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2019年03月14日

『咳喘息』の定義、治療法が一部変更されました!

『咳喘息』の定義、治療法が一部変更されました!

世界初、喀痰の診療ガイドラインを作成ー咳嗽ガイドラインの改訂版に追加
2018年05月15日 06:15

咳嗽(がいそう;せき)は日常診療で高頻度に遭遇する症状の1つである。
日本呼吸器学会では2005年に『咳嗽に関するガイドライン(GL)』を作成し、2012年には第2版を刊行した。

しかし、咳嗽と密接に関連し、診療上重要な意味を持つ喀痰のGLは存在しなかった。
そこで同学会では今年(2018年)、咳嗽に関するGLの改訂版に喀痰の項目を追加した
『咳嗽・喀痰の診断と治療のGL』(新GL)を刊行する予定である。

元・東京女子医科大学内科学第一講座主任教授(現・英GSK Global Medical Expert)で新GLの作成委員長を務める玉置淳氏は、そのポイントを第58回日本呼吸器学会(4月27〜29日)で紹介した。

咳嗽治療薬を追記、代表的な喀痰治療薬を記載

新GLでは、近年新たに判明した咳嗽の発生機序に言及。

神経線維の1つとして知られるC線維に存在するイオンチャネルのP2X3受容体、TRPV1受容体などが咳反射を亢進するメカニズムを説明している。

また、成人遷延性咳嗽や慢性咳嗽については、検査から診断、投与すべき治療薬までを示したフローチャートを新規に掲載した。

咳嗽に対する直接的治療薬に関しては、
中枢性鎮咳薬にコデインとデキストロメトルファン、
知覚神経に作用する薬剤にリドカインを記載している点は従来通りだが、

間接的治療薬として抗コリン薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を新たに追加した。

一方、喀痰治療薬としては、
分泌物産生の抑制効果を有するマクロライド系抗菌薬やフドステイン、抗コリン薬など、
分泌物排除の促進効果を有するブロムヘキシン、N‒アセチルシステイン、デオキシリボヌクレアーゼ、L‒カルボシステイン、アンブロキソールなどを列記

咳喘息の過剰診断を防ぐための変更

新GLでは咳喘息の診断基準も改訂された。

従来は
@喘鳴を伴わない咳8週間(場合によっては3週間)以上持続し、聴診でも息切れを認めない
A気管支拡張薬(β刺激薬またはテオフィリン製剤など)が有効

−の2点を基準としていた。

しかし、今回は@の「場合によっては3週間」、
Aの「テオフィリン製剤」の文言が削除されたという。

その理由を、玉置氏は
「咳喘息はかねてから過剰診断の多さが指摘されていたため、咳の持続期間をより厳密に定める必要があった。
加えて、現在咳喘息に対する気管支拡張薬はβ刺激薬が一般的になっている点を考慮し、テオフィリン製剤は割愛した」と説明した。
(有効血中濃度が狭く、中毒域に達した場合、痙攣(ケイレン)から低酸素脳症を最悪引き起こすこともあり、小児、高齢者には害が多いため、欧米では喘息薬としても使用しなくなった「管理人註」)

さらに、
中等症以上の咳喘息に対する長期管理薬として長時間作用性抗コリン(LAMA)、
発作治療として中用量のSMART療法〔吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬の配合剤の頓用〕が追記されたという。

咳嗽の新概念、喀痰におけるFAQも

新GLでは、近年提唱された咳嗽の概念で、原因不明かつ難治性の慢性咳嗽であるUCC(Unexplained Chronic Cough)の特徴や傾向についても解説。

その定義
@8週間以上続く咳
Aさまざまな(気管支喘息の)検査で(気管支喘息の)陽性所見〔好酸球性気道炎症、気道過敏性の亢進、呼気一酸化窒素(NO)の上昇〕を認めない−とし、
ICSやβ刺激薬(気管支喘息で効く薬)が無効
である点などを記述しているという。
(要は”気管支喘息ではありません”ということです「管理人註」)

なお、喀痰に関連するFAQ(よくある質問)も掲載しており、
病的気道粘液産生の経路を図示し、
びまん性汎細気管支炎や気管支拡張症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う喀痰に対する各種治療法の有用性を、エビデンスに基づき示している。

このように説明した玉置氏は、「古くから咳嗽や喀痰で苦しむ患者は多く見られた。新GLがそういった患者を救う一助になってほしい」と期待を寄せた。(陶山 慎晃)

2019年03月13日

麻疹感染女性、新幹線で新大阪―東京間往復〔読売新聞〕

風疹ワクチン接種とおなじで、一時、麻疹ワクチン接種も親御さんが回避した時代の副産物です。
徳川将軍も麻疹で死んでいます!感染力が高く、致死率も高い感染症です。予防が何より!

麻疹感染女性、新幹線で新大阪―東京間往復〔読売新聞〕
2019年02月15日 16:16

大阪府は14日、麻疹(はしか)への感染が判明した40歳代の女性が、今月8〜10日に新幹線で新大阪―東京間を往復していたと発表した。府は、乗客に感染の恐れがあるとして、注意を呼びかけている。

発表によると、女性は8日午前11時56分新大阪発の東海道新幹線「のぞみ340号」と、10日午後6時東京発の「のぞみ121号」に乗車。発熱や発疹を訴えて12日に府内の医療機関を受診し、13日、感染が判明した。

大阪府内のはしか患者は今年に入って46人(12日現在)と、昨年1年間(15人)の3倍に上っている。

(2019年2月15日 読売新聞)

麻疹「はしか」とも呼ばれ、感染力は極めて強く、免疫がない人は90%以上が発病します。

江戸時代までの日本では麻疹は「命定め」の病として恐れられていました。
現在ではビタミンAが不足すると麻疹の重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国では死亡率が10〜30%に達する場合があると言われています。
我が国においても麻疹は最近まで度々大きな流行を繰り返していましたが、
ワクチンの接種率の向上や多くの関係者の努力により、国内の麻疹の発症者数は大きく減少しました。

症状

典型的な麻疹の発症例では、感染後10〜14日間の潜伏期を経て、以下の経過をたどります。

(1)カタル期:38℃前後の発熱、上気道炎症状等、経過中に頬粘膜にコプリック斑出現
(2)発疹期:39℃以上の発熱、頭頚部より発疹が出現して全身に広がる
(3)回復期

カタル期が最も感染力が強い時期となっており、カタル期で麻疹であることに気づかずに行動することが、感染を広げる原因となります。

合併症として肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎等があり、2000年に大阪で麻疹が流行した際には入院率は40%を超えました。未だに有効な治療方法はありません

感染経路

麻疹は麻疹ウイルスが人から人へ感染していく感染症です。
他の生物は媒介しません。
人から人への感染経路としては空気(飛沫核)感染の他に、飛沫感染、接触感染もあります。
麻疹は空気感染によって拡がる代表的な感染症であり、その感染力は強く、1人の発症者から12〜14人に感染させるといわれています。
麻疹発症者が周囲の人に感染させることが可能な期間(感染可能期間)は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4〜5日目くらいまでです。
学校保健安全法施行規則では、麻疹に罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。

予防

麻疹は空気(飛沫核)感染する感染症です。
麻疹ウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。
麻疹の感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻疹に対する免疫を獲得しておくことです。

合併症

麻しんにはさまざまな合併症がみられ、全体では30%にも達するとされます。
その約半数が肺炎で、頻度は低いものの脳炎の合併例もあり、
特にこの二つの合併症は麻疹による二大死因となり、注意が必要です。
麻疹の合併症には以下にあげるものがあります。

ア)肺炎:麻疹の合併症で最も多いのは肺炎です。
麻疹の肺炎には「ウイルス性肺炎」「細菌性肺炎」「巨細胞性肺炎」の3種類があります。

○ウイルス性肺炎:ウイルスの増殖にともなう免疫反応・炎症反応によって起こる肺炎であり、病初期に認められることが多いです。抗ウイルス剤ありません!

○細菌性肺炎:細菌の二次感染による肺炎です。発疹期を過ぎても解熱しない場合に考慮すべきもので、
原因菌としては、一般的な呼吸器感染症起炎菌である肺炎球菌、インフルエンザ菌、化膿レンサ球菌、黄色ブドウ球菌などが多くみられます。抗菌薬投与による治療が必要です。

○巨細胞性肺炎:細胞性免疫不全の状態の時に麻疹を発症した場合にみられる肺炎です。
肺で麻疹ウイルスが持続感染した結果生じるもので、予後不良であり、死亡例も多いです。
発症は急性または亜急性で、発疹は出現しないことが多くあります。

イ)中耳炎:細菌の二次感染により生じ、麻しん患者の約5〜15%にみられ、肺炎と並んで頻度の多い合併症です。乳幼児では症状を訴えないため、中耳からの膿性耳漏で発見されることがあり、注意が必要です。

ウ)クループ症候群:クループ症候群の原因である喉頭炎および喉頭気管支炎は乳幼児の麻しんの合併症として多くみられるもののひとつです。麻疹ウイルスによる炎症と細菌の二次感染による場合があります。
吸気性呼吸困難が強い場合には、気管内挿管による呼吸管理が必要になる場合があります。

エ)脳炎:麻疹を発症した1,000例に0.5〜1例の割合で脳炎を合併します。
発生頻度は高くはありませんが、肺炎とともに麻疹発症者の主要な2大死因の1つとされており、要注意です。
発疹出現後2〜6日頃に発症することが多く、麻疹そのものの症状の重症度と脳炎発症には相関は認められません。
脳炎発症患者の約60%は完全に回復しますが、20〜40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞、痙攣、行動異常、神経聾、片麻痺、対麻痺)を残し、致死率は約15%です。

オ)亜急性硬化性全脳炎(SSPE):麻疹に罹患して治癒した後7〜10年後に発症する中枢神経疾患であり、M蛋白が変異した麻疹ウイルスの中枢神経系への持続感染によって発症するといわれています。
発症の頻度は麻しん罹患者10万例に1人と極めて低いですが、
知能障害、運動障害が徐々に進行し、ミオクローヌスなどの錐体・錐体外路症状を示し、
発症から平均6〜9か月で死の転帰をとる、
進行性の予後不良疾患です。
この疾患の本態は未だに不明であり、有効な治療方法はありません。

修飾麻疹とは

麻疹に対する免疫は持っているけれども、不十分な人が麻しんウイルスに感染した場合、軽症で非典型的な麻疹を発症することがあります。このような場合を『修飾麻疹』と呼んでいます。
例えば、潜伏期が延長する、高熱が出ない、発熱期間が短い、コプリック斑が出現しない、発疹が手足だけで全身には出ない、発疹は急速に出現するけれども融合しない、などです。
感染力は弱いものの周囲の人への感染源になるので注意が必要です。

通常合併症は少なく、経過も短いため、風疹など他の発熱発疹性疾患と誤診されることもあります。
以前は母体由来の移行抗体が残存している乳児や、ヒトガンマグロブリン製剤を投与された後に見られていました。
最近では、麻疹ワクチン既接種者が、その後長期間麻疹ウイルスに曝露せず、ブースター効果(免疫増強効果)が得られないままに体内での麻疹抗体が減衰して麻しんに罹患する場合〔このような人をsecondary vaccine failure(SVF)と呼びます〕が多く見られるようになっています。

参考資料として
・Measles Fact sheet. WHO ホームページ
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs286/en/
・国立感染症研究所ホームページ
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
・岡部信彦,多屋馨子:予防接種に関する Q&A 集.一般社団法人日本ワクチン産業協会,2014年
・Control of Communicable Diseases Manual 19th Edition. An official report of the American Public Health Association: 2008
・Communicable Disease Control and Health Protection Handbook the 3rd Edition.Hawker J. MD., Begg N. MD., et al: Blackwell Publishing Ltd. 2012
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2018/5

2019年03月12日

うんちで認知症が分かる

うんちで認知症が分かる

『腸内細菌叢は独立した関連因子』
2019年02月15日 06:05

国立長寿医療研究センターもの忘れセンター副センター長の佐治直樹氏らは、もの忘れ外来受診患者の検便サンプルを収集し、腸内細菌叢と認知機能との関連を分析。

その結果、『腸内細菌叢の組成の変化が認知症の独立した関連因子』であることを明らかにし、Sci Rep(2019; 9: 1008)に発表した。

128例の検便サンプルで腸内細菌叢と認知症との関連を検討

認知症患者は、2015年には全世界で4,680万人だったが、2050年までに3倍になると予測されている。

日本でも、2012年に65歳以上の15%に当たる462万人が認知症と診断され、今後も増加傾向は続くとみられている。
こうした状況の中、認知症対策は喫緊の課題であり、現在さまざまな研究が展開されている。

これまでに、腸内細菌叢は肥満や心血管疾患、炎症性疾患と関連することが示されている。
海外では認知症や脳神経との関連も報告されている。

しかし、腸内細菌叢の組成は人種や食生活によって異なる。過去に日本人を対象に腸内細菌叢の組成と認知症発症との関連について検討した研究はなかった。

そこで佐治氏らは、認知症患者と非認知症患者との間には腸内細菌叢の組成に違いがあると仮定。

日本人を対象に認知機能テストや頭部MRI検査で包括的に認知機能を評価し、腸内細菌叢の組成と認知症との関連を検討した。

解析対象は、研究期間中に国立長寿医療研究センターもの忘れセンターを受診した128例(女性59%)で、
平均年齢は74±8.7歳だった。

認知症と診断されたのは34例、非認知症は94例だった。
ミニメンタルステート検査(MMSE)の平均スコアは24で、
認知症患者のうち臨床認知症評価尺度(CDR)が0.5、
MMSEが20未満だったのは14例だった。

腸内細菌叢の組成に、従来のバイオマーカーより強い関連

患者の検便サンプルを収集し、Terminal restriction fragment length polymorphism(T-RFLP)法で腸内細菌叢を網羅的に解析したところ、認知症の有無によって腸内細菌の組成に違いが見られた。

細菌の割合により、
エンテロタイプT(バクテロイデスが多いタイプ)、
同U(プレボテラが多いタイプ)、
同V(その他の細菌が多いタイプ)
の3タイプに分類し、腸内細菌叢の組成と認知症との関連を分析したところ、

認知症患者は非認知症患者よりエンテロタイプIが少なく、
『エンテロタイプV』が多かった。

多変量ロジスティック回帰分析では、
エンテロタイプT
〔オッズ比(OR)0.1、95%CI 0.02〜0.33、P<0.001〕、
エンテロタイプV
(OR 18.5、95%CI 4.1〜121.9、P<0.001)
が認知症と強く関連していることが示された。

これらの関連は、脳萎縮スコア(VSRAD)やアポリポ蛋白E(apoE)よりも強かった。

佐治氏は「症例数が少ないため、分析結果をそのままうのみにはできないが、
バクテロイデスの少なさとその他の細菌の多さは、
従来の認知症バイオマーカーよりも認知症との関連性が高い」と考察した。

研究結果について、同氏は「腸内細菌が認知機能に関連するという新しい知見が得られたことは興味深い」とコメントする一方で、研究の限界について次のように言及。
「今回の研究は横断研究であり、腸内細菌叢の違いと認知症の因果関係を示すものではない。

認知症患者の中にエンテロタイプUが存在しなかったことが、分析結果になんらかの影響を与えた可能性はある。
また、単施設コホートであるため、対象に偏りがあった可能性も否定できない」。

さらに、今後について「食事習慣や栄養といった視点からも研究を行う予定だ」とし、
「腸内細菌の詳細な解析が、認知症の新規治療法の開発につながるかもしれない。
そして、新たな予防策を講じる際の糸口にもなりうるだろう」と展望している。(比企野綾子)

2019年03月11日

『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』

『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』

日本の子宮頸がんの予防・治療戦略に新知見ー若年女性で腺がん増加!
2019年02月18日 06:15

日本における2018年の子宮頸がん罹患予測は1万1,200人で、毎年3,000人近くが子宮頸がんで命を落としている。
大阪大学大学院産科学婦人科学講師の上田豊氏、八木麻未氏らの研究グループは、大阪府がん登録のデータを用いて、子宮頸がんの動向を詳細に解析。
その結果、2000年を境に患者数が増加しており、腺がんに関しては若年層で増えているといった、今後の予防・治療戦略の策定に重要な知見を明らかにし、Cancer Res(2019年1月9日オンライン版)に発表した。

2000年以降、罹患率の増加が継続

他の先進諸国に比べて日本では、子宮頸がん検診の受診率が極めて低い

またHPVワクチンの積極的勧奨は、2013年6月に一時中止されたまま5年以上が経過している。

子宮頸がんの将来的な罹患率や死亡者数を低減させるに当たり、日本における子宮頸がんの疫学的傾向を把握することは重要である。
しかし、子宮頸がんの種類別や年齢別といった詳細な解析はこれまでなかった。

そこで上田氏らは、1976〜2012年における大阪府がん登録のデータを利用して、約『2万5,000人』を対象に子宮頸がんの種類別、年齢層別、進行ステージ別、治療方法別の罹患率を解析した。

その結果、人口10万人当たりの年齢調整罹患者は、1976年(28.0人)から2000年(9.1人)にかけて減少したが、

『2000年を境に増加に転じ』、2012年には14.1人となり、現在も増加し続けていることが分かった。

子宮頸がんの種類別(扁平上皮がん・腺がん)における年齢層別の年齢調整罹患率は、両種とも近年は増加傾向だった。

なお、検診での発見が難しく『治療抵抗性』であることが多い『腺がんは、30歳代以下の若年層で1976年以降、一貫して増加』していた。

局限性の相対生存率は近年、改善傾向

さらに2003〜10年のデータを用いて、がんと診断されてからの経過年数ごとのサバイバー生存率について解析した。
診断時からの5年生存率が64.3%だったのに対して、
診断から1年後のサバイバーにおける5年生存率は74.9%(95%CI 73.3〜76.5)、
診断から2年後のサバイバーにおける5年生存率は82.7%(同81.1〜84.2)と、
生存年数が延びるにつれサバイバー生存率は有意に上昇していた。

がんの進行期別に子宮頸がんの10年相対生存率は、
がんが子宮頸部に限定される「限局性」および、
隣接する臓器にもがんが広がる「隣接臓器浸潤」のケースで、
10年相対生存率が2003年以降に著しく改善していた。

この点について上田氏は「化学療法・放射線治療同時併用療法(CCRT)の導入や治療ガイドラインの普及が影響しているのではないか」と推測。

一方で、がんの「遠隔転移」を伴うような進行した子宮頸がんのケースでは、
有意な予後の改善は認められなかった。

また、限局性の子宮頸がん治療による生存率を年代別に解析。
主治療として手術が行われた群では、年齢による相対生存率に差は見られなかった。

しかし、CCRTを含む放射線治療が行われた群では、
若年層において他の年代と比べ相対生存率が低い傾向にあり、
若年層では放射線治療が奏効しにくいことが示された。

同氏は、今回の研究結果について「今後の日本での子宮頸がんの予防・治療戦略の策定にとって重要な知見が得られた」と評価。

その上で、「子宮頸がんに対する予防の重要性があらためて示されたことから、『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』される」とコメントしている。

(比企野綾子)

2019年03月10日

その『じんましん』は本当に蕁麻疹?

『膨疹』ってご存知ですか?
膨疹1.jpg
膨疹2.jpg

<Dr.デルぽんの診察室観察日記 >
第1回 その『じんましん』は本当に蕁麻疹?

私がまだ大学で働いていた頃のこと。
時間外受付のナースに「じんましんの患者さんがいます」と呼ばれていったところ、診察で皮膚を見たら「『中毒疹』だった」ということがありました。

日頃、皮膚科の外来でも「じんましんが出来て…」と自己申告してくる患者さんは割といます。

「どれ膨疹でも出ているかな」と服をあげて診ると、
丘疹が集蔟した「湿疹」だったり。

紅暈を帯びた小水疱が帯状に並んだ「帯状疱疹」だったり…と。意外と正しい蕁麻疹ではなかったりします。

こうした発言を聞いていると、
どうも「何か赤いものができた」ことを指し、
「じんましん」と称しているようです。

医療者にとっての蕁麻疹とは必ずしも一致しないため、
問診で「じんましん」と書かれていても、すぐには信じないようになりました。

もちろんなかには、過去に蕁麻疹の経験があり自己判断できる患者さんや、実際に膨疹を写真に撮って見せてくれる、正しい蕁麻疹の患者さんもいます。

前情報が何であれ、問診や診察で正しい診断はつくのですが、冒頭ナースの例もあり、患者さんの主訴を鵜呑みにしないことは大事だなあと思った次第です。

Dr.デルぽん 皮膚科専門医

『デルマな日常』のブロガー。

鋭い観察眼で、皮膚疾患を見逃さず、同時に診察室の患者やスタッフの面白い挙動も見逃さない!

最近のマイブームは、綿菓子製造機。

好きなキャラは、「赤い彗星のシャア」や「JOJOの宿敵DIO」などのイケメンヒール(悪役)。

現在、『joy.net』『PHPくらしラクーる』などで好評連載中。

2019年03月09日

百害あって一利なし!

百害あって一利なし!

喫煙で子宮頸がんリスクが2倍〜日本人女性
提供元:ケアネット 公開日:2019/02/20
子宮頸がんと喫煙.jpg

『喫煙による子宮頸がんのリスク上昇』を示唆するエビデンスは多いが、
『日本人女性』における関連の強さを調べた研究はない。

今回、東北大学の菅原 由美氏らは「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」において、日本人女性における喫煙と子宮頸がんリスクとの関連を系統的レビューにより評価した。
子宮頸がん図.jpg

その結果から、喫煙が日本人女性における子宮頸がんリスクを高めるエビデンスは確実であると結論している。
Japanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。

本研究では、PubMedによるMEDLINE検索もしくは医中誌Webの検索、およびマニュアル検索によりデータを取得した。

関連性については、国際がん研究機関(IARC)によって以前に評価された生物学的妥当性と共に、エビデンスの信頼性および関連の強さに基づいて評価した。さらに、メタ分析により喫煙による影響を推定した。
子宮頸がん子宮摘出範囲.jpg

主な結果は以下のとおり。

2つのコホート研究と3つのケースコントロール研究を特定した。
5つの研究すべてが、喫煙と子宮頸がんリスクとの間に強い正の関連を示した。

・要約推定によると、
非喫煙者に対する喫煙経験者の
相対リスクは2.03(95%信頼区間:1.49〜2.57)であった。
4つの研究では、喫煙と子宮頸がんリスクとの『用量反応関係』も示された。
(ケアネット 金沢 浩子)

原著論文はこちら
Sugawara Y, et al. Jpn J Clin Oncol. 2019;49:77-86.

2019年03月08日

作業記憶(ワーキング・メモリー)って何?

作業記憶(ワーキング・メモリー)って何?

思考過程で使われる記憶:作業記憶

Copyright(c) Akichika Mikami
(このページに関する連絡先:三上章允
1996-09年 京都大学霊長類研究所教授
2009ー現在 京都大学名誉教授

2009-11年 中部学院大学・人間福祉学部教授
2011-14年 中部学院大学・リハビリテーション学部教授・学部長
2012ー現在 中部学院大学大学院・人間福祉学研究科教授
2014ー現在 中部学院大学・看護リハビリテーション学部教授・学部長
2015ー現在 中部学院大学・同短期大学部・総合研究センター所長

前頭葉損傷の患者さんでは「宣言記憶」も「手続き記憶」も比較的良く保たれているのですが、
作業記憶と呼ばれるタイプの記憶が障害されます。

作業記憶(ワーキング・メモリー)という概念を最初に提唱したバドレーBaddeley (1986)によれば、
作業記憶とは「理解、学習、推論など認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム」です。

ものごとを考えるときに使う記憶ということです。

記憶というと、憶えておくべき内容を記憶の引き出しに入れておいて、
必要に応じて取り出すような単純なイメージを持ちがちです。

一方、私達が考えるときは複数の内容を同時に心に留めておかないと、
それらの関係を判断することはできません。

このタイプの記憶は考えているあいだ頭の中に存在すれば良いので短期記憶の一種です。
しかし、電話番号を憶えておくときのように単純ではありません。

少し乱暴な比喩ですが、電卓についているメモリー機能は作業記憶に似ています。例えば、103+104=207としてメモリー・プラス(M+)ボタンを押し、523+437=960とし÷を押し、さらにメモリー・リード(MR、機種によってはRM)ボタンを押すと、960÷207を実行できます。

この計算では103と104という2つの数字がまず短期記憶にあり、この2つの数値を操作した結果、207が導きだされます。

207が得られれば、103と104は不要になりますが、207はこの計算が終わるまで憶えておく必要があります。
つぎに532と437という2つの数字を短期記憶に留めておき、それを操作して960という値を導きます。
960が得られれば523と437は不要です。
つぎのステップは960と207を操作することです。

4.637という数字がでれば、960と207の記憶は不要です。

作業記憶は前頭連合野で扱われる
作業記憶実験図1.jpg

図1は私たちの研究室でサルを使って作業記憶をテストしたときの課題です。

この課題では、記憶期間が3つあります。

最初に1番目の図形が呈示され、その後第1の記憶期間があります。
つぎに2番目の図形が呈示され、その後第2の記憶期間があります。
さらに赤または緑の色が呈示され、その後第3の記憶期間があります。

最後に3つの図形が呈示され、赤のときは第1の図形、緑のときは第2の図形を選ぶと正解になります。

この課題を行うときには、
第1の記憶期間には、第1の図形を、
第2の記憶期間には第1の図形と、第2の図形と、2つの図形の呈示順序を憶えておく必要があります。
さらに色が出たときにこれらの記憶と色を照合して正しい図形を決める必要があります。
第3に記憶期間は決めた図形を憶えている期間です。
この課題を行っているとき、前頭連合野には、それぞれの記憶期間に活動する神経細胞があります。

このような神経細胞活動の多くは、それぞれの記憶期間に憶えておく内容である図形やその呈示順序によって活動のレベルが変わります。
また、記憶が必要なくなると活動が止まり、
エラーでは活動が減少します。

さらに色が呈示されたときには、思い出した図形に対応した神経細胞活動があらわれます。
似たような活動は側頭連合野にも存在しますが、
前頭連合野の活動の方が側頭葉よりも早くはじまり、
活動のレベルも高くなります。

従って、複雑な作業記憶の機能には前頭葉がより重要な役割を担っているとことが分かります。

図1  サルの前頭連合野の働きを調べるために使った課題(連続プローブ再生課題、Serial Probe Reproduction task)の時間経過。画面中央の注視点をサルが見ると課題がスタートします。1.5秒後に図形1(C1)が0.5秒間呈示されます。1秒の記憶期間(D1)の後、図形2(C2)が0.5秒間呈示されます。その後、2番目の記憶期間(D2)が1秒間あって、赤または緑の色刺激が0.5秒間呈示されます。さらに1-1.5秒の記憶期間があり、最後に3つの図形が呈示されます。色刺激が赤のときは図形1に、緑のときは図形2に視線を移動すれば正答として報酬を与えます。この課題では、D1の期間はC1の記憶、D2の期間はC1とC2とその呈示順序の記憶、D3の期間は正答図形の記憶を必要とします。さらに、色刺激で正答図形の想起が必要です。(Inoue and Mikami, J. Neurophysiology 2006)

2019年03月07日

人工知能AIの進歩で人間力のない医者は淘汰される!

人工知能AIの進歩で人間力のない医者は淘汰される!

COMLコムル山口育子写真.jpg

「患者は一人ひとり背景の異なる個別的な存在。
そのことを、コミュニケーションを通して理解し、患者と向き合ってほしい」

私たちCOMLが1992年に模擬患者の活動を始めた当時、
医学部の教授たちは「コミュニケーションなんて先輩の背中を見て学ぶものであり、教えてどうする?」
と冷ややかな反応でした。

しかし偏差値が高いというだけで医学部に入学してくる学生が増え、
異なる世代の人と話したことがない若者すらいます。
そのような中で、やはり『コミュニケーションのスキルを向上』させるためには
『訓練』が必要だと時代が変化してきたのです。

これからきっと、医療界にもAI(人工知能)が台頭してくることでしょう。
画像の読影や病理診断をはじめ、病気の診断などはAIがかなりの部分をカバーすることになるかもしれません。
となれば、医師に求められるものは、病気を理解したうえで一人ひとりの患者に応じた説明やサポートというコミュニケーションの部分が多くなるかもしれません。

私たちCOMLが模擬患者活動を始めた理由は、
「患者は一人ひとり背景の異なる個別的な存在。
そのことを、コミュニケーションを通して理解し、患者と向き合ってほしい」

という思いからでした。
もしかすると、そこにようやくスポットライトが当たる時代になったのかもしれないと感じています。

山口 育子 ( やまぐち いくこ )
認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML理事長
[略歴]
大阪市生まれ。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療への必要性を痛感していた1991年11月COMLと出会う。活動趣旨に共感し、1992年2月にCOMLのスタッフとなり、相談、編集、渉外などを担当。
2002年4月に法人化したNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの専務理事兼事務局長を経て、2011年8月理事長に就任。著書に『賢い患者』(岩波新書)。

2019年03月06日

心臓超音波検査;心エコー(UCG)の僧帽弁逆流速度が患者の予後に直結!

心臓超音波検査;心エコー(UCG)の僧帽弁逆流速度が患者の予後に直結!

高齢化の進展により弁膜症患者数は増加しており、中でも『僧帽弁逆流症(閉鎖不全症)』は最もよくみられる弁膜症の一つ

心機能が低下したり心房細動や肺高血圧症などの合併症が生じたりした場合に、手術を検討していた。
国循E波、E波と予後.jpg

国立循環器病研究センター(国循)で
2012年から2015年までに心エコー図検査を実施した僧帽弁逆流症患者1,312名のうち、
無症状の器質性僧帽弁逆流症患者188名について僧帽弁通過血流速度(注1)と予後の関係について解析した。

その結果、僧帽弁通過血流速度のE波が大きい患者ほど、
心血管死やうっ血性心不全、左室機能低下、心房細動、肺高血圧症などの心血管イベントを有意に多く発症することが明らかになった。

今後の展望・課題

E波の測定は、他の心エコーによる逆流の評価法と比べて、より簡便かつ測定者間での誤差が非常に少ないため、今後、適切な治療時期や治療法を検討するに当たり、広く活用できる指標となると考えられる。

2018年4月よりわが国でも僧帽弁逆流症に対するカテーテル治療「MitraClipレジスタードマーク」が保険償還されており、
今後「MitraClipレジスタードマーク」も含めた僧帽弁逆流症の治療指針となる弁膜症治療ガイドライン策定等にも役立つことが期待されている。

(注1)僧帽弁通過血流速度

左心房から左心室に向かって僧帽弁を通過する血流のスピード。心エコー図検査で「パルスドプラ法」を用いて計測したものが左室流入血流波形で(図1)、非常に簡便性の高いエコー指標である。E波は、僧帽弁逆流症の患者では大きくなるということは知られていたが、予後予測因子として使えるかどうかの検証は行われていなかった。

2019年03月05日

医師32年目、4月からは33年目に突入!

医師32年目、4月からは33年目に突入!

切ったことのない臓器は口腔、脳神経、腎臓、心臓
切ったことのある臓器は、甲状腺、乳腺、肺、肝・胆・膵・脾、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、副腎、膀胱、子宮、卵巣。

一般外科医として、甲状腺がん、乳がんの外科切除、後者の化学療法、緩和終末医療、
消化器外科医として、外科切除、化学療法、緩和医療、終末医療を
消化器内視鏡医として、主に消化管の止血術、粘膜切除術、食道静脈瘤に対する硬化療法を
中でも、大腸カメラによる、診断、治療を数多く手がけてきました。
4年前に、老眼、白内障による眼精疲労が顕著となり、メスとカメラをおきました。

転職して内科医として循環器、脳血管、認知症、呼吸器、消化器、糖尿病代謝、腎内、進行癌などを対象に充実した生活を送っています。総合診療科医として患者さんを外来、入院で治療しています。
また、産業医として、50人未満事業所の1次検診後の指導を行っています。

医学博士(甲種)、臨床と基礎の橋渡しができれば、と考え、病理学教室の大学院生となり、20体の病理解剖をさせていただいて、剖検医の資格をいただきました。
大腸がんの病理組織診断とK-ras点突然変異および細胞回転の指標であるPCNA(今はKi67がメインになりました)免疫染色陽性率との関連を調べて、医学博士号を取得しました。
30年前からMacユーザーです。博士号論文の仕事は統計処理が必要だったので、エクセル(当時はMacでしか動きませんでした)で入力して、ロータス123でDOSマシーン用に変換し、衛生学の教授に指導してもらって統計解析を行いました。また、3年後に予後調査を行い、Windowsのハル坊というソフトで多変量解析を行い、英文雑誌に載りました。
胃カメラでスリットパターンを胃腫瘍に投影し、3D解析できないかと工学部の教授と提携し、修士論文2編を作ってもらって、結果を内視鏡学会雑誌に投稿しました。医療機器にはできませんでしたが。
全国大会、地方会で数多くの発表もしました。
また、それを症例報告、論文にして雑誌に投稿しました。

外科系学会、内視鏡学会をやめたので、元消化器外科専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、元外科学会専門医指導医となり、一抹の寂しさが。

2次予防(脳梗塞、心筋梗塞になった人の再発予防)だけではなく、1次予防を促すため、患者さんに食を通して、生活習慣の改善を図っています。

看護師、介護士への講義だけではなく、ネットや講演を通じて、生活習慣病への気づき、日常生活のちょっとした工夫で、健康寿命が延びることを、具体的に平易な言葉で広く知ってもらうことが、現在の目標です!

人間の体の不思議、神秘にひかれ、患者を救える医師という職業に憧れ、切除だけではなく、再建が必要となり、心、肺、腎、栄養代謝がわかっていなければ、術後管理ができない広く、奥の深い消化器外科医を選択しました。

おかげで、メスをおいても総合診療科になれました!

2年目に関連病院に出向し、同門の病院長に、週2回、診療に来る整形外科大学講師の付き人を命じられ、2年間、診察と手術に(夕方、麻酔を私がかけて、第1助手として)参加したので、”門前の小僧、経を覚える”で、手術や関節内注射はしませんが、脊柱管狭窄症などの診断や治療方針を立てることができるようになりました。
週2回、CT読影に来られる放射線科講師(のちの教授)に症例のプレゼンを時間外に命じられましたが、読影のコツを教えていただいて、県立中央病院に赴任した際に、放射線科医が見落とした十二指腸下水平脚の破裂を診断できました。頭部、頚部、胸部、全腹部CTの読影もお手の物になりました。

今、問題になっている働き方改革に逆行する外科医時代でした。
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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