2019年10月03日
大腸CTアカデミア 大腸内視鏡検査の有害事象発生率は約0.75%
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
第37回日本大腸検査学会総会が
国立がん研究センターの斎藤豊先生の会長の
もと2019年11月1日-2日に東京で開催されます!
ナガイチは共催教育講演やハンズオンセミナーを担当させていただきます。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
PubMedから、今日のつぶやき − 578 −
Denis B, et al. Harms of colonoscopy in a colorectal cancer screening programme with faecal occult blood test: a population-based cohort study. Dig Liver Dis 2013;45:474-80.
それでは、論文
「大腸癌検診における便潜血陽性者に対する
大腸内視鏡検査の有害事象
集団ベースのコホート研究」のご紹介です。
【結論】
大腸内視鏡検査の有害事象は、
便潜血検査による大腸癌検診に関するすべてのRCTで
過小評価されている。
現実世界の検診対象者では、
大腸内視鏡検査の有害事象発生率が約0.75%
軽微な有害事象では10%あることは受診者に知らされるべきである。
この事実は、有害事象を最小化するために
検診プロセスのすべてのステップにおいて
厳格な品質管理の必要性があることを強く示唆する。
フランスの検診プログラムには、
英国の検診プログラムやASGE(米国内視鏡学会)のような
大腸内視鏡検査の品質管理基準がないことに注意しなければならない。
(本論文はフランスからの発表ですね)
今回の調査結果は、便潜血検査による大腸癌検診の利点を疑うものではないが、
現実世界では、従来のRCTの報告よりもコストが高く
そのため利益不利益バランスが厳密になされなければならない。
3つのRCTの結果と今回の我々の結果を加味し
100,000人の検診対象者を考えた場合、
大腸内視鏡検査の累積受診率は2.3-4.7%となり
検診対象者1000人あたり1.1-1.6の大腸癌死亡が減少する。
6-7回の検診ラウンドの後には、
10万人当たり16-32の重度の有害事象が発生するが
110-160人の大腸癌死亡が回避される。
さらに、大腸内視鏡検査受診者を2つのグループに分けてみた場合、
アドバンスド腫瘍を有する30%の群では
110-160人の大腸癌死亡が回避されるが
12-24の重度の有害事象が発生する。
一方で、アドバンスド腫瘍を有さない70%の群では、
利益はないが
4-8の重度の有害事象が発生することとなる。
図2参照
ラインコミュニティ限定で配信しました。
(感想)
なかなか興味深い論文です。
大腸癌死を得るためにどれだけの
コストや有害事象の発生を許容するか
この視点は臨床をしているとなかなか
気づけません。
大腸癌検診は有効性が確立している検診なのですがそれでも
そのプロセスや精検法、コストに十分な注意が必要な理由が
示されています。
甲状腺や前立腺のように
多く引っ掛けるけれども
死亡の減少にどれだけ寄与しているか
精検を含めた有害事象やコストをどれだけ
犠牲にしているのかに注目すると検診の景色も変わってきます。
この論文は今回で終わりにします。
それでは、また。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23414583
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
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ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、
自身の業務が膨大になってきたこともあり、
残念ながら永続的に続けることは困難となりました。
2017年の春から予告しておりましたように、
ボランティアによる読影トレーニングの実施は
2017年末で終了いたしました。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。
●お願いとお断り●
本ブログの無断転用および複製を禁止いたします。
著者に無断で各種メディアに貼り付ける
などの行為は著作権違反となります。
読者の皆さまの大腸検査に対する知識のお役に立ちましたら幸いです。
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コストや有害事象の発生を許容するか
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