2019年03月11日
『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』
『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』
日本の子宮頸がんの予防・治療戦略に新知見ー若年女性で腺がん増加!
2019年02月18日 06:15
日本における2018年の子宮頸がん罹患予測は1万1,200人で、毎年3,000人近くが子宮頸がんで命を落としている。
大阪大学大学院産科学婦人科学講師の上田豊氏、八木麻未氏らの研究グループは、大阪府がん登録のデータを用いて、子宮頸がんの動向を詳細に解析。
その結果、2000年を境に患者数が増加しており、腺がんに関しては若年層で増えているといった、今後の予防・治療戦略の策定に重要な知見を明らかにし、Cancer Res(2019年1月9日オンライン版)に発表した。
2000年以降、罹患率の増加が継続
他の先進諸国に比べて日本では、子宮頸がん検診の受診率が極めて低い。
またHPVワクチンの積極的勧奨は、2013年6月に一時中止されたまま5年以上が経過している。
子宮頸がんの将来的な罹患率や死亡者数を低減させるに当たり、日本における子宮頸がんの疫学的傾向を把握することは重要である。
しかし、子宮頸がんの種類別や年齢別といった詳細な解析はこれまでなかった。
そこで上田氏らは、1976〜2012年における大阪府がん登録のデータを利用して、約『2万5,000人』を対象に子宮頸がんの種類別、年齢層別、進行ステージ別、治療方法別の罹患率を解析した。
その結果、人口10万人当たりの年齢調整罹患者は、1976年(28.0人)から2000年(9.1人)にかけて減少したが、
『2000年を境に増加に転じ』、2012年には14.1人となり、現在も増加し続けていることが分かった。
子宮頸がんの種類別(扁平上皮がん・腺がん)における年齢層別の年齢調整罹患率は、両種とも近年は増加傾向だった。
なお、検診での発見が難しく『治療抵抗性』であることが多い『腺がんは、30歳代以下の若年層で1976年以降、一貫して増加』していた。
局限性の相対生存率は近年、改善傾向
さらに2003〜10年のデータを用いて、がんと診断されてからの経過年数ごとのサバイバー生存率について解析した。
診断時からの5年生存率が64.3%だったのに対して、
診断から1年後のサバイバーにおける5年生存率は74.9%(95%CI 73.3〜76.5)、
診断から2年後のサバイバーにおける5年生存率は82.7%(同81.1〜84.2)と、
生存年数が延びるにつれサバイバー生存率は有意に上昇していた。
がんの進行期別に子宮頸がんの10年相対生存率は、
がんが子宮頸部に限定される「限局性」および、
隣接する臓器にもがんが広がる「隣接臓器浸潤」のケースで、
10年相対生存率が2003年以降に著しく改善していた。
この点について上田氏は「化学療法・放射線治療同時併用療法(CCRT)の導入や治療ガイドラインの普及が影響しているのではないか」と推測。
一方で、がんの「遠隔転移」を伴うような進行した子宮頸がんのケースでは、
有意な予後の改善は認められなかった。
また、限局性の子宮頸がん治療による生存率を年代別に解析。
主治療として手術が行われた群では、年齢による相対生存率に差は見られなかった。
しかし、CCRTを含む放射線治療が行われた群では、
若年層において他の年代と比べ相対生存率が低い傾向にあり、
若年層では放射線治療が奏効しにくいことが示された。
同氏は、今回の研究結果について「今後の日本での子宮頸がんの予防・治療戦略の策定にとって重要な知見が得られた」と評価。
その上で、「子宮頸がんに対する予防の重要性があらためて示されたことから、『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』される」とコメントしている。
(比企野綾子)
日本の子宮頸がんの予防・治療戦略に新知見ー若年女性で腺がん増加!
2019年02月18日 06:15
日本における2018年の子宮頸がん罹患予測は1万1,200人で、毎年3,000人近くが子宮頸がんで命を落としている。
大阪大学大学院産科学婦人科学講師の上田豊氏、八木麻未氏らの研究グループは、大阪府がん登録のデータを用いて、子宮頸がんの動向を詳細に解析。
その結果、2000年を境に患者数が増加しており、腺がんに関しては若年層で増えているといった、今後の予防・治療戦略の策定に重要な知見を明らかにし、Cancer Res(2019年1月9日オンライン版)に発表した。
2000年以降、罹患率の増加が継続
他の先進諸国に比べて日本では、子宮頸がん検診の受診率が極めて低い。
またHPVワクチンの積極的勧奨は、2013年6月に一時中止されたまま5年以上が経過している。
子宮頸がんの将来的な罹患率や死亡者数を低減させるに当たり、日本における子宮頸がんの疫学的傾向を把握することは重要である。
しかし、子宮頸がんの種類別や年齢別といった詳細な解析はこれまでなかった。
そこで上田氏らは、1976〜2012年における大阪府がん登録のデータを利用して、約『2万5,000人』を対象に子宮頸がんの種類別、年齢層別、進行ステージ別、治療方法別の罹患率を解析した。
その結果、人口10万人当たりの年齢調整罹患者は、1976年(28.0人)から2000年(9.1人)にかけて減少したが、
『2000年を境に増加に転じ』、2012年には14.1人となり、現在も増加し続けていることが分かった。
子宮頸がんの種類別(扁平上皮がん・腺がん)における年齢層別の年齢調整罹患率は、両種とも近年は増加傾向だった。
なお、検診での発見が難しく『治療抵抗性』であることが多い『腺がんは、30歳代以下の若年層で1976年以降、一貫して増加』していた。
局限性の相対生存率は近年、改善傾向
さらに2003〜10年のデータを用いて、がんと診断されてからの経過年数ごとのサバイバー生存率について解析した。
診断時からの5年生存率が64.3%だったのに対して、
診断から1年後のサバイバーにおける5年生存率は74.9%(95%CI 73.3〜76.5)、
診断から2年後のサバイバーにおける5年生存率は82.7%(同81.1〜84.2)と、
生存年数が延びるにつれサバイバー生存率は有意に上昇していた。
がんの進行期別に子宮頸がんの10年相対生存率は、
がんが子宮頸部に限定される「限局性」および、
隣接する臓器にもがんが広がる「隣接臓器浸潤」のケースで、
10年相対生存率が2003年以降に著しく改善していた。
この点について上田氏は「化学療法・放射線治療同時併用療法(CCRT)の導入や治療ガイドラインの普及が影響しているのではないか」と推測。
一方で、がんの「遠隔転移」を伴うような進行した子宮頸がんのケースでは、
有意な予後の改善は認められなかった。
また、限局性の子宮頸がん治療による生存率を年代別に解析。
主治療として手術が行われた群では、年齢による相対生存率に差は見られなかった。
しかし、CCRTを含む放射線治療が行われた群では、
若年層において他の年代と比べ相対生存率が低い傾向にあり、
若年層では放射線治療が奏効しにくいことが示された。
同氏は、今回の研究結果について「今後の日本での子宮頸がんの予防・治療戦略の策定にとって重要な知見が得られた」と評価。
その上で、「子宮頸がんに対する予防の重要性があらためて示されたことから、『今後の日本での子宮頸がん検診およびHPVワクチンの普及が期待』される」とコメントしている。
(比企野綾子)
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