新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2021年03月07日
「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,74
「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,74
「僕かい?僕はもう半年もやっているのさ。けれど君なんか器用だから、すぐ覚えるよ、ダンスは男がリードするんで、女はそれに喰っついて行けりゃいいんだからね」
「あの、ここにいる男の方はどんな人が多いんでしょうか?」
私がそう言うと、
「はあ、これですか」
と、浜田は丁寧な言葉になって、
「この人たちは大概あの、東洋石油株式会社の社員の方が多いんです。杉崎先生の御親戚が会社の重役をしておられるので、その方からのご紹介だそうですがね」
東洋石油の会社員とソシアル・ダンス!
随分妙な取り合わせだと思いながら、私は重ねて尋ねました。
「じゃあ何ですか、あのあすこにいる髯の生えた紳士も、やっぱり社員何ですか」
「いや、あれは違います、あの方はドクトルなんです」
「ドクトル?」
「ええ、やはりその会社の衛生顧問をしておられるドクトルなんです。
ダンスぐらい体の運動になるものは無いと言うんで、あの方は寧ろそのためにやっておられるんです」
「そう?浜さん」
と、ナオミが口を挟(さしはさ)みました。
「そんなに運動になるのか知ら?」
引用書籍
谷崎潤一郎「痴人の愛」
角川文庫刊
次回に続く。
三国志演義朗読第59回vol,2(全6回)
(^_-)-☆アスカミチル
【文学通】、
なりたい人寄っといで!!
元、県立高校国語教諭30年勤務
文学士アスカミチルがエスコート。
毎日更新。
来てね〜〜〜〜〜〜
(*´ε`*)チュッチュ
三国志演義朗読第59回vol,2(全6回)
https://youtu.be/A336R5r10Qc