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2017年02月12日

農業の補助事業

農業の世界では、もう本当にたくさんの
補助事業があります。
補助事業というのは、すごく簡単に言うと
国がお金を出しておこなう事業です。

たくさんあるので、生産者に好評の事業も
あれば、使い勝手が悪くてあまり活用されない
事業もあります。

近年話題のクラスター事業は、施設整備や
機械の導入に補助金が出るのですごく好評で、
予算が足りない状況です。

一方で予算があるのに全然使われない事業も
あったりします。
そういった事業は当然ながら世に知られて
いませんので、生産者の大半がその存在を
知らないでしょう。


補助事業をおこなうにはまず予算が必要です。
その予算を国から取ってくるのは農林水産省です。

次に事業を実施する組織が必要です。
国から生産者へお金を届けるのは
簡単なことではありません。

なので、国のお金が生産者に届くまでには
いくつかの段階を踏みます。

ということで、農業の世界では補助事業を
扱う団体もとてもたくさんあるんです。

かなりざっくりと流れを書くと、こんな感じです。



中央段階の組織(たいてい所在地は東京)

都道府県段階の組織

地元組織(農協であるケースが多い)

生産者


この構造、非常にいびつというか、無駄な感じが
というか、そんな思いを以前は持っていました。

ところが実際のところ、それぞれの団体で
得意な分野がありまして、例えば酪農でも
飼料分野が得意、出荷関係が得意、衛生関係が得意、
機械関係が得意、などなど。

飼料分野が得意な団体は飼料メーカーとのつながりが
深く、出荷関係が得意な団体は生乳集荷団体や
乳業メーカーとのつながりが強い。
機械関係が得意な団体は農機具メーカーとのつながりが
ある、などなど。

なので、機械関係で補助金を出そう、と
思ったときに飼料分野が得意な団体に
頼んでも効果的な活用は見込めないので、
機械関係が得意な団体に事業を委託することに
なります。


ということで、補助事業の種類が豊富になれば
なるほど公益社団法人などのいわゆる「団体」が
増えることになります。

それにしても多すぎだとは思いますが…。
とはいえこれでも近年合併などにより
整理してきた経過はあります。


ところで、どうして人気がありすぎる補助事業と
ほとんど使われない補助事業が存在するんだろう
と言う事で、その理由を勝手に想像してみました。

・よく利用される補助事業は、生産者や生産者団体
 からの要望を受けて作ったから実情に合っている。
・あまり使われない補助事業は事業立案者が
 現場の実情をよく知らないで作ったから。
 あるいは事業が採用されるために内容を
 変えたところ実情に合わなくなったから。
・一部の声を反映させて事業を作ったため、
 実はあまり需要がなかった。
・モノを買うときに補助をする、モノを売ったときに
 補助金を上乗せするタイプの補助はわかりやすくて
 よく使われるが、そのような補助ばかりだと
 良くないので違った側面で補助金を出そうと
 したらわかりにくくなってしまった。


最後に。省庁の官僚は当然エリート揃いですが、
現場のことを現場に近い人間より知っている
わけではありません。

よって現場の声を集めて形にしようとしますので、
そうなると声の大きい人の意見ほど採用に近づける
と思います。

特に地元の有力者からの発言であれば、
まったくテーブルに乗せないという
わけにもいかないでしょうから。


そんなわけで、就業者は少なくGDF寄与度も
低い農業において補助事業が多いのは、
生産者の結束が強く代表者の発言力が
大きくなっているから、と言えるかと思います。


それでいいのか、と言われるとなんとも
言えません。
ただ、先進国ではどこも国の保護政策で
農業が守られているのが実態です。

農業にかける国家予算が多くなってしまうのは
ある程度はやむを得ないのかな、というのが
私の考えです。


ただ、事業や団体があまりにも多岐にわたり
存在しすぎる現状は良くないんじゃないかな、
と思ってはいます。
posted by とば吉 at 13:25 | TrackBack(0) | 農業の話題

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