概要飯島祐輔 5巻 06〜08
架空戦記っぽいノリの話に強引にロボットをねじ込んだような豪快な作品。実際に存在する軍艦の名前を持ったロボットが登場する。
世界観現代というか第二次世界大戦前あたりによく似た地球、しかし何かいろいろ違う。実際の歴史と微妙に違う形で歴史が進んでおり、
世界には大陸を繋ぐ巨大な橋がかけられている。ただし橋は水源がないため渡れないという時代が長く続いていた。
現代の文明が滅びてその記録が失われた後に復興した地球であることが示唆されており、古代の技術が各所に眠っている。
民間伝承によって使い方がなんとなく伝わっている。
あらすじ第二次世界大戦前によく似た世界、ソ連は史実より早く共産主義化、そのまま軍事大国化したのだが、不凍港の不足とベーリング海峡の橋の崩落によって経済発展が妨げられていた
そこでソ連は西のポーランドに侵攻、3機の巡洋機を投入する。そこに突如現れた謎の大艦機「ヤマト」、何の前触れもなく空間から出現し3機のソ連巡洋機を修復不能になるまで破壊し消滅した。
その大艦機は日本軍を名乗り、ソ連のポーランド侵攻に抗議するとともに住民避難の時間稼ぎのために出撃したという。ソ連軍は現在のところ日本に対して攻撃する余裕がないためにそのまま欧州へと軍をすすめ、
新型超弩級大艦機ウラル級を出撃させたのである、そしてウラル級は今度はドイツを攻撃、ドイツ軍は兵力不足と新型のビスマルクの未完成もあって苦戦、イギリスの援軍が到着するもそれも壊滅、急遽おばちゃんがビスマルクを出撃させて何とかソ連軍を後退させる。
ソ連は何やら目的のために占領を考慮せずひたすら西へ進軍していた、その先にはフランスのマジノ線があったのである。
そのころヤマトのパイロットジンは、因縁のあるソ連のエージェントを発見し殴りかかるのだった、かつてジンの父親がジンとともにノモンハンで先史文明の遺跡を発掘していた時に、それを駆逐機で襲撃し、ジン以外を皆殺しにした男だったのである。
ソ連軍はそのままマジノ線への攻撃を仕掛け、マジノ線の発電装置が未完成なことを知りその弱点部分へ兵力を集中した、フランス軍はそれに対して新型大艦機リシュリューを出撃させるのだった…。
登場メカ日本
なんとなく違った歴史を歩いた日本。実際に日本が出てくる機会はあんまりない、劇中では日本周辺で空中戦が行われているくらい。
ヤマト:左甚十一郎
主役メカ、天才左博士が設計しており、その後治部博士が完成させた。パワーはウラル級と互角だが、動きがよりいいと言われている。さらに先史文明の転送機の力で
世界中どこにでも7〜8分程度の時間なら召喚可能である。そのためパイロットだけ移動させてその都度召喚できるため運営は非常にフレキシブル。
最終兵器としてガスタービンエンジンを搭載しているが、胸にタービンがモロに見えている状態で弱点にもなっている。
ムサシ:左甚十一郎
ヤマトと同型機、基本的にほぼヤマトと同じ。ヤマトが出撃できないので最終決戦ではこっちが使われた。ちなみに転送ではなく日本からはるばる輸送されたため時間制限なし。
長門:小柳彦九郎
旧型、鎧武者スタイルであり日本刀を装備しており大艦機を斬ることが出来るが刃こぼれしてしまうため一回の出撃で一回しか使えないという厄介な代物。
ただ突きは使える。
山城:楠運平
旧型、太い、重すぎてろくに動けない失敗作とソ連兵にディスられていたが、改良に改良を重ねておりそこそこ動けるようになっている。
陽炎級:左甚十一郎、香恋
雪風が確認できる。多脚型の大艦機、名前やサイズから多分駆逐機。質量が少ないので実態化可能時間が長い。
古鷹
危機に陥ったジンを救出した。
三笠
日露戦争で投入された最初の大艦機、南北戦争で作られた米軍の多脚砲台をさらに発展させたものであり、その装甲で強引に旅順要塞を陥落させた。
実は2000mしか歩けないが、要塞突破のためにはそれでもなんとなかった模様。
ソ連不凍港を求めて戦争を始めたはずだったが…?史実より歴史がいくらか前倒しになっている。
ウラル級
ソ連の新型弩級大艦機。劇中もっとも多く登場する弩級大艦機であり、終始ソ連の主力として稼働していた。
ディミトリー・ドンスコイ:マニコフスキー
ウラル級一番機、ゴミ取り権助の愛称?をつけられている。それ故に劇中ではよく権助と呼ばれてしまっている。
クロンシュタット級
ソ連軍の巡洋機、潜水服みたいな丸いゴーグルを装備した機体で、クロンシュタット級3機ないしウラル級に護衛として2機が随伴して登場することが多い。
戦力的にはそこそこ程度。量産されており劇中もっとも多数登場する。
ガングート級
旧型、ヤマトの捕獲用に2機が投入された。
ボロジノ級:ネボガトフ
駆逐機、複数機が確認できる、ノモンハンで使用されている。駆逐機はほかの大艦機とセットで使われることはないので、出番は乏しい。
レニングラード
ソ連の超巨大移動要塞。その実態は地球を回転させてソ連を温帯に移動させてソ連を温暖化させるための巨大ロケット。
イギリス
キングジョージ5世級:ガヴェンディッシュ
イギリスの大艦機、条約の範囲内で作られているため性能は微妙らしく、それを数で補う設計思想。外見的にあまり目立った特徴はなく、GMみたいなポジションだが生産数は最終回付近で僅か3機。
ソ連の侵攻を受けてキングジョージ5世とプリンスオブウェールズの2機が大陸へ渡ったが、キングジョージ5世は権助にあっけなく敗北し危機に陥る。
がビスマルクの乱入もありプリンスオブウェールズの方は生き残っており、クロンシュタット級を撃破している。
ドレットノート級
超弩級大艦機の始まり。今までの大艦機の2倍のサイズとそれ以上の運動性を誇った機体。先の大戦においてはこのドレットノート級が勝敗を左右したということらしい。
ドイツ先の大戦での敗戦によって大変だったが日本の援助で持ち直した、その際に多くの技術が日本に渡ったとされてい
ビスマルク:整備主任のおばちゃん
先の大戦によってドイツ軍が縮小されていたせいもあって開発が遅れ、ソ連の侵攻の際に未完成であった。急遽整備主任のおばちゃんが強引に起動させて迎撃、51pライフルを装備しており至近距離から権助に向かって連発していた。
ロクに試運転もしていないような状態での強引な出撃だったために結局危機に陥るが、態勢を立て直すための時間稼ぎはできたために権助を撤退に追い込めた。
その後はおばちゃんが正式にパイロットになって運用されていた。
シャルンホルスト
巡洋機、ビスマルクが未完成の状態でソ連軍を迎え撃つが権助にあっけなく破壊された。
フランスリシュリュー
マジノ線を防衛していた。機動性に特化しており、装甲は薄い。特殊合金製のエストックで敵の大艦機を穴だらけにする。
いつの間にか2号機のジャンバールが完成していた。
ダンケルク級
新型、多分巡洋機、小型だが無理のない構造。
アメリカアイオワ級
大戦への介入を模索するアメリカにより、アイオワとウィスコンシンの2機が義勇軍との名目で欧州に渡った。アメリカが国力にモノを言わせて作った4種の大艦機の一つ。
36pのハンドガン「375マグナム」を装備しているが、大艦機の銃は事実上大砲なので、なかなか照準が合わない、なので2機で連動して三角測量を行い命中精度を上げている。
そのため量産が前提となっており、星条旗砲の輸送に使われていた数からすでに5〜6機が生産されている(イギリスの主力超弩級大艦機が3機、ドイツ2機、フランス2機、イタリア1機という状態を考えると相当な数)。
ノースカロライナ級、サウスダコタ級、モンタナ級
アメリカが建造中の新型。どれがどれだかは不明だが最終回付近で星条旗砲を押してきた大艦機にデータなしのものが含まれていたが、これだったのかは不明。
星条旗砲
米軍の巨砲、デカすぎて大艦機10機近くが押してきてやっと戦場に到着した。
イタリアソ連にこびを売ったがアメリカとの戦闘で敗北してその後アメリカとの基地についての交渉を行っていたことが言及されているがフェードアウト気味。
ローマ
イタリアの次世代型超弩級大艦機らしい。巻末の解説でイタリア機だからかませとコメント。あえて言えばアキレスにいくらか鉄人要素を振りかけたような太いローマ風スタイル。
基地がコロッセオの中に作られており、発進の際にコロッセオを壊さないと出られないという欠陥を持つ。
装甲は固いのでアイオワのハンドガン程度ならある程度耐えられる模様。
コンテ・ディ・カブール
劇中で旧型の改装でクロンシュタット級やダンケルク級に準ずる性能とコメントされている。ローマの護衛として出撃、アイオワの腕をもぎ取っている。その後は動力が落ちかけたためにアイオワの足にしがみつきそのまま機能停止、ローマ撤退の時間稼ぎを行っている。
カイオ・ジュリオ・チェザーレ
コンテ・ディ・カブールと同型と思われる、ローマの護衛として共に出撃したが、アイオワと出合い頭にハンドガン攻撃を受けて瞬殺。その後ローマに引きずられて撤退したのを確認。
キャラ日本左甚十一郎
主人公、通常「ジン」、主人公的な性格。ノモンハンにて両親を失い、日本に命からがら帰還してその時にヤマトの事を知る。その後は各地をヤマトとともに転戦。
左甚十郎
ジンの父親。ノモンハンにてソ連の攻撃で死亡。
香恋
ヒロイン、先史文明の遺産のメイド型アンドロイド。
小柳彦九郎
ジンたちのリーダー、長門に乗っている。
楠運平
山城に乗っている人、3号機系。
格之進
執事。
頭領
忍者。
治武地博士
ジンの両親の友人で、両親を失ったジンを引き取った人物。ヤマトも彼が完成させた。
ソ連スターリン
ソ連の指導者。あくまで超未来の同姓同名の別人なので、顔はスターリンとは違う。
プロフェッサー・ドブロツウォリスキー
失われた先史文明の技術を研究している。
マニコフスキー
ディミトリー・ドンスコイのパイロット。
ネボガトフ
スパイ、8年前に甚十郎を殺害したがジンを取り逃がす。その後はヤマトをとらえようとして失敗、そのまま切り捨てられる。そして行き場を失ってジンたちと行動を共にするように。
イギリス
ガヴェンディッシュ
キングジョージ5世のパイロット。
ドイツ整備主任
おばちゃん、別にパイロットでもなんでもなく、勢いでビスマルクに乗り込んで戦闘、そのまま正パイロットに採用された。
いつもキレ気味。
イタリア
ムッソリーニ
ローマ出撃時にちょっと出てくるだけ、スターリンにこびを売れと堂々と言っている。
アメリカ
ルーズベルト
介入の事実を作るために義勇軍と称してアイオワ2機をヨーロッパに派遣した。
用語先史文明
失われた古代文明。所謂現代の地球の事と思われる。宇宙から飛来した病原菌によって人類のほとんどが死に絶えてしまい、文明は崩壊、チップや橋などの多数の遺産を残した。
多数の遺産のおかげか、この世界は20世紀であり現実の歴史と似た歴史を歩みながらも、より発展した世界になっている。
この漫画の人類は先史文明の崩壊のころに生まれた抗体を持った人類の子孫で、人口が激減してしまったために文明を維持できずにやり直しになってしまったとのこと。
チップ
先史文明の遺産の一つで、ロボットの制御を行うチップ、このチップの力によって20世紀前半〜中盤でありながらこの世界は巨大ロボット兵器が闊歩する世界と化している。
伝承によりロボットの制御を行うものだということはわかっていたが、技術がないためずっと使えなかった。
南北戦争で初めて大砲を乗っけた多脚戦車のようなものが開発されてそれの制御に使われ、その後日本が2足歩行型ロボット兵器を実用化した。
橋
先史文明の遺産で大陸や島を繋ぐ巨大な橋。しかし水源がないため巨大な砂漠を渡るようなものであり、結果的にわたることが出来ない時代が続いていた。
橋の位置は冒頭の地図を参照。鉄道が開通して渡れるようになったら、ターミナル駅を持つ国と持たない国で格差が生まれそれが新たな戦争の火種になったらしい。
※ちなみに海抜は平均3000mとか最大8000mらしいので水源以前に寒さと空気の薄さで渡れない気がする(特に本作の戦争の原因となっていたベーリング海峡の橋は崩落してなくても相当キツイ気がする、アラスカの平均気温は2.8Cとからしいので、それ基準でさらに3,000mとなると年中氷点下なわけで)
※地図を見た感じだと対馬海峡、ドーバー海峡、ジブラルタル海峡などは橋が架かっているのだが…その辺は距離が短いから渡れてしまう気がする。ちなみに劇中ではドーバー海峡が一度出てくるのみ。
感想架空戦記のノリに無理やりロボットをねじ込む豪快さが売り、で現実の軍艦の名前を乗っけた巨大ロボを登場させるという豪快さが楽しい、とりあえず次の大艦機出せーって思う、なんか正しく巨大ロボットなんだと思う、この作品。
7巻予定5巻だったらしく、そのせいか多分出られなかった大艦機もあったのだろう、その辺残念。