2年ほど前のある雑誌に北アルプス「読売新道」の記事が載っていました。そこには「日本最奥の秘境」やら、「水場もエスケープルートがない」やら、「屈指の難コース」やらと・・と文言が踊っていて気になっていました。そこで幾つかプランを練りましたが、結局黒部ダムより入り船で黒部湖を渡って奥黒部ヒュッテより読売新道を登り、赤牛岳、水晶岳を通って三俣山荘でテント泊。帰路は、水晶小屋まで戻り裏銀座の尾根に入り烏帽子小屋、船窪小屋、針ノ木小屋を通って扇沢の駐車場まで戻ってくる4泊5日の縦走計画に決定しました。 結果は途中悪天候により烏帽子小屋より高瀬ダムに下山することになりましたが、読売新道では最高の天候に恵まれ素晴らしい山行となりました。
実施日:2016年9月26日〜9月29日
登山形態:単独、すべてテント泊 以下現地の状況となります。
前日の9月25日に扇沢の無料駐車場で車中泊をし、翌朝26日の朝一のトロリーバス(7時30分発)で黒部ダムに向かいました。黒部ダムは豪快な放水を続けており、いつ見てもすごいですね。ダムの上を歩っていきます。
始発のトロリーバスは大勢の登山者が乗っていましたが、黒部湖畔沿いの山道に向かうのは当方だけでした。トンネルを抜けよく整備された山道を進みます。
ロッジくろよんには若干名の宿泊者がいる様子でした。そのまま通り過ぎ山道には丸太の橋が現れてきます。しっかりと整備されているのでホントありがたいですね。
何度か支流の沢を渡り、崩れた斜面をトラバースしていきますが、特に危険な場所はなく静かな山道を楽しみます。
おや?突然崖下に渡し船らしきが停泊しています。そして崖の上に平ノ小屋も確認できました。
平ノ小屋に到着です。コースタイムだとトロリーバスを降りてから4時間15分になっていましたが、実際にはゆっくり歩いて3時間でした。12時の渡し舟に余裕で乗れますね。おそらく12時の船は当方だけになりそうなので、管理人さんに「乗っけてね!」ってお願いしました。ちょうど雨が降ってきたので小屋で雨対策をしたり写真を撮ったりしてのんびりできました。
いよいよ乗船します。船の後部よりキャビンに入れます。船長から乗船名簿を渡され記入します。名簿の乗船者をざっと確認しましたが、大半のお客さんは対岸より平ノ小屋側に渡ってくる人たちでした。まあ要するに読売新道を登る人はごく少数なんだろうなあ〜?と思いました。
10分くらいで対岸に到着です。そして対岸からの乗船者もなく、船はそのまますぐに戻って行っちゃいました。これで完全に黒部の奥地に一人取り残されたことになりますね(笑)。このへんでやっとスイッチが入ってきます。よっしゃー! 行くぜえ〜!!
船で渡った対岸は一気に荒々しくなります。前年までに設置された橋が崩れ、その丸太の上に新たな橋を作っていくので、古い材木と新しい材木が微妙に交差しながら設置されていました。まあそれにしてもこの崩れた斜面に丸太橋をかける執念に脱帽します。一体誰が作業しているんだ?
そんなことを思っていたら・・・はるか眼下に作業員の方々を発見しました。3人一組で斜面を下り、湖畔に停留しておいたボートに乗りこむところでした。なるほど、ボートで移動しながら作業していくんだ。ご苦労様です。
まだまだ丸太橋は続きますが、なんといっても雨に濡れた丸太ほど危険なものはありませんから、細心の注意で歩を進めます(写真左)。場所により丸太が絶妙に組み合わされて方向を修正しながら設置されています。
この丸太と針金だけで作る橋に本当の職人技を観ました。凄いです。そして雲間に赤牛岳らしきが見え隠れしてきました(写真右)。あそこまで行くぜえ〜 やはり山は頂上を目指して登る方がモチベーションが上がりますね。読売新道を下るのではなく登るのはやはり正解だとこの時思いました。
東沢出合の橋を渡たればその先が奥黒部ヒュッテです。ここまでは天気以外は順調です。小屋のご主人に挨拶すると「もう山は終わりだよ。水晶小屋は昨日閉めちゃったし泊まれないよ。」とか言われ、三俣小屋でテント泊することを伝えると、「長いから気をつけて行きなさいよ。」と色々と説明してくれました。いいおじさんでした。
テントサイトは花崗岩の細かい砂礫の快適な場所です。当方の他に釣り客が2名と、読売新道を下ってきた単独の方が1名いました。その方はテントを張るとそのまま爆睡していました(笑)。ビールを飲んでいると雨が強くなり、テントに逃げ込みます。
天気予報では、明日はスポットで1日だけ晴れの予報なのです。しかしながら雨は降り続いているので、「本当に明日は晴れるの?」って疑いながらも、天気の心配をしても仕方がないのでリラックスします。さあ、いよいよ明日から読売新道にアタックします。投稿はDay2、Day3までの予定ですがどうなる事か。。。 ではでは