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2016年10月22日
フリーストール牛舎の通路マット
酪農家に行くと時々見かけるフリーストール牛舎。
つなぎ飼いと比べて牛が動ける分よさそうに思えますが、
通路で牛が滑って足をダメにしてしまい
廃用、というのはよくある話です。
そのためにコンクリートの床に目地を切って滑りにくくする、
という対策がよくとられています。しかし、それでもフンや
尿が乗った床の上は滑りそうな感じがします。それに
床が固くて痛そうです。
最近見た牛舎で初めて、通路にゴムマットを敷いているのを見ました。
おそらくは何年か前からそのような商品はあったのでしょうが、
実際に使用されているのを見たのは初めてでした。
利用している酪農家さんの話では、マットを敷く前と比べて
牛が滑らなくなった、牛が歩く頻度も増えたということで、
なかなか好評のようです。ただ、爪は伸びは早くなったので
削蹄回数は増えたようです。
マットだとフンを出すときに重機で押すと傷まないのかな、
と思ったりもしましたが、マットを導入している酪農家さんは
バーンスクレッパーを使っている人もいれば重機で押している
人もいたので、コンクリートの時と同じ作業体系ができるようです。
マットは傷むでしょうけど、コンクリートだって傷みますしね…。
そんなわけですごく良さそうに見えた通路マットですが、
全然普及しているように思えないのはなぜなのかな、なんて
思いました。
価格が高いか、というとそこまですごく高いわけでもなさそうだし…。
(100床ちょいの牛舎で500万くらい?)
費用対効果は、と言われると自信はないですが、牛には良さそうです。
最近では牛床にマットを敷くのは一般的になりました。
いずれは通路マットも一般的になるのでしょうか。
つなぎ飼いと比べて牛が動ける分よさそうに思えますが、
通路で牛が滑って足をダメにしてしまい
廃用、というのはよくある話です。
そのためにコンクリートの床に目地を切って滑りにくくする、
という対策がよくとられています。しかし、それでもフンや
尿が乗った床の上は滑りそうな感じがします。それに
床が固くて痛そうです。
最近見た牛舎で初めて、通路にゴムマットを敷いているのを見ました。
おそらくは何年か前からそのような商品はあったのでしょうが、
実際に使用されているのを見たのは初めてでした。
利用している酪農家さんの話では、マットを敷く前と比べて
牛が滑らなくなった、牛が歩く頻度も増えたということで、
なかなか好評のようです。ただ、爪は伸びは早くなったので
削蹄回数は増えたようです。
マットだとフンを出すときに重機で押すと傷まないのかな、
と思ったりもしましたが、マットを導入している酪農家さんは
バーンスクレッパーを使っている人もいれば重機で押している
人もいたので、コンクリートの時と同じ作業体系ができるようです。
マットは傷むでしょうけど、コンクリートだって傷みますしね…。
そんなわけですごく良さそうに見えた通路マットですが、
全然普及しているように思えないのはなぜなのかな、なんて
思いました。
価格が高いか、というとそこまですごく高いわけでもなさそうだし…。
(100床ちょいの牛舎で500万くらい?)
費用対効果は、と言われると自信はないですが、牛には良さそうです。
最近では牛床にマットを敷くのは一般的になりました。
いずれは通路マットも一般的になるのでしょうか。
2016年09月27日
最近の肉牛経営
ここ最近の肉牛相場を見てますと、
どの畜種でもようやく価格高騰が落ち着いてきたように感じます。
(ヌレ子はまだ上がり気味のような気もしますが…。)
しかし昨年は一年通して高騰し続けた相場でした。
もちろん、牛の価値が上がったという点では
良いことなのですが、急激な変化に
対処していくのはとても大変なことです。
特に対処を難しいものにしている問題として、
畜産経営においては飼養頭数の変化を柔軟に
おこなうことができない点が挙げられます。
それは薄利多売という性質があるがゆえに
牛舎のキャパシティに対して限界に近い頭数を
飼養する必要があるからなのか、
あるいは牛舎は一杯にしなくてはいけないという
経営主の固定観念によるものなのか。
はっきりと結論は出せないところではありますが。
その考えをもとに、例えば
交雑種1000頭を肥育する農家を考えて見ましょう。
おととしまでは、素牛を1頭35万円で導入できたとします。
しかし去年は1頭45万出さないと導入できなかったとします。
1000頭の牛群を維持するには1ヶ月で60頭は導入したいところです。
そうすると、おととしまでは12ヶ月×60頭×35万で2億5千2百万円で
導入できたところ、
昨年は12ヶ月×60頭×45万で3億2千4百万円かかったことになります。
一方で販売価格もおととしまで1頭75万だったところが
昨年は1頭85万に上がったとします。
出荷頭数は1ヶ月に60頭として、おととしの売上は
12ヶ月×60頭×75万で5億4千万円
昨年の売上は12ヶ月×60頭×85万で6億1千2百万円。
これなら導入経費も売上もともに7千2百万円変化したのだから
特に問題ない感じがします。
しかしここで2つの問題が生じてきます。
まず一つには、導入経費の増加分は在庫評価額の増加となるため
ただちに税務上の経費とならない一方で、売上の増はただちに
利益の増加につながるため、昨年のケースだと大幅に利益が増えて
しまい状況によっては税金が大きくかかってしまうことです。
もう一つには、肉用牛経営においては「肉用牛の売却に係る課税の特例」と
いうものがありまして、ざっくり言うと一定の条件を満たせば
売却所得に対する課税をしない、というものなのですが、
その条件というのが交雑種は80万円未満で販売した個体、
となっています。
すなわち、これまでは免税措置を受けられていたものが、
高値で売れるようになったことで免税が受けられなくなり
税金がかかってしまう、ということです。
これらの理由により、昨年多くの税金を課せられた
肥育牛経営もあったでしょう。
ただ、繰越欠損金があった経営体では税金の支払いまでは
発生しなかったケースもあったかと思います。
昨年の状況を一言でいうと、資産は増えたんだけどお金はなくて、
利益は出たんだけど税金を払うお金がない、という
状態に陥っても仕方の無い年だった、と言えます。
ただ、こういった状況であれば金融機関からの融資も
問題なく受けられたのではないかと思います。
すでに借金をたくさん抱えているのに税金のために
さらに借金しなきゃいけない、という辛い状況だった
とは思いますが。
今後恐れるべきは、肉用牛価格の急激な下落です。
高値で仕入れた牛が販売時になって安価でしか売れない。
こうなると経営の危機になります。
このような状況になれば、マルキン制度から補てん金は出ます。
しかし補てん金で損失をまるまるカバーできるわけではありません。
そして、在庫評価額減による赤字も気になるところです。
かと言って、それに対する備えがあるかというと
簡単ではありません。
最近では、酪農を始める肉牛経営が増えました。
子牛を作るところから始めようというわけです。
こうすれば、仕入れ価格の高騰の影響はなくなります。
ブランド化を図る経営も増えています。
現状のように多くの個人ブランドが乱立している状況では
ブランド化による差別化を実現することはなかなか
容易ではないとは思いますが、販売店と組むことで
安定した取引量、価格を確保することはとても
重要だと思います。
食肉メーカーが畜産に乗り出すケースも出てきています。
自らが加工して販売するので、こちらも相場の変動の
影響を小さくすることができます。
日々忙しく肉牛生産に励む中で、経営戦略を立てていくことは
簡単ではありませんが、仕入先、販売先の確保、
生産コストの削減、飼養技術の向上など、
少しずつ取り組んでいただき、リスクに強い経営を
作りあげていただきたいと思います。
どの畜種でもようやく価格高騰が落ち着いてきたように感じます。
(ヌレ子はまだ上がり気味のような気もしますが…。)
しかし昨年は一年通して高騰し続けた相場でした。
もちろん、牛の価値が上がったという点では
良いことなのですが、急激な変化に
対処していくのはとても大変なことです。
特に対処を難しいものにしている問題として、
畜産経営においては飼養頭数の変化を柔軟に
おこなうことができない点が挙げられます。
それは薄利多売という性質があるがゆえに
牛舎のキャパシティに対して限界に近い頭数を
飼養する必要があるからなのか、
あるいは牛舎は一杯にしなくてはいけないという
経営主の固定観念によるものなのか。
はっきりと結論は出せないところではありますが。
その考えをもとに、例えば
交雑種1000頭を肥育する農家を考えて見ましょう。
おととしまでは、素牛を1頭35万円で導入できたとします。
しかし去年は1頭45万出さないと導入できなかったとします。
1000頭の牛群を維持するには1ヶ月で60頭は導入したいところです。
そうすると、おととしまでは12ヶ月×60頭×35万で2億5千2百万円で
導入できたところ、
昨年は12ヶ月×60頭×45万で3億2千4百万円かかったことになります。
一方で販売価格もおととしまで1頭75万だったところが
昨年は1頭85万に上がったとします。
出荷頭数は1ヶ月に60頭として、おととしの売上は
12ヶ月×60頭×75万で5億4千万円
昨年の売上は12ヶ月×60頭×85万で6億1千2百万円。
これなら導入経費も売上もともに7千2百万円変化したのだから
特に問題ない感じがします。
しかしここで2つの問題が生じてきます。
まず一つには、導入経費の増加分は在庫評価額の増加となるため
ただちに税務上の経費とならない一方で、売上の増はただちに
利益の増加につながるため、昨年のケースだと大幅に利益が増えて
しまい状況によっては税金が大きくかかってしまうことです。
もう一つには、肉用牛経営においては「肉用牛の売却に係る課税の特例」と
いうものがありまして、ざっくり言うと一定の条件を満たせば
売却所得に対する課税をしない、というものなのですが、
その条件というのが交雑種は80万円未満で販売した個体、
となっています。
すなわち、これまでは免税措置を受けられていたものが、
高値で売れるようになったことで免税が受けられなくなり
税金がかかってしまう、ということです。
これらの理由により、昨年多くの税金を課せられた
肥育牛経営もあったでしょう。
ただ、繰越欠損金があった経営体では税金の支払いまでは
発生しなかったケースもあったかと思います。
昨年の状況を一言でいうと、資産は増えたんだけどお金はなくて、
利益は出たんだけど税金を払うお金がない、という
状態に陥っても仕方の無い年だった、と言えます。
ただ、こういった状況であれば金融機関からの融資も
問題なく受けられたのではないかと思います。
すでに借金をたくさん抱えているのに税金のために
さらに借金しなきゃいけない、という辛い状況だった
とは思いますが。
今後恐れるべきは、肉用牛価格の急激な下落です。
高値で仕入れた牛が販売時になって安価でしか売れない。
こうなると経営の危機になります。
このような状況になれば、マルキン制度から補てん金は出ます。
しかし補てん金で損失をまるまるカバーできるわけではありません。
そして、在庫評価額減による赤字も気になるところです。
かと言って、それに対する備えがあるかというと
簡単ではありません。
最近では、酪農を始める肉牛経営が増えました。
子牛を作るところから始めようというわけです。
こうすれば、仕入れ価格の高騰の影響はなくなります。
ブランド化を図る経営も増えています。
現状のように多くの個人ブランドが乱立している状況では
ブランド化による差別化を実現することはなかなか
容易ではないとは思いますが、販売店と組むことで
安定した取引量、価格を確保することはとても
重要だと思います。
食肉メーカーが畜産に乗り出すケースも出てきています。
自らが加工して販売するので、こちらも相場の変動の
影響を小さくすることができます。
日々忙しく肉牛生産に励む中で、経営戦略を立てていくことは
簡単ではありませんが、仕入先、販売先の確保、
生産コストの削減、飼養技術の向上など、
少しずつ取り組んでいただき、リスクに強い経営を
作りあげていただきたいと思います。