本日紹介する本は脳が認める外国語勉強法(ガブリエル・ワイナー著、ダイヤモンド社)
著者のガブリエル・ワイナーさんは、世界中で歌い、各国の音楽家と交流する米国人声楽家。
本書は、かれが独自に体得した外国語の短期学習法を解説する本です。
著者の経験で得たノウハウを脳科学の理論で補強しながら、ジョークを交えてまとめた内容となっています。
本書の中心となる考え方は、言語は私たちの周りの事物と独立してあるのではないこと。
そしてひとつひとつの単語が、それが指し示す対象と1対1に対応しているわけではないとこと。
わたしたちの脳は、目で見たもの、耳で聴いたことなど、五感の様々な刺激をきっかけに、とっても複雑な関係性の網の目の中から、ある単語や文章を呼び出し、さらに数珠つなぎに連想し、言葉を話したり書いたりしています。
ですから、言語を学ぶときも、「犬=dog」みたいに、単語単語をバラバラに頭に入れ、脳内でぶつ切りにしてしまうような学び方ではだめだとのこと。
単語の意味や発音、文法を忘れず、するすると出てくるようにするためには、極力ほかの語、画像、音声などと関連付けて覚えるのが有効だというのが、本書のキモになっています。
たとえば昔からあるリングで綴じた「単語カード」も、言葉と対応する何かしらの画像を必ず入れる(絵にしにくいものこそ無理やり入れる)などの方法を指南しています。
現在は、著者が勧める外国語学習方法に強い味方が次々に現れています。パソコンやスマホのアプリケーションソフト、またSNSを含むコミュニケーションツールです。
本書では、五感を連関させる言語学習に最適なITツールが挙げられているのも大きなポイント。
たとえば
デジタルフラッシュカード「anki」
ネイティブの音声が聴ける「FORVO」
外国語の作文を添削してくれる「lang-8」
などなど、使い方なども割と詳しく紹介しています。先述の「画像入りカード」を手早く作るために有用なGoogle画像検索の活用なども、非常に実践的です。
また、多くの人が経験的に気付き、ひそかにやっている方法。いわば「公然の秘密」となっているあの方法にも言及しています。
それは「言葉は性的なイメージ、下品なイメージと結びつけると記憶しやすい」ということ!
実際、著者は外国語を学習するときには、単語を映像でイメージし、頭の中で性交させたり爆発させたりしているそうです。
身もふたもない。というか、子供か。
「うんこ漢字ドリル」やら「もえたん」やらの例を挙げるまでもなく、これは真理といっていいでしょう。
そのように、実践的ノウハウとともに、語学習得マニアの楽しげな息遣いも聞こえてくる本書。
とはいえ疑問もないことはないんです。
アメリカ人の著者がこれまで学んできた言語の多くはフランス語やドイツ語など欧州の言語です。
ノウハウは使えるとしても、日本人が英語を学ぶ場合とでは難易度が全然違うのではないか、と。
いくら英語を勉強してもなかなか身に付かない私たちとしてみたら、性交とか爆発とかいいながら実にノリノリな彼と、若干の温度差は感じてしまいます。
まあ、本書はそもそも日本人向けに書かれた本ではないのでそれは仕方ないことです
じつは、著者も、母国語と学習言語による難易度の違いには触れています。そして興味深いことに、英語圏の人間にとって学びにくい言語として「日本語」という言葉が何度も登場しています。
じつは著者、目下、日本語を学習中なのだそうです。
ではどうでしょう。次作では日本人読者に向け、彼が日本語学習に奮戦する様子を描くエッセイ、あるいは高難易度言語を学ぶ際のノウハウを改めて書いたら面白いのでは。
そんな期待をさせてくれる楽しい書き手です。
ぜひ今度は、日本語をバンバン爆発させてください。
本書の購入は著者の経験を脳科学の理論で補強しながら、ジョークを交えてノウハウにまとめた本書。
中心となる考え方は、言語は私たちの周りの事物と独立してあるのではないこと。また個々の単語が、指し示す対象と1対1であるのではないということ。
脳は、目で見たもの、耳で聞いたものなど、五感からの様々な刺激をきっかけに、関係性の網の目の中から単語や文章を呼び出し、数珠つなぎに連想しながら言葉を話したり書いたりしています。
言語を学ぶ際も、単語単語をバラバラに頭に入れ、脳内でぶつぶつ切れてしまうような学び方ではだめ。
単語の意味や発音、文法を忘れないためには、極力ほかの関連語、画像、音声などと関連付けて覚えるのが有効だというのが、本書のキモになっています。
実際の学習ノウハウとしては、たとえば昔からある単語カードでも、言葉と対応する何かしらの画像を必ず入れる(絵にしにくいものこそ無理やり入れる)などの方法を指南しています。
現在は、有難いことに著者が勧める外国語学習方法に強い味方が次々に現れています。パソコンやスマホのアプリケーションソフト、またSNSを含むコミュニケーションツールです。
本書では、五感を連関させる言語学習に最適なITツールが挙げられているのも大きなポイント。
たとえば
デジタルフラッシュカード「anki」
ネイティブの音声が聴ける「FORVO」
外国語の作文を添削してくれる「lang-8」
などなど、使い方なども割と詳しく紹介しています。先述の「画像入りカード」を手早く作るために有用なGoogle画像検索の活用なども、非常に実践的です。
画像やイメージの関連でいうと、多くの人が経験的に気付いてはいるのですが、いわば「公然の秘密」となっているあの方法にもに改めて言及しています。
それは「性的なイメージ、下品なイメージと結びつけると記憶しやすい」ということ!
著者は外国語を学習するとき、単語を映像でイメージし、頭の中で性交させたり爆発させたりしているそうな。
身もふたもない
というか、子供か。
「うんこ漢字ドリル」やら「もえたん」やらの例を挙げるまでもなく、真理といっていいでしょう。
そのように、語学習得マニアの楽しげな息遣いが聞こえてくる本書。
とはいえ疑問もないことはないんです。
アメリカ人の著者が学んできた言語の多くはフランス語やドイツ語など欧州の言語。ノウハウは使えるとしても、日本人が英語を学ぶ場合では難易度が全然違うのではないか、と。
いくら英語を勉強してもなかなか身に付かない私たちは、性交とか爆発とかさせながら実にノリノリな彼と、若干の温度差は感じてしまいます。
まあ、本書はそもそも日本人向けに書かれた本ではないのでそれは仕方ないことで、著者も、母国語と学習言語による難易度の違いには言及しています。
そして興味深いことに、英語圏の人間にとって学びにくい言語として「日本語」という言葉が何度も登場しています。
じつは著者、目下、日本語を学習中なのだそうです。
ではどうでしょう。次作では日本人読者に向け、彼が日本語学習に奮戦する様子を描くエッセイ、あるいは高難易度言語を学ぶ際のノウハウを改めて書いたら面白いのでは。
そんな期待をさせてくれる楽しい書き手です。
ぜひ今度は、日本語をバンバン爆発させてほしいところです。
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