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posted by fanblog

2017年07月31日

大腸CT検査アカデミー  便潜血陽性後から内視鏡を受けるまで10ヶ月以上たつと大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる!!

PubMedから、今日のつぶやき − 40 −

Corley DA, et al. Association Between Time to Colonoscopy After a Positive Fecal Test Result and Risk of Colorectal Cancer and Cancer Stage at Diagnosis. JAMA 2017; 317: 1631-1641.



さて、前回の続きです。

果たして、便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が
大腸がん診断のステージやリスクに影響するのか?!



●方法の補足●
もともとの対象は南北カリフォルニアのカイザーパーマネンテ加入者で
便潜血検査を受けた50-75歳の男女125万8039人です。
このうち便潜血陽性者は10万6520人です。

陽性率8.4%となりますので、幾分か高めの陽性率ですね。
注)あまり陽性率が高いのはよくありません〜

大腸病変の既往のある人や検査既往のある人を除外して、
研究対象となった人が8万1518名です。

このうち、実際に内視鏡検査を受けた70,124名
(年齢の中央値は61歳、男性の割合は52.7%)
が今回の解析対象です。

精検受診率は86%になります。
あまりよい受診率ではありませんが、
日本の精検受診率約60%に比べたら断然に優秀ですね。


内視鏡受診までの期間を以下の7つに分けて検討しています。

1) 8−30日以内
2) 1-2ヶ月(31-60日)
3) 2-3ヶ月(61−90日)
4) 4-6ヶ月(91-180日)
5) 7-9ヶ月(181-272日)
6) 10-12ヶ月(272-365日)
7) 12ヶ月以上(366-1751日)

途中ですが、ここでクイズです!

便潜血陽性後から内視鏡を受けるのは何日以内が良いと推奨されているでしょうか?

Q1. 日本は?
Q2. 米国は?
Q3. カナダは?
Q4. 欧州は?



答えは明日の記事をご覧くださいね!


●結果の概要●
実際に内視鏡検査を受けた70,124名から、
2,191例の大腸がん、601例の進行がんが見つかりました。

1ヶ月以内に内視鏡を受けた人たちと比べて、
1-2ヶ月、2-3ヶ月、4-6ヶ月、7-9ヶ月後に受けた人たちの
大腸がんリスクや進行がんリスクに差はありませんでした。

ところが、10-12ヶ月に内視鏡を受けた人たちは、
1月以内に内視鏡を受けた人たちと比べて、
大腸がんのリスク(オッズ比:1.48)、
進行がんのリスク(オッズ比:1.97)と有意に上昇します。


さらに、12ヶ月以上に内視鏡を受けた人たちは、
1月以内に内視鏡を受けた人たちと比べて、
大腸がんのリスク(オッズ比:2.25→2倍以上!!)、
進行がんのリスク(オッズ比:3.22→3倍以上!!!)と上昇します。

●結論の概要●
便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると
有意に大腸がんおよび進行がんのリスクが上昇する!!



なかなか、衝撃的な研究ですね。

便潜血が陽性になった場合、内視鏡を早く受ける重要性を痛感します。
そして、陽性になっても内視鏡を受けないことが以下に恐ろしいことかも分かりますね!


とてもいい研究だと思います。
便潜血陽性後に内視鏡あるいは大腸CT検査を受ける期間は、
皆さんの御施設ではどのような感じですか?

まあ、日本の場合、便潜血検査の結果が受診者の手元に届くまで時間がかかるのも問題ではありますが・・。
感覚的な印象で構わないので、皆さんの地域の様子をぜひお聞かせください〜

それでは、また。


原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28444278




★★最新ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA−03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
掲載されました!!

委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★




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▲PRここまで--------------------------------




大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。



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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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