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2021年02月16日

「現代日本の開花」講演本文 6/18

夏目漱石「現代日本の開花」明治44,8月和歌山講演 VOL,6/18







その二通りのうち、一つは積極的のもので、一つは消極的のものである。



何か月並のような講釈をしてすみませんが、人間活力の発現上、積極的という言葉を用いますと、勢力の消耗を意味することになる。



またもう一つのほうは、これとは反対に、勢力の消耗をできるだけ防ごうとする活動なり工夫なりだから、前のに対して消極的と申したのであります。





この二つの互いに食い違って反りの合わないような活動が、入り乱れたりコンガラカッたりして、開花というものが出来上がるのであります。





これでもまだ抽象的で、能(よ)くお分かりにならないかも知れませんが、もう少し進めば、私の意味は自ら明瞭になるだろうと信じます。



元来人間の命とか生とか称するものは、解釈次第でいろいろな意味にもなり、またむつかしくもなりますが、要するに、前(ぜん)申したごとく、活力の示現とか進行とか持続とか評するより外に致し方のないものである以上、この活力が外界の刺激に対してどう反応するかという点を細かに観察すれば、それで吾人(ごじん)人類の生活状態も、ほぼ了解ができるようなわけで、その生活状態の多人数の集合して過去から今日に及んだものがいわゆる開花に外ならないのは今更申し上げるまでもありますまい。



さて我々の活力が外界の刺激に反応する方法は、刺激の複雑である以上、固(もと)より多種多様千差万別に違いないが、要するに刺激の来るたびに、吾が活力の成るべく制限節約して、できるだけ使いまいとする工夫と、また自ら進んで適意の刺激を求め能(あた)うだけの活力を這裏(しゃり)に消耗して快を取る手段との二つに帰着してしまうよう私は考えているのであります。





で前のを便宜のため活力節約の行動はどんな場合に起こるかといえば、現代の吾々が普通用いる義務という言葉を冠して形容すべき

性質の刺激に対して起こるのであります。



従来の徳育法及び現今とても教育上では好んで義務を果たす敢為邁往(かんいまいおう)の気象を奨励するようですが、これは道徳上の話で、道徳上しかなくてはならぬ若しくはしかする方が社会の幸福だというまでで、人間活力の示現を観察して、その組織の経緯一つを司る大事実からいえば何(ど)うしても今私が申し上げたように、解釈するより外、仕方がないのであります。





引用書籍

夏目漱石「現代日本の開花」

講談社文庫刊行




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