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2019年10月03日

大腸CTアカデミア 大腸内視鏡検査の有害事象発生率は約0.75%

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ナガイチは共催教育講演やハンズオンセミナーを担当させていただきます。
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PubMedから、今日のつぶやき − 578 −

Denis B, et al. Harms of colonoscopy in a colorectal cancer screening programme with faecal occult blood test: a population-based cohort study. Dig Liver Dis 2013;45:474-80.




それでは、論文
「大腸癌検診における便潜血陽性者に対する
大腸内視鏡検査の有害事象
集団ベースのコホート研究」のご紹介です。


【結論】
大腸内視鏡検査の有害事象は、
便潜血検査による大腸癌検診に関するすべてのRCTで
過小評価されている。

現実世界の検診対象者では、
大腸内視鏡検査の有害事象発生率が約0.75%
軽微な有害事象では10%あることは受診者に知らされるべきである。

この事実は、有害事象を最小化するために
検診プロセスのすべてのステップにおいて
厳格な品質管理の必要性があることを強く示唆する。

フランスの検診プログラムには、
英国の検診プログラムやASGE(米国内視鏡学会)のような
大腸内視鏡検査の品質管理基準がないことに注意しなければならない。
(本論文はフランスからの発表ですね)

今回の調査結果は、便潜血検査による大腸癌検診の利点を疑うものではないが、
現実世界では、従来のRCTの報告よりもコストが高く
そのため利益不利益バランスが厳密になされなければならない。

3つのRCTの結果と今回の我々の結果を加味し
100,000人の検診対象者を考えた場合、
大腸内視鏡検査の累積受診率は2.3-4.7%となり
検診対象者1000人あたり1.1-1.6の大腸癌死亡が減少する。

6-7回の検診ラウンドの後には、
10万人当たり16-32の重度の有害事象が発生するが
110-160人の大腸癌死亡が回避される。

さらに、大腸内視鏡検査受診者を2つのグループに分けてみた場合、
アドバンスド腫瘍を有する30%の群では
110-160人の大腸癌死亡が回避されるが
12-24の重度の有害事象が発生する。

一方で、アドバンスド腫瘍を有さない70%の群では、
利益はないが
4-8の重度の有害事象が発生することとなる。

図2参照
ラインコミュニティ限定で配信しました。

(感想)
なかなか興味深い論文です。

大腸癌死を得るためにどれだけの
コストや有害事象の発生を許容するか
この視点は臨床をしているとなかなか
気づけません。

大腸癌検診は有効性が確立している検診なのですがそれでも
そのプロセスや精検法、コストに十分な注意が必要な理由が
示されています。

甲状腺や前立腺のように
多く引っ掛けるけれども
死亡の減少にどれだけ寄与しているか
精検を含めた有害事象やコストをどれだけ
犠牲にしているのかに注目すると検診の景色も変わってきます。

この論文は今回で終わりにします。

それでは、また。

原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23414583

ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。






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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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