前回の記事。
デートレイプの被害で使う警視庁開発の検査薬について書きました。
しっかり読まずに、勝手にドリンクを安全かどうか確認する試験薬だと勘違い。
実際は被害にあった後、女性の尿で検査するものでした。
被害届が出されている数よりも、かなり多くの被害があると想定され、中にはただお酒を飲みすぎただけだと思い、被害にあった事にすら気付いていないケースもあるのではないか・・という事です。
そっか・・・、被害者になってから使うものだったのか・・・。
なんだかちょっとショックでした。
被害にあってからでは遅いのに。
被害にあう前にできることはないのかな・・・と。
性犯罪にあった女性が心に背負うキズは一生です。
私が二人の娘を、そのような被害から守るために過保護ともいえる程心配性になってしまうのも、自身の子供の頃の経験があるから。
小学六年生の頃、本当にあと少しで大変な目にあっていたであろう経験をしました。
塾からの帰り道。
日も落ちて暗くなった道を自転車で家に向かっていました。
もうすぐ家につくという頃、若い男が突然自転車で横に並び、なにか囁きました。
怖くなった私はスピードを上げました。
その道はギリギリ車がすれ違えるくらいの狭いけれど朝夕は交通量も多い道でした。
歩道と車道の区別もないので、車が行きかう横を自転車が並列で走ることは出来ず、男はピッタリ後ろについてきました。
家に続くわき道を、スピードを上げて走っていたことで曲がることができず、行き過ぎてしまいました。
「どうしよう」と焦りながら、行く先に大きな竹やぶがあるのを思い出しました。
母や祖母に以前言われたことがあったのです。
「こんなところに連れ込まれたら、いたずらされて大変な目にあうよ。変な人について行ったらだめだよ」と。
このまま走っていったら、その竹やぶにたどり着いてしまう。
そこまで行ったらダメだ・・！と。
なんとか手前で男の脇をすり抜けてUターンしました。
さっき行き過ぎてしまったわき道をなんとか曲がり、あと100ｍほどで家だというところで、追跡してきた男に自転車で前に立ちはだかれてしまったんです。
怖くて怖くて声を上げることも出来ず、男に言われるままさっきの大通りの脇にある小さな三叉路の物陰に連れていかれました。
その後直接的な性被害に至る前に、たまたま通りかかった中年の女性が物陰の私たちに気付き、不審に思って声をかけてくれたのがきっかけで男は逃げていきました。
女性に「大丈夫？」とか、声をかけられた気もしますがあまり覚えていません。
ただなんとか自転車を引いて帰宅した私の顔を見た瞬間、母親が異変に気付き慌てだすくらい私は顔面蒼白だったんだろうな・・・と思います。
なにがあったのか両親に説明し、その後父親が警察に連絡していたのは覚えています。
子どもの私には、やっぱり衝撃的すぎる出来事でした。
暴行は受けずに済みましたが、それでもこの経験はこの後の私の人生にいつも大きな影を落としてきたし、もともとの人格が変わってしまったのではないかと思うほどの影響がありました。
もしこの経験がなければ、もっと恋愛を楽しめただろうし、人生が変わっていただろうと思うんです。
人間不信、男性不信。
そんな被害にあってしまった私が、なにかどこか自分が悪いんじゃないかと自分を責める気持ち。
性被害にあった被害者の多くが、自分を責めるそうです。
どこか自分に落ち度があったんじゃないか・・・と。
そんな事ないのに・・・。
そんな思いは娘たちにはしてほしくない。
気付かないうちに、悪い人はすぐ隣にいるかもしれないし、善人の仮面をかぶった悪魔から狙われているかもしれないと。
娘たちはと言うと、幸い今まで事件に巻き込まれたことはありません。
小さいころからこれまで、とにかく神経質なほどにどこに行くにも目を離さず、事あるごとに「怖いよ、怖いよ」と脅し文句を聞かせてきた甲斐があったと思っています。
彼女たちにしてみれば、時にはうっとおしく面倒くさい母親だったでしょうけど、それでもいいと思ってます。
あんな経験はしてはいけない、させるべきではないと思うから。
今回の新開発の検査薬。
もちろん操作を迅速に・・という意味は分かります。
でもその前になにか手立てはないのか、女性が気をつけるだけしかないのかなぁと考えさせられました。
