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2018年03月19日

大腸CTアカデミア  臨床試験JANCTのリミテーション!?

PubMedから、今日のつぶやき − 198 −

Nagata K, et al. Accuracy of CT Colonography for Detection of Polypoid and Nonpolypoid Neoplasia by Gastroenterologists and Radiologists: A Nationwide Multicenter Study in Japan. Am J Gastroenterol 2017;112:163-171.



早いもので3月中旬ですね。

最近、時間が飛ぶように過ぎていきます。

小学生の頃って、11時頃から給食までの時間が
永遠のように長く感じたものですが、

最近は1回深呼吸する間に
1週間が過ぎていくような感じがします。

ジャネーの法則ってご存知ですか?

簡単に言えば生涯のある時期における時間の
心理的長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)。

人は20歳になると主観的、体感的には
人生の半分の時間を過ごしてしまうそうです!

びっくり・・・。
でも感覚的にはあってるのかな!?

飛んでいく時間に抵抗して、
いろいろと体験したりチャレンジしたいですね。




さて、論文「日本のナショナルマルチセンタースタディー:
消化器医と放射線科医の診断による大腸CT検査の隆起性病変と表面型病変の精度の検討

の紹介です。

いよいよ【考察】の最後です。

臨床試験JANCTのリミテーションをみていきましょう。

第1に、本試験における読影医は
5名の消化器医と3名の放射線科医と少数であるため、
読影医別の評価や読影医間のばらつきの評価はできなかったこと。


第2に、
本試験における読影医は全員が2日間のハンズオントレーニングと講義、
内視鏡で全例が確認されている大腸CT検査(正常例を含む)100例による
トレーニングとその読影結果として感度が90%をクリアしている。

しかし、もともとの経験数の違いについては考慮されていないこと。
つまり、この臨床試験をはじめる前から大腸CT検査の経験のある医師と
今回の臨床試験で初めて大腸CT検査をはじめる医師とで
そのスキルに違いがある可能性は否定できない。


第3に、
コンピュータ支援読影(CAD)の効果検証ができなかったこと。
アウトカムに含んでいたものの
データ不良のため解析できなかった。


第4に、
対象者の大腸がんに対するリスクが均一ではなかったこと。
つまり、無症状者、便潜血検査陽性者、腹部有症状者
などが含まれていたのです。

このため、10ミリ以上の大腸腫瘍性病変の頻度は14.9%であったが、
平均的リスクの無症状者に対する有病率は10.5%と報告されており、
感度等に影響した可能性がある。
これは、今回の検討結果を、スクリーニングにそのまま当てはめること
はできないということを意味する。

リミテーションは以上になります。
リミテーションがあることは恥ずかしいことではなく、
考察できちんと説明すればよいのです。
致命的な研究デザインの過ちの場合を除いてですが・・。

次回は、臨床試験の新知見をまとめますね。
それでは、また。



原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27779195


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。



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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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