2020年02月04日
コロナショック直撃の中国 経済学者が語る危険水域
コロナショック直撃の中国 経済学者が語る危険水域
〜JBpress 2/4(火) 15:30配信〜
2月3日 上海証券取引所のロビーにある株価ボードの前に立つ防護服姿の男性 写真APアフロ
それは、中国の証券用語で言う「断崖式下跌」(断崖絶壁から飛び降りる様な下落)だった。1月23日から長い春節休みに入って居たが、11日振りに2月3日に再開するや、7.72%も下落し、上海総合株価指数は2746ポイントで終えた。2月4日も2685ポイントで始まった。
カンボジア国内での新型コロナウイルス感染の現状に付いて語るフン・セン首相 武漢周辺に居る自国民に対し「帰国するな武漢に残れ」と訴える媚中振り
そんな中、中国の或る経済学者に話を聞いた。以下は、一問一答である。
・・・昨日(2月3日)の株価暴落をどう見ているか?
3日は、上海と深圳の株式市場を合わせると、3209銘柄がストップ安と為った。これは全体の83%に当たる。前回、暴落したのは、人民元を強引に切り下げた直後の2015年8月24日だった。この時は、2187銘柄、全体の79%がストップ安と為った。その為、今回の暴落は5年前以上に深刻な事態と言える。
だがその反面、光明が無い訳でも無い。前回の暴落時は、足ったの16銘柄しか株価が上がら無かった。だが2月3日は160銘柄も上昇したのだ。これは主に医薬保健業界の株だ。マスクや種々の薬が不足して居り、それらに関係した銘柄は今後共上昇を続けるだろう。
事態鎮静化しても、世界の人々が武漢や中国に行きたいと思うか
・・・現在中国では、経済活動の基本と為るヒト・モノ・カネの動きが、事実上ストップして居る。これは中国経済に、致命的な影響を与えるのではないか。
余り悲観的に考えたく無いが、この状況が今後とも続けば中国経済は危険水域に陥るだろう。新型コロナウイルスで、先ず犠牲に為ったのは体力の無い高齢者だった。同様に、中国経済でも先ず遣られるのは、体力の無い中小零細企業だ。工場もオフィスも動か無い。それでも工員や社員の給料と工場やオフィスの家賃を支払わねば為ら無い。この状態が続けば、中小零細企業の倒産問題が深刻化するだろう。
・・・2003年3月頃に感染のピークを迎えたSARS(重症急性呼吸器症候群)の時は、国家統計局の統計を確認すると、同年第1四半期の成長率の伸びが9.9%で、第2四半期が6.7%迄落ち込んだ。だが第3四半期9.6%、第4四半期9.9%とV字回復し、通年では9.1%の成長を確保して居る。今回は2003年と比較してどう見るか。
当時のことは好く覚えているが、2001年末にWTO(世界貿易機関)への加盟を果たし、2008年の北京オリンピックへ向けて高度経済成長の道を直(ひた)走って居た時期だった。SARS騒動は言わば、青春期のホロ苦い挫折の様なもので、若い力で直ぐに回復した。
だが、今は違う。2018年・2019年と、明らかに2年連続で景気は下降傾向に有り、そこへアメリカとの貿易摩擦が『雪上加霜』(雪の上に霜が加わる・・・泣きっ面にハチ)の様に襲った。それが要約1月15日、アメリカと一時休戦に為ったかと思いきや、今度は『雪上加大霜』(雪の上に大きな霜が加わる)の状況と為った。
更に、2003年の時との比較で言うなら、産業構造が違う。2003年のGDPに占める第一次産業の割合は3.1%、第二次産業が57.9%、第三次産業が39.0%だった。処が2019年は、第一次産業が3.1⇒3.8%、第二次産業が57.9⇒36.8%、第三次産業が39.0⇒59.4%だ。詰まり第二次産業と第三次産業の割合が丁度入れ替わって居る。
この意味する処は大きい。第二次産業は製造業であり、これは極論すれば工場の稼働だ。即ち、工員が戻って来て工場が再稼働すれば経済はV字回復出来たのだ。処が第三次産業はサービス業だ。幾らこの先、新型コロナウイルスが静まったとしても、今年、世界の人が武漢や中国に旅行に行きたいと思うだろうか。
製造業にしても、今後は工場をリスクの高い中国から別の国へ移す企業が増えるかも知れ無い。外資系企業だけで無く中国の民営企業もだ。そう為ると、中国を中心としたサプライチェーン体制は崩れてしまう。
昨年の春節期間に59億元あった映画興行収入が今年はゼロ
・・・第三次産業の状況を、もう少し説明して欲しい。又、今年第1四半期の経済成長率をどう予測するか?
例えば、映画産業を見てみよう。昨年の春節期間の映画館の興行収入は59億元(1元≒15.5円 以下同)で、今年は70億元を超えると予想されて居た。だが結果はゼロだ。観光産業は、昨年の春節期間、5139億元の収入を上げた。今年の春節期間は、5500億元を超えると見積もられて居たが、結果は殆どゼロだ。
サービス産業の稼ぎ時は、春節と国慶節(10月1日)の大型連休だ。今年は素手に半分を失ってしまった事に為る。更に、消費の落ち込みも甚だしい。消費が増えたのは、マスクとスマホゲーム(自宅に引きこもっている為)位のものだろう。SARSの時を参考に、消費が5%落ち込んだとすると、経済損失はザッと5000億元だ。
これ等を総合すると、第1四半期の経済損失は1兆元を軽く超える事に為る。昨年第1四半期のGDPは21.34兆元で、今年第1四半期は6%成長して22.62兆元と云うのが、政府の見積もりだった。詰まり成長分は1.28兆元だ。
経済損失分と、予測して居た経済成長分を差し引きすると、今年第1四半期は、好くてトントン・・・即ち0%成長で、もしかしたらマイナス成長に為るかも知れない。
・・・中国経済に与える影響で、他に気に為る点はあるか?
気に為るのは企業の債務の多さだ。2018年と2019年、債務過多に陥り返済が滞る民営企業が続出した。新型コロナウイルスの一件で、今年は更に増える見込みで、私の試算によれば民営企業全体の12.5%に及ぶ。詰まり、民営企業の8社に1社は倒産予備軍だと云う事だ。中国経済は、大変な爆弾を抱えて居る事に為る。
・・・中国経済に希望は無いのか?
希望と云うか、期待を抱いて居るのは新たな経済の胎動だ。2003年のSARSにおける最大の『勝者』はアリババだった。SARSを機に、中国人はインターネットで買い物する様に為ったからだ。
同様に、新型コロナウイルスを機に、若者達が新たなビジネスを興して呉れる事に期待して居る。『乱世出英雄』(乱世に英雄が出る)と云うものだ。
・・・以上である。春節の連休が終わりを迎える2月2日日曜日の午後3時、中国人民銀行(中央銀行)は、足った2行から為る声明を発表した。
〈ウイルスの防止を維持・保護する特殊な時期に、銀行システムの流動性を合理的に充足させ、通貨市場を平穏に運行させる為、2020年3月3日中国人民銀行は、1兆2000億元の資金をリバースレポの公開市場操作を通じて放出する。これによって銀行システムの全体的な流動性は、昨年同時期よりも9000億元増える〉
財政部のホームページを見ても、2月3日0時現在で、新型コロナウイルスへの対策として計470億元の資金を緊急出動するとして居る。
「中国人には最後には国家統計局が付いて居て呉れる」
だが、各都市がゴーストタウンと化して居る中国の経済を、V字回復させる事が出来るのだろうか。私は、数年前から中国でシバシバ耳にするアネクドート(政治小咄)を思い起こす。
「中国経済に関して、我々中国人は恐れる事等無い。財政部や中国人民銀行・国家発展改革委員会等がサジを投げたとしても、最後には国家統計局が付いて居て呉れるのだから」
近藤 大介 以上
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