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2017年09月24日

数学: 射の合同 (続き)

数学: 射の合同関係 の続き.

考えている問題は以下の通り.


$\mathscr{C}$ を圏とする. 射の集合 $\mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ 上の同値関係 $E$ が条件
(i) 射 $f, f' \in \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ に対して $f E f'$ が成り立つならば $f$ と $f'$ は同じソースとターゲットを持つ;
(ii) 射 $f, f' \in \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ に対して $f E f'$ が, $g, g' \in \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ に対して $g E g'$ が成り立ち, かつ射の合成 $f \circ g$ が定義されるとき $(f \circ g) E (f' \circ g')$ が成り立つ.
を満足するとき, 関係 $E$ は圏 $\mathscr{C}$ 上における 射の合同 (arrow congruence) であると呼ぶ.

より一般に, 射だけでなく対象も同一視するような合同の概念が考えられる. そのような合同関係では, 上記の条件 (ii) に相当する性質を与える際に, ある射のターゲットと他の射のソースを矛盾無く同一視できるような新しい射の合成を考える必要があるため手順は非常に複雑になる.

射の合同 $E$ に対して次を証明せよ.
(a) $\mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ 上の任意の関係 $R \subset \mathrm{Ar}(\mathscr{C}) \times \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ は $\mathscr{C}$ における射の合同を一意的に生成することを示せ.
(b) 圏 $\mathscr{C}$ における射の合同 $E$ が与えられたとき, 射の集合 $\mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ を $E$ で割ることにより 商圏 (quotient category) $\mathscr{C}/E$ が自然に定義され, しかも実際に圏になっていることを示せ.


問題の (a) で与えられている $\mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ 上の任意の関係 $R$ から $\mathscr{C}$ における射の合同を生成する方法として少なくとも二つの場合を考えて, それぞれに応じた解答を与える必要があると思う.

第一に $R$ の部分集合
\begin{equation*}
\newcommand{\Ar}[1]{\mathrm{Ar}{#1}}
\newcommand{\ar}{\mathrm{ar}}
\newcommand{\arop}{\Opp{\mathrm{ar}}}
\newcommand{\Hom}{\mathrm{Hom}}
\newcommand{\Id}[1]{\mathrm{id}_{#1}}
\newcommand{\Mr}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\Ms}[1]{\mathscr{#1}}
\newcommand{\Ob}[1]{\mathrm{Ob}(#1)}
\newcommand{\Opp}[1]{{#1}^{\mathrm{op}}}
\newcommand{\Pos}{\mathbf{Pos}}
\newcommand{\q}{\hspace{1em}}
\newcommand{\qq}{\hspace{0.5em}}
R_0 = \left\{\, (f_1, f_2) \mid (f_1, f_2) \in R.\, d^0(f_1) = d^0(f_2), d^1(f_1) = d^1(f_2) \,\right\}
\end{equation*} を定めて, この $R_0$ を含む最小の射の合同を生成する場合.

第二に $R$ を含む最小の射の合同を生成する場合.

第一の場合は $R_0$ の元自体が射の合同の条件 (i) を満足する ($R$ の任意の元がこれを満足することは仮定されていない) ので, 射の合同の定義に沿って議論を進めることができる.

第二の場合には, 射の合同を構築する前に対象間の同値関係についても併せて考えなければならない. 任意の $(f_1, f_2) \in R$ が必ずしも射の合同の必要条件 (i) ── $f_1$ と $f_2$ が同一のソース, 同一のターゲットを持つ ($d^0(f_1) = d^0(f_2),\, d^1(f_1) = d^1(f_2)$) ── を満足しているとは限らないためである.
たとえば $f_1 : X_1 \to Y_1$, $f_2 : X_2 \to Y_2$ とすると $X_1 = X_2$, $Y_1 = Y_2$ は保証されない.
そこで $\mathscr{C}$ の対象の集合 $\Ob{\mathscr{C}}$ にも同値関係を導入する. 各 $(f_1, f_2) = ((f_1 : X_1 \to Y_1), (f_2 : X_2 \to Y_2)) \in R$ に対して $X_1 \,S\, X_2$, $Y_1 \,S\, Y_2$ となるような同値関係 $S$ を定義する.
これにより, 問題文の中に記されている通り議論はかなり複雑になる.
特に射の合成の定義を拡張する必要が生じるが, これをどのようにすれば良いのかは自分自身わかっていない.
posted by 底彦 at 15:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学
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