(2018年投稿記事です。)
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海上自衛隊で勤務しているとき、怖かったことの一つは会計検査院です。
国家予算の適正な執行を確認して、不備があれば政府に勧告が出ます。
結構、会計検査院の指摘は的確な指摘をして、大変勉強になるんですよ〜。
今回は、知られざる会計検査院実地検査について!
(前回記事):『自衛隊幹部の低学歴が問題?大学側の傲慢のせいでしょ?』
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(1)会計検査院は何をするところ?防衛省・自衛隊も対象?
会計検査院は、日本国憲法第90条に定義され会計検査院法により独立した機関です。
※憲法第90条
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
※会計検査院法
第1条 会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。
第20条
会計検査院は、日本国憲法第90条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。
会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。
会計検査院は、正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要な観点から検査を行うものとする。
全ての機関から独立して、国の収支決算や国が関係する機関すべての会計検査を実施します。
1.1 防衛省・自衛隊に対しては?
会計検査院は、国の予算の全てに対して会計の検査を行うため、防衛省・自衛隊に対しても、会計検査の対象となります。
実際に防衛省・自衛隊の検査を担当するのは、事務総局第2局に属する部署です。
図1 会計検査院の組織図
引用URL:http://www.jbaudit.go.jp/img/jbaudit/chart_soshiki.gif
第2局の中に、防衛検査第1・2・3課が存在しております。
海上自衛隊を担当するのは、防衛検査第2課です。
1.2 どんな検査をしているか?
会計検査院の検査は、大きく分けて、
・書面検査
・実地検査
の2つで行われます。
検査対象の部隊等に出向き、書面検査を行いながら実地検査にて実物を検査します。
図2 検査の様子
引用URL:http://www.jbaudit.go.jp/kids/category2/01.html
会計書面では分かり難いものを、実地検査で確認します。
実地検査では、書面では分からない実際の不備が見つかることが多々あるため重要です。
1.3 会計検査受験は大変だ!
会計検査院の検査を受検する前に、海幕の会計監査を受けるため結構大変です。
さらに、会計検査院から実地検査でこれを見たい!という要望が先に通知されます。
実地検査を受ける装備・物品の準備や、質問応答で担当者は準備に大忙しです。
そんな会計検査院の検査を、艦補処で実際に受けることになりました。
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(2)会計検査院受験は職務と技量が試される場所!
会計検査院の現地部隊での検査は、6〜7名の調査官と副長と呼ばれる検査班の次席調査官が決ます。
調査官の質問などには、基本各部門の管理職が対応します。
しかし、専門の物品などの機能・調達・修理などの実際業務で担当者も同席します。
会計検査院の質疑応答の場では自分の技量知識・業務への理解など、しっかりと勉強しているか問われる場所でもあります。
2.1 防衛検査課の調査官もプロフェッショナル!
防衛検査第1・2・3課に配属される調査官は、いずれも配属前にみっちりと研修しています。
防衛省・自衛隊の任務や装備、運用に必要な物品の調達などしっかり勉強してきます。
そのため、ごまかしやあやふやな答えはすぐに見抜かれます。
まさに会計のプロフェッショナルとして来ています。
(どこぞの内局の人間よりも知識が深いです。)
そんな、会計検査院の質問が自分の担当物品にキター!
資料を揃えて、さあ調査官との楽しい(恐怖の?)質疑応答の時間だ!
2.2 この器材の修理状況は〜?これはこのように〜!
調査官からの質問は、艦船補給処で一括して修理を出す器材の修理状況の確認でした。
図3 修理器材(某器材)
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3d/Harpoon_missile_subsystem_test_set_%28NWS%29.png?uselang=ja
数年前まで各所で修理発注をしていた器材について、艦補処で一括修理契約になった後の状況確認でっす。
調査官 『この器材はどんな目的ですか?』
ペンギン『この器材はこれこれの目的で〜』
調査官 『一括修理の状況と、修理契約の推移はどんな感じですか?』
ペンギン『艦補処契約になってからの実績は、こんな感じで〜(書面)』
こんな感じで、丁々発止のやり取りが行われます。
単に器材の確認である場合や、契約方法が変わったときに効率的に契約しているか?軽い質問から、疑惑と本腰を入れた調査のための情報収集など、様々です。
ここでは、自分の技量知識・職務にちゃんと取り組んでいるか問われます。
2.3 この資料の写がほしい!は要注意!
会計検査院の検査において、ちょっと注意しなくてはならないことがあります。
調査官の
『この書類の写しをいただきたいのですが〜?』
というお願いです。
図4 書類を確認する調査官
これがなかなか曲者の、調査手法だったりします。
秘密区分や注意指定になっている文書については、正規のルートで対応します。
しかし、実地検査で、調査官からのお願いにまんまと引っかかる場合があります。
そのまま確認せず書類の写しを渡すと、あとで見事に案件のダシにされることも・・・
なかなか、相手も抜け目ない方々です・・・
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(3)会計検査報告書は非常に勉強になる資料だ!
会計検査院の検査は、その後各省庁等全ての検査結果をまとめた「決算検査報告書」として内閣に送付されます。
図5 決算検査結果書の手交
引用URL:https://www.kantei.go.jp/jp/content/07kaikeikensa2_2.jpg?s=300000
決算検査報告書はデータベース化されており、いろんなことが書いてあります。
防衛省・自衛隊関係でもいろんな内容の結果があり、非常に勉強になります。
「会計検査院検査報告データベース」
URL:http://report.jbaudit.go.jp
色々面白いことが書いてあります。
面白い話では海上自衛隊に、
『不要になった銀をちゃんと売れやああ!(廃電池売り払い)』
何て話もあります。
図6 槍玉に上がった海水銀電池
『報告書の内容』:http://report.jbaudit.go.jp/org/h19/2007-h19-0704-0.htm
会計検査院の実地検査は、結構大変だけど勉強になることも多いですよ〜!
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