意見書を発送 その他



 
 

 〜NHKに何とか〈公共放送〉として立ち直って欲しいと願う人達が居る。その中の一人醍醐聰氏の活動の一旦をご紹介しようと存じます・・・〜

 

 醍醐 聰氏のブログより







 不正統計調査問題の報道でNHKに意見書を発送


 2019年1月28日
 
 泥沼の底が見え無い統計法に違反した厚労省の「勤労統計調査」問題。調査に当たった特別監察委員会の調査自体の杜撰さ、厚労省丸抱えの調査の実態が次々に発覚して居る。直近のニュースでは、厚労省の官房長が聞き取りに立ち会って居たと云う。

 「厚労官房長同席、菅氏認める 麻生氏『それをやるかね』」
 (『朝日新聞DIGITAL』2019年1月28日、11時24分)
 https://www.asahi.com/articles/ASM1X3F4ZM1XUTFK007.html


 この件で根本厚労相は25日、特別監察委員会に再調査を要請した。と言っても、実態は報告書提出から3日後に再調査に追い込まれると云う異例の事態。しかし、25日夜のNHKニュース7、ニュース・ウオッチ9の伝え方が醜かった。
 そこで、関係資料を集め、検討してまとめた意見書を昨日、NHKの3つの部署(小池英夫報道局長、ニュース7担当、ニュース・ウオッチ9担当)宛てに発送した。以下、その全文を転載する。


                      2019年1月27日

 NHK報道局長 小池英夫 様
 NHKニュース7 担当 御中
 NHKニュース・ウオッチ9 担当 御中

   1月25日のニュース7、ニュース・ウオッチ9における 不正統計調査問題の報道に関する意見

                                         醍醐 聰

 T. 1月25日の番組で伝えられた項目(順序)と配分時間

 ニュース7の項目、配分時間は次の十りでした。20190125 又、ニュース・ウオッチ9の項目(順序)は次の通りでした。
 @19歳、女子大生、行方不明 何が 
 Aインフルエンザ流行拡大 
 Bネット機器に国が無差別侵入 
 C相模原傷害殺傷事件から明日で2年半 
 D直木賞受賞 真藤順丈さんの描く沖縄 
 E不適切な統計調査(47秒)<以下省略>

 ここ数日、厚労省の『毎月勤労統計』の不正調査問題と、その問題点を調査した特別監察委員会の調査報告に関して、与野党を問わず疑問・批判の声が高まり、1月28日から始まる国会で最大の焦点に為ると見込まれています。
 3日前に提出された特別監察委員会の報告書に対しては「身内からの聞き取り」と云う杜撰さに批判が相次ぎ、25日、衆参両院の閉会中審査を経て根本厚労相は、再調査を約束する事態に追い込まれました。
 25日午後以降、テレビ各局、全国紙は不正統計調査の実態と国会の動きを大きく報道しましたが、この日のNHKニュース7は、上記の通り、主な項目の放送が終わった6番目に要約、この問題を取り上げましたが、配分時間わずか49秒の駆け足報道でした。ニュース・ウオッチ9も、順序、配分時間共にニュース7と同様で、不正統計調査問題はフラッシュの中でサラリと取り上げられただけでした。

 U. 意 見

 (1) 3日後に開会が迫った国会の最大のテーマに為ると予想される不正統計調査問題に新たな動きがあった日のNHKの夜のゴールデンタイムのニュース番組に於いて、この問題が、女子大生不明事件や特定のスポーツ選手の決勝戦を明日に控えた様子を伝えた後で、配分時間もこれ等2つの項目に充てた時間の3分の1以下、選抜高校野球の出場校決定のニュースに充てられた時間の2分の1以下と云う取り扱いは常軌を逸しています。
 (2)問題は放送の順序、配分時間だけではありません。問題の伝え方にも見過ごせ無い瑕疵がありました。それは「内部的な調査に留まって居る」と云う抽象的な指摘で済ませ、何処に、どう云う杜撰さがあったのかと云う肝心の内容を伝え無かった点です。
 1月25日の19時直前(18時45分)にNHK NEWS WEBにアップされた「不適切統計調査問題 特別監察委員会再調査へ 根本厚労相」と云うタイトルの記事
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190125/k10011790761000.html?utm_int=word_contents_list-items_004&word_result 

 は、その内容から判断して、ニュース7で放送された読み上げ原稿(元原稿)に当たるものと考えられます。しかし、この元原稿にあった「課長級以下の職員のヒアリングは委員では無く厚生労働省の職員が行って居り」と云う部分がニュース7でもニュース・ウオッチ9でもカットされました。
 「内部的な調査に留まって居る」と云う指摘を伝えながら、その核心の一端と言える事実が元原稿にはあったにも関わらず、番組の編集段階でカットされたのは視聴者に真相を伝える責務に背く作為と言って過言ではありません。
 (3)更に、元原稿でも、実際の番組でも、特別監察委員会がまとめたとされる調査報告書の素案を厚労省の職員が作っていたこと、厚労省が調査方法を変更した理由として東京都の担当部署からの要望を挙げたことに関して、当時の都の職員がそのような要望をした事実はないと証言している点にもまったく触れませんでした。「内部的な調査」「不適切な調査」と言いながら、その核心に当たるこうした具体的事実を一切伝えなかったのは、ニュース報道における重大な瑕疵または不作為です。
 そうした事実は他の時間帯のニュースで伝えたとNHKは釈明するかもしれません。しかし、視聴者は、特に平日は、全ての時間帯のNHKニュースを視聴できるわけではありません。かりに他の時間帯のニュースで伝えられたとしても、視聴率が高い夜7時、9時のニュースで省いてよい理由には全くなりません。
 (4)1月25日のニュース7とニュース・ウオッチ9は、特別監察委員会による調査の杜撰さを一切、伝えない一方で、「根本厚労大臣は“調査結果は十分だった”との認識を示したうえで、“いささかも疑念が生じることのないよう”ヒアリングをさらに行っていただくことになった“と述べ、疑念を払拭するため、特別監察委員会が再び調査を行う方針であることを明らかにしました」で結びました。
 調査結果の杜撰さを裏付ける具体的事実を伝えない一方で、このような担当大臣の発言をおうむ返しに伝えるのは公正な報道から外れた番組編集であると同時に、特別監察委員会の調査は十分だったが、念のため、いささかの疑惑も払拭するよう,すすんで再調査を行うことにした、という厚労省の印象操作にNHKが加担し、拡散する政府広報と言って過言ではありません。
 こうした編集がNHKの「自主的編集判断」というのなら、今のNHKは国策放送局と呼ぶのがふさわしい組織に堕落していると言って差し支えありません。
 (5)NHK(をはじめとするメディア)に求められる報道機関として使命は、再調査というなら、最初の調査のどこを、どう改めるのか、「誰が」「誰に」「何を」聞き取る再調査なのか、再調査の報告書は素案の段階から、「誰が」「どういう手順で」まとめるのか、委員会の独立性を確保するため、どのような仕組み(委員の構成・補充、委員会ならびに議事録の公開)を採用するのかなどを、大臣会見の場で徹底的に質し、確認することです。視聴者が求めるのは、そうした質問力、自律的な調査・取材であり、これらに裏付けられた番組編集です。
 こうした自律的な問題意識、調査報道を欠いた政府発表の受け売りでは、もはや視聴者の知る権利に応えるメディアとは言えず、政府に不都合な真実を覆い、政府の意向に沿った印象操作に加担する政府広報機関です。そのようなNHKは、組織の維持・運営の財源を視聴者に請求する正統性をもはや失って居ます。

       以上


 




 辺野古報道〜あざといNHKの政府広報。昨日、質問書を提出

 2019年1月25日

 辺野古沖で進められている土砂投入をめぐるNHKの政府広報振りがあざとい。見るに見兼ねて、私も共同代表の1人に為って居る「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」はこの件でNHKの3名の幹部宛てに6項目の質問書をまとめ、昨日、渋谷のNHK放送センターへ出向いて提出した。
 以下は、その全文。会のHPに載せている。
 http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-7a7b.html

 質問項目の1〜3は、1月6日に放送されたNHK「日曜討論」において、安倍首相が事実と食い違う「サンゴ移植」発言をした事に関するNHKの報道の在り方に関するもの。質問項目の4,5は、土砂埋め立て海域で確認された軟弱地盤の問題に関するNHKの報道の不作為に関するもの。
 質問項目の6は、NHKが従来から、番組に関する質問について、「自主的編集判断」を盾に回答を拒むのは視聴者への説明責任に背くものと考え、編集の過程の説明を控えることができるのは、どのような場合かについて、当会の考え方を示したうえで、NHKの見解を質すもの。
 2月5日(火)までに文書で回答を求めている。


                       2019年1月24日
 NHK会長 上田良一様
 NHK放送総局長 木田幸紀様
 NHK報道局長 小池英夫様 

     辺野古での土砂投入工事をめぐる報道についての質問書

          NHK を監視・激励する視聴者コミュニティ

                 共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
         http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/


 皆様に置かれましては公共放送を司る重責を担われ、ご多忙のことと存じます。以下、質問書を提出します。別紙の宛先へ、本年2月5日(火)までに文書でご回答をくださるよう、お願いいたします。

 問題の経過 

 (1)去る1月6日に放送された貴局「日曜討論」に出演した安倍首相は沖縄辺野古での土砂投入に関連して「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移している」「砂浜に存在した絶滅危惧種は砂を浚って、確り別の浜に移した」と発言しました。希少資源のサンゴの保全に十分配慮した上での土砂投入であると言わんとしたものです。
 しかし、沖縄防衛局が移植したサンゴは埋め立て海域全体のサンゴ7万4千群体の内の9群体に過ぎず、その9群体も今回の土砂投入区域外のものでした。放送直後から「事前に収録した録画の放送であるにも関わらず、何故事実と異なる首相発言をそのママ放送したのか」と云う疑問、批判が多数、貴局に寄せられたと伝えられています。
 この点を質した報道機関の取材に対し、貴局は「NHKの自主的な編集判断」と応答するのみで、訂正も謝罪も無いまま数日、経過しました。1月11日の「ニュース・ウオッチ9」で、要約安倍首相の発言が事実と異なって居た事を伝えました。
 (2) 1月21日、防衛省は辺野古埋め立て区域に存在すると指摘されて居た軟弱地盤対策の為の設計変更を検討する事に為ったと伝えられました。軟弱地盤の存在は2016年に沖縄防衛局がまとめた地質調査報告書で確認され、国会でも取り上げられて来ました。沖縄県の見通しでは、設計変更には約1500億円、5年程の年月が掛かるとの事で、県知事の承認が必要とされる事から、辺野古沖の埋め立て工事は大幅にズレ込む事が必至の状況です。しかし、この件に付いて、NHKは21日夜7時のニュースでも9時のニュースでも全く取り上げませんでした。

〔質問1〕 「あそこの」「別の浜に」とは何処を指すのか、常識的に理解不能な安倍首相の発言を、その場で問い返す事無く終わった司会者の見識が問われますが、事前録画で、放送前に首相発言の真偽をチェックする時間があったにも関わらず、事実上の否定報道が5日後の11日の「ニュース・ウオッチ9」と為ったのは何故ですか? 
〔質問2〕 今回の「日曜討論」の件に限らず、NHKは放送に関する外部からの疑問、質問に対して、自主的編集を盾に実のある応答を拒むのが通例に為って居ます。これに付いては、後ほど質問しますが、自主的と云うなら、貴局内の自主的放送審査組織である考査室は、1月6日の「日曜討論」に於ける安倍首相発言の放送のあり方について、放送後どの様な考査をし、担当部署に伝えやり取りをしたのか、何もしなかったのか、お聞かせ下さい。
〔質問3〕 1月11日の「ニュース・ウオッチ9」は、「辺野古埋め立て 土砂投入前にサンゴ移植急ぐ 防衛省」と云う大見出しで、先の安倍首相の「サンゴは移植した」と云う発言が事実と食い違う事を伝えた後で「しかし、残りのおよそ7万4000群体の移植は県の許可が得られていないこと等から進んでいません。この為防衛省はサンゴが生息する区画に土砂を投入する前に移植する為、今後、県との調整を急ぐ事にしています」と放送しました。
 このような伝え方は、沖縄防衛局は希少資源の保全の為にサンゴの移植を進めようとして居るが、沖縄県が許可し無いのが原因で移植が進んでいないと云う認識を誘導するものです。しかし、沖縄県が移植を許可しないのは、移植ではサンゴを保護出来る保証は無い、繊細な環境の中で生息するサンゴは水流や光の強さが少し変わるだけで死滅する恐れがある、サンゴの保全を考えるなら土砂投入は避けるべきと云う専門家の判断も参考にしたものです。
 こうした沖縄県や専門家の意見を伝える事無く、政府・沖縄防衛局の言い分だけを一方的に伝えるのは、「意見が対立している問題については、出来るだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めた「放送法」第4条第1項4の規定に反して居ると当会は考えます。これに対する貴職の見解をお示し下さい。
〔質問4〕 1月21日に防衛省が土砂埋め立て海域における軟弱地盤対策の為設計変更を検討することに為ったという事態は辺野古沖での新基地建設に甚大な影響を及ぼすと予想されます。しかし、NHKは当日、夜7時のニュースでも9時のニュースでも、歌舞伎町で起った発砲事件を時間を割いて伝える一方で、軟弱地盤の問題は全く伝えませんでした。何故、この様な話題の取捨選択がされたのか、その理由、基準をご説明ください。
〔質問5〕 土砂埋め立て海域における軟弱地盤の問題は2016年以来、国会でも取り上げられて来ましたが、NHKはこの問題に付いて、これ迄のニュース・報道番組でどの様に(いつ、どの番組でも含めて)、伝えてきたか、ご説明ください。
〔質問6〕 今回の件に限らず、「放送法」第4条や「NHK放送ガイドライン」等に基づいて、NHKの番組内容について質問をした側に対し、NHKは「局の自主的編集判断」を盾に、実のある回答を拒むのが通例になっています。
 しかし、NHKに認められる「自主的編集判断」とは、視聴者からの質問を遮る盾として認められたものでは無く、NHKが監視の対象とする様々な権力の介入を防ぎ、視聴者の知る権利に応える為のものです。
 この意味から、NHKがニュース報道等の編集過程・内容についての放送後の質問について、説明を拒めるのは次の場合に限られ、それ以外は寧ろ、積極的な説明責任があると当会は考えています。これについて貴職はどう考えられるのか、見解を求めます。
 @取材源(公的機関でしかるべき職務権限を持つ者は除く)の秘匿を必要とする場合。
 A個人(公的機関でしかるべき職務権限を持つ者は除く)のプライバシ―を保護する必要があると認められる場合。
 B営利企業に競争上の不利益を及ぼすと合理的に判断される場合。

        以上 


  

             



 NHKが政権にオモネテイルのは政治報道だけでは無い


 2018年8月1日 NHKは「政治報道以外は優れている」は本当か?

 私も参加しているNHK問題に関わる各地の市民グループの間で、この処、政権のマイナスイメージと為る話題(各場や与党国会議員の暴言・妄言など)は小さく扱う、或は伝えないNHKの報道姿勢に「犯罪的」とさえ批判する意見が出ている。その意見には私も大いに賛同している。
 ただ、そのような評価と前後して「NHKはその他の分野では好い番組が多いのに」と云う感想や「政治報道以外ではNHKは奮闘している」(NHK・OB) と云う議論がある。同様の意見は、様々な市民運動に参加している人達の間でも、これ迄から見受けられた。
 しかし、私は根本的に違った見方をしている。腰を据えて書き出すと長く為るので、ここでは、私がそう考える理由を分野ごとに簡潔に述べる事にする。

 可なりの時間帯を占める「ゴゴナマ」はどうなのか? 

 平日のNHKの午後の時間帯は、12時のニュース以降、15時のニュースまで、途中、1時間刻みのニュースを挟みながら「ゴゴナマ」と云う番組が放送されている。夫々の時間帯毎にテーマが分けられているが、NHKの番組のなかで相当な時間帯を占めている。そこで、例えば、7月30日〜8月3日の時間帯ごとの番組を抜粋すると次のとおりである。

12時台:「特選女子旅、夏安美水族館」「サラメシうなぎ特選」
13時台:「おしゃべり日和(日替わりで歌手やタレントが出演)
14時台:「夏を満喫する極め付きかき氷」「苦み&ネバネバで夏を乗り切れ!」「そーめんグレードアップ作戦」「グルメで楽しむ甲子園」
15時台:「イケドク 夏のかゆみトラブル特集」「東北・みちたん ああ! すばらしきセカイ」

 人によって受け止め方にバラツキがあることを承知の上で感想をまとめておく。

 昨今、料理番組や健康番組はテレビに欠かせない話題になっている。また、身近な話題も取りあげる趣旨はわかる。が、それを他愛もないバラエティに仕立てて出演者が、しばしばアナウンサーも相乗りして、はしゃぐ番組が多すぎないか? 
 多くの民放は、平日午後の時間帯に、横並びとはいえ、時事的な政治・社会問題をお茶の間の話題として、それなりに突っ込みを入れながら伝えている。しかし、NHKの「ゴゴナマ」は時間帯ごとに、旅もの、料理もの、健康もの、タレントのトークなどに割り振り、時事的な政治・社会問題は定時のニュースで短かく、そそくさと伝えるだけだ。
 しかし、例えば、オウム事件犯人の死刑が次々と執行されたことについて「国家が人を殺すライセンスを持つ(ある新聞投稿者が使った言葉)死刑制度が存続してよいのか? 死刑制度を廃止したり、執行を凍結したりする国が多いのはなぜなのか? という素朴な疑問を「ゴゴナマ」で取り上げてもよいのではないか?

 平日夜のゴールデンタイムの番組はどうなのか?

 同じく、7月30日〜8月3日の19時〜20時台の番組を調べると、こんな番組が出ている。「うたコン」「ガッテン」「大迫力 長岡の大花火」「夏の高校野球 特大スペシャル」(2夜連続、20時45分頃まで)「サラメシ オシばん」「探検バクモンプラモデル工場売上げ躍進のひみつ」・・・ 

 肩の凝らない娯楽番組があっても好い。しかし、「ゴゴナマ」に似て、お手軽なお笑い番組、視聴者受けを狙って社会問題を娯楽化し過ぎた番組が多すぎないか?責めて週に2コマ位は視聴者に、政治・社会・文化、国際問題などをジックリ考える材料を提供する番組、或は日本在住の外国人も交えた市民参加型の討論番組、或はNHK経営委員会の会合、放送番組審議会、視聴者とNHK経営委員が語る会の録画中継を放送するといった企画があっても好いのではないか?


 




 経済、社会問題をテーマにした番組はどうなのか?
 
 ワーキング・プア等貧困問題を取り上げた優れた番組があったことは確かだ。しかし、国の社会保障政策が絡んで来ると腰が引け、国の財政事情を前に出して、市民の命、健康と国の財政難を天秤に掛け、社会保障抑制政策を陰に陽に肯定するパターンが多いのが実態である。
 (一例)「あなたはどう考えますか 〜新薬高騰が医療を壊す?〜」(2016年7月13日放送「クローズアップ現代+」)http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3838/1.html

 しかし、社会保障の財源難というなら、今の社会保障抑制策は「生産性の無い人間は国家として面倒をみない」と云う棄民政策を公式に掲げるなら兎も角(実態は非公式に棄民政策が実施されているのだけれど)、そうで無ければ、貧困放置の国策は社会保障費の付け替えと悪循環(医療費⇒生活保護費など)を生む結果になっていること、新薬高騰は製薬メーカーが言う様に新薬の開発費がかさむからなのか?
 むしろ、研究開発費を控除した後の製薬企業の営業利益率が製造業平均の3〜5倍に為って居る事、海外企業の買収で巨額の減損損失を出した武田薬品工業を除くと製薬企業の売上高上位4社の留保利益は2010年度末に2兆6,209億円だったのが、2016年度末には3兆7,395億円へと約1.4倍も膨らんでいる実態を見ると、薬価には製薬メーカーに入るかなりの利ザヤが含まれているのではないか、新薬が上市される際に見込まれる市場規模が相当過少に見積もられて居るのではないか? 
 それらを適正化すれば、薬価は大幅に下がり、医療費の高騰をかなり抑制できるのではないかーーーこういった点を調査報道する努力を手掛けるべきではないのか? 


  




 災害報道はどうなのか?
 
 今回の西日本豪雨を題材にした検証番組が「NHKスペシャル」と「クローズアップ現代+」で放送された。しかし、どちらも、事実報道は別にすると、土木工学的な視点からの編集と為って居て、スタジオ・ゲストもその分野の研究者だった。その為、河川の氾濫が起こったメカニズムの解説、住民に自分の身を守る為の心構えを説くのが基調だった。
 しかし、いかに予報・予防に力を入れても避けるのが至難なのが大半の災害である。であれば、災害が発生した時に被害を最小限にするための政府・自治体・消防庁・自衛隊など救助組織の対応(救助の初動)はどうだったのかという検証が欠かせ無い。
 ところが、NHKの検証番組ではそうした視点が全く欠落していた。これでは、政府の初動対応を問う切り口は封印されたと考えざるを得ない。

 大河ドラマはどうなのか?
 
 以下は、大河ドラマの歴代のテーマを一覧したものである。
https://www.nhk.or.jp/segodon/taiga/
 (出所:ウィキペディア)

 一見して分かるが、なぜ、戦国・江戸時代の武家もの、明治維新期の志士物語が殆どなのか? 現代史に関わるテーマを何故扱わないのか? 高校の歴史で現代史を扱う時間が極端に少ないのと共通した問題と思える。が、そう言いながら、ネットを検索していると、偶然、「2019年の大河ドラマは、33年振りに近現代史に挑みます!」と云うNHK広報局の番宣に出会った。只、好く見ると、
 「東京オリンピック開催を間近にした、2019年。オリンピックの歴史を題材に、宮藤官九郎オリジナル脚本で、“痛快&壮大な大河ドラマ”を制作します」となっている。 http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/257134.html
 これでは、33年ぶりに現代史を取り上げたと云うより、2020年のオリンピックに翼賛する意図がアリアリのドラマである。

 雑駁ではあるが、以上のような検討から、NHKでは報道番組以外は優れている、政治報道以外ではNHKは奮闘している、とはとても言えないというのが私の結論的な意見である。
 では、良質の番組が多いと言われるNHKのドキュメンタリィ番組はどうなのか? 別の記事でこの点を考えてみたい。



 以上一部を参照の為記事にします

 その他の意見書

 2017年7月11日 NHKはネット配信に執心する前に遣るべきことがある
 2017年3月8日 北朝鮮関連は手厚く、森友学園関連は足早に伝えるNHK


                   以上


 



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NHK問題の核心  川本裕司氏(朝日新聞社会部記者)


 

 NHK問題の核心  川本裕司氏(朝日新聞社会部記者)



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           〜ビデオニュース・ドットコム 8/17(土) 20:04配信〜







 先の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のスローガンで耳目を集めた「NHKから国民を守る党」が、比例区で100万票近い票を獲得し、政党要件を満たす迄の支持を集めた事で、改めてNHKの在り方に注目が集まって居る。そこで今週のマル激では現在のNHKにどの様な問題があり「NHK問題」の核心とは何かを議論した。

 先ず結論から言うと、NHK問題の核心は、現在のNHKと云う特殊法人のガバナンスの仕組みが、明らかな利益相反を前提としたものに為って居り、にも関わらずそれを克服したり超越したり出来る様な制度的な担保が存在し無い事にある。
 受信料と云う安定的な収入を得る代わりに、毎年の予算と会社の取締役に当たる経営委員会の委員の人事に付いて国会の承認を必要とする。NHKは、当然時の権力の介入を受け易い立場にある。それが番組の編成や内容に迄影響を与える様に為れば、公共放送としての役割を真っ当出来無く為るのは当然だ。


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              NHK会長に上田良一氏選出


 その一方で、NHKは時の権力に擦り寄って居る限り、年間7000億円もの収入を齎して呉れる現在の受信料制度は安泰と為り、民放が四苦八苦するのを横目に、NHKは遣りたい放題が出来る。そして、それがNHKの放漫財政の原因に為ったり、綱紀の緩みを生み不祥事が相次ぐ原因に為って居たり、公共放送本来の役割を超えた番組や事業に迄手を伸ばす事で民業を圧迫する原因と為って居る。

 詰まり、NHKは政治権力の介入を受け易いと同時に、政治権力に迎合して居る限り企業としての立場は安泰だが、その一方で、それでは公共放送としての役割が果たせず、NHKの存在意義自体が揺らいでしまうと云う究極のジレンマを抱えて居る。
 時の権力に擦り寄ったり、圧倒的な財力を使って民放のビジネスを侵害する様な番組を放送すればする程、NHKは公共放送本来の役割から遠ざかって行く事に為る。本質的に利益相反が避けられ無い立場にあるNHKが、公共放送本来の責務を果たして行く為には、何を変える必要があるのか、もし今のママの体制が続くのであれば、本当に日本にNHKの様な放送局は必要なのか。

 メディア問題の専門家で近著『変容するNHK』でNHKに対する政治介入の歴史に焦点を当てた川本氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。


                   以上


 川本 裕司(かわもと ひろし)朝日新聞社会部記者 1959年大阪府生まれ。81年京都大学教育学部卒業。同年朝日新聞入社。企画報道部次長、総合研究本部メディア研究担当部長、メディア担当編集委員等を経て、2019年5月より現職。著書に『変容するNHK』『ニューメディア「誤算」の構造』など。 

 (本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください)








 【管理人のひとこと】

 川本氏が指摘する様に、NHKの置かれた不適切さが全ての問題の根源にある。政治から独立した国民の為の公共放送の形を取り乍ら、予算も人事も放送の内容にさえ国会の承認が必要で、経営に関する人事も内閣からの推薦の状況にある。
 この状況で〈独立した立場〉を執ろうにも執り得無いのがNKKの立場だ。更に、放送法により税金の如く国民から視聴料を徴収する権限も与えられるのも、憲法や他の法律から考え、余りにも公正さの無い超法的な不自然さを伴い、不払いの問題を増長させて居る。
 この時代遅れの放送法を根本的に議論する事から始まら無ければ、中途半端に肥大するNHKの膨張を止める処か、益々肥大化し政権ベッタリの中身の薄い放送の為れ流しが続く事に為る。NHKの在り方を多くの国民が納得する様に、今回のN国の政治参加が一つの切っ掛けに為れば好い。







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2019年08月17日

「森友問題」捜査終結 「最強の捜査機関」特捜部は今や影も形も無し


 


 「森友問題」捜査終結! 「最強の捜査機関」特捜部は今や影も形も無し



 



 
          〜ダイヤモンド・オンライン 8/17(土) 6:01配信〜



           8-17-5.jpg

      財務省の決裁文書改ざんヘルメット官僚 佐川宣寿元理財局長



 学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、有印公文書変造・同行使等の疑いで大阪第1検察審査会が「不起訴不当」と議決した佐川宣寿元理財局長(61)等10人を再捜査して居た大阪地検特捜部は、結局再び不起訴処分とした。

 3月の議決は、文書改ざんを「言語道断」と指弾し、背任容疑に付いても法廷で事実関係を解明する様求めて居た。問題の発覚から約2年半。大阪特捜は不起訴の理由を「立証・立件は困難」と説明するが、今回、国民が求めて居たのは「有罪・無罪」と云う判決の結果では無く、何が在ったのか「真実」を知りたいと云う事だった。
 しかし、大阪特捜は組織の論理を優先し、国民の負託に応える事無く捜査を終結した。(事件ジャーナリスト 戸田一法)



 




 国民を煙に巻く大阪特捜

 本稿では政局に付いての背景は一切排除し、飽く迄大阪特捜と今回の問題(事件に為ら無かったので「問題」と表記)に付いて絞って考察して行きたい。

 一般的に刑事裁判(公判)での有罪率が99.9%と言われるのは、検察が確実に有罪に出来ると判断した事件で無ければ起訴し無い(不起訴、若しくは起訴猶予)と云う背景が有るのは周知の事実だ。
 背任罪は「他人の為に事務を処理する者が自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的で任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を与える」行為を指すが、背任容疑の対象と為った近畿財務局の元統括国有財産管理官等4人に「国に損害を与える」目的を持って居たかの立証が極めて困難だった事は理解出来る。

 一方、文書改ざんは既成事実化して居るにも関わらず、佐川氏等理財局幹部6人に付いても有印公文書変造・同行使の罪だけで起訴する事を躊躇ったのは、一般的に形式犯であり公判請求(起訴)する様な事件で無いと云う理由が考えられる。
 立件しても、略式起訴・略式命令(罰金刑)で済まされる可能性が高い。公判に為らず、5000万円もの退職金を貰った佐川氏等が罰金数十万円の幕引きで世論が納得するかどうか…。

 大阪特捜は、1992年に発覚した自民党元副総裁の故・金丸信氏を巡る5億円のヤミ献金事件(東京佐川急便事件)を想起したのかも知れ無い。東京地検特捜部は事情聴取の為出頭を求めたが、金丸氏は拒否し、政治資金規正法違反に付いて認める上申書を提出。東京地検特捜部は結局、聴取も逮捕もせずに略式起訴し、金丸氏は罰金20万円の略式命令を受けた。
 5億円もの〈賄賂〉疑惑に対する捜査の行方が注目されたのに、罰金20万円と云う決着に国民からは猛烈な批判が湧き起こり「検察庁」の表札に黄色のペンキがブチ撒けられる事件も起きた。

 大阪特捜は昨年5月、刑事告発された38人を何れも不起訴としたが、検審は10人を不起訴不当と議決した。しかし、強制起訴に繋がる「起訴相当」の議決とは違い、再捜査で不起訴と為った場合、検審は再度の審査は出来無い。だから9日の大阪特捜の決定は、有る意味で予想通りだったとは言える。
 「立証・立件が困難」と云う伝家の宝刀を繰り出し、再度の不起訴を決定。法的な知識の無い国民を煙に巻くと云う決着は、多少の法律的な知識の有る方なら分かり切った結末だったかも知れ無い。そう、冒頭にも書いた通り、大阪特捜は国民が知りたいと求めた真実より、自らのメンツと慣例を守る為に今回の判断をしたと言っても過言では無いのだ。


          8-17-7.jpg

               森友学園の現在の姿


 




 国民の負託に応え無い検察

 大阪特捜が集めた資料、関係者から聴取した供述、認定した事実、認定出来無かった事実…。有罪・無罪を問わず、積み重ねた証拠を公判で示し、何が事実で何が事実では無いのか、裁判官の審理を仰ぐと云う判断は出来た筈だ。
 国民の税金である捜査費を使い、国民が「知りたい」と求めた事実(捜査内容)を、メンツと慣例の為に一切を公開する事無く、闇に葬ってしまったのだ。これは「国民の負託に応える」処か、背信行為であろう。では、大阪特捜とは誰の為に存在する組織なのか。言う迄も無い、自分達が出世する為の組織であり、国民の事等考えて居ないのだ。

 その最たるものが「大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件」であり、読者の方々もご記憶と思う。自らの出世の為、無実の方を犯罪人に仕立て様とした事件だ。少なからず検察官と付き合いの在った筆者には、背筋の凍る様な思いをした事件だった。
 「秋霜烈日」秋霜は秋の冷たい霜。烈日は夏の激しい日差し。そんな環境でも、国民の為に頑張ると云う検察官のシンボルとされ、バッジに型取られるは、何処に行ったと嘆いた。

 筆者の後輩である全国紙社会部デスクに依ると、大阪特捜の小橋常和部長は「起訴に足りる証拠を収集出来無かった」と説明したと云う。これは、詭弁(きべん)である。鼻から収集しようとして居たのかさえも疑わしいが「確実に有罪に出来る証拠を収集出来無かった」が事実であろう。

 ここで、問題は一体何処に在ったのか、簡単にお浚(さら)いして置こう


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          安倍明恵氏(仮)安倍晋三記念小学校名誉校長


 2017年2月、森友学園が取得した大阪府豊中市の国有地が約8億円値引きされて居た事が発覚。そして、学園が建設を計画して居た小学校の名誉校長に、安倍晋三首相の妻・昭恵夫人が就任して居た事も明らかに為った。
 これ迄提出されて居た告発状に依ると、2017年2月〜4月、佐川氏等は権限が無いにも関わらず、14件の決裁文書で明恵夫人の名前や「特例的な内容」等とする記述を全て削除。「夫人の関与が明らかに為れば安倍首相の辞任に発展し兼ね無いと考え、事実を隠蔽しようとした」とされる。

 検審の議決も佐川氏に関し「『指示して居ない』との本人供述に信用性は無い」と一蹴。更に「文書を改ざんする行為は一般市民感覚からすると、如何なる理由があっても許され無い」と厳しく指摘した。
 問題が発覚してから約2年半。政権支持の方で在ったとしても、一連の事実が明るみに出るに連れて「忖度(そんたく)があったのでは?」と疑問を持たれたのでは無いだろうか。


 




 特捜に最早存在意義無し

 一連の問題を提起したのは1人の市議だった。問題の現場と為った国有地は、豊中市が国から借り受け公園として整備する計画だったが、買い取りを求められて断念して居た。その後、同市の木村真市議が現地を視察。「瑞穂の國記念小學院」と旧字体で記された幕や教育勅語を掲載したポスターを目にした。
 何か不審な雰囲気を感じ取った木村市議は、近畿財務局に貸付金額を問い合わせたが「言え無い」に終始。その後、売却されたと知り価格を情報公開請求したが、内容は黒く塗り潰されて居た。
 2017年2月には約8億円の値引きが発覚、問題は国会で取り上げられる様に。次々に明るみに出る近畿財務局の対応。その最中、文書改ざんが行われたとされる。


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                籠池泰典氏夫婦


 今回の不起訴処分を受け、詐欺罪等で起訴された森友学園元理事長・籠池泰典被告(66)は記者団に「役人はお咎め無しで、私達夫婦は口封じで約300日も拘留された。官に甘く民に厳しい国のヤリ方が露骨に出た」とコメントして居た。
 捜査の結果として「詐欺師」と認定(起訴)した人物から好き放題に言われ続け、更に官側を不起訴としたのであれば、世間から「矢張り、身内である官僚を庇ったのではないか」と疑われても仕方あるまい。

 検察官は元々転勤が多く、地方では仕事も公判維持や書類の決裁が中心だ。捜査と言っても、実態は警察から送られて来た資料(証拠)に法的な瑕疵(かし)が無いか確認する位だ。特捜の捜査手法も、警察官の様に現場に足を運んで聞き込みをしたりする地道なものでは無く、空調の効いた部屋で「ブツ読み」(資料の解読)や関係者を聴取すると云うのが主なものだ。

 プライドは高いが、永田町や霞が関の人間関係等裏の裏まで知る情報収集・捜査能力は、限られた検察官しか持ち合わせて居ない。付き合いの在った複数の検察官が自らそう話して居た。
 或る検察幹部は「昔の警察官は地元の中堅処の高校出身が多かったが、近年は地元国立大出身もノンキャリアで沢山採用されて居る。地元のネットワークと捜査能力があるのだから、(地方では)我々は指揮する側では無く、教えを乞う側だ」と話して居た。

 昨今、特捜は「巨悪」を挙げて居ない。「最強の捜査機関」と恐れられた特捜は、今や影も形も無い。能力も無い。国民の負託にも応えて居ない。「特捜なぞ、最早存在意義は無い」と批判されても、反論出来無いのでは無いだろうか…。


         戸田一法   以上



 



 





日韓関係の悪化は長期的には日本の敗北で終わる



 
 日韓関係の悪化 長期的には日本の敗北で終わる







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    〜古谷有希子  ジョージメイソン大学大学院社会学研究科博士課程 8/17(土) 7:49〜


 韓国は何故対日関係を悪化させる様な事をするのか?

 8月15日は日本では終戦忌念日として認識されて居るが、韓国では光復節、詰まり独立記念日である。韓国のアイドルグループBTSのメンバーが身に着けて居た光復節記念のTシャツに原爆のイメージがプリントされて居た事が日本で物議を醸したのは記憶に新しい。
 韓国の人々に取って、日本による植民地支配と云うのは「歴史」では無く、今も続く忌まわしい記憶であり、何時か又起こるかも知れ無い可能性の問題でもある。何時か又同じ屈辱を味わう羽目に為ら無い様に、過去を記憶し続け警戒し続け、少しでも問題があると考えれば早めにその芽を潰して置く、それが韓国の人々の大日本帝国による植民地支配への基本的な態度である。

 日本では韓国の人々のそうした態度や社会的雰囲気は、民族主義を押し出した国グルミの反日教育に依って為されて居ると考え勝ちだが、ソモソモこうした歴史観は政府主導で生み出されたものでは無い。
 日本で「反日」と考えられて居る*新日清算問題は、80年代以降の軍事独裁の終焉民主主義運動民主主義社会の醸成に依って、民衆やリベラル知識人達が真実を求める声として強まったものである。
 彼等は、独裁政権が「親日派」「親日行為」の問題を明らかにせず、日本に対する十分な責任追及をする事無く、国民に真実を隠した状態で植民地問題を「金で解決」した事そのものを問題視して来た。



 




 新日清算問題とは

 参照 三・一節100周年「親日清算」と云う文在寅演説の真意

   澤田克己(毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 日本の植民地支配に抵抗する3・1独立運動から100年と云う記念式典での演説で、韓国の文在寅大統領は直接的な日本批判を避けた。
 1月の新年記者会見で徴用工問題に付いて「日本の政治指導者達が政治争点化し、問題を拡散するのは賢明な態度では無い」と述べたのとは対照的な抑制された発言だった。「これ以上の日韓関係悪化は望んで居ないと云う姿勢の表れだ」と云う解説が多かったが、その見方は妥当だろう。米朝首脳会談が物別れに終わったこともあり、余計な外交摩擦を避け様とするのは自然な判断である。

 歴史問題に付いて「被害者達の苦痛を実質的に癒やす時、韓国と日本は心が通じる真の友人に為る」とも語った。慰安婦問題や徴用工問題を念頭に置いて日本側に前向きな対応を取る様促したものだが、それ程大きな意味があるとは思え無い。
 歴代の大統領が好く口にして来た決まり文句の様な水準であり、具体性に欠けて居るからだ。「日韓関係の構造的変化を考える」として書いて来た3本のコラム(『韓国国会議長による「天皇謝罪」発言の裏側』他)で指摘した様に、今や「反日」で国をまとめるとか、政権の求心力を高める等と云う時代では無い。

「植民地時代の対日協力者」と言って呉れれば

 一連の報道を見て居て気に為ったのは「親日」「親日派」と云う言葉を説明無しに使う記事が散見されたことだ。韓国に於ける「親日」と云う言葉は「日本の植民地支配に協力した裏切り者」と云うネガティブなものだ。菅義偉官房長官はこの言葉に対して「日本語の親日とは意味が異なる」と述べたが、必ずしも日本でその事が広く知られて居るとは言え無い。
 事前知識無しに「親日残滓の清算は余りにも長い間、残されて来た課題です」(文氏の演説)等と言われたらドキッとするだろうし、例え知って居ても余り良い気分には為ら無いだろう。だから少なくとも、日韓で言葉の意味が違うと云う説明は必要だ。毎日新聞は3月1日夕刊の記事で説明が欠落してしまって居たので、2日付朝刊では説明を付け加えて貰った。

 この「親日派」と云う言葉の問題は、日韓両国が漢字文化圏に属して居る事に起因する。外国の支配者に協力した勢力が事後的に責任追及される事自体は珍しく無い。フランスを占領したナチスに協力したヴィシー政権関係者も後に責任追及されて居る。
 この場合、日本では「対独協力者」と云う言葉が使われる様だ。フランス語やドイツ語から翻訳するのならば、日本語で全く違う語感を持つ言葉が訳語とされる事は無い。韓国が漢字文化圏で無ければヴィシー政権と同じ様に「植民地時代の対日協力者」とでも為って居たかも知れ無い。

 韓国大統領が独立運動の記念式典で「植民地時代の対日協力者に対する責任追及が未だに為されて居ない。この問題をキチンと清算し無ければいけ無い」と述べたとしたら、日本人の受け止め方はどうだろうか。戦後70年以上も経って居るのにと感じる人は居るだろうが「親日派の清算」と言われた時の様な感情的反発は生ま無いのでは無いだろうか。
 それ為らば意訳しろよと言われるかも知れないが、漢字語の場合は難しいのである。敢えて別の言葉に訳すと翻訳する人の政治的立場や考えが反映されてしまい兼ねないからだ。だからこそ「親日」と云う言葉を使う際には簡単で好いから説明が必要なのだが、担当記者に取っては常識なので書き忘れてしまう事が起きる。何とも厄介な言葉である。

 同じ意味の漢字語でも翻訳には問題が…

 それだけでは無い。基本的には同じ意味で使われる漢字語にも、実は大きな問題がある。韓国語の単語は漢字語と固有語(日本語の「大和言葉」に相当する)に大別出来るのだが、日本語よりも漢字語の使用比率がズッと高い。
 日本語なら普通は大和言葉を使う様な場面で、韓国語では漢字語が選択される事が多い。結果として何が起きるかと云うと、韓国語での表現は日本人に実際よりも強く(きつく)イメージされてしまう事がある。

 歴史問題で好く出て来る「歪曲」と云う表現が典型的だ。韓国人は日常的にこの言葉を使うのだが、日本人はそれ程使わ無い。新聞のデータベースで昨年末迄の10年間を調べてみよう。
 毎日新聞で「歪曲(わい曲)」を検索すると172件で、その内33件は「韓国」と云う言葉も使われて居た。韓国とは無関係な記事で「歪曲」と云う言葉が使われたのは10年間で139件だ。一方で韓国の朝鮮日報では「歪曲」が4115件、その内「日本」も含まれるのが1197件だった。日本とは無関係な記事での「歪曲」使用は2918件と云う事に為る。

 朝鮮日報で「歪曲」と云う言葉が使われた回数は毎日新聞の20倍にも為る。使用頻度が高ければ言葉の意味合いは軽く為る。「日本は歴史を歪曲して居る」と云う同じ言葉を聞いても、日本と韓国では重みが違うのである。
 しかし意味は基本的に同じだから、翻訳する時に意訳するハードルは「親日派」より高く為る。意訳すると痛くも無い腹を探られる様な気がするし、言葉の意味が違うと云う注釈を付けるのも難しい。昔から違和感を持ち続けて居るものの、上手い解決策を見つけられ無いままだ。

 「親日派攻撃」は国内用、日本は眼中に無し

 文政権は当初から「積弊清算」を最優先課題として掲げて来た。そして実は「親日清算」の対象とされるのも基本的に同じ人々=保守派である。文政権の様な進歩派が保守派攻撃に使って来たのが「親日」と云うキーワードなのだ。
 この点に付いては、チョットした説明が必要かも知れない。「親日派」は結局、植民地支配下のエリート層を指す。日本の敗戦に依って朝鮮が解放された後には、こうした人々を排除した新しい国作りが行われるべきだと考えられた。庶民感情から言えば当然だろう。
 進歩派の人々はそうあるべきだったと考え、親日派を徹底的に排撃したと云う点に於いて北朝鮮を高く評価する。韓国ではそう為ら無かったからである。

 背景にあるのは、朝鮮半島南部に進駐した米軍政が既存の統治機構を使う間接統治を選択した事だ。米軍政から脱して韓国が独立した直後には「反民族行為特別調査委員会(反民特委)」が組織されて親日派追及を行ったが、米軍政下で力を温存したエリート層を相手にしたものだけに結局は腰砕けの結果と為った。
 その後、日本の陸軍士官学校を出た朴正煕大統領が日本との国交正常化を行い、日本から資金と技術を導入して経済開発を進めた。これを支えたのは日本との強い関係を持つエリート層で、財閥の多くも植民地時代に創業した企業だった。「産業化勢力」とも呼ばれる彼等は現在の保守派に繋がって居る。そうした利権とは縁遠かった進歩派は「独立したのに親日派が依然として上手い汁を吸って来た」と考えて居る。

 保守派主導の開発独裁下で弾圧されながらも、1987年に民主化を勝ち取ったのが「民主化勢力」と呼ばれる現在の進歩派だ。民主化を契機にそれ迄後回しにされて居た社会保障制度の拡充が行われる様に為り、福祉制度も整備されて行った。
 しかし、高度経済成長の果実を享受して来た保守派の力は依然として強い。特に1997年の通貨危機(IMF危機)を乗り切る為に新経済主義的な経済政策が取られて以降、格差拡大は更に深刻化した。

 こうした現状認識を背景に出て来るのが「親日残滓の清算」発言だと言える。だから韓国の記者や政治家と話しても、現在の日本は全く関係無いのだと口を揃える。但し「親日派」とされる人々は当然の事ながら日本と強い関係を持って居た。
 文政権は「親日派(の子孫達)である保守派を積弊だと問題にして居るだけで、現在の日本とは関係無い内政問題だ」と考えるものの、日本から見て居ると心穏やかでは無いと云う事に為る。全く困った状態なのだが、こうした構図を分かって居ると少しは落ち着けるかも知れ無い。


 参照 おわり (元の文章に戻ります・・・)


 




 民主化以降、韓国ではNGO・NPOに依る草の根市民運動が盛んに為り、市民社会の発展が目覚ましい。市民社会の発展は、人権・個人の権利・女性の権利等に対する意識の高まりを齎(もたら)した。こうした市民運動の広がりは、韓国社会に於ける植民地支配の再認識にも寄与した。
 一般市民に隠匿されて居た歴史の真実を求めると共に、植民地支配当時は強く認識される事の無かった事象を、ポストコロニアルな視点から再発見し「過去清算」する意識が韓国社会に根付いて行った。そして、人権の回復・履行を求めて、国内外の政府・企業・団体を相手取った裁判が頻繁に起こる様に為った。

 民主化の流れを汲んで「過去清算」を希求する新たな歴史認識の台頭は、植民地支配に付いて「日本が悪かった」と言った単純な理解から脱却し、何故植民地支配が起こったのか、植民地支配とはどの様なものだったのかを、政治・経済・社会・文化等様々な側面から分析し、過去を断ち切り民主社会韓国として新たな時代を迎え様と云う動きでもあった。端的に言って、韓国の人々に取って、民主化前と後では国家自体が全く異なる存在なのである。

 それは多くの日本人が、大日本帝国と戦後の日本を全く異なる存在として認識して居る感覚とも似て居る。或は、徳川幕府下の日本と明治以降の日本位違うと言っても好いかも知れ無い。この事を理解して居れば、何故現在の韓国政府が日韓基本条約締結以降、日韓政府の間の共通認識と為って来た請求権協定に対して、それを覆す様な態度を取る様に為ったのかも理解し易い。
 喩(たと)えるなら、日米修好通商条約が現在のアメリカと日本の間では全く無効であるのと似た様なものである。国民に依って選ばれ国民を代表する政府が取り交わした条約で無いものが、現在の民主国家としての韓国の人々に取って受け入れられ無いのも、感情としては当然と言えるだろう。

 更に、民主化によって新たな権利意識を持ち、植民地支配に付いてもより構造的な問題を扱う様に為った韓国社会が、軍事独裁化に国民の多くに真実を隠す形で締結された条約に違和感を持つのも自然な成り行きである。そして、民主主義国家である以上、社会・市民の変化が司法・行政・立法府に反映されるのも当然である。
 民主化運動を経て、民主主義に基づいた市民社会への歩みを進めた事で、歴史問題に対して歴史修正主義的態度を改めて来なかった日本に具体的な変化を求める様に為った結果、日本側から見れば「対日関係を悪化させる態度」を取る様に為ったのである。

 韓国は何故今に為って強気に出て居るのか?

 一方、韓国の民主化は1980年代に為されたもので、韓国政府の態度の変化によって2000年代後半から日韓関係が大きく変化する迄に20年もの時間が空いて居る。それ迄も歴史問題で軋轢のあった日韓両国だが、それが両国関係に深刻な影響を与える様に為ったのは2000年代に入ってからである。
 具体的には、韓国政府が個人請求権は消滅して居ないとの認識を示す様に為ったのが、2005年の廬武鉉政権下であった。韓国の態度の変化には、前述した韓国社会の民主化の他に、
 1)日本の重要性の低下
 2)日本の政府要人の度重なる歴史修正主義的発言・態度

 という二つの側面が影響して居る。

 民主化以降の20年の間に、韓国の国際競争力の上昇と日本の国際競争力の低下、そして韓国に取っての日本の相対的重要性が低下した。植民地化の朝鮮が日本経済と強く結び着き、解放後もその影響が強く残っていて居たのは当然の事だが、朝鮮戦争の停戦・日本との国交回復を経て、1960年代から1970年代の韓国に取って、日本は貿易対象国としても又国家の発展モデルとしても重要な存在であった。だが、韓国に取っての日本の重要性は時を経て徐々に下がって行く。

 1960年の貿易対象国の中では、日本は輸出の約6割を占めて居たが、1975年には25%、1985年には15%、そして2005年には8%にまで下がって居る。
 又、輸入に於いても日本は1960年には21%、その後1970年代は30%を維持するも、1980年代から1990年代までに20%台に下がり、2005年には19%を切って居る。(出典 吉岡英美 日韓経済関係の新展開 2000年代の構造変化を中心に 韓国語)
 又、韓国に対する外国人投資の推移に於いても、70年をピークに日本人(日本法人)による投資は徐々に下がり続けている。(同上) 2000年代以降は貿易相手国として中国の台頭が目覚ましく、日本の存在感は増々霞んで行った。

 日本の経済的重要性が低下しても、日本の政治家は一貫して歴史修正主義的な発言を繰り返して来た。侵略と植民地支配を肯定し、戦犯の祀られる靖国神社に参拝し、従軍慰安婦被害者を侮辱し、サンフランシスコ講和条約以降の国際秩序の土台を揺るがする様な発言を平然と口にする政府要人が後を絶た無い。
 幾ら公式談話で謝罪を口にしても、幾ら補償・賠償として金銭を提供しても、こうした発言・態度を示す政府要人(首相含め)が罰される事も無い日本を信用しろと、被害国であり被害者が生存して居る韓国に求める方が無理な話である。

 教科書問題、靖国参拝問題等、日本の政治家によって繰り返される歴史修正的な発言や態度について、当時の廬武鉉大統領は強い批判を行った。又、従軍慰安婦問題や徴用工問題等の植民地支配に於ける問題に付いては、人権派弁護士、草の根市民運動のバックグラウンドを持つが故に、人権問題としての側面からのアプローチに大きく舵を切った。
 現在の文在寅大統領も民主化運動、人権運動をバックグラウンドとする運動家であり、廬武鉉元大統領の側近であった。廬武鉉元大統領と同様に、人権派弁護士、民主化運動家として従軍慰安婦問題や徴用工問題を取り扱おうとして居る事は明白である。

 しかも、歴史問題で日本との軋轢を避ける為に司法に不当な介入をしたとされる朴槿恵元大統領、更にその前の李明博元大統領と、何れも不正によって逮捕された保守・右派の大統領の次を担うリベラル・左派大統領として市民の期待も大きい。
 人権派弁護士、市民運動家と云うバックグランドを持ち、それを前面に押し出してリベラル・左派大統領として選ばれた以上、人権問題としての従軍慰安婦問題や徴用工問題に於いて「正しい発言」「正しい態度」を取ら無い訳にはいか無い。 しかも、三権分立の制度下に於いて、司法の決定を行政が覆す事は不可能である。
司法が個人請求権を認めた以上、政府はその決定に従う他無い。


 




 日本の政府要人が繰り返す歴史修正主義的発言の裏にあるのは植民地主義的差別心

 戦後、日本の政府要人は歴史修正主義的発言や態度を繰り返して来た。韓国はその度に反発して来たが、2000年代以降韓国が日本に対して強気な態度を取る後押しと為って居るのは明らかに、韓国に取っての日本の重要性が低下した事、韓国自体が日本の競争相手として台頭して来た事(最早一人当たりGDPは3000ドル程度の僅差に迫って居る)、又ソフトパワーに於いては日本を凌ぐ世界的な存在感を示し始めて居る事等が挙げられる。

 日本政府はこの問題に付いては静観しつつ、政府要人が歴史修正主義的発言や態度を行って韓国をこれ以上刺激し無い様に注意深く静観し続けるのが正解だったのではないだろうか。 だが、繰り返される日本の政治家の歴史修正主義的発言の裏には、結局の処植民地主義丸出しの韓国・朝鮮(韓国人・朝鮮人)に対する差別意識がある。
 「韓国ゴトキ」「日本より格下」と言った意識があるからこそ、対等な相手として無用に刺激しては為ら無い相手としてでは無く「馬鹿にして好い相手」「何してもヤリ返せ無い相手」として扱い続けて来たのである。その認識を改め無い限り、日本は何時までも韓国を相手に歴史問題で先に進む事が出来無い。

 時代は移り、世界の中での韓国の地位が上がる一方で日本の地位が下がり、両国は対等に向き合うべき相手と為った。 例え貿易戦争で一時的に国民をスカッとさせる様な結果を得ても、歴史修正主義に立った「歴史戦」は日本の外から見れば明らかに日本の劣勢であり、長期的に見れば勝ち目の無い戦いである。
 韓国側に何も問題が無いとは言わ無いが、国民をスカッとさせるのが外交政策として罷り通るなら、それは民族主義に踊らされたポピュリズムに過ぎ無い。



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      古谷有希子氏 ジョージメイソン大学大学院社会学研究科博士課程

 経済社会学、グローバリゼーション論を軸に、社会階層、ジェンダー、職業教育、労働市場問題、移民政策の研究に従事。東京大学大学院総合文化研究科で東アジア外交史、朝鮮近代史を専攻したのち、ビジネスコーチとして勤務。2011年に渡米し、メリーランド大学公共政策大学院で社会政策、教育政策を修め、ジョージメイソン大学社会学研究科博士課程に在学中。


 



 












2019年08月16日

慰安婦問題が突き付ける 「歴史を装った記憶」の危険性




 慰安婦問題が突き付ける 「歴史を装った記憶」の危険性








        〜ニューズウィーク日本版 8/16(金) 11:53配信〜


 <マスメディアや国家の式典等に依って伝達されるものは「記憶」であり、歴史家が書く史実では無い。それなのに、記憶は歴史よりも多くの場所で語られ人々の脳裏に刻まれて行く。慰安婦問題とは「歴史」を巡る争いなのか──?>


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            米コロンビア大学のキャロル・グラック教授

 
 日韓関係の悪化と共に、慰安婦問題が再びニュースと為って居る。しかしそこで議論されて居るのは「歴史」なのだろうか、それとも「記憶」なのだろうか。
 歴史問題がニュースに為る時「歴史」と「記憶」は分けて考える必要がある・・・そう説くのは、米コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)だ。グラックは新著『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義―学生との対話―』(講談社現代新書)の中で、歴史問題が報じられる時、政治化された「記憶」が事実に基づく「歴史」を凌駕する事態が起き勝ちだと云う事を解き明かして行く。

 本書は、ニューズウィーク日本版の企画として2017年11月〜2018年2月にニューヨークのコロンビア大学で行われたグラックと学生達の対話を元にした講義録だ。
 日本近現代史の権威であるグラックが「戦争の記憶」を伝える際に敢えてメディアと云う媒体で「学生と対話する」形式を取ったのは、1つには、歴史家が歴史書を通じて歴史を伝える事の限界を知って居たからだろう。


 




 <論争を通じて知る「メタ・メモリー」>

 グラックによれば、ニュースで議論される「慰安婦問題」は「歴史」の領域には入ら無い。大衆文化やマスメディア・国家の式典や政治家のスピーチ等に依って伝達されるものは「共通の記憶」と呼ばれるものであり歴史家が書く史実では無い。それなのに、記憶は歴史よりも多くの場所で語られ人々の脳裏に刻まれて行く。
 例えばグラックが本書の中で学生に「慰安婦に付いて、何処で知りましたか」と問うと、コロンビア大の日本人学生がこう答える。「朝日新聞が問題に為った時です。最初に朝日新聞が慰安婦に付いて報道した時では無く、その後に報道が問題に為った時に知りました」

 この発言に対する、グラックの回答はこうだ。

 「・・・論争に為って、人々が議論して居るのを聞いて知った訳ですね。この事を、私は『メタ・メモリー』と呼んで居ます。公での論争を通じて知る記憶の事・・・例えば、慰安婦がテレビで語る証言は「民間の領域」での記憶に属しますが、その証言が真実か否かに付いて論争に為って居るのを耳にするのは「記憶」そのものに付いて聞いて居るのでは無く、記憶に付いての論争を聞いて居る事に為ります」

 <記憶が歴史を装う時>

 戦争の記憶に付いての論争・・・所謂歴史問題が語られる時何が起きて居るのか。アメリカ人学生とグラック教授では、こう言った会話も交わされる。

 学生 一番問題なのは、記憶が恰も歴史であるかの様に装って居る事だと思います。現在、アジアの政治家達は夫々「これが歴史だ、これが起きた事だ」と言って居るけれど、それは大抵記憶なのではないでしょうか。

 グラック教授 それは記憶が歴史を凌駕して居るケースだと言えるでしょう。そして、それが政治家やマスメディアの口から語られると何が生まれるか。戦争に付いて余り知ら無い人達の間でさえ、敵対心や衝突・憎しみを生んでしまう事に為ります。歴史を装うと云う意味では成功ですよね。
 ここで問題なのは、国民の記憶が第二次世界大戦の何らかの歴史を凌駕する時、それが政治化されたり、国内でナショナリズムが高揚したりして居る時には、現在東アジアで起きて居る様な、戦争の記憶に関する衝突が生まれると云う事です。70年以上も前に終わった戦争に付いて、今、衝突して居るのです。ナンて長い年月なのでしょう。
 戦争の記憶が、国家間で衝突を生むのは何故か。それは、戦争の記憶とは国民的なもので、国毎にその物語の「筋書き」は異なるからだ。或る国家が戦争を行い国の為に多くの人が犠牲に為ったのだから、その物語が「国民の物語」に為るのは当然だ・・・

 とグラックは指摘する。国民の物語である以上、戦争の記憶は(最も少なく見積っても)国の数だけ存在する。歴史家が書く歴史が「一つ」であろうと努力するのとは対照的に、だ。そして複数の記憶の相違は多くの場合、苦しみや憎しみを伴って、史実よりも国民感情を刺激する。


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 <日米が共同で作り上げた「太平洋戦争」物語>

 一方で、二国間でそれ程衝突を生まずに語られて来た物語もある。「パールハーバーからヒロシマまで」と云う「太平洋戦争」の物語だ。
 グラックによれば、アメリカの戦争物語はパールハーバーから語られ、日本の物語は戦争の終わりから語られる。奇襲攻撃に対して勇敢に戦ったと語るアメリカと、原爆が落とされて世界初の被爆国と為り、終戦と平和への使命に付いて語る日本・・・

 この物語は、アメリカに依る日本占領期に日米が共同で作り上げ、日米同盟に依って戦後長らく支えられて来たものだった。
 筋書きは異なるにも関わらず、日本が原爆投下に付いてアメリカに謝罪を求めた事が無い様に、又2016年12月にオバマ米大統領(当時)と安倍首相が真珠湾を揃って訪れ「和解」と云う言葉を繰り返し使った様に、パールハーバーと原爆投下を巡って日米間での外交問題は殆ど起きて居ない。(原爆投下が終戦を早めたかどうかに付いての議論は、主に「歴史」論争として歴史家の間で交わされるものだ)

 <若者が最大の希望であり危険因子>

 今噴出して居る歴史問題は、長い間「記憶」としても語られて来なかった為に後に為って記憶の相違が炙り出されたと云う、そのプロセス毎見る必要がある。
 例えば「太平洋戦争」の物語には、パールハーバーに先立つ日中戦争の記憶は含まれて居ない。日本軍の元捕虜だった人々が日本に謝罪を求めて来たのも、日本でその存在が認知されて居無かった事が大きい。又慰安婦の歴史も、1991年に初めて元慰安婦が名乗り出て90年代に日韓を超えて世界で「問題」化するまで、日本だけで無く韓国の「記憶」からも取り零された存在だった。

 今、ニュースを通じて知る「慰安婦」や「徴用工」の記憶は、国民感情に訴える一方で「歴史」からは悪い方向に遠ざかる傾向にある。グラックは本書の「はじめに」で、こう警鐘を鳴らして居る。

 「私がそうである様に、もしも未来の記憶が良いものに為る事を望むなら、最大の希望は若者達であり、同時に彼等は最も大きな危険を孕(はら)んで居る。若者に希望があるのは、彼等が一度「記憶の政治(メモリー・ポリティクス)」と云う存在を認識すれば、その愚かさに気付き易く為るからだ。若者が最大の危険因子であるのは、彼等は歴史から離れた記憶の動向に、より容易に影響され易いからだ」

 「歴史を装った記憶」に振り回され無い様にするには「歴史」なのか「記憶」なのかを意識的に見る事が必要だ。それが「記憶」である場合、国毎に一致を見無いのは或る意味当然である。その当然を受け入れた上で「開かれた対話こそが、多様な過去と現在を繋げる道である」とグラックは本書を結んだ。何故その国はその視点で語るのか、その背景を複眼的に知ろうとし対話しようとする姿勢が、より良い「未来の記憶」に近づく一歩に為る。


          小暮聡子(本誌記者)  以上









 【管理人のひとこと】


 小暮聡子記者の、このエッセイの着眼点は実に素晴らしい。確かに、戦後74年も経過してしまうと戦争の話の殆どは歴史的事実からドンドン離れ、全てが伝聞の記憶からその又伝聞、更に記録媒体からの実感を伴わ無い知識・記憶へと変化してしまう・・・言わば、伝聞から伝聞、更に記憶から記憶へと伝承するに過ぎ無い。
 だから、同じ国内でも異なる記憶が生まれ、増してや異なる国では大きな差異が生まれても自然な事。違いを克服しようと無理ヤリ記憶を同じにしようとはせず、互いの記憶を受け入れ尊重し合う事で、次へのステップへと進むしか無い。

 「アンタの云う事は歴史的にみて間違ってる、事実は00なのだ・・・」と相手の間違いを指摘しても、それを今更覆(くつがえ)す事は不可能に近い。何故なら、その殆どは伝聞であり記憶の伝承なのだから。指摘する側も同じ条件だから噛み合わ無くて当然。
 条約を結んだ当時の双方の認識が時間と共に変化する事がある。例えば、互いの国の状況が著しく変化したり、新たな事実が掘り起こされたりした場合。只一つ言えるのは、条約の中身を互いに「見直す」事も必然だと認識する事だろう。「条約で全ては解決済みだ」と断定し突っぱねるのは大人のする事では無い。
 人間のする事なのだから誤りは幾らでもある。だから、それを見直し互いに話し合うのは当たり前の話なのだ。その話し合いを持つ事で、より相手の気持ちを知りコチラの気持ちもより伝えられる。一層互いを知るチャンスでもあり、友好を深く長く保つ為の最適の話し合いにも為るのだ。
 このエッセイは、互いの話を聞き認め合う寛容さと優しさ、更に、例え互いが承認して出来た国際的に通る条約・約束事であっても、時間の経過と共に起こる多少の食い違いが発生した場合、柔軟な姿勢で話し合いに応ずる態度、その結果の見直しも認め合う事の大切さを指摘して居る。



 



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