2015年11月05日
2015年度高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者 ヴォルフガング・ライプ氏のアート
先日お客さんから、「芸術的なノーベル賞に匹敵する大きな賞をドイツ人が受賞した」というのを聞いて、ネットで調べたら、なるほど、こんな大きな賞が日本にあるとは知らなんだ・・・。
いつもつくづく思うことは、自分の知ってる世界って、ほんと限られてるんですよね・・・。
お客さんや、友人などから色々聞いて、初めて知る世界が沢山あります。
彼はどんな作品を作るの?どんなひと?
見かけはまるで僧侶のような、とても謙虚な感じのお方です。
ドイツ語のネットで調べてみたら、ますます彼の作品に感動しました。ここでは私の調べたことをご紹介します。
ライプ氏は1950年に医者の家庭に生まれ、チュービンゲン大学で医学を学ぶけれど医者にはならず、芸術の世界に身を投じたという稀有な人物。しかし芸術を大学で専攻したわけではなく、独自の方法で道を固めます。
彼曰く、「大学で美術を学んでいる学生たちは世界がどういうものかを知らないまま、学術的な勉強に専念してしまう。」と。
インタヴューの中で、どうして医者にならなかったのか?という質問に、「インドで卒業論文を書いてるときに、丁度卵型のオブジェを造っていて、その時、自分は医者にならないと決めた。」そうです。
また医学部で一番ショックを受けたことは、「その専門分野でずいぶん有名な教授が実際には助けにならないということを実感した。」「自分のインドにある家の庭師のほうが1光年先も役に立つ。」といいます。彼はインドの他南ドイツにも家があり、ここがアトリエになっているようです。
私は芸術的なことは良く分からないのですが、彫刻部門というと、なんかロダンの「考える人」とか、固いイメージを想像してしまうのですが、彼の作品は「造形」が主で、逆に「仮の姿、壊れやすい、はかない」という「無常」がテーマになっています。
例えば「花粉」を使ってのオブジェ。
花粉って聞いただけで、花粉症を患っている人にとってはくしゃみがでそうですが、彼が38年以上(38年間って途方もない時間に思えませんか?)にも渡って自ら集めた花粉を使い、スクウァを床に描いたり、小さな山を造ったり、風が吹いたら飛んでいってしまうのでは、なんて余計な心配をしてしまいます。
この真黄色な花粉がおおきな四角を、深閑なフロア上に描いてあるのを写真でみると、なんとも燐とした気分になってきます。実際に見たらもっと圧巻だろうなぁ・・・って想像に難くないです。
この花粉は主にヘーゼルナッツだそうですが、収集が大変でしょう?という質問に「自分にとってはこれが全く普通の生活。創作のヒントもここで得られる。またここが草木の生まれる原点でもある。」
また蜜蝋や米、大理石とミルクも彼の作品の材料として使われています。
例えば1200kgもの蜜蝋を使って、階段式のピラミッドを造ったり、数十メートルもの長さの「蜜蝋の部屋」の中にLEDランプを照らし、部屋が暖かくなるとともにほのかな蜜の香りが充満します。
白い大理石の、手で彫った1m程度のすこしだけ凹んだ部分に、白いミルクを流し込んであるオブジェは、なんとも優しさに溢れています。
このミルクは展示会開催中は毎日取り替えられるんだそう。
因みに彼を一気に有名にならしめたのが、この「ミルヒシャーレ」「ミルクストーン」という作品。
彼の作品はその場限りの造形が多いので、「芸術品を買い取る」ということはありますか?という質問に、「ありがたい事に自分の作品を金銭的な目的で買う人はいません。でも今まで蜜蝋の作品を買い取りたいという人を2人断った。」ということです。
彼の作品は一見何の変哲も無いように見えるのですが、そのひとつひとつが実は途方も無い時間をかけた材料で造られているので、思わず敬礼したくなっちゃいます。
受賞に関しての主な情報はこちらをご覧ください。
いつもつくづく思うことは、自分の知ってる世界って、ほんと限られてるんですよね・・・。
お客さんや、友人などから色々聞いて、初めて知る世界が沢山あります。
彼はどんな作品を作るの?どんなひと?
見かけはまるで僧侶のような、とても謙虚な感じのお方です。
ドイツ語のネットで調べてみたら、ますます彼の作品に感動しました。ここでは私の調べたことをご紹介します。
ライプ氏は1950年に医者の家庭に生まれ、チュービンゲン大学で医学を学ぶけれど医者にはならず、芸術の世界に身を投じたという稀有な人物。しかし芸術を大学で専攻したわけではなく、独自の方法で道を固めます。
彼曰く、「大学で美術を学んでいる学生たちは世界がどういうものかを知らないまま、学術的な勉強に専念してしまう。」と。
インタヴューの中で、どうして医者にならなかったのか?という質問に、「インドで卒業論文を書いてるときに、丁度卵型のオブジェを造っていて、その時、自分は医者にならないと決めた。」そうです。
また医学部で一番ショックを受けたことは、「その専門分野でずいぶん有名な教授が実際には助けにならないということを実感した。」「自分のインドにある家の庭師のほうが1光年先も役に立つ。」といいます。彼はインドの他南ドイツにも家があり、ここがアトリエになっているようです。
私は芸術的なことは良く分からないのですが、彫刻部門というと、なんかロダンの「考える人」とか、固いイメージを想像してしまうのですが、彼の作品は「造形」が主で、逆に「仮の姿、壊れやすい、はかない」という「無常」がテーマになっています。
例えば「花粉」を使ってのオブジェ。
花粉って聞いただけで、花粉症を患っている人にとってはくしゃみがでそうですが、彼が38年以上(38年間って途方もない時間に思えませんか?)にも渡って自ら集めた花粉を使い、スクウァを床に描いたり、小さな山を造ったり、風が吹いたら飛んでいってしまうのでは、なんて余計な心配をしてしまいます。
この真黄色な花粉がおおきな四角を、深閑なフロア上に描いてあるのを写真でみると、なんとも燐とした気分になってきます。実際に見たらもっと圧巻だろうなぁ・・・って想像に難くないです。
この花粉は主にヘーゼルナッツだそうですが、収集が大変でしょう?という質問に「自分にとってはこれが全く普通の生活。創作のヒントもここで得られる。またここが草木の生まれる原点でもある。」
また蜜蝋や米、大理石とミルクも彼の作品の材料として使われています。
例えば1200kgもの蜜蝋を使って、階段式のピラミッドを造ったり、数十メートルもの長さの「蜜蝋の部屋」の中にLEDランプを照らし、部屋が暖かくなるとともにほのかな蜜の香りが充満します。
白い大理石の、手で彫った1m程度のすこしだけ凹んだ部分に、白いミルクを流し込んであるオブジェは、なんとも優しさに溢れています。
このミルクは展示会開催中は毎日取り替えられるんだそう。
因みに彼を一気に有名にならしめたのが、この「ミルヒシャーレ」「ミルクストーン」という作品。
彼の作品はその場限りの造形が多いので、「芸術品を買い取る」ということはありますか?という質問に、「ありがたい事に自分の作品を金銭的な目的で買う人はいません。でも今まで蜜蝋の作品を買い取りたいという人を2人断った。」ということです。
彼の作品は一見何の変哲も無いように見えるのですが、そのひとつひとつが実は途方も無い時間をかけた材料で造られているので、思わず敬礼したくなっちゃいます。
受賞に関しての主な情報はこちらをご覧ください。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/4348447
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック