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2020年02月06日
【今をつなぐ】「ヤッホ、ヤッホ」の声が消える? 人口43人の集落で伝統のクマ狩りが存続危機
【今をつなぐ】 「ヤッホ、ヤッホ」の声が消える?
人口43人の集落で 伝統のクマ狩りが存続危機
〜FNN.jpプライムオンライン 2/6(木) 20:03配信〜
新潟県村上市の山熊田集落
山形県との県境、朝日連峰に連なる山々の間に在る新潟県村上市の山熊田集落。厳しい自然と向き合う山の暮らしの中で、クマ狩を始めとする伝統文化が大切に受け継がれて来た。
しかし今、ここに暮らすのは僅か16世帯43人。過疎化が進み、猟師は足ったの4人と為ってしまった。存続の危機に向き合いながらも、生き物の命に対する敬意や誇りを背負い、伝統を守り続けるムラの営みを追った。
正月は猟師が集まり、全員で「おのぼり」を行う
集落の伝統を守る為、厳しい雪山で行う狩猟
山熊田の猟師、58歳の大滝国吉さんは、猟師の頭領の家で行われた新年会に参加して居た。国吉さんは30年以上クマと対峙して来た山熊田のベテラン猟師だ。そこでは山熊田ならではの儀式『おのぼり』が行われて居た。捕らえたクマの霊を慰め、その年の大猟を祈るものだ。上座に座る頭領から左右に分かれ、コップ一杯に注がれた清酒を2杯飲み干して行く。
1月、国吉さんは雪が積もった山の中へ猟銃を持って向かった。木の穴の中に居る冬眠中のクマを狙うアナグマ猟だ。予めクマの居そうな木を調べ、穴に居るかどうかを見て歩く。この日、朝から雪山を何度も昇り降りし、5箇所も回ったが、クマを見付ける事は出来なかった。
木の穴の中にクマの姿は無かった
何故雪深く厳しい山に入り、狩りに行くのだろうか。
「それが自然だからだ。環境が厳しくても、獲物を取る為には、そう云う厳しさがあって初めて捕れる話。楽な事だけでは到底出来無い。昔の文化、狩りを村中で遣って居た時代が有ったから、今ココにこの集落が残って居る。その事を確り繋げて行くと云う気持ちもある」
国吉さんは、山の暮らしを愛し、狩猟に対する哲学を持って居る。
クマの肉は参加者で平等に分け合う
狩猟の伝統を背負うが、次の世代が居ない悩み
或る日、山熊田の猟師仲間がアナグマ猟でクマを仕留めた。体重150 kg にも為るオスのクマを慣れた手付きで捌(さば)いて行く。肉は同じ重さにして人数分に分けられ、持ち帰る際にはクジを引いて公平に為る様にすると云う。山熊田では山の恵みを猟の参加者で平等に分け合う仕来りが今も続いて居るのだ。
その理由に付いて「うちの集落は陸の孤島みたいな小さな集落で、自分達で助け合うと云う精神なんで」と話す国吉さん。その後猟師達は皆で集まり山の恵を頂く。今日食べるのは熊の肉を入れた味噌仕立ての鍋と、丸毎茹でたクマの舌だ。
「命を貰うと云う事は、矢張り最後迄責任を持っていか無いといけ無い事。クマをチャンと大切に、皆で責任を持って食べる処迄遣ると云う事が一番肝心だと思います」
獲った以上は、皆で食べて供養する。ソコには、狩猟の伝統を背負う誇りや、生き物の命に対する敬意が秘められて居た。その狩猟の伝統を受け継ぐ山熊田の猟師達だが、今、過疎化と云う問題に直面して居る。
「昔から続いて来たクマ狩りの伝統を引き継いで、何とか頑張ってる次第です」と話すのは、山熊田で最年長の猟師、74歳の大滝幸男さんだ。「何とか今の若い人達に頑張って存続して行って貰いたい。でも残念な事に若い人達が居ないんだよね」と続ける。
1965年頃には30人余りの猟師が山熊田に居た
1965年頃、クマを仕留めムラに帰って来た男達に、子供達が嬉しそうに駆け寄って居る写真がある。この頃、山熊田の猟師は30人余り。しかし高齢化や若者の流出等により猟師は減少し、今は50代が3人、70代が1人と、足った4人に為ってしまった。
国吉さんは「うち等も大分歳に為って来て、若い人が居ないんでね。このママ行くとうち等の世代で終わりかなと云う寂しい気持ちも持って居る」と目を伏せた。山熊田で最年少の高校生がこの春学校を卒業。遂にムラに高校生以下の住民は居なく為った。
1年で最も大切な巻狩りの結果は・・・
4月、国吉さん達山熊田の猟師は、1年で最も大切にする春のクマ狩りに臨む。冬眠明けのクマを集団で追う伝統の猟“巻狩り”が行われるのだ。勢子(せこ)が声を上げてクマを追い上げ、待ち場と呼ばれる山の頂上で撃ち手が仕留める。山には勢子達の「ヤッホヤッホ」と云う声がコダマし、ムラに春の訪れを告げる。
伝統の猟“巻狩り”
雪がどれだけ消えたか、猟場を下見する国吉さんは「コレを一年中待ってたんさ。クマが何処から出て来るか、それを考えるだけでもワクワクするよ」と話すが、去年の春は、約20年振りにクマが捕れ無かった。参加者も経験者も年々少なく為り、撃ち手の居る待ち場迄クマを上手く追い上げられ無く為ってしまったと云う。
入念に猟銃の手入れをする国吉さん
巻狩りの伝統を取り戻したい山熊田の猟師とその仲間総勢14人は猟場へ向かった。道中、猟師達が慌ただしく動き始めた。向かいの山にクマを見付けたのだ。早くも訪れたチャンス。しかし移動するクマを囲み、巻狩りの陣形を整える余裕は無い。しかしライフルを構えても、距離が遠く引き金を引け無い。そうこうする間にクマは逃げ仕切り直しと為った。猟場に入ると、雪の上にクマの足跡が無いか必死に見て回る。
「カクマピラ(山の地名)居たぞ多分。カクマピラを巻く様な配置をしなければいけ無いぞ」無線で仲間に呼びかける。「駄目だ駄目だ、アガリト(山の地名)へ行った」足跡を辿り懸命にクマの行方を追うも、又も見失ってしまった。日没から逆算するともう時間が無い。クマは確認出来ないが、巻狩りの陣形を組む事に為った。
国吉さんの役割はモクラ。モクラとは猟場で一番高い峰のこと。全体を見渡して指示を出す要の役割も意味する。山頂付近には撃ち手の猟師が到着し、木陰に隠れクマを待ち構える。
「ヤッホ!ヤッホ!」勢子が谷底から声を挙げ、巻狩りが始まった。しかし勢子が幾ら声を上げてもクマは姿を現さ無い。クマは捕れ無いのか、猟師達が諦め掛けたその時。
「バーン」 猟場に1発の銃声が響いた。「捕れたぞ!」国吉さんが満面の笑みを見せた。「オテンガラ(お手柄だ)!」クマを仕留めた猟師を称える山熊田伝統の言葉が零れた。崖の様な山を駆け下りると、横たわる大きなクマの姿があった。山熊田はクマを授かったのだ。伝統の巻狩りでは無かったものの、クマが捕れた事に安堵の思いが広がって居た。
「アチコチで足跡は見付けたけど、ナカナカ姿が見付から無かった。皆が諦め切れ無くて、意地を出してこの峠まで来たから、好い結果が挙がった」
全員の力で大きなクマが捕れた
要約桜が咲いた4月末の山熊田で、クマ祭りが2年振りに開催された。猟師達はこのクマ祭りでしか行わない伝統の儀式に臨んだ。“山の神様”とするトチノキと、ムラの公民館の前の二手に分かれ、神様に感謝の気持ちを捧げるのだ。
「ヤーッホ!」「ヤーッホ!」
山からムラへムラから山へ、クマ狩りの時と同じ声が3回往復した。春の訪れを告げる“鳴り声”が、山熊田に再び響いた。国吉さんに山熊田がどんなムラか聞いた。
「そんな事は判ら無い。只、俺はココに住んで、住み好い自分の家だと思って居るし、何処にも無い世界一の家だと思ってるから、ココを絶対残したいと思ってるだけだ」
山熊田の伝統がこの先も残って行くのか、それは誰にも分から無い。只、この村に生きる人達の営みが、私達に失った何かを問い掛けているのは確かだ。この小さなムラに、これからも伝統の春が訪れることを願う。
【今をつなぐ】この記事はNST新潟総合テレビで2019年5月に放送した番組を再構成した読み物です。日本の市町村の内、およそ半分は若者が流出し高齢化も進む「過疎」に直面して居ると言われます。
FNN.jpプライムオンラインとYahoo!ニュースによる連動企画記事では、こうした地域を活気づかせ様とする人々の奮闘や思いを通して、過疎地域の問題に付いて改めて考えます。
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安倍首相補佐官 海外出張でも公私混同の疑い 厚労省女性幹部とコネクティングルーム宿泊
安倍首相補佐官 海外出張でも公私混同の疑い
厚労省女性幹部とコネクティングルーム宿泊
〜文春オンライン 2/5(水) 16:00配信〜
和泉洋人補佐官 共同通信社
和泉洋人首相補佐官(66)が、大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(52)との海外出張の際、ホテルの部屋割りを巡って外務省に異例の要望を出し、二人の部屋が繋がって居るスイートルームに宿泊して居た事が「週刊文春」の取材で判明した。
2018年9月17日、インド・デリーで行われた「インド高速鉄道に関する第8回合同委員会」和泉補佐官は日本側の団長として参加したが、訪印には大坪審議官を伴って居た。
「宿泊先は、ニューデリーの中心部にある五つ星ホテルの『タージマハルホテル』だったのですが、手配に当たり、関係者に補佐官ロジ対応事項として周知徹底されて居た事が有りました。それは『和泉補佐官と大坪審議官、お二人の部屋の接続を重視して宿舎を確保する』と云うものです」(外務省関係者)
「週刊文春」は、インド出張における部屋割りを記した内部文書を入手。それによれば、和泉氏の部屋は712号室(エグゼクティブ・スイート)大坪氏の部屋はその隣の710号室だ。取材班がインドに飛び、同じ部屋に宿泊して確認した処、和泉氏と大坪氏が宿泊した712と710は、内扉で繋がって居り、自由に往来可能な「コネクティングルーム」だった。
大坪氏は直撃取材に「だから何? そう云うホテルがあるかも知れないけど、私は承知してません。失礼ですよ!」等と回答。和泉氏には書面で事実関係を質した処「回答を差し控える」として居る。厚労省出身で労働問題コンサルタントの田岡春幸氏が指摘する。
「室内で行き来出来る『コネクティングルーム』は事実上同じ部屋に泊まって居るのと同じ。民間企業であれば、男性上司から女性部下に対するセクハラとして認定される事案です。更に、公費を使っての出張として適切とは言えません」
和泉氏と大坪氏を巡っては、昨年12月に「週刊文春」が「京都不倫出張」を報じた。公費で京都に京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長を訪ね、研究費削減を通告した約1時間の面会後、腕を絡ませて京都観光をしたり、かき氷を食べさせ合う等3時間に渉ってデートした様子が論議を呼んだ。菅義偉官房長官は記者会見で「公私は分けて居た」とし、二人の行動を問題視しない姿勢を示して居た。
巨額の税金を使った海外出張で、何故二人はコネクティングルームに宿泊したのか。京都出張に加えて、海外出張でも和泉補佐官の公私混同疑惑が浮上した事で、高い倫理観が求められる公務員として適切な行動だったのか、二人が行動を共にしたミャンマー、中国等計4回の海外出張などはどの様な対応だったのか、今後、説明が求められそうだ。
2月6日(木)発売の「週刊文春」では和泉補佐官と大坪氏の他の海外出張を巡る疑惑や、山中教授のiPS細胞研究の費用削減を巡る国会答弁が虚偽だった事を明らかにする新証拠等に付いても詳報して居る。
「週刊文春」編集部 週刊文春 2020年2月13日号 以上
首相補佐官に海外「不倫」報道 血税でスイート宿泊指摘に逆ギレ
〜まぐまぐニュース! 2/6(木) 13:55配信〜
既に公費での「京都デート」が報じられて居た安倍首相補佐官の和泉洋人首相補佐官(66)と、不倫関係にあるとされて居る厚生労働省大臣官房審議官の大坪寛子氏(52)が、海外出張でも公私混同して居た疑いがあると週刊文春が2月6日発売号で報じて居る。不倫の出張費が「血税」であった場合、多くの国民から批判を浴びそうだ。
「2人の部屋の接続」を重視
週刊文春が報じたのは、2018年9月17日にインド・デリーで行われた「インド高速鉄道に関する第8回合同委員会」に付いて。
日本側の団長として和泉補佐官が参加したが、大坪審議官を伴って居たと云う。ホテルの手配に当たり「和泉補佐官と大坪審議官、2人の部屋の接続を重視して宿舎を確保する」と云う事が、関係者に「補佐官ロジ対応事項」として周知徹底されて居たと云う。
実際に週刊文春が入手した部屋割りの内部文書によると、和泉氏の部屋は712号室(エグゼクティブ・スイート)、そして大坪氏の部屋はその隣の710号室だったとして居る。週刊文春によると2人が宿泊した712号室と710同室は、内扉で繋がって居る「コネクティングルーム」だったと云う。我々の血税で行なわれたと思われる「海外出張」不倫、考えるだけで気分が悪く為るのは私だけであろうか。
「だから何?」逆ギレ回答
大坪氏は、何故コネクティングルームに宿泊したかと云う問いに「全員一緒だったと思いますよ。同じフロア貸し切ったんじゃない?」と回答。事実関係に付いて問うと「だから何? そう云うホテルがあるかも知れないけど、私は承知して居ません。失礼ですよ!」と強い口調で「逆ギレ」回答したと云う。
以前報じられた「京都不倫出張」
以前報じられたのは、2019年8月9日にiPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長に面会する為の京都「不倫」出張だった。
午前中に面会を済ませると、二人はハイヤーに乗り観光地巡り。和泉氏は自分のスプーンで大坪氏にかき氷を食べさせたり、貴船神社では腕を絡ませて参道を歩く等して居た。週刊文春はこの日以外にも、仕事帰りにハイヤーで大坪氏を自宅迄送り届けたり、都内で手繋ぎデートやエスカレーターでハグする様子を複数回確認。しかし、交際に付いては2人とも否定。大坪氏は「男女って…大分お爺ちゃんですよね。幾つだと思う?」と回答して居る。
不倫男の虚偽答弁
和泉氏は京都不倫出張の際、山中教授に「来年からストック事業に国費は出しません」と告げた。この面会に付いて立憲民主党の早稲田夕季議員が昨年11月27日の衆議院科学技術特別委員会で質問すると、一旦質問を引き取り、後日「20年度から支援をゼロにすると伝えた事実は無い」とする報告書が理事会に提出された。
しかし、面会で和泉氏と大坪氏が山中氏に提示した、大坪氏作成のA4判の文書には「法人に対しては国費を充当しない」と記されて居た。証言や文書とは異なる回答に、虚偽答弁の疑いが懸かって居る。
不倫女の異例の出世
立憲民主党の杉尾秀哉氏は29日の参院予算委員会で「貴女のバックに和泉補佐官が居て、貴女は厚労省で異例の出世をして来た。和泉氏のバックには菅官房長官や安倍首相が居る。虎の威を借るナントカでは無いのか」と非難、異例のスピード出世に付いて触れた。何故異例の「出世」と云われるのか。これに付いてはダイヤモンドオンラインが迫って居る。
大坪氏が就いて居るのは「官房審議官」この「官房審議官」は一般的に、本省の課長(特に局の総務課長)又はそれに相当する職に就く事が必須。
それ等を務めずに官房審議官の職に就くと云う事は、任期付き任用で最初から官房審議官と云った場合を除き、先ず在り得無いと云う。しかし、大坪氏は、本省の局総務課長級処か課長級の職を経験せず、出向先でも平の課長級の職に就いて居た程度だったと云うのだ。これでは「異例の出世」と云われるのも頷ける。果たして2人が「不倫関係」を認める日は訪れるのだろうか。そして、不倫出張に使われた「血税」は返還されるのだろうか?
週刊文春 ダイヤモンドオンライン MAG2 NEWS 以上
京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る 最悪カップル
菅官房長官の信頼の厚い和泉洋人・首相補佐官 和泉氏と只ならぬ関係にある大坪寛子・厚労省審議官の二人が日本の医療行政を歪ませて居る
〜FRIDAY 2019年12月29日〜
「今、医療に携わる人間の中で、最も評判が悪いのが、大坪寛子・厚生労働省大臣官房審議官(52)でしょう。彼女は慈恵会医科大学から厚労省に入った医系技官ですが、医師としての実力は大したことはありません。処が、菅義偉官房長官の信頼が厚い和泉洋人・首相補佐官(66)と極めて近い関係に為った事で、飛んでも無い権力を握ってしまったのです」(厚労省の行政に詳しい医師)
今年8月に和泉補佐官と大坪氏は、山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所を訪問。予算削減を一方的に通達し、山中教授を「恫喝した」と医薬専門メディアで報じられた。一方の山中教授は会見を開いて予算削減の理不尽を訴え、最終的に削減は見送られる見通しに為った。そこに週刊文春が二人の京都旅行と銀座デートを報じたのだ。
「和泉補佐官と大坪氏の『只ならぬ関係』が厚労省内で噂される用に為ったのは夏頃でした。内閣官房に出向して居た大坪氏は7月に厚労省に戻って来て審議官に抜擢されます。しかし、課長に為った事の無い大坪氏が、何故(課長よりも上の)審議官を遣るのかと話題に為り、和泉補佐官と『昵懇(じっこん)の仲』だった事が判明した」(全国紙厚労省担当記者)
前出の医師が続ける。
「山中教授と同じ様な手口で予算をカットされた『被害者』の話は好く耳にします。厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』と云うものがあり、大坪氏がその予算を握って居る。その為、彼女の傍若無人な振る舞いを知っていながら、誰も表立って批判する事が出来ないのです。只、疑問なのが、何故彼女はそんなに権力を行使したいのかと云う事。威張りたいだけで日本の医療行政がネジ曲げられて居るとしたら、彼女の罪は大きいと思います」
それにしても、この「最悪カップル」がこれ程の権力を握って居るのは何故か・・・『官邸官僚』の著書があるジャーナリストの森功氏はこう説明する。
「和泉補佐官は菅官房長官の腹心と言われ、その威光を背景に自分の好きな様に政策を進めて来ました。元々は国土交通省の技官ですから、国土交通分野の政策には以前から強かったのですが、最近はそれに限らず『官邸官僚』として省庁に関係無く首を突っ込んで居て、医療分野迄牛耳ろうとして居るのです」
無能な人物が能力以上の権力を握ると組織を根っこから腐らせる・・・そんな恐ろしい状況が、この国の中枢で進行して居る様だ。
『FRIDAY』2020年1月3日号より 以上
和泉補佐官の登場 加計問題にて・・・
安部首相補佐官和泉氏とは
「公費で京都不倫出張」疑惑の和泉洋人首相補佐官 安倍首相の為ならナンでも遣る男! 前川元文科次官を恫喝した過去も
〜LITERA 2019年12月12日 06:00〜
「桜を見る会」問題で国民から不信の目を向けられている安倍政権に新たなスキャンダルが発覚した。「安倍首相補佐官と厚労省女性幹部が公費で『京都不倫出張』」
そう、明日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、加計学園問題で暗躍した安倍首相の側近・和泉洋人首相補佐官と厚労省の大坪寛子大臣官房審議官の不倫関係疑惑、そして公費を使った京都出張での「デート」現場をスクープしたのだ。
既に「文春オンライン」では記事の概要を伝えて居るが、そこでは、和泉首相補佐官と大坪大臣官房審議官が腕を組んで階段を降りる様子を収めた写真等が公開されて居る。「週刊文春」の直撃に対し、大坪大臣官房審議官は往復の新幹線代の支払いが公費である事を認める一方、二人共交際を否定して居るが、写真を見る限り、公私混同の誹りは免れ無いだろう。
首相補佐官とも有ろう人物が、公費を使って不倫旅行・・・これが事実ならその倫理観の欠如に呆れるが、しかし、和泉氏なら十分有り得る話なのかもしれ無い。何しろ、和泉氏は安倍首相の為に、通常の行政手続きを歪め、各省庁に露骨な圧力を掛けて来た倫理もクソも無い人物だからだ。
ソモソモ、和泉首相補佐官は国土交通省出身で、現在は政府が名護市辺野古で進めて居る埋め立て工事で関係省庁を統括して居る人物であり、新国立競技場の管轄を文科省から取り上げやり直しコンペを仕切ったのも和泉首相補佐官だと云われる。
元々は民主党・野田政権時代に内閣官房参与として官邸入り、そのママ安倍首相が留任させると云う異例の人事が行われたが、その背景には和泉氏と付き合いが長かった菅義偉官房長官の後押しがあったとされる。
しかし、和泉首相補佐官の存在に大きな注目が集まったのは、前述の様に加計学園問題だった。前川喜平・元文科事務次官が、獣医学部新設を巡って和泉首相補佐官から「総理は自分の口からは言え無いから、私が代わりに言う」と恫喝され、この他にも獣医学部新設を早く認める様に複数回言われた事を証言したからだ。
しかも、和泉首相補佐官は前川氏に圧力を掛けただけでは無かった。NHKがスクープした「10/21萩生田副長官ご発言概要」と云う文書では〈総理は平成30年4月開学とお尻を切って居た〉と云う決定的な文言の他、こうも記されて居たからだ。
〈内閣府や和泉総理補佐官と話した。和泉補佐官が農水省とも話し(中略)畜産やペットの獣医師養成とは差別化出来ると判断した〉
〈和泉補佐官からは、農水省は了解して居るのに文科省だけが怖じ気付いて居る、何が問題なのか整理して好く話を聞いて欲しいと言われた。官邸は絶対遣ると言って居る〉
何と和泉首相補佐官は農水省に迄直接手を回し、萩生田光一官房副長官(当時)迄動かして居たのだ。この後、萩生田官房副長官は獣医学部新設の条件に「広域的に」「限り」と云う文言を追加する様指示。これにより獣医学部新設に名乗りを上げて居た京都産業大学が事実上振り落とされてしまった。
要するに和泉首相補佐官は、正に安倍首相の代わりと為って加計学園の獣医学部新設を実現させた、最大のキーマンとも言える人物なのだ。実際、2017年6月に日本記者クラブ主催の記者会見に出席した前川氏は、「全体のシナリオを描いて居た」人物として和泉首相補佐官の名を挙げた。
「私の目から見ますと、和泉総理補佐官が一番のキーパーソンではないかと」「10月21日付けの萩生田副長官のご発言の内容を見ても、萩生田さんは和泉さんと話をした結果として、それを文科省に伝えて居る。矢張り情報発信源に為って居るのは和泉さんではないか。和泉補佐官が一番全体のシナリオを描いて全体の統括もして居る、そう云う立場にいらっしゃったのではないかと思って居ます」
だが、和泉首相補佐官は加計学園の獣医学部新設を実現させるべく「全体の統括」をしただけでは無かった。アノ読売新聞を使った前川氏の告発潰しでも和泉首相補佐官は暗躍して居たのである。
2017年5月「総理のご意向」文書が飛び出た際に前川氏の実名告発の動きがある中で、読売新聞は同月22日付で「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中 平日夜」と報道。本サイトでも繰り返し伝えて来たが、これは、官邸が前川氏の告発を潰す目的で読売にリークして書かせたものだ。そして、読売に記事が出る前日、前川氏に揺さ振りを掛けたのは和泉首相補佐官だった。前川氏はこう証言して居る。
「21日に和泉補佐官からのアプローチも有った。文科省の藤原誠初等中等教育局長からのショートメールだった。(自分の携帯から着信記録を示して)これです。『和泉さんから話を聞きたいと言われたら、対応される意向はありますか?』それに対しては『ちょっと考えさせて』と返信した」
「和泉さんが私の口を封じたかったのではないかと思って居る。丁度私が加計関係の文科省内部文書に付いて、メディアの取材を受け始めた時だ。前川が喋って居るとの情報が伝わったのではないか」 (サンデー毎日2017年12月10日号 毎日新聞出版)
「明治日本の産業革命遺産」でも安倍の意向を受けて文化審議会の反対派委員を排除
実名告発を潰す為に脅しを掛ける・・・これが首相補佐官の仕事なのかと衝撃を覚えずに居られないが、実は加計学園問題以外でも、和泉首相補佐官は安倍首相の意向を形にする為恫喝と圧力を掛けて居た事が判って居る。
それは、2016年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を巡っての事。「明治日本の産業革命遺産」は幼少時から安倍首相と家族ぐるみの付き合いで、加藤勝信厚労相の義理の姉でもある加藤康子氏が中心に為って推し進めて居たプロジェクト。
「週刊新潮」2015年5月21日増大号に掲載された康子氏のインタビューによると、自民党が野党に転落して居た頃、安倍氏は康子氏に「君が遣ろうとして居る事は『坂の上の雲』だな。これは、俺が遣らせて挙げる」と声を掛け、更に、総裁の地位に返り咲いた3日後「産業遺産遣るから」と、電話を掛けて来たと云う。
そして、安倍首相が血道を上げたこの「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録でも、安倍首相の名代として現場に介入したのが和泉首相補佐官だった。実は「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産の国内候補にする為、和泉首相補佐官が候補を決める文化審議会の委員から反対派の委員を排除する様圧力を掛けて居たのだ。文化庁を外局とする文科省の事務方トップの事務次官を務めた前川氏はこう証言して居る。
「和泉氏は文化庁の幹部に対し、文化審議会の委員から日本イコモス委員長西村幸夫氏を外せと言って来た。日本イコモスは産業遺産の推進に消極的だった経緯があり、兎に角怪しからんから外せと。結局、西村氏は委員から外れました」 (週刊朝日 朝日新聞出版 2017年6月23日号)
これ等のケースを見ればもうお判りだろう。安倍首相がこれ迄のルールや行政手続きをヒックリ返してお友達に利権を優遇したい時、安倍首相の代わりに現場に圧力を掛けゴリ押しをするのが和泉首相補佐官の役目だったのだ。
そして、安倍政権では、和泉氏の様に安倍首相や菅官房長官の意向を汲んで動けば、官僚としての倫理観ナンて欠片も無くても官邸に重用され出世出来てしまう。嫌、安倍首相の為に平気で不正に手を染める事が出来る、そう云う倫理観の無い官僚コソが出世すると云うべきか。
そう考えると、今回の京都不倫出張と云う「公私混同」疑惑も、安倍首相の右腕なら何をしても許されると云う慢心の結果、起こるべくして起きたスキャンダルと言えるだろう。
森友・加計問題や「桜を見る会」でハッキリした様に、安倍首相が平然と私物化して来た事で、安倍首相の側近や親しい政治家達も又同じ様に振る舞い、最低限の倫理観さえ崩壊させてしまった。今回の「週刊文春」のスクープは、単なる不倫スキャンダルでは無く、安倍政権の腐敗を裏付けるものだと言って好いだろう。
安倍の虚言は今年もアクセル全開! 2018年、安倍首相が着いた真っ赤な嘘とインチキを総まくり(前編)
LITERA 編集部 以上
不倫疑惑官僚・大坪氏が答弁に “コネクティング”を認めた!
〜女性自身 2/7(金) 20:37配信〜
1月29日 参院予算委員会での大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官
既婚者である和泉洋人首相補佐官(66)と、シングルマザーである大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(52)の不倫疑惑。「週刊文春」が昨年12月に2人の“京都デート”を報じた事で明らかに為ったものだが、更に分春は2月6日発売号で、2人がインド出張に行った時、“コネクティングルーム”と云われる内部の扉で繋がって居る部屋に泊まって居たと云う続報を打った。
2月7日に行われた衆議院予算委員会で、大坪氏がこの疑惑に応えた。質問したのは、立憲民主党の早稲田夕季衆議院議員(61)。税金を使った出張中の不倫疑惑とあって、議場では「税金だぞ」「ドコが出張だ!」と云うヤジが飛んだ。
立憲民主党の早稲田夕季衆議院議員
早稲田議員は週刊文春の報道を元に、2年前のインド出張の際、2人が“コネクティングルーム”に泊まった事、そしてそのフロアに泊まったのが和泉氏と大坪氏と和泉氏の秘書官だけで、他の出張メンバーは別のフロアに泊まった事を指摘した。それに対して、大坪氏は出張が公務である事を強調した上でこう答えた。
「和泉秘書官は体調を崩されて、官邸の中で倒れられた事があります。救急搬送されまして入院加療を暫らく受けられて居た事が御座います。元々公務なので行く予定でしたが、その際に秘書官の方から相談を受けて居ります。
現地の医療体制とか機内の医療の整備に付いて、色々と確認をしたり、そう云った遣り取りがありました。その際に、秘書官から連絡を受けられる場所と云う事で、和泉補佐官の部屋を秘書官と私とで挟む形で万全の体制を取った」
部屋に泊まった事は認めた大坪氏。彼女は医師から官僚に転身した経歴を持つ。通例では、首相補佐官には医師は同行せず、緊急時には現地の医療機関に頼るのだが・・・大坪氏の言う事を素直に受け取れば、現地インドの医療体制が信用出来無いから自分が一肌脱いだと云う事なのか。
更に、大坪氏が過去に行ったミャンマー・インド・中国・フィリピンの出張は全て、和泉氏と一緒だったのではないかと指摘されると「(専門分野の)ヘルスケア関係のものに関しては、私が同行する事も御座いますし、他の者が同行する事もある」と正面から答え無かったが、一緒だった事に付いて異存は無い様。早稲田議員に4回の出張が全て“コネクティングルーム”かと問われるとこんな言い訳。
「部屋の配置に付いては、基本的には、外務省が作って下さる配置に従って居る。全てどうであったかは、細かい処は記憶にありません」
自分の上役に当たる男性の部屋と、内扉で繋がって居る部屋に泊まる経験なんて、滅多には無さそうなもの。他にもそう云う事があったら覚えて居そうなものなのだが・・・一方、外務省の担当者はインドのホテルの部屋割りが「補佐官室からの指示であった事」を認めた。
東出昌大(32)と唐田えりか(22)・鈴木杏樹(50)と喜多村緑郎(51)の不倫が世間を騒がして居るが、大坪氏と和泉氏の不倫疑惑には税金が使われた疑いがある。
ヤツレタ様にも見えたが、質問に対して淀み無く答えた大坪氏。野党は和泉補佐官を国会に呼ぶことと、出張に関する書類を全て開示する事を要求して居る。
「面従腹背やめよう」宣言の藤原文科事務次官は官邸べったり! 安倍首相と一緒に加計学園式典出席、前川喜平に“口封じ”画策
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以上
【管理人のひとこと】
和泉・安倍晋三首相補佐官とは、物語として何度も映画化された「幕府の隠密」所謂、柳生但馬守の様な役目なのだろう。為政者の本音を汲み取りその威を借りて陰で暗躍する・・・正に、為政者のダーティーな面を全てフォローする影のヒーローなのだ。和泉補佐官の権力に誰も楯突くことは御法度なのである。
又は、犬公方として知れる徳川綱吉将軍のお側役の柳沢吉安の役目か・・・吉安はその功労により、初代甲府藩藩主から川越藩主と為った人物で、好悪両面が歴史に残されて居る。将軍の政治力が弱いからこの様な側近の権力が蔓延(はびこ)るのか、又は強力な将軍なので影の権力も増大するのか・・・私には判らぬが、歴史的にもこの様な側近の暗躍で政権は何れ崩壊するのが常だ。強力な安倍政権も、基礎の部分から腐り始め、既に全身にシロアリが食らい突いて居るのがハッキリする事態へと転げ落ちた。
古来から存在する不倫・浮気が、令和の現在に為って、何か社会問題に迄発展しそうな具合に変化し出した様だ。これでは迂闊に浮気は出来ない世の中に為った。無論、不倫も既婚者からすると浮気の一つなのだが、相手が独身者と為ると話がヤヤコシク為る。互いに既婚者同士の浮気為らば、犠牲者はその配偶者であり、訴訟されると罰金か慰謝料を支払わされる羽目に為るのでご注意願いたい。
しかし、タレントや芸能人の浮気や不倫は、外野席から見て「冷やかし半分」で見てらるが、首相補佐官、それも今を時めくイケイケの安倍首相の懐刀と云われる66歳の秘書官と、方や52歳のシングルマザーの審議官の不倫・・・大人なのだから不倫は自由だし楽しんで貰うのも自由だ。が、それを公務出張の中に取り入れては為ら無いだろう。その辺の判断が狂う程迄に熱く為ってしまった・・・老いらくの恋は恐ろしく不潔で残念だ。確りとした処分を願う。
2020年02月05日
田原総一朗 ゴーン逮捕・起訴は正当か 岐路に立つ日本の司法制度
田原総一朗 ゴーン逮捕・起訴は正当か 岐路に立つ日本の司法制度
〜朝日新聞 週刊朝日 AERA dot. 2/5(水) 7:00配信〜
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
ジャーナリストの田原総一朗氏は、日産の元会長カルロス・ゴーン氏が批判した日本の司法制度に付いて考える。
2月2日放送の「激論!クロスファイア」に、弁護士の郷原信郎氏に出演して貰った。(収録は1月30日)
郷原氏が、12月29日に関西空港からレバノンに逃亡した日産の前会長カルロス・ゴーンに、昨年11月から12月に掛けて5回、計10時間もインタビューし、重大な事実を聞き出して居る事を知ったからである。郷原氏がゴーンに最後に会ったのは逃亡の2日前の12月27日で、1月13日にもレバノンに居るゴーンと電話で約30分間話をして居るのである。
何故、ゴーンにインタビューをしようと思ったのか、何を聞き出したのか、12月27日にゴーンはどんな様子だったのか、まさか、逃亡する事を告げて居たとは思わ無いが。それにしても郷原氏は、ゴーンの逃亡をどの様に受け止めて居るのか・・・だが、そのことを確かめる前に、1月8日にゴーンがレバノンでの記者会見で、日本の検察の捜査、そして司法制度を大批判した事に付いて問うた。森雅子法相や検察の元高官等は、ゴーンの主張は全くの誤り・デタラメだと強調した。
「先ず、警察の取り調べに付いて、日本は弁護士の立ち会いを認めて居ませんが、少なくとも先進国でコンな国はありません。韓国でも弁護士が立ち会って居ます。この点は、ゴーンの批判は正当です」
郷原氏は聊(いささ)かの力みも無く言った。
・・・日本の取り調べに弁護士が立ち会え無い事は知って居ましたが、先進国で日本だけなのですか。為らば、何故国会議員もマスメディアも批判し無いのだろう。それに弁護士からの批判も無いのでは無いですか。
「日本では警察・検察の遣る事は正しい、と云う事に為って居るのですよ。それに弁護士も弱いと云うか、圧倒的に数が足り無いのです」
そして、郷原氏は「被告が警察の言い分を認める迄保釈しないのも問題です」とも語った。
・・・それにしても、何故ゴーンは逃亡を図ったのですかね。
「2020年に(特別背任罪の)裁判が始まる事に為って居たのが21年以降に延期され、それ迄奥さんに会え無い。それに最高裁での決着迄10年程掛かりそうで、それ迄我慢出来ないと云う事でした」
・・・郷原さんは、実は東京地検特捜部のゴーン逮捕・起訴そのものが問題だと仰って居ますね。
「一般的に、経営トップが不正によって解任される時は、その不正が取締役会に報告され⇒解任が決議される訳ですが、ゴーンの場合は行き成り金融商品取引法違反容疑で逮捕されて、その後に取締役会で解任が決議されたのです。
ゴーンは、退職後に役員報酬額と同程度の報酬を受け取る事に為って居たと云う事ですが、これを実行するのはその時の取締役会で、ゴーンにはその権限は有りません。それに、その事が取締役会で定められて居たとすれば、当然、西川社長(当時)等の幹部は合意して居る訳です。
その西川氏がゴーン逮捕後にゴーンの不正に憤(いきどお)り、しかも西川氏の責任は問われ無いと云うのはどうにも納得が行きません。ゴーンが『日産のクーデター』だと云うのも理解出来ます」
そして、郷原氏はゴーンを有罪にするのは無理が有り過ぎると語った。と為ると日本の警察・検察の有り方、司法制度を改めて根本から考え直さざるを得無く為る。その為の意味のある事件だと言える。
※週刊朝日 2020年2月14日号 以上
日本弁護士連合会が憤激した 東京地検の捜索
〜東洋経済オンライン 2/5(水) 16:31配信〜
東京地検と斎藤次席検事
日本弁護士連合会は、1月29日に行われた捜索に付いて「違法である」と厳しく批判した。その談話は怒りに満ちて居た。
日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長
「検察官等は、無断で裏口から同(原文)法律事務所に立ち入った」
「再三の退去要請を無視して長時間に渉り滞留した」
「ドアの鍵を破壊し、事件記録等が置かれて居る弁護士等の執務室内をビデオ撮影する等した」
1月31日、日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長が東京地方検察庁の捜索を批判する異例の談話を発表した。談話は「1月29日、東京地方検察庁の検察官等が、刑事被疑事件に付いて、関連事件を担当した弁護士等の法律事務所の捜索を行った」と具体名を伏せて居るが、東京・麹町にある「法律事務所ヒロナカ」を指して居る事は明らかだ。
同事務所の代表の弘中惇一郎弁護士は日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の弁護団の1人。1月29日に東京地検が同事務所の家宅捜索を行った。
狙いはゴーン被告が使ったパソコン
ゴーン被告の国外逃亡に伴い、弘中弁護士は1月16日にゴーン被告の代理人を辞任して居る。だが、ゴーン被告が事務所内で使用して居たパソコンは未だ事務所内に在ると見られて居る。これはゴーン被告のものでは無く、法律事務所の所有物だからだ。
東京地検はゴーン被告が海外に逃亡して以降、弘中弁護士にパソコンの任意提出を求めて来た。海外逃亡の計画を記した記録があると見て居る為だ。しかし、弘中弁護士は「押収拒絶権」を行使し、その求めには応じず今回の捜索でもパソコンの提出を拒絶した。
この押収拒絶権とは刑事訴訟法に定められた権利だ。同法105条は、医師や弁護士等は「保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものに付いては、押収を拒む事が出来る」と定めて居る。菊地会長の談話では、
「押収拒絶権が行使され、立入りを拒まれて居るにも関わらず、検察官等が裏口から法律事務所に侵入し、要請を受けても退去せず法律事務所内のドアの鍵を破壊し、執務室内をビデオ撮影する等した事は、正当化の余地の無い違法行為である」
と断じて居る。法律事務所ヒロナカを捜索した翌日、東京地検の斎藤隆博次席検事は記者会見を行った。
斎藤次席検事は、ゴーン被告の逃亡を主導したと疑われて居るマイケル・テイラー被疑者(59歳・米国籍)の息子ピーター・テイラー被疑者(26歳・米国籍)が、法律事務所ヒロナカを2019年7月と8月に計4回訪問し、ゴーン氏と面会して居たと指摘。
「ピーター被疑者の来日目的は、逃亡の相談以外に考えられ無い」と、計画が法律事務所で話し合われたと言わんばかりだった。このテイラー親子は、ゴーン氏の逃亡を手助けした容疑で逮捕状が出て居る。
又「ゴーン被告と面会した人物の確認は一切行って居ない、と云う(事務所側の)説明だった」(斎藤次席検事)と弁護人の管理を暗に批判した。
保釈条件では、面会者の氏名と面会日時の記録は義務付けて居たが、ドンな人物かを確認する事を義務付けて居ない。だが、斎藤次席検事は「弁護団は『保釈中のゴーン被告を指導・監督する』と裁判所に約束して居た。その中には当然、面会者がドンな人物かを確認する責任が有った」と述べて居る。
弘中惇一郎弁護士
弘中弁護士は家宅捜索の有った1月29日、記者団に対して「事務所で逃亡を謀議した事を裏付ける証拠は無い。不愉快だ」と怒りを露わにした。
法律事務所の鍵を壊した事に付いて斎藤次席検事は、1月30日の会見で「弁護人に押収拒絶権が有る事は認識し、出来る限り尊重すると云う事で事務所に向かった。只、パソコンの中には拒絶権が及ば無いものが有る可能性が有るので捜索を行いたいと説明した。1時間以上も丁寧に説明した。それでもなお『ゴーン被告の使用したパソコンが置いてある部屋への入室を拒む』と云う事だったので、必要な処分として鍵を解錠した」と説明した。
結局パソコンは押収せず
又、検察が鍵を壊した事が違法では無い理由の1つとして刑事訴訟法111条を挙げた。ココには「差押状又は捜索状の執行に付いては、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をする事が出来る」と定めて居る。
最も、室内の鍵を壊したものの、目的とするパソコンは押収し無かった。「パソコンの中のデータの内、秘密と認められるものとそうで無いものとに切り分けて提出を求めたが『応じられ無い』と言われたのでパソコンの押収は控えた」(斎藤次席検事)
では、何を押収したのか。斎藤次席検事は面会記録を押収した事を認めた一方、それ以外に付いて「1個1個、細かくお答えする訳にはいか無い」とした。菊地会長の談話によれば「検察官等が押収に至った物は、弁護士等が捜索の始まる前に任意に呈示して居た書面等1袋のみ」である。
面会記録は、東京地方裁判所にその写しを弘中弁護士が定期的に提出して居たもの。家宅捜索をして迄押収する程なのかは疑問だが、斎藤次席検事は「裁判所から入手出来るが、それが正しいかどうか確認する必要があった。提出して居るもの以外の面会記録があるかも知れないので、それを確認したかった」と主張した。
菊地会長は「違法な令状執行に抗議すると共に、同様の行為を二度と繰り返す事の無い様求める」と談話を締め括って居る。2018年11月のカルロス・ゴーンの逮捕から密出国と云う事態に発展した今回の事件。前代未聞のケースとは云え、令状執行と刑事訴訟法111条を盾に、逃亡の証拠探しに強引な手法を使っても好い事には為らない。
日弁連は「刑事司法の公正さを著しく害するもの」として居り、東京地検は今回の捜索の正当性を改めて説明すべきだろう。
山田 雄一郎 東洋経済記者 以上
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「首相はもう、詰んでいる」立憲民主・福山幹事長が突く
「首相はもう、詰んでいる」 立憲民主・福山幹事長が突く
「秘孔」は桜を見る会の前夜祭だ!
〜〈AERA〉AERA dot. 2/5(水) 7:00配信〜
インタビューに答える福山哲郎・立憲民主党幹事長。「桜を見る会」の問題は、立憲主義を破壊し続けて来た安倍長期政権の醜態そのものだと批判する 2020年1月30日撮影 写真部・小黒冴夏
「桜を見る会」IRを巡る汚職事件、相次ぐ閣僚辞任・・・長期政権をどう追及するのか。AERA 2020年2月10日号では、野党第1党の大番頭である福山哲郎・立憲民主党幹事長に通常国会の戦略を聞いた。
・・・「桜を見る会」の問題への野党の追及は、通常国会でも続いて居ます。安倍首相の答弁をどう見て居ますか。
実は昨年も、私は同じ言葉を使って安倍首相を質しました。その言葉は「否認」です。ココで言う否認とは「不快な事実に直面した際に、圧倒的な証拠があるにも関わらず、それが真実だと認めず拒否する事」だと考えて居ます。
桜を見る会の疑惑に対する安倍首相の姿勢は否認そのもの。そして、コノ否認の姿勢は森友・加計疑惑の頃から悪い意味で一貫して居ます。通常国会が開く前、私は多くのメディアの方から「桜を見る会は追及されるのですか?」と質問を受けました。しかし、実際には追及も何も、ホボこの問題は「詰んで居る」と私は考えて居ます。
何故為らば、桜を見る会の問題は、既に明々白々だからです。予算が年々膨張して居るにも関わらず、その事実を隠し、毎年の予算は同額計上する等不適切な会計処理をした事。招待者名簿の扱いを含め、文書管理に違法な手続き・処理が行われ、不可解な保存期間の設定や招待者名簿をシュレッダーに掛けた事。
又、安倍首相が公的行事を私物化し、前夜祭における公職選挙法違反や買収罪の懸念・政治資金規正法違反の疑い等、安倍首相自身に違法行為の疑いが掛けられて居る事は、これ迄の報道を見ても十分に明らかです。国会で安倍首相は「真摯に対応する」と繰り返し述べて居ますが、それで納得して居る人は殆ど居ないのが現状ではないでしょうか。
・・・世論調査でも、およそ7割の国民が安倍首相の説明に納得して居ないと回答して居ます。
安倍首相が桜を見る会を私物化して、後援会の関係者や選挙区の有権者を呼んで、飲食を振る舞ったのではないか。多くの国民がそう思って居るし、私達も濃厚な疑いを抱いて居ます。この疑惑に対する挙証責任は安倍首相本人にあります。
首相が潔白を証明したいのであれば、証明して呉れれば云い。只、これ迄の答弁は証明に為って居ないと云うだけです。
私達は桜を見る会の本丸は、その前日に行われた「前夜祭」だと思って居ます。安倍首相の説明では、5千円の領収書をホテル側から参加者に渡したそうですが、未だに、何処を探しても、その領収書は現認されて居ません。私は代表質問の冒頭で安倍首相に対し、本当に領収書がある為らば、安倍事務所が相当数の領収書を後援会から回収して、国会に提出する様に求めました。簡単な事です。
この領収書は首相の潔白を証明するものですから。しかし、再調査はしないと安倍首相は明言。である為らば、我々も追及をし続けるしかありません。
・・・安倍首相は潔白の証明に為る前夜祭の明細に付いて、ホテル側の言葉を引いて「営業の秘密に関わる事から公開を前提とした資料提供に応じかねる」と弁明して居ます。
公開出来無いのであれば、国会の秘密会で遣れば好いんです。憲法57条で「出席議員の3分の2以上の多数で議決した時は、秘密会を開く事が出来る」とあります。これを使えば、明細書を公開する必要は無い。
民主党政権時、尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件の時、国家機密だった海上保安庁の動画を、秘密会で国会議員にだけ見せた事がありました。出来るんです。遣ろうと思えば。
これに加えて、安倍首相が「廃棄した」と繰り返して居る、桜を見る会の招待者名簿を包み隠さず開示すれば、直ぐにでも全容解明は可能と為り、この様な国会審議をする必要が無く為ります。潔白なのであればどれも簡単な事ではないでしょうか?
・・・与党やその支持者からは、国会で桜を見る会等の詰まら無い問題ばかり遣るなと云う声もあります。
私達も桜を見る会を殊更に遣りたい訳ではありません。しかし、議院内閣制の日本において、与党と内閣が一体化して居るからコソ、国会の行政監視機能として野党の果たす役割は重要です。野党が全容解明に全力を尽くさ無ければ、安倍政権下で破壊された日本の議会制民主主義や文書管理・国会の行政監視機能を取り戻す事は出来ません。
だからコソ、今の政権の在り方、そして国会の状態が異常である事を、国民の多くの皆さんに知って貰いたい。安倍政権の異常さを象徴的に顕在化したのが桜を見る会なんです。
政治のトップ、そして、官僚が平気で嘘の答弁をしたり、自分達に都合好く文書を改竄したりすれば国民は何を信じて云いのか分から無く為ります。ですから、この現状に対して有権者はモッと怒っても好いのではないでしょうか。
編集部・中原一歩 ※AERA 2020年2月10日号より抜粋 以上
安倍首相の野望を幻に終わらせた側近の一言
〜〈AERA〉AERA dot. 駒木明義 2016.12.20 〜
首脳会談の冒頭、握手を交わすロシアのプーチン大統領と安倍晋三首相。首相の地元で行われた初日の会談は、夕食を囲みながらも続き、計約5時間に渉った 12月15日 山口県長門市(c)朝日新聞社
故郷の山口県長門市にプーチン大統領を迎え「新しいアプローチ」で北方領土問題の突破口を開く・・・こんな安倍首相の野望は幻に終わった様だ。会談初日と為った12月15日の舞台は、天皇・皇后両陛下も宿泊されたと云う由緒ある長門市の温泉旅館「大谷山荘」だ。
だが期待が盛り上がる暇も無く、プーチン大統領に同行したロシア側要人から、日本の期待に冷や水を浴びせる様な身も蓋も無い発言が相次いだ。
ペスコフ大統領報道官は「北方四島の主権の問題は全く持ち出されて居ない。ロシアに主権がある事に疑問の余地は無い」と断言した。
ペスコフ氏はこの時点で、両首脳が通訳だけを介した2人だけの会談で何を話し合ったか、全てを知って居た訳では無いだろう。だが彼は、プーチン氏の側近で、大統領の意図を誤解が無い様にロシアメディアに発信するのが役割だ。「日本と領土問題は議論しない」と云うロシア側の姿勢がハッキリと伝わって来る発言だった。
一時は高まった期待
「今度コソ北方領土問題が動き出すのでは」日本でそんな期待が膨らんだのは、5月に安倍晋三首相がソチで行ったプーチン氏との首脳会談が切っ掛けだった。会談後、安倍首相は「停滞を打破する突破口を開く手応えを得られた。今迄の発想に囚われ無い新しいアプローチで交渉を進めて行く」と、高揚した様子で語った。
しかし、11月19日に異変が明らかに為る。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたペルーのリマ。プーチン氏との会談後、記者団の前に現れた安倍首相の表情は呆然として居る様に見えた。時折言葉を詰まらせながら「そう簡単な課題では無い」「一歩一歩進めて行く」と、繰り返したのだった。
首相の言葉「知ら無い」
この翌日、筆者は記者会見でプーチン氏に質問した。「大統領はドンなアプローチを新しいと考えるのか。貴方に取って古いアプローチとは何か」これに対してプーチン氏はニヤリと笑って「何が古いアプローチで何が新しいか、私は知ら無い」安倍首相の言う「新しいアプローチ」等意に介さ無いと云った風情だった。
12月7日、読売新聞と日本テレビのインタビューに応じたプーチン氏は「日本の友人達が、1956年に署名され、歯舞・色丹の2島引き渡しに付いて書かれて居る日ソ共同宣言の枠組みの中に留まって居るとは言え無い」と語った。安倍首相が依然として4島を求めて居り、それでは話し合いに応じられ無い・・・と云う考えを示唆して居ると言って好いだろう。
プーチン氏が態度を急に硬化させたのは明らかだ。その切っ掛けに為ったと見られるのが、11月上旬に訪ロした谷内正太郎・国家安全保障局長の発言だ。複数の関係者によると、ロシア側から、将来日本に歯舞・色丹を引き渡した場合「米軍が基地を置くか」と聞かれて「可能性はある」と答えたと云う。
これは、プーチン氏に取っては全く容認出来ない見解だ。ロシアが渡した領土に米軍が基地など置こうものなら、プーチン氏のメンツは丸潰れだ。
プーチン氏は大統領に就任直後、2000年9月に訪日した際、当時の森喜朗首相にも米軍基地が置かれる可能性に付いて尋ねて居る。それ程気に為る問題なのだ。ちなみに、この時森氏は「そんな事は絶対に無いよ」と答えて居た。
プーチン氏は12月16日の共同記者会見で日米安保条約に言及して、ロシア極東の海軍基地の能力に及ぼす影響を懸念して居ると云う考えを表明した。
安倍首相に取って今回首脳会談の唯一の「成果」らしきものは、北方領土での「共同経済活動」の実現に向けた協議を両国で始めると云うプーチン氏との合意だ。だが、ドチラの国の法律を適用するかを巡って、両国は議論の入り口で対立して居り前途は多難だ。
朝日新聞モスクワ支局長・駒木明義 ※AERA 2016年12月26日号 以上
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都知事戦の報道・解説
都知事戦の報道・解説
「五輪一色」報道が及ぼす危機感 2020年都知事選
今こそ問われる有権者の投票態度
〜知る!TOKYO 小川裕夫(フリーランスライター)2019年11月9日〜
2020年7月5日に実施される事と為った東京都知事選挙。都知事選には毎度「泡沫候補」と呼ばれるマイナーな候補者が登場します。そんな彼等と有権者の投票態度に付いてフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
選挙は後出しジャンケンが有利
東京都選挙管理委員会は、2020年の東京都知事選挙の投開票日を7月5日(日)にする事を発表しました。半年以上も前に、選挙日程が決定される事は異例です。肝心の都知事選への出馬を表明する立候補予定者は、今の処現れて居ません。
都民のみ為らず全国から注目が集まる都知事選ですから、選挙戦では活発な政策論争を期待したい処です。一票を投じる有権者は、立候補者の政策を吟味してから投票します。選挙とは、要するに立候補者が政策を競い合う勝負です・・・と言いたい処ですが、実際はそう為って居ません。
勿論、立候補者の政策を投票材料にして居る有権者は居ます。その一方で「イメージが好いから」とか「親しみが持てる」「テレビで見て、知って居るから」と云った理由で一票を投じる有権者も少なくありません。これ等の声は、選挙が知名度で争われて居る事を示唆して居る為、立候補者はそうした有名人票を取り込むべく選挙戦術を練って居ます。
その結果、選挙は情報戦も当落を左右する程重要なファクターに為って居るのです。例えば、選挙に出馬しようとする人は、告示日よりも前に記者会見を開いて出馬表明をするのが習わしに為って居ます。
出馬表明が早ければ、有権者はその人物が掲げる政策を見極める時間が増えます。しかし早く立候補を表明してしまうと、後から表明した人の話題にカキ消されてしまい、早くから出馬表明した候補者は選挙で埋没してしまうのです。ギリギリのタイミングで立候補すれば、投開票日迄世間の耳目を惹き付けられます。選挙は後出しジャンケンが有利と言われる所以(ゆえん)です。
そうした情報戦以前に選挙に出馬しても、選挙関連のニュースで取り上げて貰え無い候補者も居ます。政見放送や選挙公報は立候補者全員を平等に扱いますが、テレビの討論番組やニュース番組・新聞報道は違います。
2016年の都知事選は、都知事選史上最多の21人が立候補しました。この内、テレビ・新聞は3人の候補者を主要候補と呼び、他の18人との扱いには大きな差がありました。
泡沫候補が主張する政策にも注目を
一つの選挙に多くの候補者が出馬すると、個々の候補者を取り上げる時間や紙面が足り無く為ってしまいます。そうした事情から、報道機関は主要候補と泡沫候補を事前に選別。主要とされた候補者の政策や動向を詳細に報じる一方で、泡沫候補の政策や動向は「他にも、こんな方々が立候補して居ます」と云うナレーションと共に名前を伝えて済ませます。
又、商工会議所や青年会議所と云った諸団体が、告示日前に公開討論会を実施する事もありますが、そうした討論会にも泡沫候補が呼ばれる事はありません。時間の都合と云う理由から、報道機関が主要候補と泡沫候補を事前に選別する事は有権者の観点から見ても問題があります。有権者が18人の候補者の政策を知る事が出来無く為るからです。
有権者の中には、泡沫候補の政見を聞く事は時間の無駄と考える人も居るかも知れません。しかし、主要候補だから政策が素晴らしいと云う保証はありません。もしかしたら泡沫候補が主張する政策の方が自分の考えに近い場合だってあるのです。
実際、数々の選挙に立候補したマック赤坂さんは長らく泡沫候補として冷遇されました。2016年の都知事選でも泡沫候補として扱われて居ます。しかし、2019年の港区議会選挙で念願の当選。現在、マック赤坂さんは港区議として活躍中です。
同じく2016年の都知事選に泡沫候補として扱われたNHKから国民を守る党代表の立花孝志さんは、2019年の参院選で当選。晴れて国会議員に為って居ます。その後、参議院埼玉県選出議員補欠選挙に出馬する為辞職。
ドンな人物でもキラリと光る政策を持って居ます。それが、仮に大半の有権者には無関係な政策だったとしても、一部の有権者に取っては非常に有益な政策かも知れません。事前に報道機関がシャットアウトしてしまえば一部の有権者にも届きません。それは投票の選択肢を狭め、一票を投じる有権者に取って明らかにマイナスです。
泡沫候補の扱いを不当と感じて居る人達も居ます。フリーランスライターの畠山理仁さんは、泡沫候補に対して敬意を込めてインディーズ候補と呼びます。
長年、インディーズ候補の取材を続けた畠山さんは、2017年にインディーズ候補者達の選挙戦を描いた『黙殺 報じられない無頼系独立候補たちの戦い』(集英社)を出版。同作は第15回開高健ノンフィクション賞を受賞し、インディーズ候補の存在や活動にも光が当たりました。
報道機関から黙殺され勝ちなインディーズ候補者達の政策にもキチンと耳を傾け様と云う方針から、畠山さんは分け隔て無く立候補者全員に出演交渉し、インターネットで開票特番を生中継して居ます。
「平等に扱う」ルールが、報道の足枷(あしかせ)に
2016都知事選の投開票日も、畠山さんは「候補者と見よう!開票特番2.0」と云うインターネット番組を生中継しました。インディーズ候補者達は仕事を掛け持ちしながら選挙活動をして居る為、スケジュールの都合で出演が叶わ無い候補者も居ます。
しかし、畠山さんの番組では、普段は聞く事が出来ないインディーズ候補者達の生の声に接する事が出来るのです。報じられ無いインディーズ候補も有権者にマイナスですが、公職選挙法には有権者に取って不利益と思える様な決まりが幾つかあります。
公職選挙法や放送法等では、テレビや新聞と云ったメディアは立候補者を平等に扱う様に促して居ます。一見すると当たり前に思えますが「平等に扱う」と云うルールが、報道の足枷に為る事もあります。テレビや新聞は「平等に扱え無いなら、そもそも選挙の報道をしない」と云う姿勢を取る事があるからです。
テレビや新聞が選挙報道を控えれば、選挙に関する情報量はガクンと減ります。報道機関が選挙報道を控えても投票日は延期されません。判断材料を奪われた有権者は、手探りで投票し無ければ為ら無く為るのです。
2020年の都知事選は、目前に迫った東京五輪で世間は一色に為って居る事でしょう。盛り上がって居る最中に選挙戦に突入します。必然的に、テレビや新聞等では五輪の情報が溢れます。その分、都知事選の情報は減ります。
世紀のスポーツイベントである五輪の情報を伝える事も重要ですが、それ等に都知事選の情報が押し流されてしまう事は、都民の、延いては日本全体の損失にも繋がります。
「山本太郎氏が都知事選出馬」を警戒する
小池百合子氏&二階俊博氏の思惑
〜「週刊文春」編集部 2020/01/10 週刊文春 2020年1月16日号〜
何よりも「再選ファースト」 共同通信社
東京五輪イヤーの幕が開いたが、小池百合子東京都知事(67)が精力的だ。「最近の小池知事はドンな団体の会合にも必ず出席する。スケジュールがキツクても挨拶回りを欠かさ無い」(都政担当記者)視線の先は勿論、今年7月5日投開票の知事選。正に「再選ファースト」だ。
連合、創価学会等集票が見込める組織の要望は全て聞き入れる構え。その甲斐あってか、公明党の山口那津男代表は1月2日、新宿で行った街頭演説で知事選に触れ「都政が継続性をもって、都民第一で進んで行くようにし無ければ為ら無い」と強調、小池氏支持を滲ませた。
小池氏は自民党にも布石を打つ。昨年のクリスマスイブに、予てから昵懇(じつこん)の二階俊博幹事長を党本部に訪問。記者団から「二階幹事長からどう云う話があったのか」と問われ「東京として好く遣って呉れてるね、と励ましを頂いた」と披露。
一方の二階氏も常々「(小池氏に勝てる候補は)居ない。当たり前じゃないか」と漏らして居る。「ワザワザイブに会いに行く事で、蜜月関係を強調した」(政治部記者)との見方が専らだ。
丁度同じ頃、都内各地に自動音声の電話が鳴り響いた。「都知事には誰を選びますか」選択肢は小池氏・丸川珠代元環境相・「れいわ新選組」の山本太郎代表。小池氏と対決姿勢を取る自民党都連の一部には丸川氏擁立論が燻り、山本氏は都知事選に付いて「選択肢として排除しない」と色気を見せている。
山本氏の知事選出馬は「合理的」である理由
都連関係者が声を潜める。「実は、山本氏が6月にも知事選への電撃出馬を宣言するとの説が駆け巡った。それを受けて二階氏が仕掛けた調査だろう」仮に調査で小池氏がトップ為らば党が小池氏に乗るべきだと云う材料と為り、山本氏がトップ為らば「保守分裂の選挙では山本氏が漁夫の利を得るぞ」と丸川氏擁立論を牽制出来ると云う訳だ。
政治部デスクも「山本氏の知事選出馬は合理的だ」と語る。山本氏は最近、衆院選で立憲民主、国民民主、共産等との野党共闘路線に乗るかどうか悩んで居るが「衆院選で共闘すれば、山本氏とれいわの存在感が一気に失われる。山本氏自身がそれを好く分かっている」(野党幹部)
一方、立憲の枝野幸男代表は、昨夏の参院選で「野党のカリスマ」の座を山本氏に奪われ、ライバル心を隠さ無い。「山本氏が知事選の野党統一候補に為って呉れれば、山本氏も埋没せずに済み、枝野氏にも利がある」(前出・デスク)桜を見る会やカジノ疑惑で与野党の激突が予想される通常国会。その裏では、都知事選を巡る駆け引きも激しさを増しそうだ。
以上
2020年都知事選の投開票日が早くも決定
五輪開幕の影響は? 前回2016年から振り返る
〜アーバン ライフ メトロ URBAN LIFE METRO ULM 2019年11月06日〜
都知事選実施で、都内はテンヤワンヤに
東京都のリーダーである都知事の任期は4年です。途中で辞任する事が無ければ、選挙は4年に一度実施されます。都道府県知事の選挙は、任期満了を迎える日から起算して30日前以内に実施する事が公職選挙法で定められて居ます。現職・小池百合子都知事の任期満了日は2020年7月30日の為、都知事選は2020年6月30日〜7月29日の何処かで施行し無ければ為りません。
2020年は東京五輪の開催年で7月24日に開幕します。又、五輪開幕前の7月10日からは聖火ランナーが都内を走ります。東京都が五輪の準備に忙殺されて居る中、都知事選は実施されるのです。テンヤワンヤの騒ぎに為る事は、誰もが予測出来るでしょう。
その様な混乱を最小限に抑えるべく、東京都選挙管理委員会は2020年東京都知事選挙の投開票日を7月5日(日)にする方針を発表しました。この日程なら五輪との重複は少なく、投開票における会場・職員の確保と云った準備がスムーズに出来ます。なお半年以上も前に選挙日程が決定される事は異例で、それ程五輪の及ぼす影響力が大きい事を物語って居ます。
ソモソモ、2016年の都知事選の実施前から、2020年の都知事選と五輪の日程が重為る事が危惧されて居ました。当時、舛添要一都知事は都議会で激しい追及を受けて居ました。報道は「何時辞任するか」を焦点にして居ましたが、舛添都知事は「今辞任すると、4年後の都知事選が五輪と重複した日程に為ってしまう」事を危惧。もう少しだけ都知事を続けさせて貰いたいと云った趣旨の発言をして居ます。
又、舛添都知事が辞意を表明後、一早く都知事選の出馬会見を開いた小池百合子衆議院議員(当時)は、2020年の都知事選と五輪とが重なる事態を踏まえ、仮に自身が都知事に当選したら「任期途中で一旦辞任し、出直し選挙をする。それにより、都知事選の日程をズラす」と云う案を打ち明けて居ます。
現職知事が、任期途中で辞任し出直し選挙で当選した場合は、任期が4年間延長されません。詰まり、予定通り2020年の夏に都知事選が実施されるのです。
誰が東京オリパラの「顔」と為るのか
出馬時に小池百合子衆議院議員が提案した出直し選挙案は全くの無意味です。それ処か混乱を大きくし、2回も選挙をすると云う無駄な費用を生じさせるだけでした。そうした指摘が為された事もあり、小池百合子衆議院議員は出直し選挙のプランを取り下げて居ます。
告示日前から混乱が見えて居た2016年の都知事選は、都知事選史上最多の21人が立候補。個々の候補者は特色ある政策を夫々掲げて居り、次の5つが主な争点とされました。
1.政治とカネの問題(前任の猪瀬・舛添がカネで辞任に追い込まれた為)
2.築地市場の豊洲移転を巡る問題
3.保育所の充実など、待機児童を解消させる政策
4.首都直下型地震への備え
5.東京五輪における費用負担の見直し
17日間の選挙戦の結果、小池百合子候補が291万票余りを獲得し東京都知事に当選しました。2016年の都知事選は、事前から4年後の2020年の都知事選が混乱する事が確実視されて居ました。そうした選挙でありながら、2016年の都知事選の投票率は前回の都知事選から約13%も上昇。都民の関心が高い事を示しました。
現職の小池都知事も含めて、2020年の都知事選に出馬を表明して居る候補予定者は居ません。次の都知事は、東京オリンピックの閉会式とパラリンピックの開幕式の顔に為ります。一体誰に為るのでしょうか?
勿論、それだけが都知事選の判断材料ではありません。都政の課題は多岐に渡ります。投開票日迄半年以上もありますが、今から有権者は「2024年、東京をどんな都市にしたいのか?」「4年間、どんな人が都知事にふさわしいのか?」を考えて置く必要があります。
以上
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2020年02月04日
コロナショック直撃の中国 経済学者が語る危険水域
コロナショック直撃の中国 経済学者が語る危険水域
〜JBpress 2/4(火) 15:30配信〜
2月3日 上海証券取引所のロビーにある株価ボードの前に立つ防護服姿の男性 写真APアフロ
それは、中国の証券用語で言う「断崖式下跌」(断崖絶壁から飛び降りる様な下落)だった。1月23日から長い春節休みに入って居たが、11日振りに2月3日に再開するや、7.72%も下落し、上海総合株価指数は2746ポイントで終えた。2月4日も2685ポイントで始まった。
カンボジア国内での新型コロナウイルス感染の現状に付いて語るフン・セン首相 武漢周辺に居る自国民に対し「帰国するな武漢に残れ」と訴える媚中振り
そんな中、中国の或る経済学者に話を聞いた。以下は、一問一答である。
・・・昨日(2月3日)の株価暴落をどう見ているか?
3日は、上海と深圳の株式市場を合わせると、3209銘柄がストップ安と為った。これは全体の83%に当たる。前回、暴落したのは、人民元を強引に切り下げた直後の2015年8月24日だった。この時は、2187銘柄、全体の79%がストップ安と為った。その為、今回の暴落は5年前以上に深刻な事態と言える。
だがその反面、光明が無い訳でも無い。前回の暴落時は、足ったの16銘柄しか株価が上がら無かった。だが2月3日は160銘柄も上昇したのだ。これは主に医薬保健業界の株だ。マスクや種々の薬が不足して居り、それらに関係した銘柄は今後共上昇を続けるだろう。
事態鎮静化しても、世界の人々が武漢や中国に行きたいと思うか
・・・現在中国では、経済活動の基本と為るヒト・モノ・カネの動きが、事実上ストップして居る。これは中国経済に、致命的な影響を与えるのではないか。
余り悲観的に考えたく無いが、この状況が今後とも続けば中国経済は危険水域に陥るだろう。新型コロナウイルスで、先ず犠牲に為ったのは体力の無い高齢者だった。同様に、中国経済でも先ず遣られるのは、体力の無い中小零細企業だ。工場もオフィスも動か無い。それでも工員や社員の給料と工場やオフィスの家賃を支払わねば為ら無い。この状態が続けば、中小零細企業の倒産問題が深刻化するだろう。
・・・2003年3月頃に感染のピークを迎えたSARS(重症急性呼吸器症候群)の時は、国家統計局の統計を確認すると、同年第1四半期の成長率の伸びが9.9%で、第2四半期が6.7%迄落ち込んだ。だが第3四半期9.6%、第4四半期9.9%とV字回復し、通年では9.1%の成長を確保して居る。今回は2003年と比較してどう見るか。
当時のことは好く覚えているが、2001年末にWTO(世界貿易機関)への加盟を果たし、2008年の北京オリンピックへ向けて高度経済成長の道を直(ひた)走って居た時期だった。SARS騒動は言わば、青春期のホロ苦い挫折の様なもので、若い力で直ぐに回復した。
だが、今は違う。2018年・2019年と、明らかに2年連続で景気は下降傾向に有り、そこへアメリカとの貿易摩擦が『雪上加霜』(雪の上に霜が加わる・・・泣きっ面にハチ)の様に襲った。それが要約1月15日、アメリカと一時休戦に為ったかと思いきや、今度は『雪上加大霜』(雪の上に大きな霜が加わる)の状況と為った。
更に、2003年の時との比較で言うなら、産業構造が違う。2003年のGDPに占める第一次産業の割合は3.1%、第二次産業が57.9%、第三次産業が39.0%だった。処が2019年は、第一次産業が3.1⇒3.8%、第二次産業が57.9⇒36.8%、第三次産業が39.0⇒59.4%だ。詰まり第二次産業と第三次産業の割合が丁度入れ替わって居る。
この意味する処は大きい。第二次産業は製造業であり、これは極論すれば工場の稼働だ。即ち、工員が戻って来て工場が再稼働すれば経済はV字回復出来たのだ。処が第三次産業はサービス業だ。幾らこの先、新型コロナウイルスが静まったとしても、今年、世界の人が武漢や中国に旅行に行きたいと思うだろうか。
製造業にしても、今後は工場をリスクの高い中国から別の国へ移す企業が増えるかも知れ無い。外資系企業だけで無く中国の民営企業もだ。そう為ると、中国を中心としたサプライチェーン体制は崩れてしまう。
昨年の春節期間に59億元あった映画興行収入が今年はゼロ
・・・第三次産業の状況を、もう少し説明して欲しい。又、今年第1四半期の経済成長率をどう予測するか?
例えば、映画産業を見てみよう。昨年の春節期間の映画館の興行収入は59億元(1元≒15.5円 以下同)で、今年は70億元を超えると予想されて居た。だが結果はゼロだ。観光産業は、昨年の春節期間、5139億元の収入を上げた。今年の春節期間は、5500億元を超えると見積もられて居たが、結果は殆どゼロだ。
サービス産業の稼ぎ時は、春節と国慶節(10月1日)の大型連休だ。今年は素手に半分を失ってしまった事に為る。更に、消費の落ち込みも甚だしい。消費が増えたのは、マスクとスマホゲーム(自宅に引きこもっている為)位のものだろう。SARSの時を参考に、消費が5%落ち込んだとすると、経済損失はザッと5000億元だ。
これ等を総合すると、第1四半期の経済損失は1兆元を軽く超える事に為る。昨年第1四半期のGDPは21.34兆元で、今年第1四半期は6%成長して22.62兆元と云うのが、政府の見積もりだった。詰まり成長分は1.28兆元だ。
経済損失分と、予測して居た経済成長分を差し引きすると、今年第1四半期は、好くてトントン・・・即ち0%成長で、もしかしたらマイナス成長に為るかも知れない。
・・・中国経済に与える影響で、他に気に為る点はあるか?
気に為るのは企業の債務の多さだ。2018年と2019年、債務過多に陥り返済が滞る民営企業が続出した。新型コロナウイルスの一件で、今年は更に増える見込みで、私の試算によれば民営企業全体の12.5%に及ぶ。詰まり、民営企業の8社に1社は倒産予備軍だと云う事だ。中国経済は、大変な爆弾を抱えて居る事に為る。
・・・中国経済に希望は無いのか?
希望と云うか、期待を抱いて居るのは新たな経済の胎動だ。2003年のSARSにおける最大の『勝者』はアリババだった。SARSを機に、中国人はインターネットで買い物する様に為ったからだ。
同様に、新型コロナウイルスを機に、若者達が新たなビジネスを興して呉れる事に期待して居る。『乱世出英雄』(乱世に英雄が出る)と云うものだ。
・・・以上である。春節の連休が終わりを迎える2月2日日曜日の午後3時、中国人民銀行(中央銀行)は、足った2行から為る声明を発表した。
〈ウイルスの防止を維持・保護する特殊な時期に、銀行システムの流動性を合理的に充足させ、通貨市場を平穏に運行させる為、2020年3月3日中国人民銀行は、1兆2000億元の資金をリバースレポの公開市場操作を通じて放出する。これによって銀行システムの全体的な流動性は、昨年同時期よりも9000億元増える〉
財政部のホームページを見ても、2月3日0時現在で、新型コロナウイルスへの対策として計470億元の資金を緊急出動するとして居る。
「中国人には最後には国家統計局が付いて居て呉れる」
だが、各都市がゴーストタウンと化して居る中国の経済を、V字回復させる事が出来るのだろうか。私は、数年前から中国でシバシバ耳にするアネクドート(政治小咄)を思い起こす。
「中国経済に関して、我々中国人は恐れる事等無い。財政部や中国人民銀行・国家発展改革委員会等がサジを投げたとしても、最後には国家統計局が付いて居て呉れるのだから」
近藤 大介 以上
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2020年東京都知事選 小池知事の「再選可能性」
2020年東京都知事選 小池知事の「再選可能性」
〜米重克洋 報道研究者 JX通信社・代表取締役 2/4(火) 20:40〜
写真 つのだよしお アフロ
今年7月、東京オリンピック直前に行われる東京都知事選挙。小池百合子東京都知事は未だ再選出馬を表明して居ないが、各党は小池知事出馬を前提に「勝てる対抗馬」の擁立を模索して居る。そこで、小池知事が再選される可能性はどの程度なのか、弊社(JX通信社)調査をもとに分析してみたい。
無党派と自民支持層に支えられる小池知事
昨年10月下旬の小池知事の支持率(最新の弊社調査)を国政政党の支持層別に見ると、無党派層と自民党支持層の夫々で過半に達して居る事が分かる。無党派層は全体の37%、自民党支持層は33%だから、この2つの層が占める割合は合計7割に達する。その2大ボリュームゾーンの夫々で過半から支持を得て居る事が、小池知事の「強さ」を象徴して居る。
実は、こうした状況は前回の2016年都知事選から「希望の党」結党後の一時期を除いて変わら無い一貫した傾向だ。2016年都知事選では、自民党は岩手県知事や総務相を歴任した増田寛也氏(現日本郵政社長)を擁立したが、増田氏の得票は179万票に留まり、小池知事の291万票に遠く及ば無かった。
この時、増田氏は自民党支持層の4割前後と無党派層の2割前後しか固められ無かった事が当時の各社出口調査から明らかに為って居る。
増田氏は地方自治の専門家であり、政官界でコソ好く知られた存在だが、東京の一般有権者に広く知られた存在であるとは言い難い。そうした人物に、仮に「自民党」の金看板を着けて戦っても、取り纏められるのは自民党支持層の半分未満に限られる・・・これが、2016年都知事選の結果から得られる教訓だ。
加えて、戦後公選都知事で再選を目指して出馬した現職が落選した事は1度も無い。更に、2期目の選挙に挑む現職は、例外無く自身の最高得票を獲得して来た。これが都知事選の歴史だ。こうした状況コソが、自民党東京都連の候補者擁立を極端に難しくして居る。では、自民都連が「勝てる候補者」を立てられる可能性はあるのだろうか。
小池知事に「勝てる候補者」の2条件
先に触れた様に、小池知事は無党派層と自民党支持層夫々で過半の支持を獲得して居る。従って、政党支持層の内訳をベースに考えた場合、自民党東京都連の候補者には「自民党支持層を小池知事よりも有利な配分で獲得出来る事」且つ「無党派層でも小池知事以上に広い支持を得られること」の2点が求められる。
前者に必要なのは、元々自民党議員であり且つ閣僚経験者もある小池知事を上回る「自民党色」であり、後者に必要なのは小池知事と同等以上に高い知名度だ。
この2条件を何れも満たし得る候補者は東京・中央政界何れにも殆ど居ない。加えて、安倍首相や二階幹事長が小池知事の再選を容認ないし支持する発言が伝わって居る事にも留意が必要だ。自民党都連が立てた候補者に、肝心の自民党支持層が着いて行か無い「名分」が増えるからだ。
更に、国政では自民党と連立を組む公明党は、都議会では「小池知事の与党」として振る舞って居る。山口代表も年始に「都政の継続性を活かす」と発言し、小池知事再選に期待感を示す様な発言をして居る。
「知事与党」の立場を変えて、自民党都連の候補者を支援する兆しは全く無い。こうした環境からも、自民党都連の候補者が小池知事に勝てる可能性は前回2016年以上に低く為って居る事が分かる。
知事選の結果は来年の都議選にも影響?
それでも自民党都連が自ら候補擁立に漕ぎ着けて、小池知事と一戦交える事に為ったとする。そこから又1年と経たずに今度は東京都議選が行われる。前回2017年の都議選で小池知事率いた都民ファーストの会の都議が大量当選したが、彼等が再選を掛けた選挙に臨む訳だ。結果、知事選の構図を引きずって「小池対反小池」の構図が又も再現する可能性が高い。
前回都議選で都議会自民党は改選第3党に転落する惨敗と為ったが、知事選で敗北する事で、その後の都議選でも再び議席を伸ばせ無い選挙に為るリスクもある。二階幹事長はそれを懸念して居るから都知事選で「勝つことが大事」と発言して居るのではないだろうか。
勝てる候補者の擁立において、厳しい現実に直面して居るのは野党も同じだ。国政野党は小池知事の対抗馬と為る候補を「野党共闘」で擁立する方針だと伝えられて居る。しかし、立憲民主党と国民民主党の支持基盤である連合東京は、小池知事支持に傾いて居ると伝えられる。
更に、上記でも紹介した弊社・JX通信社の調査(昨年10月下旬時点)で、国政政党としての立憲民主党を支持するとした層の約6割は小池知事を支持して居る事も分かって居る。野党各党は、ボリュームが大きいとは言え無い党支持層を小池知事に更に分断されて居るのだ。
こうした状況を踏まえると、小池知事は舛添前知事級の致命的スキャンダルないし健康問題に見舞われ無い限り、2016年と同等以上の得票で再選される可能性が高い。
米重克洋 報道研究者 JX通信社 代表取締役 1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手掛ける。
米重克洋の最近の記事
・五輪マラソン札幌開催案 都の費用負担に反対70.4%=JX通信社 東京都内世論調査 2019/10/28(月) 21:36
・参院選 東京・大阪選挙区の終盤情勢=JX通信社情勢調査 2019/7/16(火) 18:05
・参院選 注目複数区の序盤情勢 東京・神奈川・大阪・兵庫=JX通信社情勢調査 2019/7/10(水) 17:03
・参院選 大阪選挙区の公示前情勢分析=JX通信社 大阪府内情勢調査 2019/7/3(水) 21:19
以上
【管理人のひとこと】
東京都知事選挙に関する記事を探したのだが、これと云うものを探せ無かった。今国会は「桜を見る・・・」「IR汚職」「その他安倍首相の責任」と「新型肺炎」以外は、全てが安倍氏個人への不信・疑惑で溢れ返り、補正予算を通したら「どうなる?」に向けて進んでおり、目前に迫る都知事選やオリンピック開催を忘れさせてしまう感が強い。
新たな中国発祥の「新型肺炎」の話題で一時は逃れても、モリカケに蓋をした疑惑は消えず次々と新たな疑惑の発生で落ち着く先がソロソロ見えて来そうだ。未曽有の福島原発事故の処理・世界に拡散する未曽有の新型コロナ肺炎・・・と政権は同じ様な目に見えぬ恐怖と戦う羽目に為った。
安倍政権としては、これを乗り切る事で政局を維持出来るか・・・立憲の枝野代表は4月解散・選挙と仮定し準備すると宣言。安部氏が少しでも持ち直したら、ソレーツと突き進む可能性も高く「憲法改正を国民に問う」を掲げて不毛な選挙が始まるだろう。
国民の多くは全く「憲法改正」には関心が低く、又もや低い関心下での選挙と為り・・・それも安倍氏の目論見だが・・・低得票下での「ダラダラ選挙」は約束されてしまった様だ。
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2020年02月03日
「ポツンと一軒家」視聴率は18・8% 裏番組の大河ドラマ「麒麟がくる」上回る
「ポツンと一軒家」視聴率は18・8%
裏番組の大河ドラマ「麒麟がくる」上回る
〜スポーツ報知 2/3(月) 10:28配信〜
2日放送のテレビ朝日系「ポツンと一軒家」(日曜・後7時58分)の平均視聴率が関東地区で18・8%だったことが3日、分かった。
前回の1月19日放送は俳優・長谷川博己(42)主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(日曜・後8時)初回が19・1%を記録した裏で、16・1%をマーク。今回は2・7ポイント大幅アップし「麒麟がくる」第3話の16・1%を上回った。
又、関西地区は前回の18・6%から2・2ポイントアップし、20・8%と大台を突破した。なお、関西では昨年8月18日に番組最高の23・4%を記録している。
タレントの所ジョージ(64)が司会、予備校講師でタレントの林修(54)がパネリストを務め、日本各地の人里離れた場所にポツンと存在する一軒家を紹介する番組。日テレ系「世界の果て迄イッテQ!」等人気番組が揃う日曜夜の激戦区に2018年10月から参戦した。 (数字はビデオリサーチ調べ)
報知新聞社 以上
長谷川博己主演のNHK大河「麒麟がくる」第3話視聴率は16・1%
前回から1・8ポイント減
〜スポーツ報知 2/3(月) 10:10配信〜
長谷川博己氏
2日に放送された俳優・長谷川博己(42)主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(日曜・後8時)第3話の平均視聴率が16・1%だった事が3日、分かった。初回は19・1%と為り、2016年「真田丸」の19・9%以来と為る初回19%台。第2話は17・9%。今回は前回から1・8ポイントダウンも高視聴率を維持した。
今作は本能寺の変を起こした明智光秀(長谷川)を通して描かれる戦国絵巻。史料が殆ど残って居ない20代の青年期も描き、斎藤道三や織田信長に仕え、最後は本能寺の変で謀反を果たす光秀の前半生に光を当て、足利義昭、今川義元、細川藤孝、松永久秀等癖者達の激動の群像劇が描かれる。
斎藤道三の娘・帰蝶(後の濃姫)役で出演予定だった沢尻エリカ被告(33)が昨年11月に麻薬取締法違反で逮捕され降板。代役に川口春奈(24)が起用され、当初の予定から2週間遅れの放送開始と為った。
第3話のあらすじは「美濃の国」。夫を亡くした帰蝶(川口春奈)は明智荘を訪ね、光秀(長谷川)や駒(門脇麦)等と束の間の気の置け無い一時を過ごし笑顔を取り戻す。一方、道三(本木雅弘)は、より操り易い土岐頼芸(尾美としのり)を美濃の新しい守護として擁立しようとする。内心、道三の事を嫌う頼芸は、道三の長男・高政(伊藤英明)に自分が実の父親であるかの様に仄めかす。(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)
報知新聞社 以上
「麒麟がくる」第3話は16・1% 好調維持も“日8戦争”激化?
「ポツンと一軒家」が逆襲
〜スポニチアネックス 2/3(月) 9:17配信〜
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主演を務める長谷川博己氏
俳優の長谷川博己(42)が主演を務めるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)の第3話が2日に放送され、平均視聴率は16・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが3日、分かった。第2話(1月26日)の17・9%から1・8ポイント減と為ったが好調をキープ。大河ドラマ初回から3週連続の16%超えは2016年「真田丸」(19・9%、20・1%、18・3%)以来4年振りと為った。
ライバルの裏番組、テレビ朝日「ポツンと一軒家」(日曜後7・58)は数字をアップし、逆襲。“日8戦争”が激化しそうだ。
この日の「ポツンと一軒家」は18・8%。「麒麟がくる」初回(1月19日、19・1%)の16・1%から2・7ポイント増(1月26日は放送なし)。「麒麟がくる」との“初戦”に敗れた借りを返した。
2日の日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」(日曜後7・58)も16・2%と好調。昨年は「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」が大河ドラマ歴代ワーストを更新したが、今年は大河を含めた“日8バトル”が展開されるか注目される。
大河ドラマ59作目。第29作「太平記」(1991年)を手掛けた池端俊策氏(74)のオリジナル脚本で、智将・明智光秀を大河初の主役に据え、その謎めいた半生にスポットを当てる。物語は1540年代、まだ多くの英傑たちが「英傑以前」だった時代から始まり、夫々の誕生を丹念に描く。
第3話は「美濃の国」夫を亡くした帰蝶(川口春奈)は明智荘を訪ね、光秀(長谷川)や駒(門脇麦)らと束の間の気の置け無い一時を過ごし笑顔を取り戻す。一方、道三(本木雅弘)は、より操り易い土岐頼芸(尾美としのり)を美濃の新しい守護として擁立しようとする。内心、道三の事を嫌う頼芸は、道三の長男・高政(伊藤英明)に自分が実の父親であるかの様に仄めかす…と云う展開だった。
表情一つ変えずに「操り人形に毒は盛りませぬ」と言い放ち、視聴者を恐怖に陥れた俳優・本木雅弘(54)の2週連続の“怪演”がインターネット上で話題を呼んだ。
以上
「ポツンと一軒家」が圧倒的な支持を集める理由
視聴率20%突破!「イッテQ」や大河を凌駕
〜木村 隆志 コラムニスト 人間関係コンサルタント テレビ解説者 2019/06/12 16:00〜
テレビ朝日系のバラエティー番組「ポツンと一軒家」に出演する林修さん(左)と所ジョージさん=2018年10月3日(写真 日刊スポーツ新聞社)
6月9日に放送された「ポツンと一軒家」(朝日放送・テレビ朝日系)の視聴率が20.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。録画視聴やネット視聴が増えて「視聴率が取れない」と言われる中、20%を超えたことに驚きの声が上がって居ます。
これまで日曜夜のテレビ番組をリードして来た「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)は15.0%、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(NHK)は6.7%。更に9日は、久保建英選手の日本代表デビューが待望された「サッカー・キリンチャレンジカップ2019」(TBS系)が13.8%を記録した上での20%超えと云う事実が、その価値を高めて居ます。
20%超の高視聴率は「やらせ疑惑や出演者の大ケガで失速気味の『イッテQ!』や、同日に大河ドラマ最低視聴率を記録した『いだてん』の視聴者が流れて居るだけでは無いか?」と云う声がありますが、決してそれだけでは無く時代にフィットする魅力を兼ね備えて居るのです。
孤独と高齢層の生き方は世間の関心事
番組のテーマは「日本全国の人里離れた場所にポツンと存在する一軒家」ですが、実際の見処と為って居るのは、そこに住む人の人生ドラマ。「どう云う人が、ドンな理由で、ドンな暮らしをして来たのか?」が視聴者の関心を集めて居ます。
9日の放送では、宮崎県の一軒家が2軒紹介されました。1つ目のエピソードは飛鳥時代から1400年の歴史を持つ神社に嫁いだ中武五月さん(74歳)と、息子で71代目の中武祝亮さん(50歳)の親子2人暮らし。22歳で嫁入りしてから、17年前に道路が出来るまでは1時間を掛けて獣道を上り下りしながら子育てをして居た母と、山奥の立地が原因で2度も離婚してしまった息子。
旅館の板場で働いて居たが、山奥の神社を継いで呉れた上に、自分の世話をして呉れる息子への感謝で涙を流す母と、仕事に精進しつつ後継者問題に悩む息子の姿が感動を誘いました。
2つ目のエピソードは、骨折で3カ月入院した事を切っ掛けに、脳梗塞の後遺症が残る夫を介護施設に入れて一人暮らしを始めた中武ヒデ子さん(81歳)。スタッフの取材依頼に「恥ずかしい」と言いながらも満面の笑みを浮かべ、5分で部屋を片付けて服を着替え「犬のおもちゃが話し相手」と語りました。
更に番組は2日後、1年振りに一時帰宅する夫と過ごすシーンを後追い取材。「どうっちゅうこと無い」と言いながら幸せそうに笑い合う姿にホッコリとした気持ちにさせられました。
ドチラのエピソードも、自らの人生観を絡めて考えさせられる上に、夫婦や親子で話し合えるもの。東洋経済オンラインでも「孤独死」「老後や介護」等がテーマの記事がアクセスランキングの上位に入る様に、孤独や高齢層の生き方は、当事者のみならず幅広い層に取っての関心事です。
「老後資金に2000万円」と云う金融庁の試算が物議を醸し、16日(日)にNHKが「どう分かち合う 夫婦の老後」と云うドキュメンタリー特番を放送する事からも、長く為る一方の老後に対する注目が高まって居るのは明らか。詰まり「ポツンと一軒家」は、ソンな現在の視聴者感情を汲み取った番組だから支持されて居るのでしょう。
「幸せとは何か?」に対する答え
見逃せ無いのは、現代の視聴者を癒やす様な番組の世界観。9日の放送でも、山奥での暮らし、結婚と跡継ぎ、老老介護等の難しさでシビアなムードを漂わせつつも、住人の「それでも幸せ」と言う笑顔や、取材スタッフに対する優しさに癒やされる視聴者が多かった様です。
取材スタッフから挨拶された中武五月さんは「よう来なさったですね……」と感極まった表情で言葉を返し、家の中へ招いて呉れました。さらに、息子の中武祝亮さんは「ご飯、食べて行ってください。何も無いけど。カメラマンさんも食べてください」と食事を勧めて呉れたのです。
一方の中武ヒデ子さんは、1年前からの一人暮らしにも「寂しく無いです。我が家ですから」嫁いで52年が過ぎた今思うのは「ここへ来て好かった。何の不自由も無いですから」と明るく話して居ました。夫が病に倒れて棚田が荒れ果て、飼って居た牛を手放し、自身も電動車椅子が欠かせ無い生活に為っても「前向きに。これで好いんだって。『天才バカボン』のお父さんと一緒で」と笑って居たのです。
その他のシーンでも、スタッフが目的地のポツンと一軒家を探す道中、快く道を教えて呉れる人が多く、中には「私達でも迷う位だから」と言って車で先導して呉れる人も居ました。
一部の人々から見たら不安と不満だらけの不便な暮らしも、そこに生きる人々の穏やかな表情が「幸せとは何か?」と云う問いに対する何よりの答えに見えます。その意味では「田舎暮らしだからコソ育まれる人間の優しさや温かさを視聴者が分けて貰う」と云う番組なのかも知れません。
日々、テレビやネットで殺伐とした事件・事故のニュースに触れる事の多い現代人は、ポツンと一軒家に住む人を見て「自分達が当たり前と思って居る事の素晴らしさ」を感じて居るのではないでしょうか。特に元気で明るく、苦労を苦労として感じさせ無いお年寄り達は、私達が忘れ掛けている古き好き日本人の姿に見えるのです。
スタッフの謙虚な取材スタンスに好感
前述した視聴者を癒やす様な世界観を支えて居るのが、現場の取材スタッフ達。同番組の取材は、地図や道路さえ無い家を目指す上に、折角一軒家に辿り着いても、空き家だったり取材を断られたり等「成果ゼロ」に終わるリスクが高く困難を極めます。
そんな過酷極まり無い仕事であるにも関わらず、スタッフ達は謙虚な取材スタンスを徹底。田舎暮らしの人々が話し易く、視聴者も見易いムードを作って居るのです。
現在の視聴者は、タレントの一寸した上から目線にも気付いてしまう程目が肥えて居るもの。「出たとこ勝負のドキュメンタリーである為、タレントをロケに出し難い」と云う事情こそありますが、スタッフが取材する事で庶民同士の触れ合いと為り、温かいムードが生まれて居るのです。
もしタレントが「ポツンと一軒家」のロケをしたら・・・と想像してみましょう。中には「こんな処に家なんて無いよ」「エッ? こんな道を行くの?」「危ないから辞め様!」等の演出がかったグチを零す人も居るのではないでしょうか。又、芸人の場合、笑いを欲しがる余り、住民に対して多少の失礼なコメントが口を突いて出るかも知れません。
その点、「ポツンと一軒家」のスタッフは、地域で生きる人々へのリスペクトがベースにあり「お邪魔させて頂けませんか?」と云う姿勢が画面から滲み出て居ます。多くの人々がテレビに抱いて居るであろう、傲慢さを感じ無い処も人気の理由と為って居るのでしょう。
上から目線が少しでも表れるとアウト。持ち上げ過ぎても小バカにして居る様でアウト。程好いサジ加減が必要な番組であり、スタッフのバランス感覚が鍵を握って居るのです。
常に視聴者目線のカメラワーク
「ポツンと一軒家」が人気を集めて居る理由として、もう1つ挙げて置きたいのが、エンタメ性の高いドキュメントであること。実際、家を探す道中、住人へのインタビュー、屋内の様子等のカメラワークは全て視聴者目線であり「僕(私)が山奥の一軒家を訪れて居る」と感じる演出を施して居ます。
9日の放送では、最初にスタッフが辿り着いた中武五月さんの家は、目指して居る一軒家ではありませんでした。しかし「ここも十分、ポツンと一軒家だから」と急きょ取材を依頼。中武五月さんの取材を終えると、本来の目的地だった中武ヒデ子さんの家を探し出して取材し、2軒分の放送をしたのです。
元々同番組は「本当に家が有るのか?」と云う辺境地を冒険する様なエンタメ性が魅力の1つでした。「麓での聞き込みから、獣道や断崖絶壁の道を進み、ヤッと辿り着いた」と云う厳しい過程を経ることで「そこに住んで居るのはドンな人ナンだろう?」と云う興味を高めて行く構成の番組なのです。
そんな一連の流れは、視聴者に「足を使った地道な努力である上に、ウソが無さそう」と感じさせるもの。放送作家による創作や台本では無く、テレビ画面からドキュメントが持つ本物の力を感じて居るのでしょう。
常にライバル番組として挙げられる「イッテQ!」もドキュメント要素が高い冒険バラエティーですが、こちらは芸人達のキャラクターや演出をベースにした構成。笑いの手数が多い反面、ヤラセ問題が発生した背景もあって「キャラ重視」「演出過多」と感じる人が居るのも事実です。
只「ポツンと一軒家」はドキュメントを重視したバラエティーで「イッテQ!」はバラエティーを重視したドキュメントと云う違いがあるだけで「ドチラが優れて居る」と云う差はありません。多様性が必要なテレビ業界に取っては「タイプの異なる2つの番組が同じ時間帯に放送され、視聴者に選択肢を提供出来ている」と云う望ましい状況と言えるのです。
視聴者に取っての太陽と言える番組
この処、高齢者自身の事故や事件、或は高齢者施設での殺人事件等が相次いで報じられました。高齢者を巡る報道がダークなものに偏り勝ちな中「ポツンと一軒家」の存在は希望の光にも見えます。高齢者の社会参加や活躍が求められて居る背景もあるだけに、同番組での生き生きとした姿は1つのモデルに為るのではないでしょうか。
振り返れば2010年代は、民放各局が「イッテQ!」と大河ドラマに対抗すべく、様々な新番組を仕掛けて来ましたが「全く歯が立たずに打ち切り」と云う顚末を繰り返して来ました。その点、世帯視聴率と云う1つの数値に過ぎませんが、両番組を上回ったのが「ポツンと一軒家」だった事が示唆に富んでいるのです。
「思う存分笑わせる(イッテQ!)」や「壮大な物語(大河ドラマ)」に対する「考えさせて癒やす(ポツンと一軒家)」と云う図式は、正に北風と太陽。少なくとも現時点での視聴者は、太陽の様な番組を望んで居る人が多いのでしょう。
一部で「ポツンと一軒家が尽きるまでの命」「焼畑農業の様なもので先は無い」と同番組を揶揄する声がありますが、毎週2人ずつ年間50週放送したとしても100人に過ぎず、今後数年間は心配無い様な気がします。
取材の労力はさて置き「スタッフが行う国内ロケのみ」「スタジオのタレントも4人程度」のローコストと云う長所もあり、暫らくは日曜夜の看板番組として放送され続けるでしょう。
以上
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「桜」質疑をいち早く受け止めたのは ツイッターとデジタル記事だった しんぶん赤旗日曜版・山本豊彦編集長との対談を振り返って(第3回)
「桜」質疑を一早く受け止めたのは ツイッターとデジタル記事だった
しんぶん赤旗日曜版・山本豊彦編集長との対談を振り返って(第3回)
〜HARBOR BUSINESS Online 2/3(月) 8:33配信〜
法政大学キャリアデザイン学部教授 上西充子
「しんぶん赤旗」日曜版・山本豊彦編集長との対談振り返り最終回!
「桜を見る会」に付いての昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版スクープに関して、山本豊彦編集長と筆者が1月6日に行った国会パブリックビューイングの対談を振り返る連載。最終回の今回は、昨年11月8日の田村智子議員の質疑を切っ掛けとして、今日の様に「桜」問題が大きく取り上げられる様に為って行った、その当初の経緯を検証したい。
山本編集長の受けとめとしては、田村智子議員の質疑に対して、直ぐに反応したのは大手紙の記者では無く、ツイッターでありソコから反響が広がって行ったと云う。実際に新聞社の動きを確認すると、紙面での本格展開は11月12日以降であったのに対し、毎日新聞デジタルは11月9日に詳しい記事を出して居た。そしてそれは、ツイッターの反応が促したものだった。
赤旗日曜版のスクープを追い掛け無かった大手紙
前回紹介した様に「しんぶん赤旗」日曜版・山本豊彦編集長に1月6日に伺ったお話では「桜を見る会」に付いての昨年10月13日の日曜版スクープは「渾身のスクープ」であったのにも関わらず、声を掛けても協力して追い掛けるメディアが無く、非常にガックリ来たと云う事だった。
●山本:実はソレはですね、ウチの新聞が出て直ぐは、アンマリ官邸だとか云うのは、危機感を持って無かったんですね。
●上西:10月13日の段階では。
●山本:そうです。ナンでかってと云うと、その後、色んな人に、「是非一緒に遣ろうよ」って私も言ったんですけれど、ナカナカ大手紙も乗って来なくて、何処も取り上げ無い。
●上西:他の新聞が。だから、そのヘンが不思議と云うか、或る社が取り上げたものを、他の社が後追いをするのってナンか、遣っちゃいけ無いって云うか。遣るもんじゃ無いって云う様な雰囲気がありますよね。
●山本:マアでも、そんな事も無くて、今は結構、非常に大事な問題だったら、私達もヤルし、他の新聞もヤルんですけれども、今回はね、私達はこう、苦労して、それ為りに渾身のスクープとして出したんですけれど、全く相手にされず、非常にガックリ来ましてですね。だから官邸なんかも、アンマリ各紙もヤンないからと、アンマリ危機感が無かったんですよね。
実際にそうであったのか確認して置こう。第2回の記事で短く触れた様に、昨年5月9日に宮本徹議員が「桜を見る会」に付いて内閣府に資料請求を行い、5月13日と21日に国会質疑を行った切っ掛けは、同年4月16日の東京新聞「こちら特報部」の記事だった。
4月16日のその東京新聞の記事の見出しは「『桜を見る会』何のためか…」「与党の推薦者多く◆経費は税金 近年増加」「ネトウヨのアイドル? いっぱい」と云うもの。各界で功績や功労があった人達を労うと云う本来の趣旨を離れて、安倍首相が「お友だち」を呼んで居る事、税金で賄うその費用が大幅に増加して居る事、招待者の氏名が公表されて居ないこと等に触れて居た。
「内閣府によると、関係省庁が各界各層から推薦する以外に、与党の推薦者も居り、人数は与党絡みの方が多いと云う」と云う記述もあり、当時は内閣府も口を閉ざしては居なかった様だ。与党議員の推薦者が居る事にも触れられて居る。但し、この記事では、後援会関係者が招待されて居ると云う点には触れられて居ない。
この昨年4月16日の東京新聞の記事から10月13日の日曜版スクープを経て11月8日の田村智子議員の質疑に至るまでに「桜を見る会」に付いて朝日新聞と毎日新聞で記事が出て居たかを調べてみると、毎日新聞は2本、朝日新聞は4本の記事がヒットした(朝日新聞に付いては「聞蔵U」毎日新聞に付いては「毎索」のデータベースを使用。本社の朝刊と夕刊を対象とした)
毎日新聞の昨年7月3日の夕刊「特集ワイド」は「首相インスタに登場 TOKIO、吉本新喜劇…… 気に為る権力者と芸能人の距離」と云う3001文字の記事。若年層に向けたイメージ戦略が芸能人の大量招待の背景にあると云う趣旨の記事だ。与党議員の推薦枠や後援会関係者の招待には触れて居ない。
毎日新聞の10月11日朝刊は「志位・共産委員長:桜を見る会『税金私物化の疑い』」と云う158文字の短い記事。日本共産党の志位和夫委員長が、10月10日の記者会見で「桜を見る会」に安倍晋三首相の地元後援会関係者が多数招待されて居ると指摘した事を伝えている。この記者会見は恐らく、10月13日の日曜版スクープと呼応したものだろう。
しかし、毎日新聞はこの記者会見の様子を短く伝えたのみで、日曜版スクープの内容を後追いする事はしなかった。
朝日新聞も見て置こう。昨年7月3日朝刊「若者狙う、首相のSNS術 芸能人と自撮り/人気のハッシュタグ」は、自民党の若者取り込み戦略を取り上げた記事で「桜を見る会」の写真が使われている。本文には「桜を見る会」への言及は無い。
10月16日の朝刊「『桜を見る会、意義ある』答弁書閣議決定 予算要求3倍、5700万円に」は425文字の記事。2020年度予算の概算要求が例年の予算の3倍以上と為った事を受けた初鹿明博議員の質問主意書に対して、政府が答弁書を閣議決定したことを報じたものだ。
第2回の記事で紹介した様に「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長は、この概算要求の額を見て「益々、これは可笑しい」と思い、本格的な取材をそこから始めたとの事だったが、朝日新聞は山本編集長と同様に問題意識を持ったのであろう初鹿議員の質問主意書に対する答弁書の閣議決定を報じるに留まった。
10月24日朝刊には「桜を見る会、巨額の予算に驚き」との声欄の投書。10月24日の夕刊の短いコラム「素粒子」には「首相が催す『桜を見る会』への公金支出に批判続々」との記述があるが、その公金支出は若者の取り込み戦略と云う文脈を超えては報じられて居なかった。
毎日新聞と朝日新聞の紙面を見る限りでは「今回はね、私達はこう、苦労して、それ為りに渾身のスクープとして出したんですけれど、全く相手にされず、非常にガックリ来まして」と云う山本編集長の落胆振りは、確かに実態に即して居た様だ。
田村議員の質疑 新聞紙面では小さな扱い
更に、昨年11月8日に参議院予算委員会で田村智子議員が同年10月13日の赤旗日曜版のスクープを元に、与党議員や安倍事務所による後援会関係者の「桜を見る会」への大量招待を取り上げた後でも、この質疑そのものの大手紙の紙面での扱いは小さなものだった。赤旗日曜版の山本編集長は、1月6日の筆者との対談の中で、
「ソモソモ、元々ウチが10月13日に(スクープを)ヤッた時も、全然、何処も追っ掛けず、大手紙は追っ掛けて呉れず、田村議員が(11月8日の質疑を)遣って、これは可成り話題に為るかなと思うと、余りならず・・・」と振り返って居た。ココでも毎日新聞と朝日新聞の朝刊・夕刊記事を確認して置こう。
毎日新聞は昨年11月9日の朝刊に「安倍首相:桜を見る会『後援会優遇』指摘 各界功労者を招待 首相『関与していない』」との542文字の記事を掲載して居る。大学入学共通テストに関する写真入りの記事の脇で、目立た無い扱いだ。
「『後援会優遇』指摘」と田村智子議員の指摘の核心が見出しに為って居るが、同時に「各界功労者を招待 首相『関与していない』」も見出しと為って居り、野党の指摘を首相が否定したと読める扱いだ。
「首相は『内閣官房と内閣府が最終的に招待者の取りマトメをして居る。私は主催者として挨拶や接遇は行うが、取り纏めには関与していない』と強調」と、安倍首相の言い分がそのママ記されている。
実際の質疑を見ていれば、安倍事務所が後援会関係者の参加を募っていたことが証言によって指摘され、それに対して安倍首相が真面に反論出来なかったことが分かると思うのだが、その点には触れられて居ない。
安倍首相がこう答弁した、という報じ方は、政治部の記事としてはスタンダードなスタイルなのだろうが、この遣り方だと、政権側の「言ったもん勝ち」を許してしまう。「関与していない」「指示していない」「全く問題ない」等と安倍首相や菅官房長官らが言ったら、それをそのママ報じれば好いのか、と云う問題がここにある。毎日新聞紙面に「桜を見る会」が次に登場するのは、その三日後の11月12日に為ってからのことだ。
朝日新聞の田村質疑への反応も同様に小さなものだった。昨年11月9日の朝刊の記事「『親睦に利用』、野党が批判 首相主催『桜を見る会』」は、454文字の記事。矢張り、民間英語試験問題が大きく取り上げられた下の小さな扱いだ。
安倍首相の地元事務所から参加案内が届けられたとの田村議員の指摘に対して安倍首相が「個人に関する情報で回答を差し控える」と繰り返した事が報じられて居り、毎日新聞の記事とは受ける印象が違う。しかし、記事としては目立た無い。次に朝日新聞が「桜を見る会」を紙面記事に取り上げるのは、毎日新聞と同じく、三日後の11月12日だ。
詰まり、田村智子議員の質疑は、それだけでは紙面で大きく取り上げるに値するニュースだとは、毎日新聞も朝日新聞も判断しなかったと云う事だ。田村智子議員の質疑が有ったのは、11月8日の金曜日。週明けの11月11日(月)の菅官房長官の記者会見では、午前も午後も「桜を見る会」に付いての質問が相次いだと云う。(毎日新聞「桜を見る会」取材班による新刊書『汚れた桜』による)
詰まり大手紙の政治部の記者達は、田村議員の質疑そのものをニュースとして大きく取り上げるのでは無く、その質疑で取り上げられた論点を菅官房長官の記者会見で問う事にしたのだろう。それは慎重で堅実な手法だったのかも知れないが、菅官房長官は、何も問題が無いかの様な受け答えを続けて居た。
この11月11日に日本共産党を含む野党が「桜を見る会」追及チームを結成。(後に「追及本部」に格上げ)翌11月12日より、追及チームによる野党合同ヒアリングが始まる。その翌日の11月13日には菅官房長官が突然、2020年の「桜を見る会」の中止を発表。この頃から、紙面記事は増えて行った。
しかし後述する様に、毎日新聞のデジタル記事配信に特化した組織である統合デジタル取材センターは、紙面の対応よりも早く、11月9日(土)の夜には田村議員の質疑を詳しく紹介したデジタル記事を配信して居た。
大手紙の「反省の弁」
何故大手紙は「桜を見る会」を後援会行事として利用して来た安倍首相の行ないに問題意識を持て無かったのだろうか。赤旗日曜版が昨年10月13日にスクープを打っても反応せず、田村智子議員の質疑に付いても、そのものとしては大きく取り上げ無かったのは何故だろうか。
「桜を見る会」に付いて、論点を追及して行けば行く程問題が広がって行った後で、東京新聞、毎日新聞、朝日新聞には夫々「反省の弁」が掲載された。何が書かれて居たか見て置こう。
東京新聞は上述の通り、昨年4月16日の段階で「こちら特報部」で「桜を見る会」の支出と参加者の増加を問題視し、内閣府に取材も行って与党の推薦者が多い事まで掴んで居た。しかし、それを続報で深める事が無かった。その点に付いて、昨年12月19日の朝刊の「桜を見る会 疑惑 忘れてはならぬ」と云うコラム(「特別報道部 編集局 南端日誌」・特報部長・田原牧)には、この様な率直な言葉が記されて居る。
この話は4月16日に特報部が取り上げ、それを読んで居た宮本徹議員(共産)等が追及を始めた。処が、私を初め特報部員達は臨時国会で騒動に為るまで、その記事に付いて忘れ掛けて居たのである。
お恥ずかしい限りだが、少人数でアラユル問題を追い掛けて居ると云う楽屋事情をお察し願いたい。只4月のその日、担当デスクが数あるニュースの中からこのテーマを選んだ事には理由がある。それはその催しに現政権の腐臭の源を感じたからだ。
東京新聞「こちら特報部」には、赤旗日曜版の山本編集長と同様の問題意識があった。しかし、追及を深める体制が無かった。或は、その様な体制を整え無かった。赤旗日曜版は若手記者も含めて本格的に追及する体制を整えて10月13日のスクープに至った。
毎日新聞はどうか。昨年12月14日に行われた「開かれた新聞委員会」の様子を伝える1月4日朝刊記事(その1・その2)では、高塚保政治部長がこう発言して居る。
参院選後の臨時国会を迎えるに当たり内閣改造が行われましたが、2閣僚の辞任、文部科学相の『身の丈発言』に伴う大学入試での英語の民間試験導入延期等長期政権に緩みが出て居る中で『桜を見る会』の問題が噴出しました。
11月8日の参院予算委員会での共産党議員の質問で火が点いたのですが、この質疑に付いては翌日の朝刊記事でその面白さを伝え切れませんでした。
朝日新聞も見て置こう。1月8日の「(取材考記)共産・田村議員の『桜を見る会』追及 違和感見逃すな、取材の基礎 小林豪」では、政治部の小林豪氏が田村智子議員へのインタビューを振り返りながら、こう記して居る。
インタビューは質問から約10日後。田村氏は「会そのものの私物化を判り易く描く事に集中した」と述べた。印象的だったのが「調べてみたら『後援会祭り』に為って居た事が一番の驚きだった」との言葉だ。
「桜を見る会」は、それ迄も予算や出席者の増加が報道で度々話題に為って居た。招待された芸能人の画像がSNS上にアップされる会の有り様に私も違和感を抱いて居たが、公的行事の「私物化」と云う処迄思いが至ら無かった。田村氏は「マスコミ関係者でも『予算委を見て異常だったと気付かされた。感覚が麻痺して居た』と云う人も居た」と述べた。私も、そんな記者の一人だった。
「感覚が麻痺して居た」政治部の小林氏は自分もそんな記者の一人だったと語っている。毎日新聞の高塚保政治部長の言葉は短いので詳しい事は判らないが、政治部の記者とデスクの感覚が鋭敏であれば、田村智子議員の質疑を伝える段階で大きく扱う事は出来た筈だ。
「少人数でアラユル問題を追い掛けている」と云う東京新聞「こちら特報部」とは異なり、毎日新聞や朝日新聞の政治部は、正に政治の問題を日々追い掛けている部署だから、問題意識を持てば深く掘り下げる事は出来た筈だ。しかし、問題意識の面でも追及の面でも、赤旗日曜版に大きく出遅れる事と為り、赤旗日曜版の記事にも反応し無かった。
赤旗日曜版の山本編集長は、第2回の記事にも紹介した様に、大手紙の政治部の記者に付いてこう語っていた。
前、田中角栄元首相の金脈問題が出た時に、この問題も結構、私達の先輩の赤旗記者とか、あと週刊誌なんかが発掘して問題に為ったんですけど、その時に、特に政治部の記者なんですけど、大手紙の「マア、こんな事はもう知ってるよ」と。「角栄さんが、カネに汚い事は」って言ったんですけど、ヤッパリそう云う感覚って云うのは、未だ残ってるのかなと。
多分、安倍さんナンかに付いても「安倍さんがそれって私物化して居るのはマァ知っているよ」と、マアそりゃ、皆さん前夜祭だとか或は「桜を見る会」自身も行って居るので、只ヤッパリそこで、その私物化って云うのが、安倍政権の手法のひとつの本質、森友・加計、これだけじゃ無くて、例えば憲法なんかを見ても、歴代自民党政権でさえ集団的自衛権は行使出来ないと言って居たのを、閣議決定だけでそれが出来る様にすると。
マァ、これは或る意味で言うと、憲法の私物化ですから、ヤッパリ私物化って云うのが、安倍政権のひとつの本質だって云う処を、キチンと見抜くかどうかってのは、非常に大きいんじゃないかと云う風に思います。
政治部の記者が、情報を取る為に権力者に近付き、その中で感覚を麻痺させて行く。その危険性が、此処で語られて居る様に思える。
ツイッターの反応がデジタル記事を生み出した
大手紙が紙面では田村議員の質疑を小さな扱いでしか取り上げ無かったのに比べ、質疑の当日から大きな反応を示したのはツイッターだった。
そしてそのツイッターの動きを、毎日新聞のデジタル記事配信部門である統合デジタル取材センターが捕らえ、詳しいデジタル記事を一早く11月9日の段階で配信した。そしてその記事が又ツイッターで取り上げられて行く、と云う経過を辿った。
前述の毎日新聞「開かれた新聞委員会」(昨年12月14日開催)で、統合デジタル取材センターの齊藤信宏センター長はこう語って居る。
問題の質疑に付いてはツイッターで11月8日当日の夜から騒ぎに為って居ました。ネット上でコレだけ話題に為って居るのでデジタル毎日で取り上げた方が好いと判断し、アップされた動画を見る等して、9日の土曜日夜に記事(「税金の私物化では」と批判あふれる「桜を見る会」 何が問題か 国会質疑で分かったこと)をアップしました。
それが反響を呼んで週明け以降に問題がドンドン大きく為って行きました。特徴的なのはツイッターから始まった事、そして我々も背中を押される様に取材を進めて行きました。
その様子は、統合デジタル取材センターの記者達がマトメた書籍『汚れた桜』(毎日新聞出版・2月1日発売)に詳しく記されて居る。
11月9日(土)の朝に統合デジタル取材センター(以下「統デジ」と略記)の齊藤信宏センター長が何時もの習慣でツイッターを覗くと、タイムラインには田村議員の質疑の動画と共に怒りのツイートが溢れて居り、「これは直ぐに反応した方が好い話だ」と直感したのだと云う。
その朝の内に統デジの部員間で齊藤センター長の問題意識が共有され、日下部聡デスクが江畑佳明記者に田村議員の質疑を振り返る記事を提案。同日の夜7時28分に江畑記者のデジタル記事「『税金の私物化では』と批判あふれる『桜を見る会』 何が問題か 国会質疑で分かったこと」が配信された。
この統デジの記事は、前述の政治部の記者による紙面記事に比べて格段に詳しく田村議員の質疑の内容を紹介して居る。紙面のスペースに制約され無いデジタル記事ならではの強みが生かされて居る。
遣り取りの論点が詳しく書いてある為、実際の質疑を見て居なくても、田村智子議員の根拠を示しながらの指摘に安倍首相が根拠を以て反論出来て居ないことが好くわかる内容だ。又、添えられた写真も「桜を見る会」の私物化を象徴する様な印象的なものだった。
このデジタル記事が、更にツイッターで反響を呼び、ツイッター上で「桜を見る会」への関心が急速に広がって行った。統デジの齊藤センター長は、筆者のツイートへの引用リプライの形で、1月4日にこうツイートしている。
「#桜を見る会 をめぐる #ツイッター と #デジタル毎日 のコラボは、私達メディアで仕事をする人間から見ても驚きの連続でした。新しいメディアの有り方を考えるヒントに為るのでは、と感じています」
上述の『汚れた桜』によれば、11月11日(月)の午前中の統デジの部会で、江畑佳明・大場伸也・吉井理記の3名の記者からなる毎日新聞「桜を見る会」取材班が発足したと云う。大手紙の政治部の記者達が菅官房長官に「桜を見る会」への質疑を始めた、その段階で、統デジは既に詳しい記事を配信し終えて居り、追及を深める為の取材班を結成して居た。
なお『汚れた桜』によれば、11月9日夜のデジタル記事を書いた江畑記者は「桜を見る会」そのものに付いても、テレビか新聞で遣って居た様な気がする、と意った程度のオボロ気な記憶しか無かったと云う。その江畑記者が同日の朝に記事の執筆を任されてからどう行動したかが興味深い。
江畑記者は先ず、首相官邸のホームページから昨年4月13日の「桜を見る会」の動画を確認して居る。上機嫌な様子で挨拶し、桜に因んだ句を披露する安倍首相の様子を見て、江畑記者は、平安時代に摂関政治を展開し栄華を極めた藤原道長のこの歌を思い出したと云う。
♪”この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば”
その上で江畑記者は、11月8日の田村智子議員の質疑を動画で確認して居る。田村議員の質疑の前に、先ずは「桜を見る会」そのものの様子を確認して居た処が記者らしい。そして田村議員の質疑を見て「これは大変な話だ……」と一人唸ったと云う。
「桜を見る会」についてオボロ気な記憶しか無かった江畑記者が実態を知って驚いたこと、それは赤旗日曜版の山本編集長が自民党議員の元に昨年9月末に取材に行って「えっ、そんな事遣ってんですか」と驚いたと云う話(第2回記事参照)を思い起こさせる。江畑記者も山本編集長も、知ら無かったからコソ実態を驚きをもって受け止めて、大きく取り上げるべき問題だと気付いたのだろう。
記者を動かしたツイッターの反応
ツイッターの反響が記者を動かした、この様な展開は、赤旗日曜版の山本編集長も新しい動きだと対談の中で語って居た。
●山本:ドチラかと云うとツイッターと云う市民の声が後押しをして(毎日新聞の)デジタルが書いて、それで、今、表に在る様に、ヤッパリツイッターが話題に為ったと云う事で、ワードショーが遣り、その間には野党が共同でヤルと云う下支えがあって、その上で、ヤッと大手紙が動くと。今迄の報道の遣り方と、可成り違う展開をして行った。
ではツイッター上では、どう云う動きがあったのだろうか。私は11月8日の田村智子議員の質疑をリアルタイムでインターネット中継で見て居た訳では無く、その時間帯にツイッターも見て居なかった為、リアルタイムの動きは判らないが、当日の夕方から私のタイムラインにも続々と田村議員の質疑の様子が伝わって来た。最初にに私が質疑を捕らえたのは、同日午後6時31分の小池晃議員のこのツイートだ。
ツイッターには2分10秒までの映像を乗せる事が出来る。国会質疑を好く紹介して呉れて居る水さん(@xzjps)は、田村議員の質疑の最後の場面を切り出して、その内容を紹介するツイートを午後5時31分に行って居た。それを小池議員が引用リツイートで紹介したものだ。それより前の午後5時9分には、元朝日新聞記者の冨永格氏が質疑の内容を要約して紹介して居た。
午後6時27分からは、田村智子議員の公式ツイッターが、国会答弁で言及した萩生田文部科学大臣のブログ等の出典にリンクを貼りながら、その日の質疑の内容を4つのツイートで紹介(1,2,3,4)自らの質疑全体のYouTube映像へのリンクも貼って居た。
筆者は田村智子議員の上記のツイートを読んだ後で、イメルダ夫人の靴のコレクションに関する記事をツイートして居る。安倍首相による「桜を見る会」の私物化が、フィリピンのイメルダ・マルコス元大統領夫人の振る舞いを思い起こさせた為だ。
この他にも、筆者のツイッターのタイムラインでも、この田村議員の質疑への言及が続いた。その様なツイッターの反応が、前述の通り、毎日新聞統合デジタル取材センターの齊藤センター長の目に留まり、江畑記者による11月9日のデジタル記事の配信へと繋がって行った。「しんぶん赤旗」日曜版の山本編集長は1月6日にこうも語っている。
●山本:田村さんの質問がある時に、ツイッターで非常に話題に為った。そこは或る意味じゃ、本当に国民って云うのは健全って云うか、ヤッパリそれが逆に今、こうマスコミを動かして居ると云う事は、非常にこう、希望がある事じゃあないかなと云う風に思ってます。
マスコミが取り上げるのを待たずに、国会審議を見て居た人達がツイッターで発信する。或は国会議員が自らツイッターで発信する。それを見て、重要な質疑が行われた事を知った人達が、自らのコメントを加えながらツイッターでそれを拡散する。
その動きがマスコミを動かした。国民の健全な問題意識が、何が重要なニュースであるかをマスコミに示したと言える。
私達国会パブリックビューイングも又、ツイッターの反応を見て、この田村智子議員の質疑を字幕付きで公開する事を11月9日の朝に決めて居る。統デジの齊藤センター長らがデジタル記事の執筆を決めたのと同じ頃だ。そして、統デジの記事が出た翌日の11月10日の朝に、国会パブリックビューイングは字幕付きで田村智子議員の質疑の全体をYouTube映像で紹介した。
デジタルの記事に 更にツイッターが反応
11月9日の毎日新聞デジタルの記事は、同日朝刊の政治面の記事と比べてタップリと字数を費やして、田村議員の質疑を流れに沿って論点整理したものだった。
デジタルだからコソ十分な字数を使って深掘りした記事が書ける、その様なデジタル記事の強みを生かすべく、毎日新聞が2017年4月に新設した部署が統合デジタル取材センターだ。この統デジの齊藤信宏センター長に、筆者は2019年の夏に取材を行っている。〈参照:【HBO!】メディア不信と新聞離れの時代に、鋭い記事目立つ毎日新聞の「挑戦」 〉
この11月9日の統デジによる記事がネット上で広がる過程で「桜を見る会」の問題は更に広く認知されて行く事に為る。ここで注目すべきは、このデジタル記事を受け取り拡散する過程においても、ツイッターの利用者は単なる情報の受け手では無かったと云う点だ。
例えば、歌人の岸原さやさんの、このツイートを目にした方は居られるだろうか。江畑記者が「桜を見る会」の映像を見て藤原道長の和歌を思い起こしながら記事を書いた様に、その記事を読んだ岸原さんも又道長の和歌を思い起こし、それを本歌取りした和歌を披露したのだ。
♪”この世をばわが世とぞ思ふ満開の桜の会を私物化すれば”
「我が世の春」を謳歌して居るかの様な安倍首相の写真の印象が、この記事を引用リツイートする際に添えられた和歌によって強化される。そう遣って新たな意味付けが加えられて、更に記事が広がる。ツイッターの反応とデジタル記事が相互に作用しながら話題を増幅させて行く・・・その過程の一端をココに見る事が出来る。
年が明けても国民は「桜を見る会」の問題を忘れず、メディアの追及も続き、予算委員会では「桜を見る会」を巡る質疑で安倍首相が無理な弁明を重ねる姿がNHKの中継で流れるに至っている。そしてその様子が、更に映像を伴って、コメントを伴ってツイッターで拡散されて行く。
この過程は、予算委員会を通して更に展開して行くだろうか。筆者ら国会パブリックビューイングは、1月30日の参議院予算委員会における山添拓議員(日本共産党)の質疑を中心に「桜を見る会」の名簿問題に焦点を当てた街頭上映を2月3日に新宿で行う。山添議員もゲストに迎え、自らの質疑を解説頂く予定だ。/span>
◆国会パブリックビューイング
「桜を見る会」名簿は公開対象だった ―山添拓議員と振り返る「桜」名簿問題―
2020年2月3日(月)19時より、新宿西口地下広場 解説:上西充子
ゲスト解説:山添拓参議院議員
ツイッター、デジタル記事、そして国会パブリックビューイング。既存のメディアが深掘りするのを待たずに、新しいメディアが、新しい切り口で、問題を深掘りして見せる。今はその過程にある。
取材・文 上西充子 図版 国会パブリックビューイング
【上西充子】うえにしみつこTwitter ID:@mu0283 法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)は好評発売中。最新刊『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)は現在全国書店などにて予約受付中
ハーバー・ビジネス・オンライン 以上
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「ゴジラ」と「自衛隊」は親密な関係? やられ続けた60年 そこには戦略と成長も
「ゴジラ」と「自衛隊」は親密な関係?
やられ続けた60年 そこには戦略と成長も
〜マグミクス 2/3(月) 7:10配信〜
1954年公開 初代『ゴジラ』(東宝DVD名作セレクション)
1954年「保安隊」として初協力 ゴジラとの関係始まる
「ゴジラ」シリーズは、言わずと知れた怪獣映画の大名作で、1954年に第1作が公開されてから、東宝版、アニメ版、ハリウッド版を併せて36作が上映されて居ます。これ等の作品は同じ「ゴジラ」をテーマにして居るものの、幾つかの作品を除き、ストーリーや世界観に連続性が無い事が特徴です。
ゴジラは或る時は「悪の権化」であり、又或る時は「人間の味方」であり、登場人物や世界設定も作品毎に大きく異なります。そんな中、或る意味レギュラーの様に毎回登場し「やられ役」を演じて居るのが「自衛隊」です。
東宝版の多くの作品において、自衛隊は全面的或は一部で協力し、数多くの「装備品」を破壊されて居るのです。或る意味、マイナスイメージにも為り兼ねない出演の数々ですが、自衛隊は何故映画に協力して居るのでしょうか。
それは自衛隊が「先ずは広く知って貰う」事を広報の基本として居るからです。『ゴジラ』第1作の公開は1954(昭和29)年11月3日。自衛隊の発足は同年の7月1日です。
詰まり、製作側から協力依頼を受けた時、自衛隊は発足の前後でバタバタした時期に有った筈です。しかしそれでも、アメリカ軍から供与されたばかりの戦車やトラックの走る姿を映し、自衛隊の存在をアピールしました。作品クレジットには「自衛隊」の名称が間に合わ無かったのか「協力 保安隊」と記されて居ます。
『ゴジラ』第1作は、観客動員数900万人を超える大ヒットを記録。ネットは愚かテレビの普及もマダマダの時代、これだけの人に一瞬とは云え、自衛隊の車両を見せる事が出来た広告効果は大きかったのではないでしょうか。以後、自衛隊は、大なり小なりゴジラと手を組んで行く事に為ります。
2016年公開 劇中での「自衛隊」の活躍も注目集めた『シン・ゴジラ』 (C)2016 TOHO CO. LTD.
60年以上ゴジラと歩み続け「やられ役」から脱却へ
しかし、現在「昭和シリーズ」等と呼ばれて居る第15作頃までは、自衛隊の協力も少し薄目です。これは、ゴジラ第1作が「反戦・反核」を強く訴える大人向けの作品だったのに対し、ドンドンと子供向けの怪獣映画にシフトして行った事も要因の一つでしょう。
子供に取ってゴジラはヒーローです。その引き立て役として自衛隊が使われる事も多く為り「やられ役」のイメージが付き纏う様に為りました。それでも自衛隊は協力を続けて居ます。
当時は高度成長期で、自衛隊入隊希望者は非常に少なかったと云います。「悪さばっかりしてると自衛隊に入れちまうぞ!」等と云う暴言も有った時代です。公に広告は出し難かった自衛隊の責めてもの宣伝だったのかも知れません。
その様相に変化が訪れたのは、ゴジラ映画が低迷し10年のブランクを抜けた後の「平成シリーズ」2000年以降の「ミレニアムシリーズ」と呼ばれる頃の事です。この頃に為ると、映画自体も子供向けの要素は少なく為り、自衛隊は作品によってはストーリーに大きく組み込まれて行く様に為ります。
大きな転機と為ったのは2002年に公開された第26作目『ゴジラ×メカゴジラ』でしょう。この作品では自衛隊が全面協力して居り、実機・実車を多用した迫力ある映像が特徴の作品と為って居ます。
また主人公は、自衛隊の装備であるメカゴジラ(3式機龍)のオペレーターと云う設定であり、此処に「ゴジラVS自衛隊」と云う構図がメインと為ります。「やられ役」だった自衛隊が、ゴジラと対等の扱いに為った瞬間です。
そして、自衛隊のゴジラへの協力は2016年の第29作目『シン・ゴジラ』で結実します。公開当初、自衛隊関係者や軍事評論家等は何度も同じ質問をされたと云います。「ネエ、アノ自衛隊の対ゴジラ運用は正しいの?」そして、その答えは「Yes」
『シン・ゴジラ』劇中にも登場した、陸上自衛隊の装備のひとつ 10式戦車(画像 陸上自衛隊)
キャッチコピーと為った「現実対虚構」の「現実」の部分を「自衛隊」は見事に演じ切ったのです。実際演じたのは役者さんですが・・・。
品川でゴジラと対峙したヘリコプターのOH-1とAH-1Sが民間人を発見し攻撃を中止するシーン。多摩川の河川敷に全ての火力を集中させた「タバ作戦」そして、劇終盤の一大決戦と為る「ヤシオリ作戦」に臨む隊員達の顔と指揮官の訓示・・・。
もし日本に何か有ったら、自衛隊員達はこの様に動くんだろうな・・・と、全てがリアルに迫って来ました。公開当時は「実際にゴジラが来たらどう対処するか」「その対策は出来て居るのか」等の質問に元防衛大臣が大真面目に答えると云う記事等も出て「先ずは知って貰う」と云う自衛隊の広告効果はバッチリです。
ゴジラの「やられ役」として登場して60年余り。自衛隊の視点からゴジラ映画を見てみると、今迄とは違う楽しみ方が出来るかも知れませんね。
凪破真名 以上
【管理人のひとこと】
映画「ゴジラ」は、管理人が小学生か中学生の頃に封切られた映画で、当時は物凄く話題に為り全国の東宝封切館で一斉に公開されたのでは無かっただろうか。恐らく学校でも町でも大きな話題と為り、私も汽車(当時は電車で無く)に乗り旭川の映画館前の雪の広場で入場を待つ行列に並んだ記憶が、今でも鮮明に残って居る。
だから冬に封切られたのは間違い無く、子供としての当時の印象は、画面が全体に暗く「何が何だか判らなかった・・・」そんな印象だった。太平洋での原爆・水爆実験が続き、何世紀も以前から海底に埋もれて居たゴジラが核物質に影響されて目覚め巨大化し・・・との様だった。
当時は映画が娯楽の王様で、ハリウッドの西部劇「大いなる西部」とか「十戒」「ベンハー」等の映画が「70ミリ超大作」として封切られる少し前?の事では無かっただろうか。その後のゴジラ映画を何本かは観たが、普通の娯楽映画と変わらず印象にはそれ程残らなかった。
その様な娯楽映画の中で、今でも記憶にあるのが「宇宙人東京に現れる・・・」?だったか、大きなヒトデの形をした宇宙人が出て来たもので、或る惑星が地球に接近し、地上が日毎に熱く為り・・・「アツそう・・・」とのシーンが何故か強く印象に残って居る。
映画の中身はサッパリ覚えてないが、東京湾の海水が段々熱く為り・・・ヒトデ型の宇宙人・・・子供心に大きな「耐えられ無い暑さの」恐怖心を味わったものだった。
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真二ツに割れる大地!押し寄せる怒涛!ガラガラ崩れ落ちる大ビルヂング!
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INTRODUCTION 城北天文台の磯部助手は、或る夜雲の切れ間に不思議な形をした謎の発光体を発見。そして、世界各地でUFOが目撃され、ヒトデ型の宇宙人が東京を襲った!恐怖におののく住民たち!パイラ人と名乗る宇宙人は、何の目的でやってきたのか?
折も折、死の惑星“R”が地球に接近。人類最大のピンチを救うカギは松田博士の発見した方程式にあったが・・・。
CAST 川崎敬三 苅田とよみ 八木沢敏 山形勲 南部彰三 見明凡太郎・・・
STAFF 監督: 島耕二 脚本: 小国英雄 音楽: 大森盛太郎 製作: 永田雅一 原案: 中島源太郎・・・特殊技術: 的場徹 撮影: 渡辺公夫 色彩技術: 渡辺徹 録音: 西井憲一
製作年:1956年 製作国 日本 製作 大映東京撮影所 原作・配給:大映 カラー1時間27分 13巻 2867m スタンダード モノラル
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