2021年11月15日
北海道での生乳生産抑制
生乳生産量はしばらく減少傾向にありましたが、平成29年の7,276,523t(全国計)を境に増加に転じ、令和2年は7,438,218tとなっています。
令和3年はさらなる増加が見込まれており、前年比2-3%増程度となる見込みです。
この生産量は平成24年頃の数値に近いもので、つい10年前と同じくらいだと思えば大して増え過ぎとは言えないようにも思えますが、日本の総人口はこの期間に200万人くらい減っています。
そう考えると、飲む人が減っているのに増やしてどうするんだ、という見方もできます。
近年、国を挙げて積極的に増産を進め、前述のとおり生乳生産量は増加しています。
これを国は成果として誇っていますが、その結果令和4年度は増産を抑えようという方針が北海道の生産者団体より打ち出されました。
北海道新聞どうしん電子版
生乳12年ぶり生産抑制 来年度 需要減、1%増目標
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/598128/
一部引用:酪農地帯の農協組合長らでつくる北海道農協酪農・畜産対策本部委員会(酪対)は8日、2022年度の生乳生産目標を前年度比1%増にとどめる方針を決めた。
ここ2年間に起きた都合の悪いことはなにかとコロナのせいにしがちですが、本当にコロナの影響で消費が減っていると言えるのでしょうか。
見方が正しいかどうかわかりませんが、牛乳等向けの処理量を平成30年と令和2年で比べてみると、3,999,805t→4,019,561tとむしろ消費は伸びているようにも見えます。
一方でクリーム向けの処理量を平成30年と令和2年で比べてみると、769,219t→675,114tと確かに減っているようです。
クリーム需要はコロナの収束により伸びてくるでしょうが、生乳の供給過剰が解消されるかどうかははっきり言えないところではないかと思っています。
今より安くなってもいいからたくさん搾りたい、多くの人に飲んで欲しいと考える酪農家もたくさんいるでしょう。しかし実態としては、北海道全体で方針が決められてしまう状況ですので、どうしてもたくさん搾りたいと言ってもそう簡単な話ではありません。
増えすぎて無理に抑制するという事態に陥るのであれば、作り過ぎず維持するように調整する方が良かったのではないでしょうか。
まだその調整が効く段階なのか、しかし増えだした生産量を抑えることは特に酪農においては簡単ではありません。牛が生きていて、子を産ませる限りは乳が出ますし、乳が出ないようにエサをやらないというわけにも当然いかない。母親にするつもりの牛を無理やり減らすこともできないわけではないですが、稼いでくれる牛を減らすというのはとても不安なことです。第二次産業と違い、生産調整の難しさがあります。
思い切って価格を下げて需要を喚起してはどうかとも思いますが、最近はエサも燃料も高騰しており、販売価格を下げるのはかなり勇気が要ります。しかし、もともとはTPP対策として国が多額の補助金をかけて事業を推進していたわけですから、本来の趣旨である価格下落に耐えられる経営体を作っていくべきでした。
この事態にどう向かっていくか。役所や農協任せではなく、酪農家一人一人の判断が求められる事態と言えるのではないでしょうか。
令和3年はさらなる増加が見込まれており、前年比2-3%増程度となる見込みです。
この生産量は平成24年頃の数値に近いもので、つい10年前と同じくらいだと思えば大して増え過ぎとは言えないようにも思えますが、日本の総人口はこの期間に200万人くらい減っています。
そう考えると、飲む人が減っているのに増やしてどうするんだ、という見方もできます。
近年、国を挙げて積極的に増産を進め、前述のとおり生乳生産量は増加しています。
これを国は成果として誇っていますが、その結果令和4年度は増産を抑えようという方針が北海道の生産者団体より打ち出されました。
北海道新聞どうしん電子版
生乳12年ぶり生産抑制 来年度 需要減、1%増目標
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/598128/
一部引用:酪農地帯の農協組合長らでつくる北海道農協酪農・畜産対策本部委員会(酪対)は8日、2022年度の生乳生産目標を前年度比1%増にとどめる方針を決めた。
ここ2年間に起きた都合の悪いことはなにかとコロナのせいにしがちですが、本当にコロナの影響で消費が減っていると言えるのでしょうか。
見方が正しいかどうかわかりませんが、牛乳等向けの処理量を平成30年と令和2年で比べてみると、3,999,805t→4,019,561tとむしろ消費は伸びているようにも見えます。
一方でクリーム向けの処理量を平成30年と令和2年で比べてみると、769,219t→675,114tと確かに減っているようです。
クリーム需要はコロナの収束により伸びてくるでしょうが、生乳の供給過剰が解消されるかどうかははっきり言えないところではないかと思っています。
今より安くなってもいいからたくさん搾りたい、多くの人に飲んで欲しいと考える酪農家もたくさんいるでしょう。しかし実態としては、北海道全体で方針が決められてしまう状況ですので、どうしてもたくさん搾りたいと言ってもそう簡単な話ではありません。
増えすぎて無理に抑制するという事態に陥るのであれば、作り過ぎず維持するように調整する方が良かったのではないでしょうか。
まだその調整が効く段階なのか、しかし増えだした生産量を抑えることは特に酪農においては簡単ではありません。牛が生きていて、子を産ませる限りは乳が出ますし、乳が出ないようにエサをやらないというわけにも当然いかない。母親にするつもりの牛を無理やり減らすこともできないわけではないですが、稼いでくれる牛を減らすというのはとても不安なことです。第二次産業と違い、生産調整の難しさがあります。
思い切って価格を下げて需要を喚起してはどうかとも思いますが、最近はエサも燃料も高騰しており、販売価格を下げるのはかなり勇気が要ります。しかし、もともとはTPP対策として国が多額の補助金をかけて事業を推進していたわけですから、本来の趣旨である価格下落に耐えられる経営体を作っていくべきでした。
この事態にどう向かっていくか。役所や農協任せではなく、酪農家一人一人の判断が求められる事態と言えるのではないでしょうか。