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2019年03月14日

『咳喘息』の定義、治療法が一部変更されました!

『咳喘息』の定義、治療法が一部変更されました!

世界初、喀痰の診療ガイドラインを作成ー咳嗽ガイドラインの改訂版に追加
2018年05月15日 06:15

咳嗽(がいそう;せき)は日常診療で高頻度に遭遇する症状の1つである。
日本呼吸器学会では2005年に『咳嗽に関するガイドライン(GL)』を作成し、2012年には第2版を刊行した。

しかし、咳嗽と密接に関連し、診療上重要な意味を持つ喀痰のGLは存在しなかった。
そこで同学会では今年(2018年)、咳嗽に関するGLの改訂版に喀痰の項目を追加した
『咳嗽・喀痰の診断と治療のGL』(新GL)を刊行する予定である。

元・東京女子医科大学内科学第一講座主任教授(現・英GSK Global Medical Expert)で新GLの作成委員長を務める玉置淳氏は、そのポイントを第58回日本呼吸器学会(4月27〜29日)で紹介した。

咳嗽治療薬を追記、代表的な喀痰治療薬を記載

新GLでは、近年新たに判明した咳嗽の発生機序に言及。

神経線維の1つとして知られるC線維に存在するイオンチャネルのP2X3受容体、TRPV1受容体などが咳反射を亢進するメカニズムを説明している。

また、成人遷延性咳嗽や慢性咳嗽については、検査から診断、投与すべき治療薬までを示したフローチャートを新規に掲載した。

咳嗽に対する直接的治療薬に関しては、
中枢性鎮咳薬にコデインとデキストロメトルファン、
知覚神経に作用する薬剤にリドカインを記載している点は従来通りだが、

間接的治療薬として抗コリン薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を新たに追加した。

一方、喀痰治療薬としては、
分泌物産生の抑制効果を有するマクロライド系抗菌薬やフドステイン、抗コリン薬など、
分泌物排除の促進効果を有するブロムヘキシン、N‒アセチルシステイン、デオキシリボヌクレアーゼ、L‒カルボシステイン、アンブロキソールなどを列記

咳喘息の過剰診断を防ぐための変更

新GLでは咳喘息の診断基準も改訂された。

従来は
@喘鳴を伴わない咳8週間(場合によっては3週間)以上持続し、聴診でも息切れを認めない
A気管支拡張薬(β刺激薬またはテオフィリン製剤など)が有効

−の2点を基準としていた。

しかし、今回は@の「場合によっては3週間」、
Aの「テオフィリン製剤」の文言が削除されたという。

その理由を、玉置氏は
「咳喘息はかねてから過剰診断の多さが指摘されていたため、咳の持続期間をより厳密に定める必要があった。
加えて、現在咳喘息に対する気管支拡張薬はβ刺激薬が一般的になっている点を考慮し、テオフィリン製剤は割愛した」と説明した。
(有効血中濃度が狭く、中毒域に達した場合、痙攣(ケイレン)から低酸素脳症を最悪引き起こすこともあり、小児、高齢者には害が多いため、欧米では喘息薬としても使用しなくなった「管理人註」)

さらに、
中等症以上の咳喘息に対する長期管理薬として長時間作用性抗コリン(LAMA)、
発作治療として中用量のSMART療法〔吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬の配合剤の頓用〕が追記されたという。

咳嗽の新概念、喀痰におけるFAQも

新GLでは、近年提唱された咳嗽の概念で、原因不明かつ難治性の慢性咳嗽であるUCC(Unexplained Chronic Cough)の特徴や傾向についても解説。

その定義
@8週間以上続く咳
Aさまざまな(気管支喘息の)検査で(気管支喘息の)陽性所見〔好酸球性気道炎症、気道過敏性の亢進、呼気一酸化窒素(NO)の上昇〕を認めない−とし、
ICSやβ刺激薬(気管支喘息で効く薬)が無効
である点などを記述しているという。
(要は”気管支喘息ではありません”ということです「管理人註」)

なお、喀痰に関連するFAQ(よくある質問)も掲載しており、
病的気道粘液産生の経路を図示し、
びまん性汎細気管支炎や気管支拡張症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う喀痰に対する各種治療法の有用性を、エビデンスに基づき示している。

このように説明した玉置氏は、「古くから咳嗽や喀痰で苦しむ患者は多く見られた。新GLがそういった患者を救う一助になってほしい」と期待を寄せた。(陶山 慎晃)
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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