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2023年01月04日

公共事業での建設コンサルタントの必要性


入社して3年程度で建設コンサルタント業界を去った若者が、建設コンサルタントが行っている業務は

ゼネコンや建設会社でもできるといった内容のページを見た。

私も近年、転職を考え人材斡旋会社に登録の際に業種別の経験年数をプルダウンで選んで入力する時

経験年数の上限が5年までがほとんどで、たぶん技術専門職でない他業種のほとんどが

5年も経験すれば、その後は仕事の中身が5年以内で学んだ内容で対応可能なルーチン作業になるのだろう。

ところが土木工事や建築工事は複雑な地形や地盤条件など多様な要素があり

現場での一つ一つがオーダーメイドであるから、5年程度の経験のルーチン作業ではまだまだ経験不足だ。

建築設計や建築工事も同様だと聞く。

3年程度の業務経験で建設コンサルタントの業務内容を知っているというのは違うと私は思う。

建設コンサルタント技術者として10年以上調査、計画、設計、施工管理の経験があるような技術者はそのような認識の人はほぼいないだろう。

私は設計系の建設コンサルタントとして30年以上の実務経験がある中での見解は

スーパーゼネコンや中堅建設業、建設業と建設コンサルタントは仕事内容がだいぶ違うと思う。

スーパーゼネコンといえども、計画設計、概略設計、予備設計、比較設計などを業として行ってきてないわけだから

コンサルの特に計画設計や比較設計、河川氾濫解析、道路交通解析、交通便益評価を踏まえた

インフラ施設の広域計画に代表される計画や設計のノウハウは

スーパーゼネコンでも建設コンサルタントにかなうはずはないと思う。

われわれ、設計コンサルタントも工事現場での品質管理、工程管理、安全管理、原価管理などの

施工管理マネジメント業務は、いくら設計経験の長い熟練者でもできないだろう。

ましてや大きな工事現場では工事経験がないコンサルタント技術者が全体工程の細部の作業まで把握して所定の品質の構造物を所定の期限まで完成させることはできないだろう。

設計主体の建設コンサルタントは調査や設計代金で会社を経営し、ゼネコンは建設業務全体利益を上げて会社を経営している。

よって、建設コンサルタントは計画や設計のプロで、ゼネコンは工事や施工のプロであるので別業者に近い感じだと思う。

設計と施工での合理化の動きとして、設計施工一括発注方式は行わず、コンサルタントの建設会社への現場支援の形である技術協力型施工タイプが多い。

私のように設計実務の長い建設コンサルタントとして、設計や計画を行う際に比較設計をよく行う。
比較検討の中で主に
1)工事費を安する方法の検討(将来の維持管理費も含めた経済性)
2)目的機能性
3)施工確実性
4)維持管理性
5)環境への影響
6)用地買収や補償を含めた合意形成
7)施工での交通渋滞などの影響
8)降雨時排水な防災観点などを

その設計種類や現場条件、地域特性に応じて、比較表に盛り込み、点数づけで総合評価での比較表での比較設計を行う。

その際に、一般には最も費用がかからない経済性を最優先し地域に合致する最適な方法や工法を選定する。

なぜなら、公共工事の工事代金は国民からの税金や建設国債、地方自治体の税金などの予算によってまかなわれているからだ。

工事費はなるべく抑える必要がある。

いくらメーカーの営業マンにこの工法がよいと来社され営業で採用をお願いされても、

現場に合わない不経済な工法や将来にわたる利用安全の確実性が低いと考えられる工法は

比較表の比較案にこのような工法もあると紹介する程度にとどめる。

推奨案である第1案や第2案として役所には推奨しない。

一方でゼネコンに詳細設計をやらせたらどなるだろう。

建設会社が施工しやすくお金が儲かって、知っているメーカーとの付き合いもあり、メーカー推奨の工法を採用したり

金儲け第一で施工のことを主に考えて、品質は多少劣るが安い工事費の下請け会社やメーカーを優遇して工法を選定する懸念がある。

そうなると必ずしも完成したインフラ施設が不特定多数の人や地元の人が利用する中で

利用者利便性や利用安全性を満たしたものができるとは限らない。

また、詳細設計を行う際には予備設計や概略設計でその現場に最適な構造物やルートはどのような意図で設計されているかを理解して詳細設計を進められるかの疑念がある。

詳細設計段階でも予備設計の考え方、設計思想がおかしいと思えば、

建設コンサルであれば予備設計の見直しを発注者に提案して、詳細設計で修正を推奨することも多い。

同業他社が行った設計でも、もっと経済的な設計、機能性の充実、利用安全性で修正が必要だと自信のあるものは提言することがある。

なぜなら、建設コンサルタント技術者には倫理規定もあるし、資格での倫理規定もある。

中立公正で独立した技術者としてのプロ意識があるからだ。

このようにして設計コンサルタントは中立性公正性を確保している。

このような計画や設計のノウハウは建設コンサルタントが長年、失敗と苦労の中で編み出したノウハウであり、

建設会社では中立公正な観点で物事を決める習慣やノウハウが薄いのではと思う。

したがって、中立で独立した立場での設計や計画が必要なため、設計・施工分離の原則があり、

計画や設計の専門技術だけでなく、倫理的な側面で建設コンサルタントの必要があると考える。

今後は、UAV測量や三次元計測データを活用して3D設計を行ってゆくことで、設計と施工のかい離の問題が減少すると考える。

そのような理由で公共工事の場合、設計と施工を別発注し、施工業者が設計を受注できない仕組みが

設計施工分離の原則があり、予算の無駄遣いを防いでいるのだ。

設計と施工の一体発注がされて合理的で時間ロスは少ないと考えもあるが

特に計画検討段階で予定ルートが事前に民間にもれたら不動産会社や土地ころがし業者が

予定買収用地の土地を買い占めて利益を上げたりする可能性がある。

よって、中立独立、公正な立場で、倫理規定を厳しくし、発注者以外に付き合いの少ない建設コンサルタントが必要なのだ。

建設工事は施工のプロである建設会社やゼネコンが行うほうが合理的である。


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