(2020年2月1日掲載記事です。)
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海外情勢で急変するときに、在外邦人退避(RJNO)が発動する場合があります。
海上自衛隊の艦艇を使用して、邦人輸送を行うことも規定があります。
そういえば、海上自衛隊の艦艇では最大何人まで乗船できるのだろうか?
体験航海などの規定から、どのくらい乗艦できるか?!
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(1)体験航海は乗艦者数の最大定員が決まっている!
海上自衛隊の艦艇に、部外者を乗艦させる機会といえば体験航海です。
観艦式などでは、多くの見学者を乗艦させます。
この体験航海における乗艦者数については、あらかじめ最大定員が決まっています。
1.1 体験航海では大体乗員の2倍!
体験航海や観艦式での部外者乗艦数については、ある程度艦種により決まっています。
護衛艦でも、DDタイプでいくつもの種類があります。
・「ゆき型」「きり型」
・「あめ型」「なみ型」
DDタイプだと、大体250〜300名が乗艦者数として可能です。
図1 体験航海の時
引用URL:http://www.atlas-web.com/kansen/PA2499051.jpg
DDG・DDHになると少し人数が増え、「ひゅうが」以降のDDHでは乗艦者数が多くなります。
図2 DDHいせ
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/formal/kankan/2012/gallery/img/20121008/20121008_24.jpg
体験航海では、約6時間程度の航行を想定しています。
1.2 安全かつ適切な保護ができる人数
DDHでも確か体験航海乗艦者数は、800人以下に制限されています。
これは、安全かつ適切に乗艦者を保護できる人数から決められています。
約3分の1の人数が艦内に収容でき、体調不良者を手当てできる数から決められています。
その他、各種艦艇においても乗員の約2倍程度が体験航海の定員となっています。
(「内訓:内部訓令」で規定があったはずです。)
1.3 意外と馬鹿にできない乗艦者の体調不良!
体験航海では、航海のほかに艦内各所での案内・イベントの開催を行いますが、時意外と馬鹿にできないのが、乗艦者の体調不良対処です。
艦艇の体験航海に付き物なのが、船酔い・疲労による体調不良です。
慣れない艦艇で、硬い廊下甲板により結構疲労を訴える人がいます。
大体乗艦者の2割程度が体調不良となる前程で、体験航海は準備しています。
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(2)在外邦人退避では、1艦400人程度が限界!
在外邦人退避活動(RJNO)においては、体験航海よりも人数を乗艦させて行動することになります。
艦艇は、可能な限り乗艦させて行動することになります。
この場合、どのくらいの人数が乗艦できるでしょうか?
2.1 検討では1艦400人程度!
現職時代に、在外邦人退避行動での艦艇による退避行動の検討資料を見たことがあります。
護衛艦でRJNOを行う場合、約400人程度が限界という結論でした。
理由として、
・自艦防護や警戒行動航空機運航による収容区画の制限
・艦内での給養・水補給の限界
が挙げられます。
2.2 食事・休憩がRJNOのネック!
護衛艦や輸送艦で、在外邦人退避行動を行う場合に見落とされがちなのが給養・補給です。
乗艦数自体は、いろいろなスペースを確保すればできるかもしれません。
問題は、退避してきた邦人への食事・休憩場所です。
食事を作る厨房(ちゅうぼう)スペースは、意外と狭いところです。
図3 輸送艦の厨房
引用URL:https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn%3AANd9GcT-KFLaFvV3C0AV_Ct1LG6qAeVab3CEdH74j99WyWkAf4tq3E73
厨房の給養能力を最大限に高めても、あまり多くの食事が作れないという面があります。
また、真水精製能力が意外と問題となります。
料理や水分補給・医療・風呂などでかなりの水を使います。
そのため、輸送艦「おおすみ型」・練習艦「かしま」を動員してもかなり厳しい状況です。
(真水精製能力の高い艦艇)
2.3 大型客船の能力のほうが上になる。
在外邦人退避活動(RJNO)にて、船舶を活用するのであればクルーズ客船のほうがかなり優位です。
ただ、危険地帯には護衛艦が向かい、中継点でクルーズ客船に移乗してもらうのが有益でしょう。
ある時、クルーズ客船の造水装置の能力が1日1000トンと聞いた時、機関科の愕然とした顔が忘れらません。
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(3)客船を退避活動に使うのは有効!
防衛省では、「はくおう」をPFIにて借り上げしています。
図4 はくおう
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/はくおう#/media/ファイル:はくおうIMGP1452.JPG
輸送能力ばかりに注目されていますが、意外と救援拠点船としての活用ができる船です。
導入前の検討では、部内にも疑問視する声があったのは事実です。
しかし導入すると、護衛艦・輸送艦以上の給養・補給能力の高さが際立ちました。
収容能力の大きさからも、今後も運用されることが期待されます。
艦艇と共に「はくおう」のような船が、RJNOには有効ですよ!
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