2016年02月24日
【 ドイツで列車正面衝突 】 原因は?
2月9日火曜日早朝、ドイツはバイエルン州のバードアイブリングで列車の正面衝突事故が起き、11人死亡80人以上の重軽傷者を出しました。
事故が起きた場所は単線で、丁度カーヴをしている所なのですが、時速100 km以上の速度で、ブレーキをかけず正面衝突したと思われます。
それにしてもいったい何故このような大事故が起きたのでしょうか?
この東西に延びている単線の西側の駅がアイブリング クアパークで、東側がコルベルモーアと言いますが、この両駅を結ぶ単線で6時48分に事故が発生しました。
この単線では通常赤信号で列車が進入してきた場合、自動的に急停車するようになっており、3つのブラックボックスからは、機械的な故障はないと確認されました。
それでは一体なぜ2台の列車が同時に進入できたのでしょうか?
上記の表を見ていただくとわかるのですが、本来ローゼンハイム行き電車はコルベルモーアに6時44分に到着していなくてはならず、その電車の到着を待ってからホルツキルヒェン行きが発車することになっていました。
ところが、ローゼンハイム行きが4分ほどの遅れをとっていたんです。
事故の原因はその時間担当していた運転業務主任 (39) が特別シグナルを出していたことが、致命的なミスにつながってしまったのでした。
この特別シグナルは赤信号の下に3つの光が点滅し、運転士にとって「赤信号であってもゴーサイン」なのだそうで、そうすると赤信号の機能がなくなるという仕組みになっています。
なので、電車が急停車せずに運行を追行することになります。
遅れをとっていたコルベルモーア行きの列車は、本来赤信号であるべきだったはずが、業務主任の出したシグナルの指示に従い、列車の運行がなされました。
一度は列車が急停車したのですが、改めて業務主任の出したシグナルで、再び発車。この作業を再度追行。
緑の信号が出ているホルツキルヒェン行きは時間通り運行開始。
その結果ブレーキもかけない状態で2台の列車が正面衝突。
両電車の運転手含め11人死亡、80人余の重軽傷者を出す大惨事に発展したのでした。
何キロ先にもこの時の衝撃音が聞こえたとあります。
また山岳の中のカーヴという地形のために救急車が乗り入れることができず、ヘリコプターや、隣接している川を利用しボードで負傷者を運ぶという難作業に500人以上の救助隊、ヘリとボートの15台以上の出動が余儀なくされました。
不幸中の幸いにもこの時期、ミュンヘンでは丁度謝肉祭休暇で、児童は乗っておらず、通勤者も少なかった様です。
ところで、この20年の経歴のある運転業務主任は今いったいどのような状態なのでしょうか?
事故が発生する少し前、自分の過失に気づき、すぐに特別無線機で連絡するも、一台は衝突寸前、もう1台はすでに時遅しという顛末でした。
事故直後には、椅子から崩れ落ち、茫然自失だったそうです。
すぐに警察当局の身柄拘束がありましたが、最初は黙秘権で検察の取調べが行われたのは約1週間後。
本人は過失を認め、アルコールや薬物の検出は見られなかったようです。
検察側でも「意図的な要素はなし」との判断で、おそらく業務上過失致死の罪で懲役5年くらいだろうとの予想です。
衰弱がひどく、自殺の可能性もあるため、監視が必要だとのこと。
ところで、過去にも一度同じ場所で列車の正面衝突事故が起きています。
第二次大戦直後1945年5月8日ドイツナチが連合軍に降伏した20日後、兵隊達を乗せた列車は夜中の11時に無人の電車と正面衝突(止まってたのでしょうか?)。
今回の事故現場から800メートルほどしか離れていないところでした。
それにしても、この人員の作業を入れなければならないドイツのダイヤの仕組みというのは、どういったものでしょう。
単線に於いてのダイヤ調整には懇親の注意を払わなければなりません、しかし人間は完璧ではないのだから、ミスが起きることもあるのではないでしょうか?たとえあってはならないことだとしてもです。
人間が介入するのはほんの少しの補佐程度か、コントロールくらいで、あとはコンピューターで安全対策を講じられないものでしょうか・・・。
これだけITが発達している今日、未だに「手作業」でダイヤ調整をしているドイツのシステムにも疑問を感じます。
信号だけでなく、レールそのものや、単線に差し掛かる付近にはセンサー等で、両サイドから電車が進入してきた場合にストップするように設置するのは難しいことなのでしょうか?
日本のあれほど複雑な鉄道網に於いて、しかも分刻みに運行されているダイヤの仕組みがどれほどのものか想像できませんが、このような形の事故が置きた事は聞いたことがありません。
事故で亡くなった方々のご冥福を心からお祈りします。
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