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2021年03月14日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,81


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,81



と言いつつ、私の背中に腕を回してワン・ステップの歩み方を教えた時、私はどんなにこの真っ黒な私の顔が彼女の肌に触れない様に、遠慮した事でしょう。



その滑らかな清楚な皮膚は、私にとってはただ遠くから眺めるだけで十分でした。

握手してさえ済まないように思われたのに、その滑らかな羅衣(うすもの)を隔てて彼女の胸に抱きかかえられてしまっては、私は全くしてはならないことをしたようで、自分の息が臭くは無かろうか、このにちゃにちゃした脂ッ手が不快を与えはしなかろうかと、そんなことばかり気にかかって、たまたま彼女の髪の毛一と筋が落ちて来ても、ヒヤリとしないではいられませんでした。



それのみならず夫人の体には一種の甘い匂いがありました。

「あの女ァひでえ腋臭(わきが)だ、とてもくせえや」



と、例のマンドリン倶楽部の学生たちがそんな悪口を言っているのを、私は後で聞いたことがありますし、西洋人には腋臭が多いそうですから、夫人も多分そうだったに違い無く、それを消すために始終注意して香水をつけていたのでしょうが、しかし私にはその香水と腋臭との交じった、甘酸っぱいようなほのかな匂いが、決して厭でなかったばかりか、常に言いしれぬ蠱惑(こわく)でした。



それは私に、まだ見たことも無い海の彼方の国々や、世にも妙なる異国の花園を思い出させました。

「ああ、これが夫人の白い体から放たれる香気か」

と、私は恍惚となりながら、いつもその匂いを貪(むさぼ)るように嗅いだものです。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,80


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,80



ナオミの手だって、しなやかで艶があって、指が長々とほっそりしている、勿論優雅でないことは無い。

が、その「白い手」はナオミのそれの様に華奢すぎないで、掌(たなごころ=てのひら)が厚くたっぷりと肉を持ち、指もなよなよと伸びていながら、弱弱しい薄っぺらな感じが無く、太いと同時に美しい手だ。



と、私はそんな印象を受けました。そこにはめている眼玉の様にギラ。ギラした大きな指輪も、日本人ならきっと厭味になるでしょうに、かえって指を繊麗(せんれい)に見せ、気品の高い豪奢な趣を沿えています。



そして何よりもナオミと違っていたところは、その皮膚の色の異常な白さです。白い下に薄い紫の血管が、大理石の斑紋を想わせるように、ほんのり透いて見える凄惨さです。



私は今までナオミの手を玩具にしながら、

「お前の手は実に綺麗だ、まるで西洋人の手の様に白いね」

と、よくそう言って褒めたものですが、こうして見ると、残念ながらやっぱり違います。



白いようでもナオミの白さは冴えていない、いや、一旦この手を見た後ではどす黒くさえ思われます。

それからもう一つ私の注意を惹いたのは、その爪でした。



十本の指頭の悉(ことごと)くが、同じ貝殻を集めたように、どれも鮮やかに小爪が揃って、桜色に光っていたばかりでなく、

大方これが西洋の流行りなのでもありましょうか、爪の先が三角形に、ぴんと尖らせて切ってあったのです。



ナオミは私と並んで立つと、一寸ぐらい低かったことは、前に記した通りですが、夫人は西洋人としては小柄のように見えながら、

それでも私よりは上背が有り、かかとの高い靴を穿いているせいか、一緒に踊るとちょうど私のあたまとすれすれに、彼女の露わな胸がありました。



夫人が初めて、

”Walk with me!”





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。

三国志演義朗読第60回vol,3(全10回)


押忍紫ハート

【文学通】なりたい人だけ寄っといで!!

元、県立高校国語教諭30年勤務

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三国志演義朗読第60回vol,3(全10回)



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