住用川をカヌーで下り、島特有の動植物群を眺めるのは、子供から大人まで楽しめる定番レジャー。とくに「黒潮の森マングローブパーク」から出発するツアーが、丁寧なガイドと手ごろな料金で人気です。
しかしここで一つ注意。パーク近くでランチしたくても、あまり飲食店がないんです。
併設のレストランはあって、軽食から名物料理まで楽しめてよいのですが「どうせならもう少しこだわって選んでみたい」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで紹介したい店があります。
国道58号沿い、マングローブパークから車で2,3分ほどのところにある
「つむぎ庵」
10人くらいでいっぱいになる小さな店で、つい見落としてしまいそうになりますが、この店なかなか個性が光っています。
地産地消をテーマに開発した、こだわりのメニューを提供するお店として2017年にオープン。「NPO法人奄美島おこしプロジェクト」が運営しています。
とくにスポットを当てている島の名産が、奄美の亜熱帯の特殊な気候がはぐくみ、漢方や薬膳で使われる薬草の数々。
代表的なものとして
「シマ桑」 亜熱帯性で一年中落ちないという特徴を持ち、ビタミン・ミネラル、食物繊維を豊富に含み、青汁の材料としても知られます。
「シマアザミ」 奄美大島や喜界島で古くから食され、ポリフェノールが豊富。さまざまな生活習慣病を防ぐオメガ3脂肪酸の一種「α-リノレン酸」を含みます
「長命草」 沖縄や奄美で獲れ、その名の通り長寿の薬として珍重。ポリフェノールの中でも「クロロゲン酸」「ルチン」などが豊富です。
つむぎ庵では、それらの薬草を自家農園で栽培。そして、それらをおいしく味わうメニューを数々用意しています
とくにおすすめするのが
奄美薬膳蕎麦セット(写真は大盛。サイドメニューが充実しているので普通盛りでもかなりのボリュームです)
シマ桑、シマアザミ、長命草を練り込んだ蕎麦は、自家製麺。太目でこしがあり、そばの風味に加え、薬草がかすかに香ります。薬草というと苦そう、強い香りがありそうに思えますが、さわやかに香る程度。
そして奄美と言えば黒豚です。伝統料理の「黒豚なんこつ」もセット(写真右上)
黒豚のお肉と軟骨をみそ味でじっくり煮込んだ料理。奄美の豚の魅力である、甘みのある脂身がフルフルとたまらない食感です。しっかり煮込んであるのでさほど「脂っこく」はありません。そして煮崩れた軟骨が、さくさく歯触りが良い。
そのほか、シマ桑、シマアザミ、長命草に加え、熱帯アジア原産で強い抗酸化作用を持つキク科植物「ハンダマ」が入った天ぷら、島で生みたての卵を使った温泉卵などなど、すべての料理に地産地消のこだわりが。
そして食事後にはデザート。
シマ桑の団子、アイスクリーム。
さいごまで薬草づくしです。
セットがおすすめではありますが、蕎麦が苦手な方にも、なんこつがたっぷり乗った「豚なんこつ丼」、なんこつを使った「カレー」もあります。
なお、カレーには島でとれる「秋ウコン」が使われています。肝臓に良いウコンですから、夜の黒糖焼酎への備えに食すのもよいでしょう(二日酔いにも優しい!)。
11時半から15時半までの営業でまさにランチ専門店。不定休のため、あらかじめご確認を。
https://goo.gl/maps/QKqMSbH5s6Zk5DZY8
鹿児島県奄美市住用町大字役勝87
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