(2018年投稿記事です。)
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イージスアショアの導入をめぐって、近年の緊張緩和などで導入を疑問視する声が出ています。
また日本ではイージス艦が、8艦まで増強されていきます。
なぜイージスアショア導入が必要なのか?イージス艦増強だけではだめなのか?
前回記事で不足していた部分を解説してみたいと思います。
(参考記事):イージスアショアを弾道ミサイル防衛で導入を断固として実施せよ!
(前回記事):『海上自衛隊ペンギン1等海尉になりました!』
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(1)イージスアショアとイージス艦のコンセプト・任務を再確認!
BMDにて、一番認識のずれがあると感じられるのは
・イージスアショア
・イージス艦
この2つについて、弾道ミサイル防衛(BMD)にて任務が重複していると誤解されている部分です。
イージスアショアとイージス艦、どちらもAEGISシステムを使用しています。
しかし両者には、コンセプト(概念)・任務内容に大きな違いがあります。
まずは、この部分を整理してみましょう。
1.1 イージスアショアのコンセプト・任務は「弾道ミサイル防衛」
最初にイージスアショアのコンセプト・任務としては、
『弾道ミサイルなどの脅威から、陸上地域の防空態勢を行う』
これが、イージスアショアのコンセプト・任務です。
その手段の一環として、BMD対処能力のあるAEGISシステムを陸上に設置したのが、イージスアショアです。
図1 イージスアショア(ルーマニアの施設)
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/pXMig5ym0HU/maxresdefault.jpg
1990年代以降、弾道ミサイル技術が世界に拡散して不安定な情勢が発生したことに対するコンセプトとして登場しました。
1.2 イージス艦の任務は複合脅威に対する艦隊防空+BMD
イージス艦は、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦やアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が登場しています。
これらイージス艦のコンセプト・任務は、
『ソ連による爆撃機+ECM+ASM+潜水艦+USMの複合脅威に対する艦隊防空』
(最初の開発コンセプト)
となっておりました。
冷戦終結後に、AEGISシステムの発展性を利用する形で、
『弾道ミサイル防衛(BMD)、巡航ミサイル防御の中核』
という、追加されたコンセプト・任務が与えられました。
図2 イージス艦(CG−47DDG-51)
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/
イージス艦は、最初からBMDに対応していたわけではありません。
冷戦終結後の、新たな任務付与であり、本質は艦隊防空艦です。
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(2)日本におけるBMDのイージス艦の位置付け
日本でのBMDにおけるイージス艦の位置付けは、PAC3と共に迎撃の中核となっています。
図3 BMD整備運用構想(イージスアショア導入前)
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/images/main02.jpg
2.1 イージス艦が重要目標艦(HVU)となってしまった。
日本においては、6隻が整備され将来的には8隻のイージス艦が導入されます。
しかし日本においてイージス艦は、1500億円以上の費用をかけた高価値艦(HVU)となってしまいました。
本来は艦隊防空の量産型駆逐艦が、重要目標艦(HVU)となってしまいました。
2.2 BMD対処中は周辺艦の防護が必要になった。
現在のSPY-1Dでは、BMD対処中に他の目標探知撃墜などの任務が困難になっています。
(レーダーリソースの問題:NIFC-CA導入前)
そのため、19DD(あきづき型護衛艦)による周辺防護(LAD)が必要になっています。
図4 19Dの運用構想(政策評価調書から)
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/18/jizen/sankou/01.pdf
本来守るための護衛艦が、BMD対処では守られる側になっています。
またBMD対処のためイージス艦を常時展開となると、本来任務の護衛隊群の防空任務がおろそかになってきます。
2.3 BMDの多層化としてイージスアショアをトレード・オフで選択
元々日本のBMD構想は、イージス艦+PAC3の2層防衛で守りが薄いところがありました。
そのためAEGISシステムのトレード・オフの思想にて、
・『弾道ミサイル防衛用のイージスアショア』
・『艦隊防空など多用途のイージス艦』
という2つの目的分離にて、BMDの多層化が実現します。
しかしながらイージス艦・イージスアショア共に、メリット・デメリットが存在するためイージス艦のデメリットを補う形で、イージスアショアの導入が最善なのです。
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(3)プラットフォーム中心主義を捨て去る発想が必要!
BMD構想では、目に見えた装備に目が行きがちです。
図5 DDG-179「まや」進水式
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_PAO/status/1023889602170433537
しかしながら、時代は変化をし続けています。
プラットフォーム(としてのイージス艦)にこだわり続けると、新たな脅威への対応が難しくなります。
(ロフテッド軌道の弾道ミサイルなど)
あくまでイージス艦・イージスアショアも、センサー・シューターとして考える時代になってきています。
3.1 NCW(Network-Centric-Warfare)(ネットワーク中心の戦い)
今後、戦闘の優越を決めるのはNCWにかかってきます。
図6 NCWの一つ(統合戦術データリンク)
引用URL:http://www.mod.go.jp/trdi/org/pdf/27yosan.pdf
イージスアショアもイージス艦も、NCWを生かしていくための装備です。
イージスアショアの導入により、イージス艦の任務の自由度が増えるメリットがあります。
BMDは、イージス艦にイージスアショアが加わり、より選択肢が増えるといってよいでしょう。
単に、イージス艦を増強して今後30年維持整備していくよりは、イージスアショアのほうが安上がりです!
(艦艇開発隊で叩き込まれたイージスシステムの知識は、かなりの財産になりました)
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