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2021年01月06日

世界でも突出している日本の耐震技術


東日本大地震の際に東京も震度5を経験したことから、

その時に撮影された都心の高層ビルが大きく揺れても壊れない日本の耐震技術が海外から驚かれているyoutube動画をたまたま見た。

だが日本の土木や建築の構造技術者から見れば、高層ビルや橋などが大きな地震で揺れでも壊れないことは驚くべきことではないのだ。

地震大国である日本の耐震設計技術は世界ではトップクラスであることは知られた事実だ。

私が社会人になるはるか前から日本では地震に対応する耐震設計手法があり、

コンピュータ技術がそれほど進展していなかったせいもあり、計算方法や精度は現在を比べ劣るが

以前より設計の技術基準に盛り込まれていた。

平成7年に阪神淡路大震災があり、それ以降平成17年ころまでに日本のほとんどの橋や

主要な建物はすでに耐震補強工事が完了していたのだ。

もちろん阪神淡路地震以降に新しく建てる建造物はマグニチュード9程度では壊れないように技術基準が改訂されている。

よって、東日本大震災ではマグニチュード9.0という揺れでも、ほとんどの建物が倒壊しなかった。

設計段階で壊れないように様々な高度な技術計算で試行検証して、構造細目を決定して設計してあるのだ。

それはコンクリートの柱を太くしたり鉄筋を多く入れたりで頑丈にして対処するのではなく、

復元性の高い新材料の使用や部材の組み合わせや鉄筋の配置を変えることで変形能力を高めて、

破壊しない限度の範囲で変形させて揺れのエネルギーを消費させ壊れないようにしているのだ。

頑丈に作る方法で壊れなくする方法はそう難しくないが、

その方法では主要構造が太く鉄筋を多く入れたり、材料費が高くなりお金がかかりすぎる。

橋などの公共物の建造の原資は国民の税金や国費によるため、お金をかけないようにしなければいけない。

民間建築でも都市部では建物が建てられる敷地スペースも限られ、太い部材のせいで居住空間、使用できる空間が狭くなってしまう。

そこで、お金をかけず効果を最大限に発揮して壊れなくする実験や研究が多く行われてきた。

阪神の震災以降は学校や役所など重要な建物や高層ビルなどは耐震補強工事が完了済みである。

建物の場合、免震といって地盤から伝わる揺れを直接建物上部に伝えない免震装置を採用したり

地震の揺れる周期と建物が応答して揺れる周期をずらす構造システムで揺れを抑える方法も採用されており

構造物の変形性能を高めてエネルギー消費を図るだけでなく、免震、制振など様々な手法で対処している。

日本は世界的に見て地震が多発する国であるから、古くから経験的に耐震の技術が工夫されてきた。

特に建築分野では寺社や城、重要建築物などでは地震でも倒壊しないような工夫がなされた。

それは先人の経験的な構築手法の試行錯誤のたまものだが。

昭和40年にはすでに科学的な方法として耐震設計の技術計算は行われていたが、今からすれば簡易的な計算手法であった。

簡易的な方法だが、一定以上の高さの建物や橋脚がある橋ならすべての橋でそのような耐震設計手法が義務化されていた。

昭和50年代からは電卓が登場して技術計算が多少楽になったといいながら、

先輩社員曰く、橋台1基の技術計算に1週間を要したと言っていた。

昭和後期になるとコンピュータでの計算ソフトが生み出され、手計算の部分と組み合わせ耐震の技術計算がだいぶ楽になった。

そして平成のはじめ頃に広くコンピュータと技術計算ソフトが普及し始めた。

その中でも耐震設計技術が大きな節目を迎えたのが平成7年の阪神淡路大震災であった。

この時から、耐震設計技術が急激に専門的で高度になり設計が難しくなり、

もはや構造設計を専門とする技術者でなければ対処ができないほどに専門化した。

この頃、ウインドウズ95が普及し始め、わかりやすい画面での技術計算ソフトが次々と登場して、

手計算や難解な公式を解かなければならない労力が減少し、耐震の解析技術の精度が向上し、

どのような壊れ方をし、壊れないようにするためにはどのようにすべきかを

当時の建設省の建築研究所、土木研究所、鉄道総合技術研究所、各大学、大手ゼネコン、

住宅メーカーなどで取り組んだ研究成果や実験が次々と設計や工事の技術基準に盛り込まれていった。

耐震計算だけでも構造工学や材料工学、地盤工学などいくつもの高度で専門的な内容を横断的に熟知ていないと対処できない。

橋などの構造物設計の場合、地盤、基礎、橋台、橋脚、橋げたなど全体がつながった一連の骨組み構造物としてコンピュータ解析を行い、

安全性確保だけでなく経済性、住民や関係者の合意(コンセンサス)、施工性、機能性、環境への影響、耐久性、メンテナンスや点検のしやすさなど

いろいろな視点でその地域や現場に一番合った設計にする必要がある。

阪神淡路の震災を受け平成17年くらいまでには、日本全国で15mを超える長さの橋については、

過去に建造されたものでも、阪神淡路の震災クラスの地震でも壊れないように補強設計と工事がなされた。

平成23年に東日本大震災があると、翌年また技術基準が改訂され、津波に強い橋の設計手法が追加された。

平成28年には更に100年単位の耐久性保持やその構造物の実情にあった強度を有する安全設計の技術基準が改訂された。

このような、地震大国日本で培った耐震技術は世界で同じような地震に対処しなくてはいけいない国で

役立つ技術であることは間違いなく、今後は世界に貢献できる技術だと思う。


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