ハリエット嬢(66)
Miss Harriet
Maupassant
−−−−−−−−−【66】−−−−−−−−−−−−−−
J' étais bien dans cette ferme ignorée, loin
de tout, près de la Terre, de la bonne, saine,
belle et verte terre que nous engraisserons
nous- mêmes de notre corps, un jour.
..−−−−−−−−−《訳》−−−−−−−−−−−−−−−
私は、確かにこの人知れぬ隠れ農家にいたのです.煩わ
しい世間のすべてから遠くはなれて、大地のすぐそばに
いたのです.大地と共にいたのです.それはいつの日か
私たち自身で、私たち自身の肉体で、滋養を与えること
になるだろう大地、質がよく健全な、美しく緑豊かな大
地、そのそばにいたのでした.
.−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−−−
ignoré(e):(形) 知られていない、
vivre ignoré / 世間から忘れられて暮らす
talent ignoré / 隠れた才能
<ignorer (他) 知らない、知らずにいる
(の)経験がない
engraisserons:(直現1複) <engraisser [アングレッセ] (他)
太らせる、肥やす、
sain(e):[サン, セーヌ] (形) 健康な、健康に良い、健全な
bon(ne):[ボン, ボーンヌ] (形) 質の良い
.−−−−−−−−−≪ひとこと≫−−−−−−−−−−−−−−
engraisserons という未来形が出てきて、びっくりしました.
engraisser は「肥沃にする」、「富ませる」という意味で間
違いないですから、しかも間違いなく1人称複数形ですの
で、ここは最後に添えられているun jour と共に、将来の
予報を暗示している箇所だとも受け取れるようです.
「いつの日か私たち自身の肉体で肥沃にするだろう大地」
などと言われると、え?この人まさか、ここに残って
絵描きをやめて、鋤もってお百姓さんをするの?と思わ
せる一節のようですが、果たしてこの話は、どう展開し
ていくのでしょう? モーパッサン先生!どうするの?
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