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開設前に要確認 NISA口座6つの落とし穴

金融機関のNISA口座キャンペーンが過熱している。手数料を優遇したり、景品をプレゼントしたりするなど、各社のキャンペーン内容には魅力的なものが多い。しかし、専用口座を開設できるのは、1人1口座に限られるため、宣伝内容に釣られて後悔するような事態は避けたい。口座を開設するタイミングでは、以下に挙げる「6つの落とし穴」にはまり込むことがないよう注意しよう。
■落とし穴その1 複数口座を仮予約
【×】 5社に仮予約したから、10月以降にゆっくり考えて正式に申し込みをしよう。
【○】 NISA口座は、1人1口座まで。複数口座の仮予約をした人は、9月末までに必ず1つに絞ろう。
 多くの金融機関がNISA口座の先行予約を受け付けているため、複数の金融機関に予約申し込みをしている人もいるようだ。
 だが、NISA口座を開設できるのは1人1口座。そのため、10月1日から金融機関が税務署に申請を行い、個人の重複申し込み防止のために名寄せが行われる。
 重複があった場合、1日でも申請が早い金融機関に口座が開設される。同日に税務署に交付申請が行われた場合は、機械的にひとつの金融機関を選んで確認書が送られ、その金融機関を通じてどこにするか意思確認が行われる。
 こうしたリスクを回避するためにも1つの金融機関に決め、残りは9月中にキャンセルの手続きをしよう。
■落とし穴その2 キャンペーンの誘惑
【×】 キャンペーン期間中に口座を申し込むと、2000円の商品券をくれる金融機関もある。早めに申し込む方が得だ。
【○】 金融機関によって扱う商品やサービス内容が違う。商品券に釣られて慌てて申し込むと損することもある。
 NISA口座は1人1口座しか開設できないため、各金融機関が口座獲得競争を行っている。「2000円の商品券」「○人に10万円が当たる」といった類のキャンペーンを行う金融機関もたくさんある。
 だが、一度口座を開設してしまうと、最長4年間は同じ金融機関を利用しなければいけない。それだけに、金融機関は慎重に選ぼう。
 NISA口座を開設するときは、キャンペーンの内容よりも「品ぞろえ」「手数料」「サービス」などをきちんと確認することの方が大切だ。逆にいえば、品ぞろえやサービスに魅力を感じないような金融機関に口座を開くのは避けるべきだ。目先のキャンペーンに釣られないようにしてほしい。
■落とし穴その3 NISA定期預金
【×】「NISA定期預金」というものがあるらしい。定期預金ができるなら、元本保証で安心だ。
【○】NISAの口座を獲得するため、定期預金の金利を一定期間優遇するというもの。NISAで定期預金が利用できるわけではない。
 「NISA定期預金」というと、NISA口座で、預金も対象なのかと勘違いしそうだが、預金はNISAの対象外だ。ここでいうNISA定期預金というのは、「当行(庫)でNISA口座を開設したら、定期預金に優遇金利を上乗せしますよ」というキャンペーンの一種。一部の地方銀行や信用金庫などが行っている。
 だが、目先の定期預金の金利が高かったとしても、それは数カ月とかせいぜい1年だけのもの。その結果、NISA口座を開設して、手数料の高い投信を購入しては元も子もない。顧客獲得のための宣伝文句に惑わされることなく、冷静に金融機関を選びたい。
■落とし穴その4 NISA対応投信
【×】最近、 「NISA対応投信」が売り出されている。NISAで運用するなら、対応投信の方が安心だろう。
【○】新規設定の投信は過去の運用履歴が分からない。「NISA対応」でなくても、既存の投信から選べば十分。
 NISAのスタートに合わせて、「NISA専用の投信」がたくさん設定されている。だが、まずは新規に設定されたものではなく、運用実績のある「既存の商品」の中から選んだ方がいい。
 投資哲学や運用スタイル、実質的なコスト、運用成績といった投資信託を評価する材料となるものが新規設定の商品だと分からないからだ。また、過去の運用実績があるものは、過去のリスク(価格変動の大きさ)やリターンの水準を確認することができる。NISAでは「損益通算ができない」「非課税期間が最長5年」といった制約があるので、特にリスクに注目したい。
■落とし穴その5 住民票
【×】申し込みには住民票が必要で、家族全員分の住民票があるといいと金融機関に言われた。【○】住民票は口座を開設する本人の情報を記載したもので十分。家族の住民票(世帯全員を記載したもの)を金融機関に出すと、家族状況を把握され勧誘されかねない。
 NISA口座を申し込むには住民票(原本)を提出する必要があるが、必ずしも、家族全員分の名前が載っているものである必要はない。
 家族全員の情報を金融機関に渡してしまうと、それを基に全員分の口座開設を勧誘される可能性もある。自分の情報だけ記載されたものを提出すればよい。
 また、仮に夫婦や家族で同じ金融機関にNISA口座を開設する場合には、申し込み人数分の住民票が必要になる。例えば、夫婦と20歳以上の子供の3人がNISA口座を申し込むときには、合計3枚の住民表が必要だ(原本は1通のみで、他は写しでも可)。
 なお家族がそれぞれNISA口座を開設する場合、必ずしも同じ金融機関にする必要はない。
■落とし穴その6 海外勤務
【×】海外勤務の可能性があるけど、NISA口座を開いておいて、海外勤務中は寝かせておけばいい。
【○】NISAの対象者は国内居住者。海外勤務時には解約が必要。一旦解約をすると、一定期間は口座を開けない。
 NISA口座を開設できるのは「日本国内に住む20歳以上の人」。「海外に1年以上暮らしている、または暮らす予定がある人」や「期間の定めのない海外転勤、海外留学をする人」といった「非居住者」はNISA口座を開設できない。
 また、口座を開設した後に海外転勤や留学などが決まって日本を離れる場合には非居住者となるため、解約して口座を閉鎖する必要がある。つまり海外勤務の間「口座を寝かせておく」ことはできないのだ。帰国してから再び開設しようと思っても、一定期間は開けないので注意が必要だ(2014年度の税制改正で見直される可能性もある)。
(ライター 竹川美奈子)
[日経マネー2013年10月号の記事を基に再構成]
日本経済新聞より引用しました。

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