2019年07月04日
胸骨圧迫のみでも生存率向上 院外心停止患者に対するCPR
救急隊が到着するまでは、
服の上から両乳首と胸部正中との交差点に掌底を載せ、
反対の手のひらを載せて真上から5cm沈みむまで押しましょう。
1分間に100回のリズムです。
たくさんの人を集めて、救急車を呼びましょう。
余裕があればAEDを探しましょう!
胸骨圧迫のみでも生存率向上
院外心停止患者に対するCPR
2019年05月07日 16:15
スウェーデンの心肺蘇生(CPR)ガイドライン(GL)では、
院外心停止例に対し、救急医療サービス(EMS)到着前に
バイスタンダーによる胸骨圧迫単独の
CPRの実施を推奨項目の1つとしている。
同GL発表以降、CPR実施率が上昇し、生存率も向上したこと
が同国のCPR登録データを用いた観察研究から明らかになった。
スウェーデン・Karolinska InstitutetのJacob Hollenberg氏らがCirculation
(2019年4月1日オンライン版)に報告した。
院外心停止例3万445例のデータを解析
胸骨圧迫単独によるCPRは、
胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた標準的なCPR
と比べて訓練や実施が容易であるため、
院外心停止例に対するCPR実施率を高め、
生存率の向上に寄与する可能性があるとされている。
スウェーデンでは国際蘇生連絡委員会(ILCOR)
のGL改訂(2005年、2010年、2015年)に準じてCPRのGLを改訂しており、
改訂を重ねるごとに胸骨圧迫単独によるCPRの位置付けが高まりつつあるという。
なお、2010年以降のGLではCPRの訓練を受けた経験の有無にかかわらず、
人工呼吸を行う意思がないバイスタンダーは
胸骨圧迫単独によるCPRを実施することが選択肢の1つとして推奨されている。
Hollenberg氏らは今回、スウェーデンの院外心停止例に対する
バイスタンダーによるCPRの実施率の推移とその方法、
30日生存率との関連について検討するため、
同国のCPR登録データを用いた観察研究を実施。
研究には2000〜17年のバイスタンダーが目撃した全ての院外心停止例(3万445例)を組み入れた。
なお、バイスタンダーがいなかった例やEMSがその場にいた例、
人工呼吸のみによるCPR実施例は除外した。
院外心停止例をEMS到着前に
@CPRを受けなかった群(非CPR群)
A標準的なCPRを受けた群(標準的CPR群)
B胸骨圧迫のみによるCPRを受けた群(胸骨圧迫CPR群)−に分類し、
2000〜05年(1期)、2006〜10年(2期)、2011〜17年(3期)の3つの期間に分けた。
胸骨圧迫のみによるCPRの実施率は6倍に
解析の結果、EMS到着前にCPRを受けた患者の割合は、
1期の40.8%から2期には58.8%、3期には68.2%に上昇していた。
また、実施率は標準的CPRがそれぞれ35.4%、44.8%、38.1%、
胸骨圧迫CPRが5.4%、14.0%、30.1%。
各期間の院外心停止例の30日生存率は、
非CPR群が3.9%(1期)、6.0%(2期)、7.1%(3期)、
標準的CPR群が同9.4%、12.5%、16.2%、
胸骨圧迫CPR群が同8.0%、11.5%、14.3%であった。
全ての期間における30日生存の非CPR群に対する調整後オッズ比(aOR)は、
標準的CPR群で2.6(95%CI 2.4〜2.9)、
胸骨圧迫CPR群で2.0(同1.8〜2.3)だった。
また、30日生存率は胸骨圧迫CPR群よりも標準的CPR群の方が高かった(aOR 1.2、95%CI 1.1〜1.4)。
これらの結果を踏まえ、Hollenberg氏らは
「スウェーデン全土の院外心停止例のデータを用いた今回の研究では、
EMS到着前のCPR実施率が約2倍に上昇し、
胸骨圧迫単独によるCPRの実施率が約6倍に上昇したことが示された。
また、標準的か胸骨圧迫単独かにかかわらず、
CPR実施例では非実施例と比べて30日生存率が2倍に上昇していた」と説明。
その上で、「院外心停止例に対するCPR実施率が上昇し、
全生存率も向上することを考慮すると、
今後のGLにおいても引き続き胸骨圧迫単独のCPRを選択肢の1つとして位置付けることが支持される」
と結論している。
(岬りり子)
服の上から両乳首と胸部正中との交差点に掌底を載せ、
反対の手のひらを載せて真上から5cm沈みむまで押しましょう。
1分間に100回のリズムです。
たくさんの人を集めて、救急車を呼びましょう。
余裕があればAEDを探しましょう!
胸骨圧迫のみでも生存率向上
院外心停止患者に対するCPR
2019年05月07日 16:15
スウェーデンの心肺蘇生(CPR)ガイドライン(GL)では、
院外心停止例に対し、救急医療サービス(EMS)到着前に
バイスタンダーによる胸骨圧迫単独の
CPRの実施を推奨項目の1つとしている。
同GL発表以降、CPR実施率が上昇し、生存率も向上したこと
が同国のCPR登録データを用いた観察研究から明らかになった。
スウェーデン・Karolinska InstitutetのJacob Hollenberg氏らがCirculation
(2019年4月1日オンライン版)に報告した。
院外心停止例3万445例のデータを解析
胸骨圧迫単独によるCPRは、
胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた標準的なCPR
と比べて訓練や実施が容易であるため、
院外心停止例に対するCPR実施率を高め、
生存率の向上に寄与する可能性があるとされている。
スウェーデンでは国際蘇生連絡委員会(ILCOR)
のGL改訂(2005年、2010年、2015年)に準じてCPRのGLを改訂しており、
改訂を重ねるごとに胸骨圧迫単独によるCPRの位置付けが高まりつつあるという。
なお、2010年以降のGLではCPRの訓練を受けた経験の有無にかかわらず、
人工呼吸を行う意思がないバイスタンダーは
胸骨圧迫単独によるCPRを実施することが選択肢の1つとして推奨されている。
Hollenberg氏らは今回、スウェーデンの院外心停止例に対する
バイスタンダーによるCPRの実施率の推移とその方法、
30日生存率との関連について検討するため、
同国のCPR登録データを用いた観察研究を実施。
研究には2000〜17年のバイスタンダーが目撃した全ての院外心停止例(3万445例)を組み入れた。
なお、バイスタンダーがいなかった例やEMSがその場にいた例、
人工呼吸のみによるCPR実施例は除外した。
院外心停止例をEMS到着前に
@CPRを受けなかった群(非CPR群)
A標準的なCPRを受けた群(標準的CPR群)
B胸骨圧迫のみによるCPRを受けた群(胸骨圧迫CPR群)−に分類し、
2000〜05年(1期)、2006〜10年(2期)、2011〜17年(3期)の3つの期間に分けた。
胸骨圧迫のみによるCPRの実施率は6倍に
解析の結果、EMS到着前にCPRを受けた患者の割合は、
1期の40.8%から2期には58.8%、3期には68.2%に上昇していた。
また、実施率は標準的CPRがそれぞれ35.4%、44.8%、38.1%、
胸骨圧迫CPRが5.4%、14.0%、30.1%。
各期間の院外心停止例の30日生存率は、
非CPR群が3.9%(1期)、6.0%(2期)、7.1%(3期)、
標準的CPR群が同9.4%、12.5%、16.2%、
胸骨圧迫CPR群が同8.0%、11.5%、14.3%であった。
全ての期間における30日生存の非CPR群に対する調整後オッズ比(aOR)は、
標準的CPR群で2.6(95%CI 2.4〜2.9)、
胸骨圧迫CPR群で2.0(同1.8〜2.3)だった。
また、30日生存率は胸骨圧迫CPR群よりも標準的CPR群の方が高かった(aOR 1.2、95%CI 1.1〜1.4)。
これらの結果を踏まえ、Hollenberg氏らは
「スウェーデン全土の院外心停止例のデータを用いた今回の研究では、
EMS到着前のCPR実施率が約2倍に上昇し、
胸骨圧迫単独によるCPRの実施率が約6倍に上昇したことが示された。
また、標準的か胸骨圧迫単独かにかかわらず、
CPR実施例では非実施例と比べて30日生存率が2倍に上昇していた」と説明。
その上で、「院外心停止例に対するCPR実施率が上昇し、
全生存率も向上することを考慮すると、
今後のGLにおいても引き続き胸骨圧迫単独のCPRを選択肢の1つとして位置付けることが支持される」
と結論している。
(岬りり子)
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