どのような職種でも発生し、現場としてできるなら対応したくないものに「クレーム」があります。
しかしクレームは、早期に適切な対応行わないことで、必要以上に話がこじれ問題が大きくなってしまうのも大きな特徴です。
そこで今回は、クレーム対応において「やってはいけないこと」を紹介し、心構えや対策方法について考えてみます。
NG行動1 「すぐに反論する」
クレームを受けた際、不快な状況から逃れるため、また、言われっぱなしになることで立場が悪くなることを避けるため、相手の話の途中で「しかしお客様……」と反論してしまいがちです。
しかし、話の腰を折られると感情はヒートアップします。
まずは聞き役に徹し、相手の気持ちをすべて吐き出させることが大切です。人間は、高いテンションでの怒りの状態を長時間維持することはできません。気持ちを吐き出すだけ吐き出すと、次第に怒りのトーンは下がっていきます。
感情には共感で手当てを
理詰めの説得の前に、感情には感情で手当てする必要があります
話を聞く際には、適度にあいづちを打ち、相手が不便を感じている状況に「それはお困りのことと思います」「ご迷惑をおかけしております」と共感を示しましょう。
そして、怒りがトーンダウンしていると感じられたら、改めて今回起こった問題を時系列に聞いていきます。相手の頭の中も整理され、感情をぶつける段階から、理性による話し合いのステージに移行していきます。
NG行動2 「ひたすら謝る」
クレーム対応は、感情を受け止めてあげることがスタートであることは確かですが「謝ること」に終始するのも考えものです。
重大な問題が一つ発生すると、お客様の心には、様々なことに疑心暗鬼が発生するもの。その中には言いがかりに近いもの、勘違いに過ぎないものもあるでしょう。
問題の核を見極めて提案する
問題の所在がどこにあるかがわからないまま謝り続ければ、お客様も問題解決のために何をしてくれるのかがはっきりわからず、後の対応が期待と食い違うリスクが高まります。
クレームを受けた場合、問題の「肝」となっていることが何かを考え、その問題にしぼり、具体的な解決方法の提案を行います。問題設定が正しく、提案が必要十分なものであれば、付随する問題も自然に解決に及びます。
NG行動3「自分だけで処理しようとする」
クレームを初めに受ける人は、上司への報告や、問題の長期化を厭い、その場ですべての問題を解決してしまおうとする傾向があります。
しかし最初にクレームを受けた担当者が、代替案の提出などの決定権がない場合が多いこと。また、相手は感情的に直接相手をした人
自分だけで処理しようとすると、お客様にとって納得できる提案ができないことがあります。一旦クレームを自社に持ち帰り、事後対応を決めることも必要です。
「あなたをないがしろにしない」というメッセージを
まずは「のちほど、『必ず』ご連絡致します」といったように、はっきりとした口調で、今後の方針を伝えることが大切です。
クレームを行うお客様には、「自分だけが不当な扱いを受けている」「ないがしろにされている」という想いがあります。「あなたは大事なお客様です」「問題解決に取り組みます」という気持ち・意思を確実に示しましょう。
NG行動4 長時間放置する
とくに苦情が「持ち帰り案件」になった場合、最も大切なことはレスポンスの速さです。
折り返しの連絡が遅くなると、「無視されたのでは」「話をうやむやにしようとしている」と疑われ、その後連絡をした際、相手の怒りが復活していることがあります。
決定権のある上司となかなか連絡が取れない、代替案がなかなか決定しないということもありますが、それは社内の事情に過ぎません。少しでも対応に進展があった場合には、なるべく早く途中経過を連絡しましょう。
クレームは顧客満足度向上のヒント
同じ原因でクレームが何度も発生する場合、それはそのまま「会社の課題」となります。お客様が何に腹を立てているのかを吟味し、なぜそういうことが起こったのかを考えることで業務改善のきっかけとなります。
そしてそれは、直接クレームを受けた人にすべての責任を負担する事態を避けるためでもあります。
よく「クレーム処理」という言葉が使われますが、クレーム対応を有益なものとするには、目の前の問題を処理するという発想だけではなく、顧客満足向上の機会と考えるのが大切なことなのかもしれませんね。
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