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2021年02月16日

「現代日本の開花」講演本文 2/18

夏目漱石「現代日本の開花」明治44,8月和歌山講演 2/18





とそう言った所で何もただボンヤリ教壇に登ったわけでもないので、ここへ出て来るだけの用意は、多少準備して参ったには違いないのです。



もっとも私がこの和歌山へ参るようになったのは、当初からの計画ではなかったのですが、私のほうで近畿地方を所望したので、社のほうでは和歌山をその中(うち)へ割り振ってくれたのです。



お陰で私もまだ見ない土地や名所などを探る便宜を得ましたのは好都合です。



そのついでに演説をする、のではない演説のついでに玉津島だの紀三井寺などを見たわけですから、これらの故跡や名勝に対しても、空手では帰れません。



お話をする題目は、ちゃんと東京表で極(き)めて参りました。



その題目は「現代日本の開花」というので、現代という字は下へもってきても、上へ持ってきても同じことで、「現代日本の開花」でも、「日本現代の開花」でも大して私のほうでは構いません。



「現代」という字があって、「日本」という字があって、「開花」という字があって、その間へ「の」の字が入っていると思えば、それだけの話です。



何の造作もなく、ただ現今の日本の開花という、こういう簡単なものです。



その開花をどうするのだと聞かれれば、実は私の手際ではどうもしようがないので、私はただ開花の説明をして、後はあなた方の御高見にお任せするつもりであります。



では開花を説明して何になる?とこうお聞きになるかも知れないが、私は現代の日本の開花ということが、諸君によくお分かりになっておるまいと思う。





お分かりになっていなかろうと思うというと、失礼ですけれども、どうもこれが一般の日本人に能(よ)く呑み込めていないように思う。



私だってそれほど分かってもいないのです。



けれども先ず諸君よりもそんな方面に余計頭を使う余裕のある境遇におりますから、こういう機会を利用して、自分の思ったところだけをあなた方に聞いて頂こうというのが主眼なのです。



どうせあなた方も私も日本人で、現代に生まれたもので、過去の人間でも未来の人間でも何でもない上に、現に開花の影響を受けているのだから、現代と日本と開花という三つの言葉は、どうしても諸君と私とに切っても切れない離すべからざる密接な関係があるのは分かりきったことですが、それにもかかわらず、お互いに現代の日本の開花について無頓着であったり、または余りハッキリした理会を有(も)っていなかったならば、万事に都合が悪いわけだから、まあ互いに研究もし、また分かるだけは分からせておく方が、都合が好かろうと思うのであります。





引用書籍

夏目漱石講演記録文

「現代日本の開花」

講談社学術文庫

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