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2021年02月16日

「現代日本の開花」講演本文 5/18

夏目漱石「現代日本の開花」明治44,8月和歌山講演 VOL,5/18





でいよいよ開花に出戻りをいたしますが、開花というものも、汽車とか蠅とか巡査とか騎兵とかいうようなものの如くに動いている。



それで開花の一瞬間を取って、カメラにピタリと入れて、そうしてこれが開花だと提げて歩くわけにはいきません。





私は昨日和歌の浦を見物しましたが、あすこを見た人のうちで、和歌の浦はたいへん浪の荒いところだという人がある。



かと思うと、非常に静かなところだという人もいる。



どっちが宜いのか分からない。



だんだん聞いてみると、一方は浪の非常に荒い時に行き、一方は非常に静かな時に行った違いから話がこう表裏して来たのである。



固より見た通りなんだから、両方とも嘘ではない。



が両方とも本当でもない。



これに似よりの定義は、あっても役に立たぬことはない。



が、役に立つと同時に害をなすことも明らかなんだから、開花の定義というのも、なるべくはそういう不都合を含んでいないようにいたしたいのが、私の希望であります。



が、そうすると、ボンヤリしてくる。



恨むらくは、ボンヤリしてくる。



けれどもボンヤリしても、外のものと区別ができればそれで宜いでしょう。



さっき牧君の紹介があったように夏目君の講演は、その文章のごとく、時とすると門口から玄関へ行くまでにうんざりすることがあるそうで、誠にお気の毒だが、なるほど遣ってみるとその通り、これまでようやく玄関まで着きましたから、思い切って本当の定義に移りましょう。



開化は、人間活力の発言の経路である。



と私はこういいたい。



私ばかりじゃない、あなた方だってそういうでしょう。



もっともそういった所で、別に書物に書いてあるわけでも何でもない、私がそう言いたいまでのことであるが、その代わり珍しくもなんともない。



がこれすこぶる漠然としている。



前口上を長々述べ立てた後で、このくらいの定義をご吹聴に及んだだけではあまり人を馬鹿にしているようですが、まあそこから定めて掛からないと曖昧になるから、実は已(や)むを得ないのです。



それで人間の活力というものが、いま申す通り時の流れを沿うて発現しつつ開花を形作って行くうちに私は根本的に性質の異なった二種類の活動を認めたい、否(いな)確かに認めるのであります。





引用書籍

夏目漱石「現代日本の開花」

講談社文庫刊


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