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2021年02月16日

「現代日本の開花」講演本文 13/18

夏目漱石「現代日本の開花」明治44, 8月和歌山講演 VOL,13/18





粗末な説明ではあるが、つまり吾々が内発的に展開して十の複雑の程度に開花を漕ぎつけた折も折、図らざる天の一方から急に二十三十の複雑の程度に進んだ開花が現れて、俄然として吾らに打って懸かったのである。



この圧迫によって吾人は止むを得ず不自然な発展を余儀なくされるのであるから、今の日本の開花は地道にのそりのそりと歩くのでなくって、やッと気合を懸けてはぴょいぴょいと飛んでいくのである。





開花のあらゆる階段を段々に踏んで、通る余裕を持たないから、できるだけ大きな針でぼつぼつ縫って過ぎるのである。



足の地面に触れる所は、十尺を通過するうちに僅か一尺くらいなもので、他の九尺は通らないのと一般である。



私の外発的という意味は、これでほぼ御了解になったろうと思います。



そういう外発的の開花が、心理的にどんな影響を吾人に与うるかというと、ちょっと変なものになります。



心理学の講演でもないのに、難しいことを申し上げるのもいかがと存じますが、必要の箇所だけをごく簡易に述べて、再び本題に戻る積りでありますから、しばらくご辛抱を願います。



我々の心は絶え間なく動いている。



あなた方は今私の講演を聴いておいでになる。



私は今あなた方を前において、何か言っている。



双方ともにこういう自覚がある。



それにお互いの心は動いている。



働いている。



これを意識というのであります。



この意識の一部分、時に積もれば一分間位のところを、絶え間なく動いている大きな意識から切り取って調べてみると、やっぱり動いている。



その動き方は、別に私が発明したわけでも何でもない、ただ西洋の学者が書物に書いた通りをもっともと思うから紹介するだけでありますが、すべて一分間の意識にせよ、三十秒間の意識にせよ、その内容が明瞭に心に映ずる点から言えば、のべつ同程度の強さを有して時間の経過に頓着無く、あたかも一つ所にこびり付いたように固定したものではない。



必ず動く。



動くにつれて、明らかな点と暗い点が出来る。



その高低を、線で示せば平たい直線では無理なので、やはり幾分か勾配のついた弧線、すなはち弓形の曲線で示さなければならなくなる。



引用書籍

夏目漱石「現代日本の開花」

講談社学術文庫刊行






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