2020年02月05日
都知事戦の報道・解説
都知事戦の報道・解説
「五輪一色」報道が及ぼす危機感 2020年都知事選
今こそ問われる有権者の投票態度
〜知る!TOKYO 小川裕夫(フリーランスライター)2019年11月9日〜
2020年7月5日に実施される事と為った東京都知事選挙。都知事選には毎度「泡沫候補」と呼ばれるマイナーな候補者が登場します。そんな彼等と有権者の投票態度に付いてフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
選挙は後出しジャンケンが有利
東京都選挙管理委員会は、2020年の東京都知事選挙の投開票日を7月5日(日)にする事を発表しました。半年以上も前に、選挙日程が決定される事は異例です。肝心の都知事選への出馬を表明する立候補予定者は、今の処現れて居ません。
都民のみ為らず全国から注目が集まる都知事選ですから、選挙戦では活発な政策論争を期待したい処です。一票を投じる有権者は、立候補者の政策を吟味してから投票します。選挙とは、要するに立候補者が政策を競い合う勝負です・・・と言いたい処ですが、実際はそう為って居ません。
勿論、立候補者の政策を投票材料にして居る有権者は居ます。その一方で「イメージが好いから」とか「親しみが持てる」「テレビで見て、知って居るから」と云った理由で一票を投じる有権者も少なくありません。これ等の声は、選挙が知名度で争われて居る事を示唆して居る為、立候補者はそうした有名人票を取り込むべく選挙戦術を練って居ます。
その結果、選挙は情報戦も当落を左右する程重要なファクターに為って居るのです。例えば、選挙に出馬しようとする人は、告示日よりも前に記者会見を開いて出馬表明をするのが習わしに為って居ます。
出馬表明が早ければ、有権者はその人物が掲げる政策を見極める時間が増えます。しかし早く立候補を表明してしまうと、後から表明した人の話題にカキ消されてしまい、早くから出馬表明した候補者は選挙で埋没してしまうのです。ギリギリのタイミングで立候補すれば、投開票日迄世間の耳目を惹き付けられます。選挙は後出しジャンケンが有利と言われる所以(ゆえん)です。
そうした情報戦以前に選挙に出馬しても、選挙関連のニュースで取り上げて貰え無い候補者も居ます。政見放送や選挙公報は立候補者全員を平等に扱いますが、テレビの討論番組やニュース番組・新聞報道は違います。
2016年の都知事選は、都知事選史上最多の21人が立候補しました。この内、テレビ・新聞は3人の候補者を主要候補と呼び、他の18人との扱いには大きな差がありました。
泡沫候補が主張する政策にも注目を
一つの選挙に多くの候補者が出馬すると、個々の候補者を取り上げる時間や紙面が足り無く為ってしまいます。そうした事情から、報道機関は主要候補と泡沫候補を事前に選別。主要とされた候補者の政策や動向を詳細に報じる一方で、泡沫候補の政策や動向は「他にも、こんな方々が立候補して居ます」と云うナレーションと共に名前を伝えて済ませます。
又、商工会議所や青年会議所と云った諸団体が、告示日前に公開討論会を実施する事もありますが、そうした討論会にも泡沫候補が呼ばれる事はありません。時間の都合と云う理由から、報道機関が主要候補と泡沫候補を事前に選別する事は有権者の観点から見ても問題があります。有権者が18人の候補者の政策を知る事が出来無く為るからです。
有権者の中には、泡沫候補の政見を聞く事は時間の無駄と考える人も居るかも知れません。しかし、主要候補だから政策が素晴らしいと云う保証はありません。もしかしたら泡沫候補が主張する政策の方が自分の考えに近い場合だってあるのです。
実際、数々の選挙に立候補したマック赤坂さんは長らく泡沫候補として冷遇されました。2016年の都知事選でも泡沫候補として扱われて居ます。しかし、2019年の港区議会選挙で念願の当選。現在、マック赤坂さんは港区議として活躍中です。
同じく2016年の都知事選に泡沫候補として扱われたNHKから国民を守る党代表の立花孝志さんは、2019年の参院選で当選。晴れて国会議員に為って居ます。その後、参議院埼玉県選出議員補欠選挙に出馬する為辞職。
ドンな人物でもキラリと光る政策を持って居ます。それが、仮に大半の有権者には無関係な政策だったとしても、一部の有権者に取っては非常に有益な政策かも知れません。事前に報道機関がシャットアウトしてしまえば一部の有権者にも届きません。それは投票の選択肢を狭め、一票を投じる有権者に取って明らかにマイナスです。
泡沫候補の扱いを不当と感じて居る人達も居ます。フリーランスライターの畠山理仁さんは、泡沫候補に対して敬意を込めてインディーズ候補と呼びます。
長年、インディーズ候補の取材を続けた畠山さんは、2017年にインディーズ候補者達の選挙戦を描いた『黙殺 報じられない無頼系独立候補たちの戦い』(集英社)を出版。同作は第15回開高健ノンフィクション賞を受賞し、インディーズ候補の存在や活動にも光が当たりました。
報道機関から黙殺され勝ちなインディーズ候補者達の政策にもキチンと耳を傾け様と云う方針から、畠山さんは分け隔て無く立候補者全員に出演交渉し、インターネットで開票特番を生中継して居ます。
「平等に扱う」ルールが、報道の足枷(あしかせ)に
2016都知事選の投開票日も、畠山さんは「候補者と見よう!開票特番2.0」と云うインターネット番組を生中継しました。インディーズ候補者達は仕事を掛け持ちしながら選挙活動をして居る為、スケジュールの都合で出演が叶わ無い候補者も居ます。
しかし、畠山さんの番組では、普段は聞く事が出来ないインディーズ候補者達の生の声に接する事が出来るのです。報じられ無いインディーズ候補も有権者にマイナスですが、公職選挙法には有権者に取って不利益と思える様な決まりが幾つかあります。
公職選挙法や放送法等では、テレビや新聞と云ったメディアは立候補者を平等に扱う様に促して居ます。一見すると当たり前に思えますが「平等に扱う」と云うルールが、報道の足枷に為る事もあります。テレビや新聞は「平等に扱え無いなら、そもそも選挙の報道をしない」と云う姿勢を取る事があるからです。
テレビや新聞が選挙報道を控えれば、選挙に関する情報量はガクンと減ります。報道機関が選挙報道を控えても投票日は延期されません。判断材料を奪われた有権者は、手探りで投票し無ければ為ら無く為るのです。
2020年の都知事選は、目前に迫った東京五輪で世間は一色に為って居る事でしょう。盛り上がって居る最中に選挙戦に突入します。必然的に、テレビや新聞等では五輪の情報が溢れます。その分、都知事選の情報は減ります。
世紀のスポーツイベントである五輪の情報を伝える事も重要ですが、それ等に都知事選の情報が押し流されてしまう事は、都民の、延いては日本全体の損失にも繋がります。
「山本太郎氏が都知事選出馬」を警戒する
小池百合子氏&二階俊博氏の思惑
〜「週刊文春」編集部 2020/01/10 週刊文春 2020年1月16日号〜
何よりも「再選ファースト」 共同通信社
東京五輪イヤーの幕が開いたが、小池百合子東京都知事(67)が精力的だ。「最近の小池知事はドンな団体の会合にも必ず出席する。スケジュールがキツクても挨拶回りを欠かさ無い」(都政担当記者)視線の先は勿論、今年7月5日投開票の知事選。正に「再選ファースト」だ。
連合、創価学会等集票が見込める組織の要望は全て聞き入れる構え。その甲斐あってか、公明党の山口那津男代表は1月2日、新宿で行った街頭演説で知事選に触れ「都政が継続性をもって、都民第一で進んで行くようにし無ければ為ら無い」と強調、小池氏支持を滲ませた。
小池氏は自民党にも布石を打つ。昨年のクリスマスイブに、予てから昵懇(じつこん)の二階俊博幹事長を党本部に訪問。記者団から「二階幹事長からどう云う話があったのか」と問われ「東京として好く遣って呉れてるね、と励ましを頂いた」と披露。
一方の二階氏も常々「(小池氏に勝てる候補は)居ない。当たり前じゃないか」と漏らして居る。「ワザワザイブに会いに行く事で、蜜月関係を強調した」(政治部記者)との見方が専らだ。
丁度同じ頃、都内各地に自動音声の電話が鳴り響いた。「都知事には誰を選びますか」選択肢は小池氏・丸川珠代元環境相・「れいわ新選組」の山本太郎代表。小池氏と対決姿勢を取る自民党都連の一部には丸川氏擁立論が燻り、山本氏は都知事選に付いて「選択肢として排除しない」と色気を見せている。
山本氏の知事選出馬は「合理的」である理由
都連関係者が声を潜める。「実は、山本氏が6月にも知事選への電撃出馬を宣言するとの説が駆け巡った。それを受けて二階氏が仕掛けた調査だろう」仮に調査で小池氏がトップ為らば党が小池氏に乗るべきだと云う材料と為り、山本氏がトップ為らば「保守分裂の選挙では山本氏が漁夫の利を得るぞ」と丸川氏擁立論を牽制出来ると云う訳だ。
政治部デスクも「山本氏の知事選出馬は合理的だ」と語る。山本氏は最近、衆院選で立憲民主、国民民主、共産等との野党共闘路線に乗るかどうか悩んで居るが「衆院選で共闘すれば、山本氏とれいわの存在感が一気に失われる。山本氏自身がそれを好く分かっている」(野党幹部)
一方、立憲の枝野幸男代表は、昨夏の参院選で「野党のカリスマ」の座を山本氏に奪われ、ライバル心を隠さ無い。「山本氏が知事選の野党統一候補に為って呉れれば、山本氏も埋没せずに済み、枝野氏にも利がある」(前出・デスク)桜を見る会やカジノ疑惑で与野党の激突が予想される通常国会。その裏では、都知事選を巡る駆け引きも激しさを増しそうだ。
以上
2020年都知事選の投開票日が早くも決定
五輪開幕の影響は? 前回2016年から振り返る
〜アーバン ライフ メトロ URBAN LIFE METRO ULM 2019年11月06日〜
都知事選実施で、都内はテンヤワンヤに
東京都のリーダーである都知事の任期は4年です。途中で辞任する事が無ければ、選挙は4年に一度実施されます。都道府県知事の選挙は、任期満了を迎える日から起算して30日前以内に実施する事が公職選挙法で定められて居ます。現職・小池百合子都知事の任期満了日は2020年7月30日の為、都知事選は2020年6月30日〜7月29日の何処かで施行し無ければ為りません。
2020年は東京五輪の開催年で7月24日に開幕します。又、五輪開幕前の7月10日からは聖火ランナーが都内を走ります。東京都が五輪の準備に忙殺されて居る中、都知事選は実施されるのです。テンヤワンヤの騒ぎに為る事は、誰もが予測出来るでしょう。
その様な混乱を最小限に抑えるべく、東京都選挙管理委員会は2020年東京都知事選挙の投開票日を7月5日(日)にする方針を発表しました。この日程なら五輪との重複は少なく、投開票における会場・職員の確保と云った準備がスムーズに出来ます。なお半年以上も前に選挙日程が決定される事は異例で、それ程五輪の及ぼす影響力が大きい事を物語って居ます。
ソモソモ、2016年の都知事選の実施前から、2020年の都知事選と五輪の日程が重為る事が危惧されて居ました。当時、舛添要一都知事は都議会で激しい追及を受けて居ました。報道は「何時辞任するか」を焦点にして居ましたが、舛添都知事は「今辞任すると、4年後の都知事選が五輪と重複した日程に為ってしまう」事を危惧。もう少しだけ都知事を続けさせて貰いたいと云った趣旨の発言をして居ます。
又、舛添都知事が辞意を表明後、一早く都知事選の出馬会見を開いた小池百合子衆議院議員(当時)は、2020年の都知事選と五輪とが重なる事態を踏まえ、仮に自身が都知事に当選したら「任期途中で一旦辞任し、出直し選挙をする。それにより、都知事選の日程をズラす」と云う案を打ち明けて居ます。
現職知事が、任期途中で辞任し出直し選挙で当選した場合は、任期が4年間延長されません。詰まり、予定通り2020年の夏に都知事選が実施されるのです。
誰が東京オリパラの「顔」と為るのか
出馬時に小池百合子衆議院議員が提案した出直し選挙案は全くの無意味です。それ処か混乱を大きくし、2回も選挙をすると云う無駄な費用を生じさせるだけでした。そうした指摘が為された事もあり、小池百合子衆議院議員は出直し選挙のプランを取り下げて居ます。
告示日前から混乱が見えて居た2016年の都知事選は、都知事選史上最多の21人が立候補。個々の候補者は特色ある政策を夫々掲げて居り、次の5つが主な争点とされました。
1.政治とカネの問題(前任の猪瀬・舛添がカネで辞任に追い込まれた為)
2.築地市場の豊洲移転を巡る問題
3.保育所の充実など、待機児童を解消させる政策
4.首都直下型地震への備え
5.東京五輪における費用負担の見直し
17日間の選挙戦の結果、小池百合子候補が291万票余りを獲得し東京都知事に当選しました。2016年の都知事選は、事前から4年後の2020年の都知事選が混乱する事が確実視されて居ました。そうした選挙でありながら、2016年の都知事選の投票率は前回の都知事選から約13%も上昇。都民の関心が高い事を示しました。
現職の小池都知事も含めて、2020年の都知事選に出馬を表明して居る候補予定者は居ません。次の都知事は、東京オリンピックの閉会式とパラリンピックの開幕式の顔に為ります。一体誰に為るのでしょうか?
勿論、それだけが都知事選の判断材料ではありません。都政の課題は多岐に渡ります。投開票日迄半年以上もありますが、今から有権者は「2024年、東京をどんな都市にしたいのか?」「4年間、どんな人が都知事にふさわしいのか?」を考えて置く必要があります。
以上
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