1月12日の報知新聞によると、読売巨人軍の大森剛・育成部ディレクターが、2014年入団の新人8選手に対し「野球を辞めるまで、たばことブログ、ツイッターを禁止する」と言い渡したという。
8選手の中には5人の高卒ルーキーも含まれるので、確かに球団の教育責任もあるかもしれない。一方で、ドラフト1位の小林誠司捕手は24歳。日本生命出身の社会人経験者を相手に、球団が過干渉すぎないかという見方もある。
ダルビッシュのフォロワーは100万超なのに2014年は、巨人軍にとって創立80周年という節目の年。「なんとしても日本一奪回」という思いがあるのだろう。選手に厳格な規律を求め、一層チームを引き締めていく構えのようだ。
大森ディレクターは、1989年にドラフト1位で巨人入りしたものの、通算8年で29安打、打率1割4分9厘で選手生活を終えている。2000年からスカウト、2012年から現職に就いている。
昨年末に「若い力を伸ばす読売巨人軍の補強と育成力」(ワニブックス)という書籍を出し、「若者の資質を察知し、伸ばす方法」などについて書いている。
しかし「常に紳士たれ」と求められ、息苦しさの中で才能を開花できなかった大森氏が、若い選手を同じように締め付けて伸ばすことができるのか。
プロ野球選手は人気商売。メジャーリーグでは待遇しだいで、どの球団にでも移るのが当たり前だ。まるで「終身雇用の企業」のように選手に強い忠誠心を求め、個人の活動を制限する巨人軍のような球団など見当たらない。
実際、ダルビッシュ有投手(現テキサス・レンジャース)や田中将大投手(現ニューヨーク・ヤンキース)など、SNSを利用して人気を集めている。ツイッターのフォロワーが100万を超えるダルビッシュ投手に対し、レンジャースがSNS禁止を要求することなどありえないだろう。
個人の発言でも「球団に抗議殺到」しかし、球団が選手のSNS利用に神経質になるのには、理由がある。選手の個人的な問題発言に対し、「球団の管理責任」を問う声が大きいからだ。
昨年は、千葉ロッテ・マリーンズの外野手が、ツイッターで殺人事件の被害者を侮辱する発言をしたとして問題になった。球団事務所には抗議が殺到し、対応に追われた。
これを受けてオリックス・バファローズは、2013年末の契約更改で全選手にSNSへの意識を再確認。東京ヤクルトスワローズは、14年2月のキャンプで全選手が「SNS講習」を受講し炎上防止に努めている。
スポーツ情報サイトのNumberWebが行ったアンケートでは、「禁止に賛成」が51.2%、「禁止に反対」が48.8%と賛否が拮抗している。スポーツ選手のファンであっても、SNS禁止は仕方がないと考える人も少なくないようだ。
それにしても、大の大人、それもプロフェッショナルのスポーツ選手の発言を、球団が強く制限すること自体には、過干渉という印象が否めない。しかし「球団の監督・管理責任」を過剰に求め、大きな声をあげる人たちが存在する限り、この息苦しい状況は変わりそうにない。
ガジェット通信より引用しました。