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2019年02月22日
小児のNAFLDが低糖食で有意に改善
大人もまねしよう!
小児のNAFLD(脂肪が肝臓にたまるでけではなく、肝細胞がどんどん破壊される状態)が加糖の食品・飲料、天然の甘いフルーツジュースから一般的に摂取されるグルコース、フルクトース、スクロースを減少させるだけで、著明に改善!
小児のNAFLDが低糖食で有意に改善
2019年02月07日 17:31
Getty Images OcusFocus
小児の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は2型糖尿病、末期肝疾患、肝がん、心血管疾患のリスク増加と関連することから、長期的な健康には診断と迅速な治療が非常に重要となる。
米・Emory UniversityのMiriam B. Vos氏らは、10歳代の男子を対象にランダム化臨床試験を実施した結果、遊離糖(グルコースなど)の少ない低糖食は通常の食事と比較してNAFLDを有意に改善したとJAMA(2019; 321: 256-265)に報告した。
低糖食の効果はこれまで未証明
米国ではNAFLDの罹患率が1988年から2010年にかけて顕著に上昇し、小児で最も多い肝疾患となっている。男子の方が女子より多く、他の人種や民族に比べてヒスパニック系が多い。
Vos氏は今回の研究の背景について、「NAFLDの小児診療ガイドラインでは健康的な食事が推奨されているが、多量の糖が添加された食事や飲料を集中的に減らすことが有効な治療であることはこれまで証明されていなかった」と説明している。
今回の試験は、NAFLDの男子(11〜16歳)40例(ヒスパニック系が95%)を対象として2015年8月〜17年7月に実施された。
対象は低糖食群と対照群に1:1でランダムに割り付けられ、低糖食群は遊離糖含有量の少ない食事(1日のカロリー摂取量の3%未満)を家族とともに摂取し、対照群は各自の通常の食事を摂取した。週2回の電話で摂食の遵守状況が確認された。
低糖食群では、加糖の食品・飲料、天然の甘いフルーツジュースから一般的に摂取されるグルコース、フルクトース、スクロースを減少させることで、食事中の遊離糖を減少させた。
脂肪肝が顕著に改善
主要評価項目は8週間後の脂肪肝の変化とし、肝臓中の脂質を定量するMRIプロトン密度脂肪画分測定と呼ばれる最先端の正確な方法により測定した。
その結果、
ベースラインから8週間後の脂肪肝の減少幅は
対照群の21%→20%に対し、
低糖食群では25%→17%と有意に大きく、
調整後の平均差は−6.23%
(95%CI −9.45〜−3.02%、P<0.001)であった。
この他、12の副次評価項目も測定され、そのうち5つは有意な変化が認められた。
ALT値やコレステロール値の低下は、対照群より低糖食群の方が有意に大きかった。
また、低糖食群における低糖食遵守の状況は良好で、20例中18例が期間中、遊離糖からのカロリー摂取は3%未満であったと報告した。試験参加による有害事象は見られなかった。
今回の研究結果について、Vos氏は「低糖食を摂取したNAFLD児では、肝臓の脂肪と炎症がいずれも顕著に改善された。この結果に、われわれは興奮している」としながらも、「今後、より長期の試験を実施し、低糖食がNAFLDの"治癒"に十分かどうかを確認する必要がある」と述べている。
現実的な方法の確立が課題
筆頭研究者でUniversity of California, San DiegoのJeffrey B. Schwimmer氏は「医師が患者や家族にカウンセリングを提供しても、効果的な低糖食を長期間続けることは非常に難しい」と注意した上で、「今回、研究チームが全ての食事の計画、購入、提供を行った場合、患児とその家族は8週間まで低遊離糖食を続けられることが示された。あまり実用的な介入法とはいえないが、この種の介入は少なくとも短期的にはNAFLDのバイオマーカーを低下させることが示された」と指摘。
また、「男子と女子、さらには全ての民族で長期的な臨床的利益を示すため、また実際の診療で患者に低遊離糖食を実現するにはどうすればよいかを解決するため、さらなる研究が必要だ」と述べている。
小児のNAFLD(脂肪が肝臓にたまるでけではなく、肝細胞がどんどん破壊される状態)が加糖の食品・飲料、天然の甘いフルーツジュースから一般的に摂取されるグルコース、フルクトース、スクロースを減少させるだけで、著明に改善!
小児のNAFLDが低糖食で有意に改善
2019年02月07日 17:31
Getty Images OcusFocus
小児の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は2型糖尿病、末期肝疾患、肝がん、心血管疾患のリスク増加と関連することから、長期的な健康には診断と迅速な治療が非常に重要となる。
米・Emory UniversityのMiriam B. Vos氏らは、10歳代の男子を対象にランダム化臨床試験を実施した結果、遊離糖(グルコースなど)の少ない低糖食は通常の食事と比較してNAFLDを有意に改善したとJAMA(2019; 321: 256-265)に報告した。
低糖食の効果はこれまで未証明
米国ではNAFLDの罹患率が1988年から2010年にかけて顕著に上昇し、小児で最も多い肝疾患となっている。男子の方が女子より多く、他の人種や民族に比べてヒスパニック系が多い。
Vos氏は今回の研究の背景について、「NAFLDの小児診療ガイドラインでは健康的な食事が推奨されているが、多量の糖が添加された食事や飲料を集中的に減らすことが有効な治療であることはこれまで証明されていなかった」と説明している。
今回の試験は、NAFLDの男子(11〜16歳)40例(ヒスパニック系が95%)を対象として2015年8月〜17年7月に実施された。
対象は低糖食群と対照群に1:1でランダムに割り付けられ、低糖食群は遊離糖含有量の少ない食事(1日のカロリー摂取量の3%未満)を家族とともに摂取し、対照群は各自の通常の食事を摂取した。週2回の電話で摂食の遵守状況が確認された。
低糖食群では、加糖の食品・飲料、天然の甘いフルーツジュースから一般的に摂取されるグルコース、フルクトース、スクロースを減少させることで、食事中の遊離糖を減少させた。
脂肪肝が顕著に改善
主要評価項目は8週間後の脂肪肝の変化とし、肝臓中の脂質を定量するMRIプロトン密度脂肪画分測定と呼ばれる最先端の正確な方法により測定した。
その結果、
ベースラインから8週間後の脂肪肝の減少幅は
対照群の21%→20%に対し、
低糖食群では25%→17%と有意に大きく、
調整後の平均差は−6.23%
(95%CI −9.45〜−3.02%、P<0.001)であった。
この他、12の副次評価項目も測定され、そのうち5つは有意な変化が認められた。
ALT値やコレステロール値の低下は、対照群より低糖食群の方が有意に大きかった。
また、低糖食群における低糖食遵守の状況は良好で、20例中18例が期間中、遊離糖からのカロリー摂取は3%未満であったと報告した。試験参加による有害事象は見られなかった。
今回の研究結果について、Vos氏は「低糖食を摂取したNAFLD児では、肝臓の脂肪と炎症がいずれも顕著に改善された。この結果に、われわれは興奮している」としながらも、「今後、より長期の試験を実施し、低糖食がNAFLDの"治癒"に十分かどうかを確認する必要がある」と述べている。
現実的な方法の確立が課題
筆頭研究者でUniversity of California, San DiegoのJeffrey B. Schwimmer氏は「医師が患者や家族にカウンセリングを提供しても、効果的な低糖食を長期間続けることは非常に難しい」と注意した上で、「今回、研究チームが全ての食事の計画、購入、提供を行った場合、患児とその家族は8週間まで低遊離糖食を続けられることが示された。あまり実用的な介入法とはいえないが、この種の介入は少なくとも短期的にはNAFLDのバイオマーカーを低下させることが示された」と指摘。
また、「男子と女子、さらには全ての民族で長期的な臨床的利益を示すため、また実際の診療で患者に低遊離糖食を実現するにはどうすればよいかを解決するため、さらなる研究が必要だ」と述べている。
2019年02月21日
『風邪を予防する5か条』
『風邪を予防する5か条』
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏 ケアネット
風邪やインフルエンザについての流行時期や感染経路などがニュースになる時期です。
『食生活』への意識は、これらに対する予防効果として期待できますし、体調管理にもつながります。
そこで、風邪を予防するための5つのポイントをまとめました。
1)『喉などの粘膜を保護』するためにビタミンAを摂取する
ビタミンAは、体内で免疫機能、視覚、生殖、細胞情報伝達に関与している栄養素です。皮膚や粘膜の保護、健康を維持する働きがあるため、ウイルスや菌の予防に対しても効果があると考えられています。
ビタミンAは2種類あり、肉や魚、乳製品、卵などに含まれるレチノールなどの既成ビタミンAと、野菜や果物などに含まれるβ−カロテンなどのプロビタミンAカロテノイドがあります。
多く含まれる食品として、牛乳やチーズなどの乳製品、緑黄色野菜(色の濃い野菜:ニンジン、パセリ、ほうれん草、春菊、ブロッコリー、水菜など)があります。脂溶性ビタミンなので、「油で炒める」、「ドレッシングをかける」、「肉や魚と一緒に食べる」ことで効率的な吸収が期待できます。
2)免疫を高めるためにビタミンDを摂取する
ビタミンDは、骨を丈夫にする働き、免疫機能を調整する働きがあり、ウイルスや菌などに対して予防効果が期待されています。
ビタミンDは、サケ、イワシ、サバなどの魚類、キクラゲ、干し椎茸などのキノコ類に多く含まれます。なかでも、イワシ缶やサバ缶は手軽にとれる食品です。また、キクラゲや干し椎茸を意識して料理に加えるのも良いでしょう。
ビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線を浴びることで、皮膚で生合成されるビタミンです。しかし、最近では、日焼け止めクリーム、UVカットガラスの普及に伴い、30歳以上の約半数がビタミンD不足の状態であるという報告もあります。また、冬場は日照時間も少なくなるため、食べ物からのビタミンD摂取を意識することが大切です。
3)果物や葉物野菜からビタミンCを摂取する
ビタミンCは、コラーゲンの生成、抗酸化作用、栄養素の吸収など様々な働きがあるため、免疫力を高め、風邪予防に対しても効果が期待されます。ただし、一度に大量摂取しても、尿へ排泄されてしまいます。こまめに摂取しましょう。
ビタミンCは、レモンやオレンジ、みかんなどの果物からの摂取が一般的ですが、実は野菜に多く含まれ、赤ピーマン、かいわれ大根、カリフラワー、ミニトマト、キャベツなどに豊富に含まれます。
熱に弱く、水溶性ビタミンのため、生での摂取が効率的です。ただし、オレンジジュースなどの大量摂取は、ビタミンCよりも糖の摂取過多が懸念されるので、野菜からのビタミンC摂取をすすめすると良いでしょう。
4)のど飴や温かい飲み物で口の乾燥を予防する
冬は、室内、野外ともに乾燥していることがほとんどです。乾燥により粘膜が乾燥すると、ウイルスや菌が侵入しやすくなるため、口腔内の保湿が重要です。口の中にのど飴などを入れておくと、唾液が出て乾燥予防になります。
温かい飲み物は、水分補給によりカラダ全体の乾燥を予防するだけではなく、カラダを直接温め、胃腸の動きを活性化し、代謝を高める働きが期待できます。
5)肉や魚などのタンパク質を摂取して体力を増強する
免疫力を高めるためには、体力の増強が大切です。肉や魚をはじめとする動物性タンパク質は、筋肉になりやすく、日常的に意識して摂取することが大切です。大豆製品などの植物性タンパク質は、脂質が少なく、食欲がないときにも摂取しやすい良質なタンパク源です。
しっかりと噛んで食べることは、胃腸への負担を減らし、消化の助けになります。また、噛むことは副交感神経を刺激します。副交感神経が優位になると、リンパ球が増え、免疫力の強化も期待できます。
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏 ケアネット
風邪やインフルエンザについての流行時期や感染経路などがニュースになる時期です。
『食生活』への意識は、これらに対する予防効果として期待できますし、体調管理にもつながります。
そこで、風邪を予防するための5つのポイントをまとめました。
1)『喉などの粘膜を保護』するためにビタミンAを摂取する
ビタミンAは、体内で免疫機能、視覚、生殖、細胞情報伝達に関与している栄養素です。皮膚や粘膜の保護、健康を維持する働きがあるため、ウイルスや菌の予防に対しても効果があると考えられています。
ビタミンAは2種類あり、肉や魚、乳製品、卵などに含まれるレチノールなどの既成ビタミンAと、野菜や果物などに含まれるβ−カロテンなどのプロビタミンAカロテノイドがあります。
多く含まれる食品として、牛乳やチーズなどの乳製品、緑黄色野菜(色の濃い野菜:ニンジン、パセリ、ほうれん草、春菊、ブロッコリー、水菜など)があります。脂溶性ビタミンなので、「油で炒める」、「ドレッシングをかける」、「肉や魚と一緒に食べる」ことで効率的な吸収が期待できます。
2)免疫を高めるためにビタミンDを摂取する
ビタミンDは、骨を丈夫にする働き、免疫機能を調整する働きがあり、ウイルスや菌などに対して予防効果が期待されています。
ビタミンDは、サケ、イワシ、サバなどの魚類、キクラゲ、干し椎茸などのキノコ類に多く含まれます。なかでも、イワシ缶やサバ缶は手軽にとれる食品です。また、キクラゲや干し椎茸を意識して料理に加えるのも良いでしょう。
ビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線を浴びることで、皮膚で生合成されるビタミンです。しかし、最近では、日焼け止めクリーム、UVカットガラスの普及に伴い、30歳以上の約半数がビタミンD不足の状態であるという報告もあります。また、冬場は日照時間も少なくなるため、食べ物からのビタミンD摂取を意識することが大切です。
3)果物や葉物野菜からビタミンCを摂取する
ビタミンCは、コラーゲンの生成、抗酸化作用、栄養素の吸収など様々な働きがあるため、免疫力を高め、風邪予防に対しても効果が期待されます。ただし、一度に大量摂取しても、尿へ排泄されてしまいます。こまめに摂取しましょう。
ビタミンCは、レモンやオレンジ、みかんなどの果物からの摂取が一般的ですが、実は野菜に多く含まれ、赤ピーマン、かいわれ大根、カリフラワー、ミニトマト、キャベツなどに豊富に含まれます。
熱に弱く、水溶性ビタミンのため、生での摂取が効率的です。ただし、オレンジジュースなどの大量摂取は、ビタミンCよりも糖の摂取過多が懸念されるので、野菜からのビタミンC摂取をすすめすると良いでしょう。
4)のど飴や温かい飲み物で口の乾燥を予防する
冬は、室内、野外ともに乾燥していることがほとんどです。乾燥により粘膜が乾燥すると、ウイルスや菌が侵入しやすくなるため、口腔内の保湿が重要です。口の中にのど飴などを入れておくと、唾液が出て乾燥予防になります。
温かい飲み物は、水分補給によりカラダ全体の乾燥を予防するだけではなく、カラダを直接温め、胃腸の動きを活性化し、代謝を高める働きが期待できます。
5)肉や魚などのタンパク質を摂取して体力を増強する
免疫力を高めるためには、体力の増強が大切です。肉や魚をはじめとする動物性タンパク質は、筋肉になりやすく、日常的に意識して摂取することが大切です。大豆製品などの植物性タンパク質は、脂質が少なく、食欲がないときにも摂取しやすい良質なタンパク源です。
しっかりと噛んで食べることは、胃腸への負担を減らし、消化の助けになります。また、噛むことは副交感神経を刺激します。副交感神経が優位になると、リンパ球が増え、免疫力の強化も期待できます。
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
2019年02月20日
子宮頸がん、2000年を境に増加...性交渉の低年齢化など要因か
子宮頸がん、2000年を境に増加...性交渉の低年齢化など要因か〔読売新聞〕 2019年02月06日 15:02
1976〜2012年に大阪府内の医療機関で登録された子宮 頸(けい)がん患者約2万5800人の大規模な解析結果を、大阪大の研究チームが発表した。
76年以降に減り続けた患者数は2000年を境に増加に転じ、中でも40歳未満の若い患者の増加が目立つという。
子宮頸がんは、主に『性交渉』で感染する『ヒトパピローマウイルス(HPV)』が原因で発症する。
調査は、府のがん登録患者データ37年分を分析した。
1976年の患者数は人口10万人当たり推計28人で、2000年に同9・1人に減ったが、12年には同14・1人に増えた。早期がんの10年生存率は03年以降、改善した。
40歳未満で発症した世代をみると、全期間を通じて悪性度が高い「腺がん型」が増え、放射線が効きにくい傾向があった。
5年生存率は
40歳未満は56・2%で、
40〜59歳の60・6%、
60歳以上の69・1%に比べて低かった。
国はHPVワクチン接種の積極的勧奨を13年6月に中止したが、『データは12年までで、中止の影響を反映していない』。
分析した上田豊・大阪大講師(婦人科腫瘍学)は「全国も同じ傾向と考えられる。
『増加は性交渉の低年齢化』などが要因と思われる」と話している。
井箟いのう 一彦・和歌山県立医大教授(産婦人科学)の話「国のがん登録制度が始まるかなり前から詳細に捉えたデータは珍しい。ワクチンと検診の二本立てで子宮頸がん対策を行う国は発症が減る傾向にあり、日本で効果的な対策を考えるヒントとなりうるデータだ」
(2019年2月6日 読売新聞)
1976〜2012年に大阪府内の医療機関で登録された子宮 頸(けい)がん患者約2万5800人の大規模な解析結果を、大阪大の研究チームが発表した。
76年以降に減り続けた患者数は2000年を境に増加に転じ、中でも40歳未満の若い患者の増加が目立つという。
子宮頸がんは、主に『性交渉』で感染する『ヒトパピローマウイルス(HPV)』が原因で発症する。
調査は、府のがん登録患者データ37年分を分析した。
1976年の患者数は人口10万人当たり推計28人で、2000年に同9・1人に減ったが、12年には同14・1人に増えた。早期がんの10年生存率は03年以降、改善した。
40歳未満で発症した世代をみると、全期間を通じて悪性度が高い「腺がん型」が増え、放射線が効きにくい傾向があった。
5年生存率は
40歳未満は56・2%で、
40〜59歳の60・6%、
60歳以上の69・1%に比べて低かった。
国はHPVワクチン接種の積極的勧奨を13年6月に中止したが、『データは12年までで、中止の影響を反映していない』。
分析した上田豊・大阪大講師(婦人科腫瘍学)は「全国も同じ傾向と考えられる。
『増加は性交渉の低年齢化』などが要因と思われる」と話している。
井箟いのう 一彦・和歌山県立医大教授(産婦人科学)の話「国のがん登録制度が始まるかなり前から詳細に捉えたデータは珍しい。ワクチンと検診の二本立てで子宮頸がん対策を行う国は発症が減る傾向にあり、日本で効果的な対策を考えるヒントとなりうるデータだ」
(2019年2月6日 読売新聞)
2019年02月19日
米400,000人以上のデータベースを元に、電子タバコも、血管にはよくない。脳卒中、心筋梗塞、狭心症の危険性が高い!
電子たばこは脳卒中のリスク増加と関連する
Univadis Medical News 2019.01
電子たばこと脳卒中のリスクの関連性を調べた過去最大の研究の結果。
来週開催される米国脳卒中協会2019年国際脳卒中会議で発表される予定の予備研究によると、電子たばこの使用は脳卒中のリスクを有意に増加させる可能性がある。
この種のものとしては過去最大の研究において、研究者らは米国に住む400000人以上のデータベースである2016年行動危険因子サーベイランスシステム調査のデータを調べた。
合計66795人の回答者が電子たばこを定期的に使用したことがあると報告した。
電子たばこを全く使用したことがないと回答した回答者343856人を対照群とした。
未使用者と比べて電子たばこの使用者は年齢が若く、ボディ・マス・インデックスが低く、糖尿病の割合が低かった。
電子たばこの使用者は調整後の脳卒中確率が有意に高いことが判明した(オッズ比 [OR] 1.71)。
電子たばこの使用は心筋梗塞(OR 1.59)、狭心症または冠動脈性心疾患(OR 1.4)のリスク増加とも関連することが分かった。
電子たばこ使用者の約4.2%が脳卒中の罹患を報告した。
しかし、電子たばこ使用を原因とする死亡は研究データでは示されなかった。
米国脳卒中協会2019年国際脳卒中会議は2月6日〜2月8日にハワイで開催される。
2019年02月18日
緑内障は、成人になって失明にいたる一番頻度の高い怖い病気です
緑内障は、成人になって失明にいたる一番頻度の高い怖い病気です。
『正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行』
厚生労働省研究班の調査によると、
我が国における失明原因の第1位を占め、最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、『5%』、20人に1人が緑内障でした。
しかも発見された緑内障の患者さんのうち、それまで緑内障と診断されていたのは、全体の1割に過ぎませんでした。
9割は症状がないか、緑内障の症状として気づいていない!
眼科を受診されたことがある方なら、空気を目の表面に吹き当てて、「眼圧12mmHgで、正常ですね」と言われたことが、あると思います。
21mmHgを越えると眼圧が高いと、『緑内障』と診断されますが、
緑内障の中でも、眼圧が高くならない、目に痛みが発生しない、正常眼圧緑内障が50%存在します。
一番見えている部分は最後に見えなくなりますが、その周囲からボヤーとして見えづらくなっているのですが、気づかないことが多いようです。
光彩と水晶体の間で作られる房水は眼球のなかを充し、眼球を球状に保つために必要です。
この房水が増えすぎて、視神経がずっと圧迫されていることで、視神経が傷ついてしまいます。
症状としては、視野の欠損(見えない、ピントが合わないところが出てくる)ですが、視野の中心ではなく、その周りの下半分とか上半分とか右半分とかが徐々に見えなくなってきているので、気づいた時には、
知らない間に、はっけりと見えなくなっていて、変性して(死んで)しまった視神経は蘇りません!
発症してからの治療は、それ以上、視力障害、視野欠損を進行させない治療になります。
30歳前後からは、目の検診をお勧めします。
2016年の統計では
1 『緑内障(28.6%!!)』
2 網膜色素変性症(14.0%)
3 糖尿病網膜症(12.8%)
4 黄斑変性(8.0%)
5 網脈絡膜萎縮(4.9%)
この調査は成人の中途失明患者さんの割合を示したもので、患者数の増減は触れていませんが、平均寿命が長くなるにつれて患者総数は増えていると考えられます。
最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、以前のような「緑内障=失明」という概念は古くなりつつありますが、現代医学を駆使しても失明から救えないきわめて難治性の緑内障が存在します。
早期発見・早期治療が失明を減らす!
正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行
提供元:ケアネット 公開日:2019/02/05
東京大学の坂田 礼氏らは、
緑内障の進行において、
乳頭出血(DH)の罹患または既往、
長期の眼圧(IOP)変動、および
垂直陥凹乳頭径比(v-C/D)の上昇
が関連していたことを明らかにした。
Ophthalmology誌オンライン版2018年12月31日号掲載の報告。
研究グループは、正常眼圧緑内障(NGT)の自然進行の特徴と進行に関与する危険因子を特定する目的で、未治療の日本人NGT患者に対して『5年間の前向きコホート研究』を行った。
対象患者は、ベースライン時点で未治療、IOPが15mmHg以下のNTG患者であった。視野(VF)検査を3ヵ月ごと、視神経乳頭/乳頭周囲網膜の写真撮影を6ヵ月ごとに行い、未治療のまま追跡調査した。
主要評価項目は、VFおよび視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化とし、ハンフリー自動視野検査のSITA(Swedish Interactive Thresholding Algorithm)プログラム24-2を用いて、3人の研究者が独立して判定した。また、病態進行の評価には生命表解析を用い、Cox比例ハザードモデルにて緑内障の進行におけるリスク因子を解析した。
主な結果は以下のとおり。
・本試験には、90例が登録された(平均年齢:53.9歳、ベースライン時のIOP:12.3mmHg、平均偏差[MD]:−2.8dB)。
・MD slopeの平均値は−0.33dB/年(中央値:−0.23、95%信頼区間[CI]:−0.44〜−0.22)。
・緑内障の5年進行率は、
VFまたは視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準1)が66%(95%CI:55〜78)、
VFの悪化(基準2)が52%(95%CI:37〜60)、
視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準3)が50%(95%CI:38〜71)であった。
・DHの罹患または既往(p<0.001)、
長期のIOP変動(p=0.020)、
およびv-C/Dの上昇(p=0.018)は、基準1における有意な予測因子であった。
・長期のIOP変動(p=0.011)、およびv-C/Dの上昇(p=0.036)は、基準2における有意な予測因子であった。
・DHの罹患または既往(p=0.0018)、および長期のIOP変動(p=0.022)は、基準3における有意な予測因子であった。 (ケアネット)
原著論文はこちら
Sakata R, et al. Ophthalmology. 2018 Dec 31. [Epub ahead of print]
『正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行』
厚生労働省研究班の調査によると、
我が国における失明原因の第1位を占め、最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、『5%』、20人に1人が緑内障でした。
しかも発見された緑内障の患者さんのうち、それまで緑内障と診断されていたのは、全体の1割に過ぎませんでした。
9割は症状がないか、緑内障の症状として気づいていない!
眼科を受診されたことがある方なら、空気を目の表面に吹き当てて、「眼圧12mmHgで、正常ですね」と言われたことが、あると思います。
21mmHgを越えると眼圧が高いと、『緑内障』と診断されますが、
緑内障の中でも、眼圧が高くならない、目に痛みが発生しない、正常眼圧緑内障が50%存在します。
一番見えている部分は最後に見えなくなりますが、その周囲からボヤーとして見えづらくなっているのですが、気づかないことが多いようです。
光彩と水晶体の間で作られる房水は眼球のなかを充し、眼球を球状に保つために必要です。
この房水が増えすぎて、視神経がずっと圧迫されていることで、視神経が傷ついてしまいます。
症状としては、視野の欠損(見えない、ピントが合わないところが出てくる)ですが、視野の中心ではなく、その周りの下半分とか上半分とか右半分とかが徐々に見えなくなってきているので、気づいた時には、
知らない間に、はっけりと見えなくなっていて、変性して(死んで)しまった視神経は蘇りません!
発症してからの治療は、それ以上、視力障害、視野欠損を進行させない治療になります。
30歳前後からは、目の検診をお勧めします。
2016年の統計では
1 『緑内障(28.6%!!)』
2 網膜色素変性症(14.0%)
3 糖尿病網膜症(12.8%)
4 黄斑変性(8.0%)
5 網脈絡膜萎縮(4.9%)
この調査は成人の中途失明患者さんの割合を示したもので、患者数の増減は触れていませんが、平均寿命が長くなるにつれて患者総数は増えていると考えられます。
最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、以前のような「緑内障=失明」という概念は古くなりつつありますが、現代医学を駆使しても失明から救えないきわめて難治性の緑内障が存在します。
早期発見・早期治療が失明を減らす!
正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行
提供元:ケアネット 公開日:2019/02/05
東京大学の坂田 礼氏らは、
緑内障の進行において、
乳頭出血(DH)の罹患または既往、
長期の眼圧(IOP)変動、および
垂直陥凹乳頭径比(v-C/D)の上昇
が関連していたことを明らかにした。
Ophthalmology誌オンライン版2018年12月31日号掲載の報告。
研究グループは、正常眼圧緑内障(NGT)の自然進行の特徴と進行に関与する危険因子を特定する目的で、未治療の日本人NGT患者に対して『5年間の前向きコホート研究』を行った。
対象患者は、ベースライン時点で未治療、IOPが15mmHg以下のNTG患者であった。視野(VF)検査を3ヵ月ごと、視神経乳頭/乳頭周囲網膜の写真撮影を6ヵ月ごとに行い、未治療のまま追跡調査した。
主要評価項目は、VFおよび視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化とし、ハンフリー自動視野検査のSITA(Swedish Interactive Thresholding Algorithm)プログラム24-2を用いて、3人の研究者が独立して判定した。また、病態進行の評価には生命表解析を用い、Cox比例ハザードモデルにて緑内障の進行におけるリスク因子を解析した。
主な結果は以下のとおり。
・本試験には、90例が登録された(平均年齢:53.9歳、ベースライン時のIOP:12.3mmHg、平均偏差[MD]:−2.8dB)。
・MD slopeの平均値は−0.33dB/年(中央値:−0.23、95%信頼区間[CI]:−0.44〜−0.22)。
・緑内障の5年進行率は、
VFまたは視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準1)が66%(95%CI:55〜78)、
VFの悪化(基準2)が52%(95%CI:37〜60)、
視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準3)が50%(95%CI:38〜71)であった。
・DHの罹患または既往(p<0.001)、
長期のIOP変動(p=0.020)、
およびv-C/Dの上昇(p=0.018)は、基準1における有意な予測因子であった。
・長期のIOP変動(p=0.011)、およびv-C/Dの上昇(p=0.036)は、基準2における有意な予測因子であった。
・DHの罹患または既往(p=0.0018)、および長期のIOP変動(p=0.022)は、基準3における有意な予測因子であった。 (ケアネット)
原著論文はこちら
Sakata R, et al. Ophthalmology. 2018 Dec 31. [Epub ahead of print]
2019年02月17日
アメリカの研究;20-28年の追跡結果、閉経女性で揚げ物の摂取頻度と摂取量の多い人では、非摂取群と比較して全死亡、心血管死亡もわずかに多かった
アメリカの研究;20-28年の追跡結果、閉経女性で揚げ物の摂取頻度と摂取量の多い人では、非摂取群と比較して全死亡、心血管死亡もわずかに多かった
ただしがん死とは関連しなかった。
揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について
閉経後女性で、揚げ物の総摂取量・種類別摂取量と死亡リスクの関連を解析
研究グループは、1993年9月〜1998年9月に米国の40施設で行われたWHI研究に登録された、登録時50〜79歳の閉経後女性10万6,966例を、2017年2月まで追跡調査した。
自己記入式食事摂取頻度調査により、揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について評価。揚げ物は、フライドチキン、魚介類(魚、エビ、カキ)のフライ、その他の揚げ物に分類した。
主要評価項目は、全死因死亡、心血管死亡、がん死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、揚げ物の摂取との関連を解析した。
がん死亡との関連は確認されず
追跡した191万4,691人年において、3万1,558例が死亡した。
揚げ物の総摂取量については、
1日1人前以上を摂取している群は非摂取群と比較し、多変量補正後ハザード比が、
全死因死亡1.08(95%CI:1.01〜1.16)、
心血管死1.08(95%CI:0.96〜1.22)であった。
また、フライドチキンを1週間に1人前以上摂取している群は非摂取群と比較し、
全死因死亡1.13(95%CI:1.07〜1.19)、
心血管死亡1.12(95%CI:1.02〜1.23)であった。
同様に魚介類のフライの摂取に関するハザード比は、
全死因死亡1.07(95%CI:1.03〜1.12)、
心血管死亡1.13(95%CI:1.04〜1.22)であった。
揚げ物の総摂取量および種類別摂取量と、がん死亡との一般的な関連は確認されなかった。
なお結果について著者は、揚げ方や揚げ油などに関する情報が限られていること、食物そのものの影響と揚げることによる影響を分けることができないこと、残余交絡の可能性があることなどを研究の限界として挙げている。(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Sun Y, et al. BMJ. 2019;364:k5420.
ただしがん死とは関連しなかった。
揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について
閉経後女性で、揚げ物の総摂取量・種類別摂取量と死亡リスクの関連を解析
研究グループは、1993年9月〜1998年9月に米国の40施設で行われたWHI研究に登録された、登録時50〜79歳の閉経後女性10万6,966例を、2017年2月まで追跡調査した。
自己記入式食事摂取頻度調査により、揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について評価。揚げ物は、フライドチキン、魚介類(魚、エビ、カキ)のフライ、その他の揚げ物に分類した。
主要評価項目は、全死因死亡、心血管死亡、がん死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、揚げ物の摂取との関連を解析した。
がん死亡との関連は確認されず
追跡した191万4,691人年において、3万1,558例が死亡した。
揚げ物の総摂取量については、
1日1人前以上を摂取している群は非摂取群と比較し、多変量補正後ハザード比が、
全死因死亡1.08(95%CI:1.01〜1.16)、
心血管死1.08(95%CI:0.96〜1.22)であった。
また、フライドチキンを1週間に1人前以上摂取している群は非摂取群と比較し、
全死因死亡1.13(95%CI:1.07〜1.19)、
心血管死亡1.12(95%CI:1.02〜1.23)であった。
同様に魚介類のフライの摂取に関するハザード比は、
全死因死亡1.07(95%CI:1.03〜1.12)、
心血管死亡1.13(95%CI:1.04〜1.22)であった。
揚げ物の総摂取量および種類別摂取量と、がん死亡との一般的な関連は確認されなかった。
なお結果について著者は、揚げ方や揚げ油などに関する情報が限られていること、食物そのものの影響と揚げることによる影響を分けることができないこと、残余交絡の可能性があることなどを研究の限界として挙げている。(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Sun Y, et al. BMJ. 2019;364:k5420.
2019年02月16日
学校の始業時刻を遅らせることで睡眠時間が長くなり、学業成績が向上する!
学校の始業時刻を遅らせることで睡眠時間が長くなり、学業成績が向上する!
青年は睡眠時間が長いほうが学業成績が向上する
School Performance Improves When Adolescents Sleep Longer
F. Bruder Stapleton, MD reviewing Dunster GP et al. Sci Adv 2018 Dec 12
学校の始業時刻を遅らせることで睡眠時間が長くなり、学業成績が向上する。
青年は就寝時刻が遅く、学校に行くため起床時刻が早いことから、推奨されている8〜10時間の睡眠を得られていないことが多い。
2016年、Seattleの公立学校は、secondary school(訳注:米国における高等学校)の始業時刻を午前7時50分から午前8時45分に遅らせた。
この方針変更が睡眠パターン、眠気、成績、登校状況にもたらす影響を調べるため、研究者らは方針変更前後のこれらの指標を比較した。
参加者は2つの公立高校の2年生であった。
睡眠時間はリストバンド型睡眠覚醒・活動量計で測定された。
結果は以下のとおりであった。
学校の始業時刻を遅らせたあと、登校日の睡眠時間の中央値は6時間50分から7時間24分に増えた(34分増加)。
休日の寝坊が登校日の睡眠に二次的に及ぼす影響(すなわち社会的時差ぼけ)は、遅い始業時刻を導入後少なくなった。
遅い始業時刻は、眠気が少ないことと学業成績の向上を伴った。
遅い始業時刻は、貧困および民族的少数者の生徒の割合が高い高校では欠席と遅刻がより少ないことを伴ったが、それ以外の学校ではそうではなかった。
コメント
この研究は青年のために学校の始業時刻を遅らせることを支持している。
われわれは教育委員会および教育者に、青年期の生徒は遅く起きられるほうが学校での成績がよくなることを主張すべきである。
これらの研究者らは、学校の始業時刻が遅くなった場合にティーンエイジャーの就寝時刻が遅くなることは見出さなかった。
CITATION(S)
Dunster GP et al. Sleepmore in Seattle: Later school start times are associated with more sleep and better performance in high school students. Sci Adv 2018 Dec 12; 4:u6200.
青年は睡眠時間が長いほうが学業成績が向上する
School Performance Improves When Adolescents Sleep Longer
F. Bruder Stapleton, MD reviewing Dunster GP et al. Sci Adv 2018 Dec 12
学校の始業時刻を遅らせることで睡眠時間が長くなり、学業成績が向上する。
青年は就寝時刻が遅く、学校に行くため起床時刻が早いことから、推奨されている8〜10時間の睡眠を得られていないことが多い。
2016年、Seattleの公立学校は、secondary school(訳注:米国における高等学校)の始業時刻を午前7時50分から午前8時45分に遅らせた。
この方針変更が睡眠パターン、眠気、成績、登校状況にもたらす影響を調べるため、研究者らは方針変更前後のこれらの指標を比較した。
参加者は2つの公立高校の2年生であった。
睡眠時間はリストバンド型睡眠覚醒・活動量計で測定された。
結果は以下のとおりであった。
学校の始業時刻を遅らせたあと、登校日の睡眠時間の中央値は6時間50分から7時間24分に増えた(34分増加)。
休日の寝坊が登校日の睡眠に二次的に及ぼす影響(すなわち社会的時差ぼけ)は、遅い始業時刻を導入後少なくなった。
遅い始業時刻は、眠気が少ないことと学業成績の向上を伴った。
遅い始業時刻は、貧困および民族的少数者の生徒の割合が高い高校では欠席と遅刻がより少ないことを伴ったが、それ以外の学校ではそうではなかった。
コメント
この研究は青年のために学校の始業時刻を遅らせることを支持している。
われわれは教育委員会および教育者に、青年期の生徒は遅く起きられるほうが学校での成績がよくなることを主張すべきである。
これらの研究者らは、学校の始業時刻が遅くなった場合にティーンエイジャーの就寝時刻が遅くなることは見出さなかった。
CITATION(S)
Dunster GP et al. Sleepmore in Seattle: Later school start times are associated with more sleep and better performance in high school students. Sci Adv 2018 Dec 12; 4:u6200.
2019年02月15日
確かにタミフル(オセルタミビル)が出てくるまで、薬がなくても困らなかった疾患だった。
確かにタミフル(オセルタミビル)が出てくるまで、薬がなくても困らなかった疾患だった。
高リスク患者(高齢者や2-5歳未満の小児、慢性疾患患者や免疫不全者、妊娠女性など)以外は、解熱薬で熱を下げて、栄養を摂って、寝ていれば治ったよね。
臨床ニュース
ゾフルーザ不採用の亀田、インフルエンザ治療のそもそも論【時流◆抗インフル薬2018-19】
亀田総合病院感染症科部長・細川直登氏に聞く
m3.com編集部2019年1月28日 (月)配信 一般内科疾患小児科疾患一般外科疾患感染症投薬に関わる問題
バロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)の本格登場が話題の本インフルエンザシーズンにおいて、シーズン入り直前の2018年11月に「ゾフルーザ採用見送り」というタイトルのブログ記事を掲載し、全国の医療関係者の耳目を集めた亀田総合病院(千葉県鴨川市)。
流行真っ只中の今、“宣言”に込めた真意を、同院感染症科部長の細川直登氏に尋ねた。(取材・まとめ:m3.com編集部・軸丸靖子)
「その新薬でなければならない理由があったのか」
――貴院感染症科のブログに「ゾフルーザ採用見送り」というタイトルの記事が公開されたのが2018年11月。その1カ月後には、理由を解説された記事を追加掲載されました。それだけ反響があったのでしょうか?
反響はかなりありましたね。Twitterで「亀田の英断」などというツイートもあったという話ですが(笑)、そんな思い切ったことをしたつもりは僕らにはないのです。
われわれは元々、ゾフルーザは「今すぐに使うべき薬ではない」と認識していました。
こうした基幹病院では地域の医療機関から問い合わせを受けることも多いので、当科Facebook担当の黒田浩一医師が記事にしてアップしてくれたのです。
新薬は大抵、登場当初はすごく評価が高いものですが、数年たつと評価が変わることがままあります。
新薬の承認に向けた臨床試験では、対象が限定的な上、医師の監視下で投与されますから、効果は過大評価されがちです。逆に、副作用のように「確率は低いけれど大きな問題」は見えにくくなり、大抵は市販後に分かります 。
その薬以外に方法はなく、患者さんにもよく説明して承諾が得られていれば、市販後調査の結果評価が変わってもよい。しかし、抗インフルエンザウイルス薬はそういうタイプの薬ではない、というのがわれわれの考え方です。
無論、誰かが試みなければ知見は得られないのですから、新薬の使用を批判する気は毛頭ありません。しかし、新薬を投与した患者さんに副作用が出た場合、その医師はやはり「その薬でなければならない理由があったのか」を問われます。これは新薬の使用を決める際の、重要なポイントになります。
医師は新しいものが好き、患者も好き?
医師は皆、医学を学んできている科学者です。科学は「something new」がなければ駄目な世界なので、新発見に高い価値が置かれ、「新しいもの=良いもの」となりがちです。ですが、新しくてもよくよく吟味すると良くない点が見えてくることがあります。このときに重要なファクターになるのが、「何のためのものか」ということです。
例えば、あなたの担当医に「これはまだ誰も試したことのない、世界初の新薬です。あなたの病気に効くかもしれないから、ちょっと試してみましょうか」と言われたとします。その病気が感冒だったら、試しますか?
――いいえ、感冒ですから。
その感冒に対して、「医療レベルの高い国であればどこでも使われていて、これが今一番良いとされている治療法があります。一番治る確率が高い方法ですが、これはどうですか」と言われたらどうしますか?
さらに、あなたの病気は感冒ではなく末期癌で、明日には死ぬかもしれない状態だとして、「この新薬だったら一発逆転できるかもしれない。世界でまだ誰も試したことのない新薬だし、だめなら死んでしまうけれど、うまくいけば生き続けられる可能性は3割くらいあるかもしれません」と言われたらどうしますか?
――明日死ぬかもしれないなら、賭けてみます。
そういうことです。インフルエンザは明日死んでしまう病気ではない。毎年ほぼ必ず流行る、自然現象のような感染症です。大抵は薬を使わなくても治りますし、インフルエンザによって人類が滅亡の危機に瀕したこともありません。スペイン風邪の時には世界で何千万人もが死亡しましたが、医療環境が異なる現代でそれを懸念する必要はありません。
そもそも、インフルエンザはオセルタミビル(商品名タミフル)が登場するまでは薬がなくても困らなかった疾患です。高リスク患者(高齢者や2-5歳未満の小児、慢性疾患患者や免疫不全者、妊娠女性など)以外は、解熱薬で熱を下げて、栄養を摂って、寝ていてもらえるのが多分一番良い。
だから、われわれは市販後に分かってくる知見を待って、使うかどうかを決めるというスタンスなのです。他の先生方に影響を与えようというものではありません。 どの薬を使うかは、あくまでもそれぞれの施設で、プロである医師が判断すべきものと思っています。
健常成人へのタミフルは効果わずか
ゾフルーザの評価をするには、現状の抗インフルエンザウイルス薬の評価がどうなっているかを押さえなければなりません。
タミフルやザナミビル(商品名リレンザ)といったノイラミニダーゼ阻害薬については、2014年にコクラン共同計画によるシステマティックレビューの結果が公表されています(Cochrane Database Syst Rev 2014; (4): CD008965)。
製造販売元からデータ提供を得るなどして、107件の臨床試験データを再分析した結果、健常な成人インフルエンザ患者では、ノイラミニダーゼ阻害薬を投与すると有症状期間が約1日短縮することが分かりました(タミフルは7日間から6.3日間、リレンザは6.6日間から6.0日間に短縮)。
タミフルによる入院や合併症の減少効果は認められず、肺炎については、肺炎の定義が各臨床試験によってバラバラで、評価ができる状態ではないことが分かりました。リレンザでは入院についてのデータがありませんでした。
各国で国家備蓄されるタミフルをもってしても、ささやかな治療効果しか得られないというこの結果から、コクランのレビューアーらは、タミフルの国家備蓄を中止するよう英国政府に進言しています。世界保健機関(WHO)も必須医薬品のリストからタミフルを外し、「補足的な薬」に格下げしました。
一方で、インフルエンザの合併症高リスク患者については、タミフルは死亡リスクや入院リスクを減少させることが確認されています(Ann Intern Med 2012;156:512-524)。われわれも、高リスク患者や妊娠女性においては、発症48時間以内を基本に抗ウイルス薬を投与していますし、症例によっては48時間を超えても投与を検討することがあります。
日本で昨シーズン最も多く使われたラニナミビル(イナビル)については、成人でタミフルへの非劣性が確認されていますが、海外12カ国で行われた第II相試験では、プラセボに比較した有効性が示せませんでした。既存薬に非劣性だからといって、プラセボに優るとは限らないのです。
気になるゾフルーザの耐性問題
ゾフルーザについては、CAPSTONE-1の結果が論文になっています(N Engl J Med 2018; 379: 913-923)。重症化や合併症のリスクを持たない12-64歳のインフルエンザ患者を対象とした第II、III相臨床試験で、インフルエンザの有症状期間がプラセボに対して26.5時間有意に短縮し、タミフルに対しては非劣性を示したという結果でした。
この試験で注目されたのは、ゾフルーザによるウイルス排出期間の短縮効果です。ゾフルーザ投与群では、タミフルやプラセボより早くウイルスの排泄が減りました。この知見からは、「ゾフルーザを服用した患者では、学校や会社を休む期間が短く済むのではないか」という解釈をされることがあるかもしれません。
ここで問題になるのが、ゾフルーザの大きな懸念点――耐性です。ゾフルーザでは、ゾフルーザ低感受性に関与する遺伝子変異が出やすいことが分かっています。これは、投与した薬が途中で効かなくなる場合があることを意味します。
ゾフルーザのインタビューフォームによると、同薬の半減期は約4日間(95.8±18.2時間)と非常に長い。だからこそ単回投与でも体の中に薬がとどまることできるのですが、その間にウイルスが変異してしまうかもしれない。最初はウイルスの増殖が止まっても、途中で薬の効かないウイルスに変異して、消えずにとどまる可能性があるということです。
そうすると、変異したウイルスの排出期間はむしろ長くなります。一度減ったウイルスが、薬の効かないウイルスになってリバウンドする可能性もあります。実際、ゾフルーザ投与から3日目以降に、一過性のウイルス価の上昇が見られたケースが観察されています。ただし、変異したウイルスがどのくらい増えるか、流行しやすいのかは不明です。
ゾフルーザに期待する効果
ゾフルーザはキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性選択的阻害薬という、全く新しい作用機序の薬なので、タミフルが効かなかったウイルスに効果を発揮する可能性があります。
また、まだ論文になっていませんが、高リスク者を対象に行われたCAPSTONE-2(2018年10月に米国感染症学会で発表)では、ゾフルーザ投与患者で二次性肺炎に対する抗菌薬使用やインフルエンザ関連合併症が有意に減ったということでした。今後、インフルエンザによる死亡を減らす可能性があるかもしれない。これらの部分で、私はゾフルーザに期待を持っています。
ゾフルーザがその効果を発揮するためには、今は耐性ウイルスを増やさないことが重要です。ですからわれわれは、今は使わないと決めました。使わなければ明日にも患者さんが死んでしまう薬ではないのですから、慌てる必要は何もないのです。
「1回だけ飲めば良い」は評価の本分ではない
――ゾフルーザは薬価が高いことも議論されています。
ゾフルーザの薬価は1回4789円、体重80kg以上の患者さんだと2倍の約9500円です。タミフルのジェネリックならば1治療当たり5日間の薬代は1360円ですから、3.5倍以上の差になります。
インフルエンザは、1シーズンで何百万人、多ければ1000万人単位で罹患者が出る感染症です。ゾフルーザとタミフル(ジェネリック)の差額に投与患者数をかけた額が、わが国の医療保険財政の新たな負荷になります。われわれ臨床医は、「それだけのお金をかけて余りある効果が得られるのか」を、冷静に考える必要があります。
――ゾフルーザの単回経口投与という特色は、選択の理由になりますか? 重症化リスクの高い高齢者では、吸入タイプの抗ウイルス薬よりアドヒアランスが良いと考えられます。
それは本末転倒ですね。薬剤なのですから、評価の本分は治療効果と副作用であるべきで、それに比べれば服用方法は大きな論点ではありません。効果について考察せずに、「1回服用だから良い」という部分だけをフィーチャーするのはおかしい。
ゾフルーザの服用方法が特色だと思うのは、「既存薬と効果も副作用も同じで、大して悪いことは起こらないだろう」という前提があるからでしょう。患者さんがそれを言うなら分かりますが、医師がその前提を無批判に受け入れてしまってはいけないと思います。
――患者さんに「新薬を試したい」と言われたら、どうしますか?
経験上そうはなりません。患者さんの希望は当然聞くけれど、全て希望通りにすることが良い医療ではありません。患者さんには冷静な選択をするための情報提供を十分にしなければなりませんが、インフルエンザ診療のように時間の制約がある場合は、専門家が薬のベネフィットとリスクを適切に評価し、方針をある程度決めて患者さんに提案するのが、医師としてのプロの仕事だと私は思います 。
高リスク患者(高齢者や2-5歳未満の小児、慢性疾患患者や免疫不全者、妊娠女性など)以外は、解熱薬で熱を下げて、栄養を摂って、寝ていれば治ったよね。
臨床ニュース
ゾフルーザ不採用の亀田、インフルエンザ治療のそもそも論【時流◆抗インフル薬2018-19】
亀田総合病院感染症科部長・細川直登氏に聞く
m3.com編集部2019年1月28日 (月)配信 一般内科疾患小児科疾患一般外科疾患感染症投薬に関わる問題
バロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)の本格登場が話題の本インフルエンザシーズンにおいて、シーズン入り直前の2018年11月に「ゾフルーザ採用見送り」というタイトルのブログ記事を掲載し、全国の医療関係者の耳目を集めた亀田総合病院(千葉県鴨川市)。
流行真っ只中の今、“宣言”に込めた真意を、同院感染症科部長の細川直登氏に尋ねた。(取材・まとめ:m3.com編集部・軸丸靖子)
「その新薬でなければならない理由があったのか」
――貴院感染症科のブログに「ゾフルーザ採用見送り」というタイトルの記事が公開されたのが2018年11月。その1カ月後には、理由を解説された記事を追加掲載されました。それだけ反響があったのでしょうか?
反響はかなりありましたね。Twitterで「亀田の英断」などというツイートもあったという話ですが(笑)、そんな思い切ったことをしたつもりは僕らにはないのです。
われわれは元々、ゾフルーザは「今すぐに使うべき薬ではない」と認識していました。
こうした基幹病院では地域の医療機関から問い合わせを受けることも多いので、当科Facebook担当の黒田浩一医師が記事にしてアップしてくれたのです。
新薬は大抵、登場当初はすごく評価が高いものですが、数年たつと評価が変わることがままあります。
新薬の承認に向けた臨床試験では、対象が限定的な上、医師の監視下で投与されますから、効果は過大評価されがちです。逆に、副作用のように「確率は低いけれど大きな問題」は見えにくくなり、大抵は市販後に分かります 。
その薬以外に方法はなく、患者さんにもよく説明して承諾が得られていれば、市販後調査の結果評価が変わってもよい。しかし、抗インフルエンザウイルス薬はそういうタイプの薬ではない、というのがわれわれの考え方です。
無論、誰かが試みなければ知見は得られないのですから、新薬の使用を批判する気は毛頭ありません。しかし、新薬を投与した患者さんに副作用が出た場合、その医師はやはり「その薬でなければならない理由があったのか」を問われます。これは新薬の使用を決める際の、重要なポイントになります。
医師は新しいものが好き、患者も好き?
医師は皆、医学を学んできている科学者です。科学は「something new」がなければ駄目な世界なので、新発見に高い価値が置かれ、「新しいもの=良いもの」となりがちです。ですが、新しくてもよくよく吟味すると良くない点が見えてくることがあります。このときに重要なファクターになるのが、「何のためのものか」ということです。
例えば、あなたの担当医に「これはまだ誰も試したことのない、世界初の新薬です。あなたの病気に効くかもしれないから、ちょっと試してみましょうか」と言われたとします。その病気が感冒だったら、試しますか?
――いいえ、感冒ですから。
その感冒に対して、「医療レベルの高い国であればどこでも使われていて、これが今一番良いとされている治療法があります。一番治る確率が高い方法ですが、これはどうですか」と言われたらどうしますか?
さらに、あなたの病気は感冒ではなく末期癌で、明日には死ぬかもしれない状態だとして、「この新薬だったら一発逆転できるかもしれない。世界でまだ誰も試したことのない新薬だし、だめなら死んでしまうけれど、うまくいけば生き続けられる可能性は3割くらいあるかもしれません」と言われたらどうしますか?
――明日死ぬかもしれないなら、賭けてみます。
そういうことです。インフルエンザは明日死んでしまう病気ではない。毎年ほぼ必ず流行る、自然現象のような感染症です。大抵は薬を使わなくても治りますし、インフルエンザによって人類が滅亡の危機に瀕したこともありません。スペイン風邪の時には世界で何千万人もが死亡しましたが、医療環境が異なる現代でそれを懸念する必要はありません。
そもそも、インフルエンザはオセルタミビル(商品名タミフル)が登場するまでは薬がなくても困らなかった疾患です。高リスク患者(高齢者や2-5歳未満の小児、慢性疾患患者や免疫不全者、妊娠女性など)以外は、解熱薬で熱を下げて、栄養を摂って、寝ていてもらえるのが多分一番良い。
だから、われわれは市販後に分かってくる知見を待って、使うかどうかを決めるというスタンスなのです。他の先生方に影響を与えようというものではありません。 どの薬を使うかは、あくまでもそれぞれの施設で、プロである医師が判断すべきものと思っています。
健常成人へのタミフルは効果わずか
ゾフルーザの評価をするには、現状の抗インフルエンザウイルス薬の評価がどうなっているかを押さえなければなりません。
タミフルやザナミビル(商品名リレンザ)といったノイラミニダーゼ阻害薬については、2014年にコクラン共同計画によるシステマティックレビューの結果が公表されています(Cochrane Database Syst Rev 2014; (4): CD008965)。
製造販売元からデータ提供を得るなどして、107件の臨床試験データを再分析した結果、健常な成人インフルエンザ患者では、ノイラミニダーゼ阻害薬を投与すると有症状期間が約1日短縮することが分かりました(タミフルは7日間から6.3日間、リレンザは6.6日間から6.0日間に短縮)。
タミフルによる入院や合併症の減少効果は認められず、肺炎については、肺炎の定義が各臨床試験によってバラバラで、評価ができる状態ではないことが分かりました。リレンザでは入院についてのデータがありませんでした。
各国で国家備蓄されるタミフルをもってしても、ささやかな治療効果しか得られないというこの結果から、コクランのレビューアーらは、タミフルの国家備蓄を中止するよう英国政府に進言しています。世界保健機関(WHO)も必須医薬品のリストからタミフルを外し、「補足的な薬」に格下げしました。
一方で、インフルエンザの合併症高リスク患者については、タミフルは死亡リスクや入院リスクを減少させることが確認されています(Ann Intern Med 2012;156:512-524)。われわれも、高リスク患者や妊娠女性においては、発症48時間以内を基本に抗ウイルス薬を投与していますし、症例によっては48時間を超えても投与を検討することがあります。
日本で昨シーズン最も多く使われたラニナミビル(イナビル)については、成人でタミフルへの非劣性が確認されていますが、海外12カ国で行われた第II相試験では、プラセボに比較した有効性が示せませんでした。既存薬に非劣性だからといって、プラセボに優るとは限らないのです。
気になるゾフルーザの耐性問題
ゾフルーザについては、CAPSTONE-1の結果が論文になっています(N Engl J Med 2018; 379: 913-923)。重症化や合併症のリスクを持たない12-64歳のインフルエンザ患者を対象とした第II、III相臨床試験で、インフルエンザの有症状期間がプラセボに対して26.5時間有意に短縮し、タミフルに対しては非劣性を示したという結果でした。
この試験で注目されたのは、ゾフルーザによるウイルス排出期間の短縮効果です。ゾフルーザ投与群では、タミフルやプラセボより早くウイルスの排泄が減りました。この知見からは、「ゾフルーザを服用した患者では、学校や会社を休む期間が短く済むのではないか」という解釈をされることがあるかもしれません。
ここで問題になるのが、ゾフルーザの大きな懸念点――耐性です。ゾフルーザでは、ゾフルーザ低感受性に関与する遺伝子変異が出やすいことが分かっています。これは、投与した薬が途中で効かなくなる場合があることを意味します。
ゾフルーザのインタビューフォームによると、同薬の半減期は約4日間(95.8±18.2時間)と非常に長い。だからこそ単回投与でも体の中に薬がとどまることできるのですが、その間にウイルスが変異してしまうかもしれない。最初はウイルスの増殖が止まっても、途中で薬の効かないウイルスに変異して、消えずにとどまる可能性があるということです。
そうすると、変異したウイルスの排出期間はむしろ長くなります。一度減ったウイルスが、薬の効かないウイルスになってリバウンドする可能性もあります。実際、ゾフルーザ投与から3日目以降に、一過性のウイルス価の上昇が見られたケースが観察されています。ただし、変異したウイルスがどのくらい増えるか、流行しやすいのかは不明です。
ゾフルーザに期待する効果
ゾフルーザはキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性選択的阻害薬という、全く新しい作用機序の薬なので、タミフルが効かなかったウイルスに効果を発揮する可能性があります。
また、まだ論文になっていませんが、高リスク者を対象に行われたCAPSTONE-2(2018年10月に米国感染症学会で発表)では、ゾフルーザ投与患者で二次性肺炎に対する抗菌薬使用やインフルエンザ関連合併症が有意に減ったということでした。今後、インフルエンザによる死亡を減らす可能性があるかもしれない。これらの部分で、私はゾフルーザに期待を持っています。
ゾフルーザがその効果を発揮するためには、今は耐性ウイルスを増やさないことが重要です。ですからわれわれは、今は使わないと決めました。使わなければ明日にも患者さんが死んでしまう薬ではないのですから、慌てる必要は何もないのです。
「1回だけ飲めば良い」は評価の本分ではない
――ゾフルーザは薬価が高いことも議論されています。
ゾフルーザの薬価は1回4789円、体重80kg以上の患者さんだと2倍の約9500円です。タミフルのジェネリックならば1治療当たり5日間の薬代は1360円ですから、3.5倍以上の差になります。
インフルエンザは、1シーズンで何百万人、多ければ1000万人単位で罹患者が出る感染症です。ゾフルーザとタミフル(ジェネリック)の差額に投与患者数をかけた額が、わが国の医療保険財政の新たな負荷になります。われわれ臨床医は、「それだけのお金をかけて余りある効果が得られるのか」を、冷静に考える必要があります。
――ゾフルーザの単回経口投与という特色は、選択の理由になりますか? 重症化リスクの高い高齢者では、吸入タイプの抗ウイルス薬よりアドヒアランスが良いと考えられます。
それは本末転倒ですね。薬剤なのですから、評価の本分は治療効果と副作用であるべきで、それに比べれば服用方法は大きな論点ではありません。効果について考察せずに、「1回服用だから良い」という部分だけをフィーチャーするのはおかしい。
ゾフルーザの服用方法が特色だと思うのは、「既存薬と効果も副作用も同じで、大して悪いことは起こらないだろう」という前提があるからでしょう。患者さんがそれを言うなら分かりますが、医師がその前提を無批判に受け入れてしまってはいけないと思います。
――患者さんに「新薬を試したい」と言われたら、どうしますか?
経験上そうはなりません。患者さんの希望は当然聞くけれど、全て希望通りにすることが良い医療ではありません。患者さんには冷静な選択をするための情報提供を十分にしなければなりませんが、インフルエンザ診療のように時間の制約がある場合は、専門家が薬のベネフィットとリスクを適切に評価し、方針をある程度決めて患者さんに提案するのが、医師としてのプロの仕事だと私は思います 。
2019年02月14日
赤血球の血液型はよく知られているABO型やRh型を含めて25種類ほどあります。 白血球の血液型はたくさんあって、今まで詳細は不明だった。
赤血球の血液型はよく知られているABO型やRh型を含めて25種類ほどあります。
白血球の血液型はたくさんあって、今まで詳細は不明だった。
『白血球、日本人は11類型...阪大など解析 発病や体格に影響か』 2019年01月29日
日本人の白血球の型は11のグループに大別でき、型の違いによって、がんや心疾患、糖尿病などの発症や体格に差が出ることがわかったと、大阪大や国立遺伝学研究所などのチームが発表した。
論文が29日、英科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載される。
一般的な血液型(A、B、O、AB型)は、赤血球の表面にある物質の種類によって四つに分類される。
これに対し、免疫細胞である白血球は、表面にあるHLA(ヒト白血球抗原)という物質に関わる遺伝子の数が多く、白血球型の詳細は不明だった。
チームは、日本人1120人のゲノム(遺伝情報)を解析
HLAに関わる遺伝子が33個あることを突き止めた。
各遺伝子の配列は一人ひとり微妙に違い、配列が近いものをグループ分けすると、大きく11に分類できた。
さらに日本人約17万人分のゲノムや病気、体格などのデータベースと照らし合わせた結果、
白血球型によって、
アレルギー疾患や肺がん、肝臓がんといった病気のかかりやすさなど、計52項目で違いがみられることがわかった。
中には心筋梗塞の発症や身長、肥満など、一見、免疫とは関係がなさそうな項目も含まれていた。
チームの岡田 随象(ゆきのり) ・阪大教授は「心筋梗塞や体格などにも違いが出たのは意外だった。
さらに研究を進めて理由を調べ、医療に役立てたい」と話している。
(2019年1月29日 読売新聞)
白血球の血液型はたくさんあって、今まで詳細は不明だった。
『白血球、日本人は11類型...阪大など解析 発病や体格に影響か』 2019年01月29日
日本人の白血球の型は11のグループに大別でき、型の違いによって、がんや心疾患、糖尿病などの発症や体格に差が出ることがわかったと、大阪大や国立遺伝学研究所などのチームが発表した。
論文が29日、英科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載される。
一般的な血液型(A、B、O、AB型)は、赤血球の表面にある物質の種類によって四つに分類される。
これに対し、免疫細胞である白血球は、表面にあるHLA(ヒト白血球抗原)という物質に関わる遺伝子の数が多く、白血球型の詳細は不明だった。
チームは、日本人1120人のゲノム(遺伝情報)を解析
HLAに関わる遺伝子が33個あることを突き止めた。
各遺伝子の配列は一人ひとり微妙に違い、配列が近いものをグループ分けすると、大きく11に分類できた。
さらに日本人約17万人分のゲノムや病気、体格などのデータベースと照らし合わせた結果、
白血球型によって、
アレルギー疾患や肺がん、肝臓がんといった病気のかかりやすさなど、計52項目で違いがみられることがわかった。
中には心筋梗塞の発症や身長、肥満など、一見、免疫とは関係がなさそうな項目も含まれていた。
チームの岡田 随象(ゆきのり) ・阪大教授は「心筋梗塞や体格などにも違いが出たのは意外だった。
さらに研究を進めて理由を調べ、医療に役立てたい」と話している。
(2019年1月29日 読売新聞)
2019年02月13日
脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症(高脂血症)とは
中性脂肪値は前日の食事(脂っこい、揚げ物、炒め物、食物繊維が少ない)が反映します。
絶えず600以上の方やLDL-Cが190以上の方は家族性高脂血症を除外する必要があります。
代謝内科を専門にしている病医院を受診してください!
LDL-Cは組織に脂という原材料を送っています。脂から細胞膜や酵素やホルモンなどが作られています。
女性は女性ホルモンのおかげで、ストレスに強く、組織の柔軟性が保たれ、男性は成人とともに動脈硬化が始まるのに対して、閉経を迎える50歳前後から、女性ホルモンが作れなくなるため材料のコレステロールが余ってしまいます。
なので、閉経後LDL-Cが100から140ー160に上昇してしまいます。
LDL-Cを必ず下げないといけない病気があります。
狭心症、心筋梗塞です。
再び、発病すると、死に至ることが多いので、この場合、薬を使って、LDL-Cを100以下、可能ならば70以下に下げないといけません。
健康な人の血管の内膜表面を覆っている「内皮細胞」の層は、血液から必要な成分を取り込み、他の成分は入り込まないようにしています。
このほかに、血液が固まるのを防いだり、血液が内皮細胞にくっつかないようにしたりする大切な役目も果たしています。
最近になって、内皮細胞の層でさまざまな物質(生理活性物質)がつくられ、放出されていることがわかってきました。この細胞の役割は極めて大きいのです。
高血圧や糖尿病や感染などが刺激になって内皮細胞が傷害されると、血中の単球(白血球)が内皮細胞にくっつくようになります。さらにこの単球は内皮細胞の間から潜り込み、「マクロファージ」と呼ばれる状態に変身します。
血液中のコレステロールが多すぎると、この「マクロファージ」が“呼び寄せ役”になって、脂肪物質がどんどん取り込まれてたまり、内膜が厚くなってきます。時間の経過とともにこの“呼び寄せ役”自体も壊れて、「粥状」になります(「おかゆ」か「ヨーグルト」、もしくは「柔らかいチーズ」のような状態を思い浮かべてください)。
「高血圧や糖尿病などが刺激になって内皮細胞が傷つけられると、その部分の血管壁の中に脂肪物質がたまって厚くなり、“おかゆ”のような状態になる」と理解してください。
5つの危険因子
動脈硬化の原因は一つではありません。
この変化を起こしたり、進めたりする条件を「危険因子」と呼んでいますが、その中には「男性であること」「齢をとること」のように、自分ではどうにもならないものから、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などのように、自分の意志次第でコントロールできるものもあります。
こうした危険因子を多く持つ人ほど、動脈硬化が加速度的に速まることがわかっています。
危険因子の中でも「高血圧」「高脂血症」「喫煙」は特に重要で、3大危険因子になっています。
米・マサチューセッツ州のフラミンガムで、危険因子と心臓病の関係を明らかにするための疫学調査が行われました。その結果、総コレステロールに高血圧、喫煙、耐糖能異常(糖尿病)、さらに心電図異常(左室肥大)が加わるにつれ、心筋梗塞や狭心症など“心臓事故”の頻度が高くなっています。
中性脂肪値は前日の食事(脂っこい、揚げ物、炒め物、食物繊維が少ない)が反映します。
絶えず600以上の方やLDL-Cが190以上の方は家族性高脂血症を除外する必要があります。
代謝内科を専門にしている病医院を受診してください!
LDL-Cは組織に脂という原材料を送っています。脂から細胞膜や酵素やホルモンなどが作られています。
女性は女性ホルモンのおかげで、ストレスに強く、組織の柔軟性が保たれ、男性は成人とともに動脈硬化が始まるのに対して、閉経を迎える50歳前後から、女性ホルモンが作れなくなるため材料のコレステロールが余ってしまいます。
なので、閉経後LDL-Cが100から140ー160に上昇してしまいます。
LDL-Cを必ず下げないといけない病気があります。
狭心症、心筋梗塞です。
再び、発病すると、死に至ることが多いので、この場合、薬を使って、LDL-Cを100以下、可能ならば70以下に下げないといけません。
健康な人の血管の内膜表面を覆っている「内皮細胞」の層は、血液から必要な成分を取り込み、他の成分は入り込まないようにしています。
このほかに、血液が固まるのを防いだり、血液が内皮細胞にくっつかないようにしたりする大切な役目も果たしています。
最近になって、内皮細胞の層でさまざまな物質(生理活性物質)がつくられ、放出されていることがわかってきました。この細胞の役割は極めて大きいのです。
高血圧や糖尿病や感染などが刺激になって内皮細胞が傷害されると、血中の単球(白血球)が内皮細胞にくっつくようになります。さらにこの単球は内皮細胞の間から潜り込み、「マクロファージ」と呼ばれる状態に変身します。
血液中のコレステロールが多すぎると、この「マクロファージ」が“呼び寄せ役”になって、脂肪物質がどんどん取り込まれてたまり、内膜が厚くなってきます。時間の経過とともにこの“呼び寄せ役”自体も壊れて、「粥状」になります(「おかゆ」か「ヨーグルト」、もしくは「柔らかいチーズ」のような状態を思い浮かべてください)。
「高血圧や糖尿病などが刺激になって内皮細胞が傷つけられると、その部分の血管壁の中に脂肪物質がたまって厚くなり、“おかゆ”のような状態になる」と理解してください。
5つの危険因子
動脈硬化の原因は一つではありません。
この変化を起こしたり、進めたりする条件を「危険因子」と呼んでいますが、その中には「男性であること」「齢をとること」のように、自分ではどうにもならないものから、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などのように、自分の意志次第でコントロールできるものもあります。
こうした危険因子を多く持つ人ほど、動脈硬化が加速度的に速まることがわかっています。
危険因子の中でも「高血圧」「高脂血症」「喫煙」は特に重要で、3大危険因子になっています。
米・マサチューセッツ州のフラミンガムで、危険因子と心臓病の関係を明らかにするための疫学調査が行われました。その結果、総コレステロールに高血圧、喫煙、耐糖能異常(糖尿病)、さらに心電図異常(左室肥大)が加わるにつれ、心筋梗塞や狭心症など“心臓事故”の頻度が高くなっています。