2018年12月01日
中小企業の現状を再確認しようA
変化が激しい経済社会環境の中で先行き不安や
大企業による大規模な業界再編、少子高齢化に
よる国内マーケットの縮小、急速なグローバル
化による海外企業の日本進出、日本企業の海外
進出による国内産業の空洞化等により中小企業
を取り巻く環境は厳しさを増している。だが、
このような経営環境の中でも、廃業を検討して
いる経営者の約3割が同業他社より好業績業績
であり、半数は黒字高収益企業だ。ではなぜ廃
業を検討するのか?
それは事業を継続したくても、自分の後を引き
受けてやってくれる人、或いはやらせたい人が
いないのである。この後継者がいないのが最も
大きな原因になっている。中小企業の先行き不
安により、主な後継者候補である経営者の親族
が会社を継ぎたくないケースや、反対に息子や
娘が継ぎたいと思っていても今後想定される厳
しい世界で生き残り成長発展させるだけの能力
を子供が兼ね備えていないため継がせることが
できないというケースも散見される。
経営者交代率も減少しており1975年〜1985年
の10年間で平均約5.0%あった経営者交代率が
2011年には2.5%にまで落ち込んでいる。これら
の現状を踏まえた上での対策が求められる。
また、時代や価値観の変化により、子供が親の
会社を継ぐことが当たり前ではなくなってきて
いる。家督相続はもう昔の話で子供達は家業が
あろうがなかろうが自由な意思に基づき自分の
人生を切り開くのが当然だと思っている。その
為、子供達は親元を離れそれぞれのワークライ
フを確立させていくのが殆どだ。そういった場
合、事業を承継させる訳にはいかず、そこで親
族以外に会社を承継する人物として役員や従業
員を検討することになる。
その場合、会社員である社員が会社を引き継ぐ
ためには解決しなければならない課題が多くあ
る。未上場企業の場合、資本と経営の分離が行
われていないため後継者は高額な会社の株式を
購入し、会社の経営権を取得しなければならな
い。業歴の長い会社ほど株価が高くなっている
のが一般的で会社員がそれを買い取るだけの資
金を用意するのはムリだろう。さらに、社長は
銀行からの借入の際に個人保証をしているケー
スが多い。経営権を引き継ぐということはこれ
らも社長より引き継がなくてはならないし、そ
れらも承継されない限り、銀行も承継を認めて
くれない。万が一会社の業績が悪化した際には
個人資産を全て失うどころか、それ以上に多額
の借金を負う可能性がある。本人がいくら経営
者になりたいからそれでもいいと言っても家族
が許さないだろう。
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