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2018年05月10日

大腸CTアカデミア 大腸CT検査の検査受診率が大腸内視鏡検査よりも高いために結果的に大腸CT検査の費用対効果が高くなっているよ!

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PubMedから、今日のつぶやき − 232 −


van der Meulen MP, et al. Colorectal Cancer: Cost-effectiveness of Colonoscopy versus CT Colonography Screening with Participation Rates and Costs. Radiology 2018 Feb 27:162359. doi: 10.1148/radiol.2017162359. [Epub ahead of print]




それでは、論文「受診率を考慮に入れた大腸がん検診の費用対効果
大腸内視鏡検査 vs 大腸CT検査」
のご紹介の続きです。

今回も「考察」を読んでいきますね。

大腸CT検査陽性で診断目的の大腸内視鏡検査が加わることは、
検診のコストを高くする要因となる。

生涯に大腸CT検査を1回以上受けることで、
検診の機会が増加する。

検診機会の増加は、検診対象者の
腫瘍性病変の有病率の減少に寄与する。

腺腫の発見感度は大腸CT検査に比べ
大腸内視鏡検査で高いので、
実際に検査を受けた受診者における残存腺腫は
大腸内視鏡検査受診者より
大腸CT検査受診者の方が多い。

(平たくいえば大腸CT検査の方が
見逃されているということですね)

しかし、現実には
大腸CT検査の検査受診率が
大腸内視鏡検査よりも高いために
結果的に大腸CT検査の費用対効果が高くなっている。



過去の報告では大腸CT検査の方が25%受診率が高く、
費用も大腸内視鏡検査の75-95%となり
より費用対効果があるということであった。

Knudsen AB, et al. Cost-effectiveness of computed tomographic colonography screening for colorectal cancer in the Medicare population. J Natl Cancer Inst 2010;102:1238?52.

Lansdorp-Vogelaar I, vet al. At what costs will screening with CT colonography be competitive? A cost-effectiveness approach. Int J Cancer 2009;124(5):1161?68.

今回のわれわれの検討では、
大腸CT検査は大腸内視鏡検査よりも56%受診率が高く、
大腸CT検査は内視鏡検査の費用の47%から75%ですむ結果であった。

従来の報告と同様に費用対効果が高いという結果である。

先行研究と比べて今回の検討は
シミュレーションモデルを使用することにより
より現実の生活に即した初めての費用対効果解析である。

(感想)
日本でも同じような診療感覚があります。

大腸内視鏡検査はよいものであるに違いないのだけれど、
医療機関を受診してくれた患者さんのかなかには
生理的に受けてくれない患者さんが少なからずいること、
そして医療機関まで来てもくれない人がいます。

医療提供者側からすると
大腸内視鏡検査は感度・特異度とも既存の検査の中でもっとも高く
しかも治療ができるとてもいい検査方法なのだから
患者さんはこの検査を受けるはずだろう。

だから、精度が劣り治療もできない検査を
わざわざ提供する必要もなかろう。

二度手間にもなるのだから。

この考えの支配の下、
大腸内視鏡検査先進国である日本の
大腸がん罹患・死亡が他の欧米先進国より
高い結果に少なからず影響しているのかもしれません。

それでは、また。
もう少しだけ続けますね。

原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29485322




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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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