私が初めて入会したのが大樹レーシングクラブです。当時はタイキシャトルやタイキフォーチュン、タイキブリザード、タイキブライドルなど活躍馬を立て続きに輩出していました。このクラブの第１期世代がクロフネミステリーという外国産馬で1口も売れなかったということで話題にもなりました。
当時の大樹は岡部騎手、藤澤和雄厩舎が黄金の組み合わせと言われていました。藤澤調教師がまだ若かりし日の駆け出しの頃で、タイキシャトルなどの管理をしていた事もあり、藤澤調教師が飛躍する礎ともなったクラブでもあります。
一口を始めた頃は今と違って、「とにかく儲ける！」というのが前提でありました。そこで、出資と支出の損益分岐点を計算して出資した記憶が残っています。
小口クラブの多くは400口募集が主流（友駿ホースクラブも当時は400口募集）で、シルクは今と変わらず500口、ラフィアン100口、社台が40口でした。
大樹は100口と400口募集でしたが、100口だと馬代が高くなるので基本は400口を数頭持ちたいというスタンスです。今でもそれは変わっていません。
出資の際に検討したのが「いくら稼げば元は取れて、儲けられるか？」ということです。支出の部分を計算しますと、400口募集なので維持会費が一律毎月1,500円。2歳から引退するまで発生しますが、5歳までの4年間（48ヶ月）走ると想定しました。
①維持費は1,500円×12ヶ月×4年=72,000円となります。これは馬代の高い安い関係なく発生します。
②これに馬代がかかります。高ければ高いほど良血で将来性が見込まれているので、稼ぎ出す確率も高いことが想定されますが、その分、回収リスクは高くなります。安い馬はその逆で、低リスクですが活躍への期待度が下がります。配当については獲得賞金の60%を想定しました。例えば未勝利勝ちですと本賞金500万円としてその60%の300万円が口数に応じて分配されると想定しました。このように単純想定で検討し、例えば募集価格2,000万円の1/400口価格、50,000円の馬に出資したとします。
③毎月かかる維持費4年間分72,000円と出資馬代金50,000円を合わせた122,000円が４年間走った場合のランニングコストになります。これとは別に、月会費と保険代がかかりますが、これは趣味と割り切って割愛しました。
④この122,000円が損益分岐点になります。この金額をクリアーするために必要な獲得賞金は8,000万円となります。2,000万円の馬が8,000万円の賞金を獲得すると、その60%を配当として4,800万円が会員への分配になります。4,800万円÷400口＝120,000円。
⑤一口50,000円の出資馬が8,0000万円の賞金を獲得すれば、概ね4年後くらいにトントンになります。つまり最低3勝以上し、そこそこ着賞金を獲得していけるかを見極める必要がありますよね。でも馬券の延長線で興味を湧いて始めた道楽主義者ですので、そんなのわかりません（笑）。「絶対走る！」と根拠のない確信のみで出資していました（笑）。
そんなこんなで「根拠なき確信」での初出資馬はタイキメビウスです。父ダンスオブライフ、母タイキミステリーの牝馬です。サンデーサイレンスやブライアンズタイムが勢力拡大を図る中、全く聞いたことがなかった種馬との配合です。募集価格は2,000万円で400口募集。1口50,000円です。
これがかなり活躍してくれました。2000年6月にデビューし2003年8月のラストランまで26戦し4勝。主な勝ち鞍は3歳未勝利、3歳以上500万下を2勝、飯豊特別(1000万下）です。第1回アイビスサマーダッシュ（G3）にも重賞初挑戦で3着と健闘してくれました。この馬の４勝は全て逃げ切り勝ちで鞍上も小林久晃騎手。柴田善騎手や大西騎手なども乗りましたがどういうわけか勝てませんでしたから、小林久晃騎手との愛称は抜群だったのでしょう。
私が利用させていただいている一口馬主DBさんの記録によりますと獲得賞金は7,044万円で１口賞金が176,000円、回収率は352％ですからとても満足できる成績です。ただしトータルで考えますと、2歳1月～ラストランとなった2003年8月までの44ヶ月間で維持会費が66,000円かかっていますので単純に馬代の50,000円を加算すると116,000円のコストがかかりましたので176,000－116,000円を差し引くと60,000円の利益を獲得できました。出資から4年後に利益が確定した事例となります。
タイキメビウスは運良くうまくいきましたが、それ以外となると・・・・。
（続きは次回以降で）
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